吉田みきと ほぼ毎日ブログ

「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。 生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。」 吉田松陰・高杉晋作語録   「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない。」 西郷隆盛・山岡鉄舟語録

読書

医者が教えるサウナの教科書

著者の加藤容崇氏は、慶應義塾大学医学部腫瘍センター特任助教という、れっきとした医師です。専門はすい臓がんだそうですが、病理学、生理学にも詳しく、人間が健康で幸せに生きるためには、健康習慣による「予防」が最高の手段だと言うことに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することに注力するサウナドクター。サウナを科学し発信していく団体「日本サウナ学会」の代表理事。

サブタイトルは「ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナで整えるのか?」です。サウナには「ととのう」効果があるといわれていますが、それに医学的根拠をつけようという趣旨です。実証研究の数もまだまだ少ないので、科学的に証明された、というレベルには至っていないのでしょうが、巻末の膨大な英語の論文を読み込んだ上で、自分の体でデータを取ったりしてエビデンスベースでの著者の結論なのでしょうから、説得力あります。

意外だったこと、
・サウナに入る長さは時間ではなく、自分の身体の変化(心拍数)を目安にする
・サウナの後はより深い睡眠が促されること、お肌の調子が良くなること、瞑想と同じような効果
・あぐらの方がいい、テレビを見ないほうが整いやすい
・外気浴は、なるだけ横になる

ととのうメカニズムを理屈で理解することにより、サウナ中に雑念にとらわれず、より自分の身体に意識を集中できるような感じがします。

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人生が楽になる達人サウナ術

2020年はサウナブームが来る!筋トレブームが来る!と予言していましたが、コロナ渦でトーンダウンですね。サウナもジムも、3密にあたるということで、しばらく敬遠(というか施設がクローズしていた)している方も多いと思います。

一方、サウナ関連書籍の発刊は続いています。基本的なサウナの入り方は、「マンガ サ道」でおおまかな流れが定着したのではないでしょうか。もちろん作者のタナカカツキ氏は、サウナの入り方には個人差があるし、それぞれが心地良く感じるやり方でよいと言っています。
1. 体を洗う
2. 水分を拭き取る
3. サウナ室に入って座る
4. サウナ室で6-12分ほど座る
5. サウナ室を出て水風呂に入る
6. 身体を休める
7. 2-6を3回ほど繰り返す

<マンガ サ道 タナカカツキ作は、コチラ>
2020-03-24 17.24.50-1

この本では、サウナ好きの7人の方に、それぞれのサウナの楽しみ方、入り方等をインタビュー。サウナ室でのポーズが、それぞれ違うのが面白かった。
・まんしゅうきつこさん(マンガ家)
・宮本和知さん(元野球選手)
・原田郁子さん(ミュージシャン)
・久志尚太郎さん(TABI LABO代表)
・笹野美紀恵さん(サウナしきじの跡取り)
・池田昌紀さん(写真家)
・サウナーヨモギダさん(プロサウナー)
 

人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?

著者のひとり、本田直之氏は、ハワイ、東京に拠点を構え、年の5ヶ月をハワイ、3ヶ月を東京、2ヶ月を日本の地域、2ヶ月をヨーロッパを中心に旅しながら、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る方で、ビジネス関連本の著作も多い方。もうひとりの松尾大氏は、「ととのえ親方」の異名を持つサウナー専門ブランド「TTNE」代表。お二人ともサウナ歴20年のベテラン。サウナがビジネスに、どれだけ役に立つかを熱く語った本です。
・フィジカル効用
心臓や血管を鍛える、気分がリフレッシュ、爽快感、睡眠の質が向上、免疫力が上がる等
・メンタル効用
自立神経が鍛えられる、幸福感が感じやすくなる、マインドフルネス効果等
・ソーシャル効用
仲良くなれる、サードプレイス機能等

実際、サウナ好きの経営者は多く、久志尚太郎氏もその一人。新しい価値観やライフスタイルに触れることができる世界中のトピックを発信している「TABI LABO」の創設者です。いわく、
・サウナがアイデアを生み出す場として機能している
・サウナで考え、水風呂で決断する
・現代人の心と身体の疲れを癒し、救済をもたらす唯一の光が、サウナ
・重要なのは、ストレスの発散ではなく、内省

