実際の土地と、登記所に備え置かれている公図との間には差があります。地域によってはその差が大きいところもあり、公図そのものが信頼できない場所もあります(そもそも法務局の謄本そのものに公信力はなく、公示力しかないというのが判例・通説です)。その差を調査するために、国土調査(これによって作成されるのが、いわゆる法17条地図)と都市再生街区基本調査が行なわれています。
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後者は全国の人口集中地区において、登記所の公図が示す土地の位置と、実際の土地の位置とのずれの程度について調査・測量を実施するものです。そして、平成16~18年度に国が実施した成果を国土交通省WEBサイト「都市再生街区成果の提供サービス」で公表しています。 この調査の結果、5割を超える公図について、1メートル以上の大きなずれがあることが判明しているそうです。下記リンクで、公図と実際のズレがあるかどうか確認できます。国土交通省土地・水資源局国土調査課が、3年間で299億円を集中投資し、調査した結果だけあって、きちんと公開されています。
http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/system/map.html

試しにいわき市平愛谷町地区で検索してみると、過半の公図にズレがあることが確認できました。逆に言えば公図と実際にズレがない区域もそれなりにあるわけで、公図に対して一定の信頼性を付与したことになります。
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こちらが都市再生街区基本調査の補助点です。ぜひご自宅の近くで探してみて下さい。私も自宅周辺の路上にも多数発見できました。街区基準点については、不動産登記の際の測量にも活用することができるとのこと。 測量の手続きの最初は、どの基準点(鋲)から測るか?です。鋲が近くにあれば測量の精度があがりますし、かかる時間の短縮が期待できます。鋲は多ければ多いほど、土地家屋調査士さん(ひいては一般市民)には助かるはずです。

東京や東日本は比較的、公図と実際との差が少ないといわれていますが、それでも過半の地区に差があることが判明しています。土地取引においては、面積確定がまず一番に重要になります。その基本情報を提供する測量は、きわめて優先度が高く、(あまり一般に知られていない)国土交通省の都市再生街区基本調査はその基礎を提供しているという点で、もっと高く評価されてしかるべきだと思います。
 
注意して丹念に探してみると道路上には、いくつもの鋲があることが発見できます(写真は東京都豊島区の例)。先人の知恵、積み重ねを感じとることができます。 
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