地域教育活動「ふるさと塾」を運営されている方の著書です。子供たちが生まれ育ち、毎日を過ごしているこの土地に対して、もう少し愛着をもって欲しいとの思いから、子供たちと一緒に、実際に地域を歩き、調べた集大成を本にしたそうです。子供たちが、それぞれ興味を持ったテーマを設定し、資料収集や文献調査を行い、それをもとに実際に現地を訪ねて、原稿を書く。それを体系的につなぎ合わせ、補筆して完成したとのこと。地域を調べ歩き、一生懸命、原稿をまとめた子供たちの思いが伝わってきました。

私の知らなかった地域のストーリーがたくさん紹介されていますが、以下2点を紹介します。
1. いわきの安寿と厨子王伝説
2. 星新一のいわき時代
3. 鮫川の名前の由来
4. 風船爆弾放球基地

1. 森鴎外の小説「山椒大夫」に出てくる、安寿と厨子王ですが、実は、平安時代のいわき市の物語だったんですね。部下の裏切りにあい、城を追われた兄弟の物語はそのままです。金山町には、安寿と厨子王の銅像もあるそうです。

それと、4。1944年11月から1945年4月にかけて、9,300個の風船爆弾が飛ばされました。風船爆弾は「ふ」号作戦と呼ばれ、いわき市の勿来海岸、北茨城市の長浜海岸、千葉県の一宮海岸の3カ所が、打ち上げの場所に選ばれました。勿来に放球基地跡が原形をとどめて残っているそうです。
アメリカ軍が把握した、アメリカ本土への風船爆弾の到達報告は361件(打ち上げ総数の4%)、主に山火事等を引き起こしたそうです。その一つがオレゴン州南部のブライという町で、風船に触れた市民6人が亡くなり、その地には「第二次世界大戦中、アメリカ大陸での敵の攻撃によって死者を生じた唯一の場所」との書かれた碑が建ているそうです。

地域を調べ歩くと、いろいろなことが見えてきますね。
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