TABI LABOさんが手がけたYAMAHAのCM動画は、相当、面白い!コクヨのサウナ部長?川田直樹氏の提案で、実際にスカイスパYOKOHAMAに、コワーキングサウナ・KOOWORK(クーワーク)というのも完成したそうです。日本初! 会社の垣根を超えて様々な人が協働できるコワーキングスペースとサウナが融合した、まったく新しいコンセプトの施設だそうなので、一度行ってみたい。テレワークが一般化した、アフターコロナの時代にマッチしているかもしれません。

<YAMAHAトリシティとサウナ動画は、コチラ>
https://www.youtube.com/watch?v=m4WxeIQoR94
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社長が入社式で鉋をかける理由 アキュラホーム宮沢俊哉氏

アキュラホームは、木造軸組工法の中堅住宅メーカーです。その創業社長の宮沢俊哉氏は、中学卒業と同時に大工修行をした元、大工。なので、現場職人や下請けを大事にする会社ということを売りにしています。創業の理由は、日本の住宅コストが高すぎること、その理由のひとつが見積もりのやり方がドンブリ勘定だったことを改善したいという思い。社名のアキュラは、Accurate(正確な)とQuality(品質)の造語だそうです。

実際、大工の工数は広範囲・多数に及ぶので、すべてを事前に見積もることは困難だからこそ、これまでは、大工の労務費を建築面積ベースでの「坪請け方式」し、内装工事等は、材料費と工賃を一緒にした「材工一式方式」が使われてきました。しかしこれだと、どこにどういうムダがあるのか、コスパの悪い材料があるのか、分析することができません。それを宮沢氏は、独自に作業項目と作業量を2万点にも及ぶ項目だしをして、エクセルで入力していったそうです。これが家一軒あたりの工賃を大きく下げることに役立ったのと、材料単価を市場価格への反映がタイムリーにできることにつながりました。いまでは、これが進化し「アキュラシステム」として、他の工務店へシステムそのものを販売しているそうです。

もうひとつの特徴が、全国の工務店と一緒に建築資材や住宅部品を一括購入する「JAHBnet」ジャーブネットという共同仕入です。これにより仕入価格スケールメリットがあります。

1959年生まれの宮沢氏は、40年以上も会社を引っ張り、今でも社長として入社式では、カンナがけを披露するそうです。その思いや姿勢は、従業員にも伝わるでしょうし、顧客にも伝わると思います。

2020-07-11 17.08.07-1

 

言ってはいけない中国の真実 橘玲著

『マネーロンダリング』『永遠の旅行者』をはじめたくさんの経済小説を出されている、橘玲氏。徹底したリアリスト、資本主義論者です。オカネをベースにした小説や、ハウツー本を出されている方が、中国という国を分析したのは珍しいと思います。20年前から、(当時発展途上だった)中国への訪問を続け、観光地という観光地は、すべて踏破したそうです。そこで感じるようになったのは、地方においてゴーストタウンが発生し、それはある地方限定ではなく、中国全土で同じような事象が起きていること。それが写真付で紹介されています。

著者の特徴は、それをオカネの面から解き明かしていることです。なぜそんなことが起きているのか、簡単な流れは、こんな感じ。
①地方政府は、農民から廉価で土地の使用権を買収
②大規模なマンション開発・販売
③大規模な開発利益で、高速道路・高速鉄道等のインフラ整備に投資
④不動産価格の高騰
⑤設定家賃が高くなりすぎ、誰も入居しないマンションが林立したまま残る

ポイントは、土地の所有権は国にありますが、その管理・処分は地方政府に任されていることです。①~④までなら、都市住民にとってはインフラ整備が進み便利になる。開発業者は仕事が増える。地方政府にはオカネが入ってくると、良いことづくめ。だからこそ、中国全土でこのような開発が行われました。不動産価格が上昇を続ける限り、このような投資に群がるのは当然のこと。実際には住まなくても投資目的での高騰価格でのマンション購入が続くわけです。

問題は、マンションを買った個人の借金です。これまでは、高騰するマンション価格に支えられて担保価値があったわけですが、価格が下落に転じると、返済ができなくなり、金融機関からみると貸し倒れが発生してしまう。いまのところそれが顕在化していないのは、中国の4大銀行が実質的に国有であり、貸倒れとして分類していないだけでしょう。銀行への資金が続く限り、このような不良債権は隠蔽され続けるでしょう。しかし、どこかで資金が止まったり、不良債権の額の開示がリークされるようなことになれば、一気に、資金供給が止まり、経済が収縮する可能性があります。果たしてこのようなチキンレースがどこまで続くのでしょうか。

