いわき市議会が全会一致で、内閣府及び関係省庁に対して意見書を提出しました。これは地方自治法に基づくもので、提出されるのは、「患者数が特に少ない希少疾病医薬品(ウルトラ・オーファン・ドラッグ)の開発促進・支援のための法整備等を求める意見書」です。雑駁にいえば、少数難病の方のための新薬開発を応援してください、という意見書です。

本来、市議会の守備範囲はいわき市内(あたりまえです)ですが、この意見書制度は、その守備範囲を超えて一般的な公益に関する事案について、国に意見を物申せる規則を利用して行われます(下記、地方自治法参照)。

これは地方の声を国に届けることができる、非常に有意義な制度です。一方で制度のほころびも見えます。すなわち、国全体の公益に関する事案は、1700以上ある地方自治体にとっても関連性があり、結果として、地方から大量の意見書が、中央省庁(内閣府・各省庁)に送付されることになるわけです。実務上、中央省庁がすべてこれらを精査する余裕があるとは考えにくく、また、法律上、中央省庁が地方からの意見書に対してレスポンスすることが要求されていないため、意見書がどのように国の政策に反映されているか、検証できないのです。

これに限らず、法制度上の疲労がいろいろなところで散見されます。素朴な疑問は疑問として、持っておきたいと思います。

<参考>
地方自治法 第99条  普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。
 
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