税務署のe-Tax(電子申告) 税理士向け講習会に参加し、システムを勉強してきました。e-Tax(イータックス、と読みます)とは、国税に関するオンラインサービスシステムの呼称で、正式名称を国税電子申告・納税システムです。今までは、紙ベースのみの申告であったものを、インターネット経由で、税務申告書の作成・申告手続できるというのが特徴です(という「ウリ」になっています)。
今回は、実際のシステムを入力して、1.青色申告書のP/Lを作成・送信、2.当該データを使って、個人所得税のフォーマットの記入、3.税務申告書のオンライン作成・送信、4.法定調書の作成をするというものです。
手書きの内容にほぼ沿った入力内容となっており、システムつくりこみの精度は高いです。オンラインですべて税務申告をする日は、もうそこまで来ています。

e-Taxには、いくつものセキュリティが施されており、中でも利用者の「電子証明書」による認証が非常に厳格です。そのため、一般の方にとっての手続きは非常に煩雑で、普及率は低いといわざるを得ません。考えれてみれば、個人が年に1回だけの税務申告のために(それも毎年システムが更新され、手順が変わる)、手順を覚えるメリットはないと断言できます。今回一連の流れを体験させて頂きましたが、現時点でのバージョンはあくまで税務署(もしくは税理士)の工数軽減のためのシステムといっても過言ではないでしょう。 
<電子申告のデメリット>
・基礎自治体に納税者本人が赴き、住基カードを申請・入手する必要がある
・住基カード読み取り装置の購入が必要 
・読み取り装置のセットアップが必要
・e-taxシステムから、数種類の番号及びパスワード設定必要
・上記手続きがうまくできるかどうかは、すべて自己責任。どこかひとつでも欠ければ、その先は進めない
・設定に関する国税庁の電話サポート等は、一切なし

<電子申告のメリット>
・3,000円の税額控除(1回のみ)
・紙への記入でなく。キーボード入力による簡便さ 
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e-Taxの画面です。かなり重いシステムのようで、実際に入力して次の画面に変るまで反応が数秒かかるケースがありました。
シンガポールでも2003年くらいから個人所得税の電子申告が始まりましたが、ある程度PCスキルさえあれば個人一人でも申告完了までいけるくらい、非常に入力が簡素でした。外国人の私でも、自分で申告書を作成・送信・口座引き落としによる納付まで行っていました。e-Taxの第一の目的が、納税者の利便性向上であるならば、納税者がシステム利用するのに過重な手間・負担をかけてしまうのは、角を矯めて牛を殺すことになるのではないでしょうか。

確かにこのシステムが完成・実現すれば大きく作業工数の簡素化・正確化につながりますので、最終的に世の中に大きく普及すると確信しました。一方、正確・無誤謬を期すあまり、普及に無駄な時間がかかると思います。もし早期普及ができれば、間違いなく納税者の負担が軽減されるので、その時間を他の生産的な活動や余暇活動に振り向けることができます。
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