著者は、すべての原因は、中国の人口があまりに大きいからだと結論づけています。それゆえに、民主化も困難だと予想しています。そうして「平等な独裁国家」が作られていくとしていますが、実際、この1年でそれが現実化しています。著者の慧眼には驚くばかりです。

<幸福の「資本」論 橘玲著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50430112.html
2020-07-05 08.57.17-1

 

ジム・ロジャーズ 大予測 激変する世界の見方

ジム・ロジャーズさんといえば、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並ぶ世界三大投資家。現在は、ファンドマネージャーを卒業し、シンガポールに移り住み、自己資金で投資事業をやっているそうです。その自宅で、2020年春にインタビューをし、その内容を翻訳したものが、この本です。前著、「お金の流れで読む日本と世界の未来」でも、中国を今後も成長が見込める国に上げ、自分でも投資していると公言していました。シンガポールに家族で移住した理由は、今後中国語がビジネスにおいて重要になると見込み、娘2人に中国語を上達させるためです。

<お金の流れで読む日本と世界の未来 ジム・ロジャーズ著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53407906.html

全世界がコロナ渦に直面していますが、2020年春の段階で、全世界的な影響を予測していたのは、さすがですね。特に、航空会社・シェールガス関連企業の破綻を、この段階ではっきりと断言しています。コロナ渦は、トランプ再選に逆風との予測も。その後、全世界的な経済の停滞の先に何が起こるか。投資家はどう動くべきかについても、言及。

最後にジム・ロジャーズの投資哲学が語られています。これまでもさまざまな著書で明らかにされていますが、その集大成とも言えます。
成功法則①賢明に働いて資産を作る
成功法則②一つの分野のプロになり、知識を高める
成功法則③慎重に投資し、その後は何もしないこと

人生と投資で成功したければ、世界を知り、歴史と哲学を学ぶこと。

<バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則は、コチラ>
2020-07-02 12.01.00-1


女帝 小池百合子

表紙の帯のサブタイトルが、「救世主か?怪物か?彼女の真実の姿」とあります。著者は、ノンフィクション作家の石井妙子氏。これまでひとりの女性に焦点をあてて、その半生記を書いてこられた方です。そして3年以上の月日をかけて、100名以上の方に取材をして、完成したのがこの本です。東京都知事選挙の直前に発売されたというタイミングもあって、発売と同時に大変な話題になっています。

重層的な取材を重ねて書かれているだけに、説得力があります。ネット上では、「面白かった」「怖かった」だけなく、「小池さんという人がどういう人物なのか初めてわかった」「今まで疑問に思っていたことが腑に落ちた」「肯定する気にはなれないけれど、がむしゃらに男社会をのし上がっていった小池さんに喝采を送りたい気持ちもある」「憎めない、かわいそうだ」「絶対に政治家にしておいてはならない」等の意見が、著者に寄せられているそうです。

私の感想は、これだけよく取材を重ねたなあ、というもの。上記のような見方は、どれも正解だと思います。当然、取材先の意図が反映されてしまうため、事実と異なることもあるでしょう。しかし重層的にされた取材から浮かび上がってくる、小池氏像は、良くも悪くも、驚くべきものでした。本のトーンは、小池氏に批判的なスタンスで書かれていましたが、私の印象としては小池氏は自らいろんな手を使って、現在のポジションまでのし上がったなあというもので、あまり否定的には捉えませんでした。逆に、都知事選直前に販売するところなど、著者の販売部数を増やしたいという明らかな意図を感じました。いずれにせよ、都知事の意外な側面がわかるこの本は、東京都民必見です!!!

