今朝(2011.12.24)の朝日小学生新聞が、素晴らしいです。廃炉コストや廃棄物の量等がファクトベースで掲載されており、とても参考になります。原発の運転期間を40年とした場合の、廃炉の進み方(発電量の減少傾向)もチャートで示されており、わかりやすいです。少し長いですが、秀逸が記事なので、以下抜粋して掲載します。
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日本では1960年代からたくさんの原発が造られ、これまで50基以上の原発ができました。原発を続けるにしてもやめるにしても、いずれ順に寿命を向かえ、取り壊さなければなりません。今後の日本は「大量廃炉時代」に突入するのです。
日本で初めての商業用原発の廃炉作業が茨城県東海村で進められています。日本原子力発電(原電)の東海発電所(東海原発)です。1966年に運転を始め、98年に役目を終えました。2001年に解体作業が始まりましたが、まだ終わっていません。持ち主の原電の計画によると、廃炉作業が終わるのは20年です。
廃炉の主な手順は次の通りです。まず原発から使用済みの核燃料を取り出します。使用済みの核燃料は非常に強い放射線を出します。この使用済み燃料は「高レベル放射性廃棄物」となり、処理するのは非常にやっかいです。
使用済み核燃料を取り除いても、原子炉本体などは高い放射能を持っています。そこでこの部分は少なくとも5-10年間、手を付けずに保存しておきます。放射能は時間とともに弱まるため、少しでも処理を楽にするために時間をおくのです。長く時間をおけばおくほど安全になりますが、「詳しい人がいなくなり技術伝承が途切れてしまうおそれもある」と原電担当者はいいます。その間は放射能レベルが低い部分の解体作業を進めます。
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原発を解体すれば、すべてごみになります。東海原発の場合、その量は全部で19万2千トン。ただしそのすべてが放射性廃棄物ではありません。東海原発の場合、放射性廃棄物ではない廃棄物が約67%、このほか21%の廃棄物は放射性セシウムが1kgあたり100bq未満のため、国の基準によってリサイクルするといいます。
一方、放射能レベルが比較的高い12%のごみ(23,500トン)は、「低レベル放射性廃棄物」として管理処分しなければなりません。なかでもレベルの高い原子炉内の材料などは、地下50m以上で数百年間管理する予定ですが、処分先は見つかっていません。
原発の建設は世界中でさかんに行われてきましたが、廃炉はまだあまり行われていません。東海原発はイギリスで開発されたガス冷却炉というタイプの原発。2014年にいよいよ原子炉本体の解体にとりかかる予定ですが、商業用原子炉の解体作業は日本で初。「イギリスでも原子炉本体を解体した例はない」といいます。原電では安全のため遠隔作業で解体するなどの計画を立てています。
廃炉には多くのお金もかかります。原電は「原発は発電しているときに会社が将来の廃炉作業にかかるお金を貯金しています。お金が足りなくなる心配はありません」といいます。ただし東海原発の場合、廃炉にかかる885億円のうち積み立てられたのは半分程度。足りない分は「過去に契約していた電力会社に相談する」といいます。
原子力政策の監視をするNPO(非営利団体)・原子力資料情報室の共同代表、西尾漠さんは「廃炉には多くの費用がかかるだけでなく、作業員が被爆するなどの危険もあります。計算上、今後日本ではあちこちで廃炉が同時に行われることになります。解体撤去が難しいと判断され、最終的に今ある場所が原発の墓場になっていくのではないかと心配しています」と話しています。

【現在廃炉作業が進められているその他の原発】
・日本原子力研究開発機構の「ふげん」(福井県敦賀市)
・中部電力の浜岡原発1,2号機(静岡県御前崎市)
・東京電力の福島第一原発1-4号機(福島県大熊町・双葉町)