所用で平菅波を通ったときに、大國魂神社の「鳥小屋」を見つけました。かなり大きなもので、一辺4m四方、高さは3m近くありそうです。
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いわき市には、1月上旬に「鳥小屋」又は「ドント焼き」等と呼ばれる小屋を正月飾り、お札などと共に燃やす風習があります。その鳥小屋は、竹の柱、壁はススキや藁、屋根に良く燃える素材を用いて、本来、田んぼの中に建てる小屋です。もともとは、子供達が田んぼの収穫後正月前に、自分たちで遊びながら作って、雪国のかまくらの様に子供達が中で遊んだ習慣です。

一時期、風紀や火災予防の関係で、行なわれなかったそうです。文化と郷土の風習を継承するということで特別に許可をもらい、市内各地で鳥小屋が製作されました(1/7昼のNHKお昼のニュースで報道されました)。

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鳥小屋の横には、1年間お世話になったお札や達磨、正月行事のものを焚き上げる場所も併設されています。
鳥小屋のもともとの意味は、田畑を荒らす害鳥を追い払うための鳥追い小屋だったといわれていますが、いつの頃からか、正月終わりのしめ飾りを集めて燃やす役目になっていったそうです。
中にはこういう躙り口(玄関・入口)から入ります。

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本格的な鳥小屋には炉が切られ、ここで煮炊きをすることができるようになっています。ここまで本格的なものは、もはや子供が作るものではなく大人が本気で作るものになります。夜は、ここでおでんや遠火で魚を焼いたりできるので、日本酒のあてにはうってつけとなります。

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中は竹で編んだ構造体に藁等を乗せただけですので、実はかなりすきま風があり、朝夕は寒いです。藁の新鮮な匂いが鼻をつき、なにか非常に懐かしい感じがします。私も近所の田んぼの中に、小さな子供用の鳥小屋で遊んだ記憶があります。ここで秘密基地ごっこをしたり、何か大切なものを持ち寄ったりしていました。最終的には正月明けに燃やされてしまい、灰燼に帰すことになります。ここで諸行無常、形あるものは必ずなくなる、ということを体感しました。こういった風習は大切に伝承していって欲しいと思います。

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年明け早朝に燃やしてしまいますが、大きな炎が出ますので、すわ火事か!との火事119番誤報が多いそうです。点火する事前に消防署へご一報しておいて下さるようお願いいたします。