2020-06-26 18.40.30-1

 

ユナイテッドアローズ 日本一お客様に喜ばれる販売員の話

著者の富島公彦氏は、大手アパレルワールドから、ユナイテッドアローズに転職し、人事部副部長などを経て、独立された方です。セレクトショップの御三家である、ユナイテッドアローズの歴史については、「UAの信念」に詳しいです。一方、従業員の立場から、ファッション販売員の地位を向上させ、誇らしい仕事にしたいという思いで書かれた著書は、UA愛に満ちあふれるものでした。

ユナイテッドアローズの名前の由来である、ひとつの目標に向かって直進する矢(Arrows)を束ねた(United)もの。それは、共通の理念・志を持って突き進む従業員が集まった集合体でもあります。そこには、理念のみならず、試行錯誤しながらやってきた取組みの積み上げでした。

・サンキューノート:販売員に寄せられる感謝の言葉を、社内イントラネットに載せ、好事例として紹介
・クレームノート:同じく情報共有し、同じ失敗を繰り返さない
・UAE事件簿:実際に起こったクレームの再現ビデオを、役者を使って忠実に再現したDVDを作成
・ビギナーズハンドブック:販売員としての最低限必要な知識やスキル
・束矢グランプリ:接客ロールプレイング大会
・束矢大学:プロ販売員養成講座
・新卒者は原則として全員、販売員として採用
・販売員ひとりひとりが「商品・販売・宣伝」連携ができる洋服オタク
・創業の志:店はお客様のためにある
・カッコいい店舗で、カッコいい販売員が、腰を低く、親切丁寧に、専門知識を持って親身に接客
・3代目の理念ブック①VISION(理念)、②VOICE(全社員からの18問の国勢調査)、③VISUAL(UAらしい写真集)


<UAの信念 すべてはお客様のためには、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54669003.html
2020-06-17 10.46.15-1

理念ブックの②VOICEに掲載されている、全従業員への18の質問は、以下のようなものだそうです。こんな正直な質問と回答を、集約して全社員に印刷物として配布するのは、コストもかかりますが、それ以上に、会社が従業員からどのように見られているか、まるで丸裸になってしまいます。こんなところに、経営者のオープンマインドが現れていると思います。
Q1 あなたなUAに入社した理由は?
Q2 あなたが働いていて、一番成長したと思うことは?
Q3 あなたが働いているなかで、一番の喜びは?
Q4 あなたが働いている中で、一番の悩みは?
Q5 あなたが好きななUA社の社員は誰ですか?その理由は?
Q6 あなたのUAでの目標、夢は?
Q7 あなたが買ったUAの商品で一番好きなモノは?
Q8 自分だけの仕事のノウハウを教えてください
Q9 あなたにとってUAが好きな点は?
Q10 あなたにとってUAの嫌いな点は?
Q11 あなたが好きなUAらしい具体的な場所は?
Q12 あなたが最近、UAが行った試みで良かったと思うモノは?
Q13 同業他社と比べて、UAが優れている部分は?
Q14 あなたが思うUAらしさは、具体的に何?
Q15 創業以来UAに受け継がれているものがあるとすれば、それは何?
Q16 創業以来UAが変わったことがあるとすれば、それは何?
Q17 あなたにとって創業者は、どういう存在ですか?
Q18 今後、UAはどのようになっていけばいいと思いますか?

オプティミストはなぜ成功するか

ペンシルベニア大学で、ポジティブ心理学を研究テーマにしているマーティン・セリグマン氏。ポジティブ心理学という学問は、心理学の世界ではかなりマイナーな部類なんだそうです。しかし、氏が実証したのは、悲観主義者(ペシミスト)よりも楽観主義者(オプティミスト)のほうが、さまざまな点でよい結果を出しやすいということ。

もちろん、生まれながらのものや、育ってきた環境で、すでに性格は形作られてしまっているので、悲観主義者(ペシミスト)も、楽観主義者(オプティミスト)になろう!といわれても、そう簡単には変えられません。著書は、かなりページ数があり難解な解説はあるものの、いわんとしていることをざっくりいえば、現在ペシミストであっても、後天的な学習でオプティミスト的な考え方を身につけることができるということ。ちょっとしたモノの見方を変えることで、性格は(ちょっとだけ)変えられる。

さらにいえば、必ずしもどんな場面で、オプティミストが絶対的な良い結果を出すとは限らない。よく考えればわかることですが、ペシミストはオプティミストよりも現実を把握するのが得意。したがって、安全管理や設計、契約交渉などにはペシミスト的な視点のほうが有利にコトを進めることができます。ペシミストは、その性格に加えて、意図的に楽観主義を身につければ、ペシミストならではの有利な視点をもちながら、オプティミスト的な大胆な行動を取ることができるわけです。これは多くの人にも当てはめることができると思います。

