鮫川村における焼却実証実験事業にかかる住民説明会@田人ふれあい館、に参加しました。200人近い参加者に対して、環境省の計画官、鮫川村の村長さんから説明がありました。福島のキー局のテレビカメラが7台以上、大手新聞社記者の姿も見られました。
田人放射性廃棄物説明会2

まず鮫川村の村長さんから、建設予定区域の地権者すべてからの建設同意を得ており、また環境省の実験等で安全を確認しているので、建設を進めていきたいとの説明がありました。鮫川村青野地区には160戸の畜産農家があり、現在大量の農業系廃棄物が放置されているため、営業再開できないそうです。また環境省の計画官からは、他の実証事例で減容化(焼却)する場合、バグフィルターで飛散を防止できていることを確認しているので、今回も放射性物質の拡散のおそれはないとの説明がありました。

一方、参加者からは以下のような意見・質問が出ていました。当初司会の方からは、いわき市民からの質問に限るとのことでしたが、なし崩し的に鮫川村の方の質問も受け付けて、感覚的には半分くらいが市外の方からの質問だったと思います。
・環境省の説明や実験結果は信用できない
・以前は「実証実験炉」の名称だったが、今回何故「仮設焼却施設」に変わったのか納得できない
・村長や環境省の態度、姿勢が信用できない
・建設が開始されてからの説明会開催タイミングに対する不満
・建築基準法の手続不備の可能性を指摘
・200kgの処理能力を超える廃棄物処理施設は許可が必要であるが、今回の施設の能力は199kgであり、脱法では田人放射性廃棄物説明会2ないか 等

当初の予定時間は18:00開始、20:00終了。40分程度、配付資料に基づいた説明の後、1時間20分の質疑応答が行なわれました。予定時間を超過しても質問の挙手をされる方がいらっしゃったので、さらに時間を40分延長して質問に対する回答が行なわれました。

当日配布資料はこちら(縦書きWordと横書きPPT)↓↓↓↓↓↓
http://goo.gl/bIqN2
http://goo.gl/j673G

村長及び計画官の説明の後には、参加者から質問が相次ぎ、この施設に対する、いわき市民及び鮫川村民の関心の高さを感じました。テレビカメラも長時間録画されていたので、後日ニュース等で流れると思います。

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隣にたまたま田人地区の方が座っていらしたのでお伺いしたところ、田人地区からの参加者は20名程度ではないかということでした。この焼却実証実験に関しては、前回ブログで書きましたが、当事者によってそれぞれとらえ方が違っているようです。
http://www.mikito.biz/archives/21604402.html
それぞれの当事者のメリット・デメリットを考えてみました。

<鮫川村>
メリットとしては、鮫川村で現在、放射性物質を帯びた農業副産物により牧草地が占拠されており、メインの産業である牧畜業が再開できない。それらを減容化し集めて管理することにより、牧畜業等が再開可能になる。また環境省が、仮設焼却施設の建設費用、除却時の撤去費用をすべて負担してくれるので、実質的な負担がない。
デメリットとしては、減容化(燃焼)の過程で、放射性セシウムが空中に拡散する可能性がある(環境省は、各種実証データを示して否定)。また減容化(燃焼及び灰貯蔵)の過程で、放射性セシウムが飲料水系に拡散する可能性がある(環境省は、各種実証データを示して否定)。さらに2年後に施設を撤去するとされているが、施設が恒久化し、また他地域からの放射性物質の減容化に転用されるおそれがある(村長及び環境省は、これを明確に否定し約束)。

<国(環境省)>
メリットとしては、減容化の実証実験をさらに高度化でき、他の被災地域へ展開を見通せる。震災がれきを早期に片付けることによって、地域産業の荒廃を防ぎ、再興の道筋をつけられる。
デメリットとしては、今回のような住民説明会の矢面に立たされる。お膳立てした今回の事業が中止になり、事前調査費用がムダになる可能性がある。ちなみに今回の実証実験の建設コストは7億円で、環境省の負担です。

<いわき市>
メリット:特になし。ただ実証実験の成功が確認されれば、震災がれきの処理を加速でき、生活再建の道も早まる。
デメリット:鮫川村と基本的に同じ。放射性廃棄物の運搬に伴い国道289号線(子どもの通学路)の汚染の恐れがある(環境省は鮫川村内での運搬のみであると説明)。
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会場の雰囲気がわかる質疑応答の一部始終の動画です。
・市内平地区の女性からの質問
http://youtu.be/iJTgqQlhB9c
・鮫川村青野地区の男性からの質問
http://youtu.be/b0pPkUfl0OA

説明会終了後には、報道機関の方が環境省計画官からのコメントを取るべく殺到していました。
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鮫川村住民説明会次第
追伸:田人ふれあい館から、平の自宅まで、行きは高速を使って1時間15分、帰りは一般道で1時間30分でした。一般道にも残雪がたくさん残っており、いわき市の広さを感じました。