おそらく世界初! 臨床医、かつ兼業漫画家である著者による、マンガでの医学の通史です。古代の神々の時代から、呪術医学を経て、現代のクローン羊等の遺伝子医学まで、壮大な医学の進歩の歴史が時代を追って説明されていきます。おそらくマンガでなかったら、私は最初の1/10でギブアップだったかも。西洋医学と東洋医学それぞれの視点と、技術的、思想的対比が面白いです。
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本書は単なる歴史や事実の記載ではなく、「医学者がどうやって歴史的な発見をしたのか」「その発見は医学の発展にどのような貢献したか」「その医学者は発見後にどのような人生を送ったのか」等が、作者の主観を交えながら描かれていて、マンガでありますが相当、読み応えがあります。また医師のあるべき倫理観が、どのようにして確立されていったかも、自分の腑に落ちました。

そして本来であれば栄光に浴するはずの医学者が、ひょんなことから不遇の生涯を終えることもあるなど、医学の発展の裏には様々なハプニングや人間ドラマが交錯していて人間くささを感じました。医学専門的な内容についても素人が読みやすいようにわかりやすく説明されていて、医学者であるにもかからわず素人のレベルを把握されている著者の守備範囲の広さを感じました。
 
我々が今、受けている(西洋)医療サービスのほとんどは、ほんの300年くらいの歴史のもの。特に外科手術に関しては200年くらいのものです。このペースで進化していく医療の先は、非常に楽しみでありつつも少し怖いです。