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いま知っておきたい「みらいのお金」の話 松田学著

先日、著者の松田学氏の講演を、直接聴く機会がありました。氏は、東京大学経済学部卒業後、大蔵省入省し、約20年間奉職し、財務省大臣官房付までやった方です。その後、衆議院議員を経て、現在はブロックチェーンなどの情報技術や暗号通貨を活用した新しい日本の社会を構想し、フリーな立場で、情報発信や政策提言活動を展開しておられます。

電子マネー・仮想通貨・暗号資産との違い
ブロックチェーンの技術とは
法定通貨への信用と、仮想通貨との違い
中央集権型と非中央集権型
お金の本質的機能は、①保存、②交換、③尺度
現在流通している紙幣は、裏付けのないフィクション
仮に新しい価値観で、小さい経済圏が作れれば、それがみらいのお金になりうる

興味深かったのが、氏が提唱する「松田プラン」です。現在、日本政府の国債発行残高の多さが問題になっていますが、それを画期的にコントロールしようという試み。
①日銀が保有している国債450兆円は、日本政府に対する債権である。
②日銀と日本政府を一体とみれば、債権債務の相殺が可能
③国債の満期到来時には、日銀は永久国債を発行し、日銀は永遠にこれを売却しない
④政府は、独自に暗号通貨を発行し、スマートコントラクト等で民間で流通
⑤政府は、通貨発行差益を原資として、将来的に国債(永久国債を含む)を返済していく

元財務官僚ということで、学者風の通り一遍の講義だと予想していましたが、さにあらず。深い知識を、実際の経済に落とし込んで、わかりやすく解説していただきました。松田プランは、とても斬新だと思います。日銀の永久国債発行は、私も案として知っていましたが、その後の、政府独自の暗号資産発行により、通貨発行差益を得るという発想は、目から鱗でした。こういう方に、政治の要職につき、活動してもらいたい。

2020-06-14 17.11.02-1


専業主婦は2億円損をする 橘玲著

『マネーロンダリング』『永遠の旅行者』をはじめたくさんの経済小説を出されている、橘玲氏。徹底したリアリスト、資本主義論者です。最近は、もっと軽いノリの人生の生き方を出していますね。「幸福の資本論」がその典型ですが、この本「専業主婦は2億円損をする」はそのベースとなったと思われる本です。

確実に、各界各層から反発・反論の出そうなタイトル名です。氏の立場、あくまで個人の嗜好や感覚的な幸せの視点ではなく、全体的・経済的・客観的な視点からの分析です。その意味で、幸せってのは個人的な感覚なものだろう!という方からは、絶対に受け入れられないだろうな。なんせ日本の中年女性のマジョリティを占めている専業主婦が否定されているんですから。

幸福は、しっかりとした土台の上に築かれるべき。そのためには、①金融資産、②人的資本、③社会資本という3つの資本を蓄積し、「幸福に生きるための土台(インフラストラクチャー)」を、各個人が設計することの提案は、幸福の資本論と同じ。

プア充:田舎のマイドルヤンキーは、オカネ(金融資本)がなく、稼ぐ力も弱い(人的資本)。しかしいつも一緒にいる仲良しメンバー(社会資本)と充実した田舎ライフを送れるかもしれない。一方、その友だちネットワークから外れると、3つの資本すべてを持たないこととなり、そのまま即「貧困」である。
リア充:若くして高収入を得られる職業につき(人的資本)、友だちや恋人がいれば(社会資本)、預金ゼロでも(金融資産)、充実できる。
金持ち:稼げる能力を持ち(人的資本)、一財産稼いだ(金融資産)が、その過程で友人や家族を犠牲にしている。

著者のいわんとしていることは、3つの資本をすべてそろえた「超充」を達成することは難しいが、せめて2つをそろえれば「幸福」といえる状態になるのではないか、ということ。年収400万円の人でも、同じく年収400万円の人と結婚して、働きながら人生を送れば、①はともかく②と③は達成でき、人生の勝ち組?にカテゴライズされるでしょう。自分はその資本が充実しているのか、どのカテゴリーに当てはまるのか、そう考えると、ちょっとは気楽に生きられるかもしれない、という元気ができてきました。

では、ここで専業主婦はどうかという視点で考えてみましょう。③社会資本は、ママ友をはじめとする人的ネットワークで満たされています。一方、①金融資産(貯金)はほぼないし、②人的資本(稼ぐ力)は、とうの昔に置いてきて忘れてしまった・・・すなわち、仮に①をも失ってしまうと、目も当てられない状況になってしまうわけです。

著者がいいたかったことのひとつは、結婚&出産&子育ての人生と、結婚&仕事&子育ての人生が、それぞれの女性にとって、実質的に自由に選択できる世の中が日本に到来して欲しいということだと思います。老若男女すべてが社会に参加し、やりがいを持って働き、それぞれの幸せを感じながら、人生を送れるような社会になって欲しいと思います。

<幸福の「資本」論 橘玲著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50430112.html
2020-06-14 16.30.52-1

 

日本4.0 国家戦略の新しいリアル エドワード ルトワック著

著者のエドワード・ルトワック氏はユダヤ出身で、英、仏、イスラエルの軍隊を経験した後、ジョンズ・ホプキンス大学で学び、現在は、フリーの軍事アドバイザー・戦略家という肩書きです。そして何といっても、知日家・親日家です。著書に、「ルトワックの日本改造論」や「中国4.0 暴発する中華帝国」があり、中国封じ込めのさまざまな提案がなされています。その氏がこれまでの日本を分析して得た結論は、日本が大きく進化=バージョンアップしてきた時期を4つに分け、今「日本4.0」にあるという。日本は、あるタイミングでそれまでのシステムを完全に捨て去ることで、現実に対応してきたわけです。

日本1.0:内戦を完璧に封じ込めた江戸→ガンコントロールと同盟
日本2.0:包括的な近代化を達成した→侍が特権を棄てて近代的な軍隊への転換を主導
日本3.0:弱点を強みに変えた戦後→禁じられた軍事を経済に集中投資
日本4.0:自ら戦える国に進化・アップグレード→ヒューミントや先制攻撃能力の獲得

いま日本は、4.0になるかどうかの瀬戸際。そのカギは少子高齢化の若返りとイノベーションです。国を愛する者がもっとも大切にするのは、国旗でなく子どもたちだからです。

一例として、近隣の大国からいつ侵攻されてもおかしくない危機感を持った国として、フィンランド(貧弱な装備でロシア軍を撃退)とイスラエル(効率的な攻撃でイランと対抗)が上げられています。小国ではあるものの、彼らの軍事力はリアリティを追求したもの。その戦略性・効率性は、見習うべき点が多いのではないでしょうか。

2020-06-10 19.04.23-1



東京改造計画 堀江貴文著

今年7月の東京都知事選挙を前にして、潜在的な立候補者と目されている堀江貴文氏の新著です。東京都への緊急提言として、さまざまな分野で都政について37の東京改造計画を提案しています。選挙情勢は、コロナ渦の真っ最中ということもあり、現職の小池百合子氏が圧倒的優位と噂されていますが、このタイミングでこのような本を出し、話題をさらうことができれば、まだまだ一般都民の投票行動は、予見できません。

東京都の予算規模は7兆円を超えていて、一つの国家に並ぶ規模です(インドやスウェーデンと同程度らしい)。そのトップは、ある意味、国家元首のようなもの。日本の総理大臣は、衆議院議員から選出される間接選挙ですが、都知事は直接、都民から選ばれるので、都議会議員とつるむ必要がなく、絶大なパワーを持っています。

一方、東京都職員も優秀です。日本一の自治体であり、上級職であるⅠ類A採用試験(事務職)の任期は高く、平成30年度・令和元年度採用ともに、競争倍率は8倍を超えています。人数は、一般行政職だけで2万人近く、消防・学校教職員・警察等を含めると総計16万人を超える職員がいます。優秀な職員がいて、潤沢な財源があり、組織がおおきくなればなるほと、硬直化し、停滞を招くのは必至。かつて、石原慎太郎元知事が、都庁を指して「伏魔殿」と呼んだほど、複雑怪奇な職場なのです。

それを「外圧」で大胆に改革しようというのが、堀江貴文氏の提言です。なぜなら氏は、批判や炎上を恐れないから(既存の政治屋は、得票目的のため、大衆からの批判や炎上は避ける行動・施策を取る)。いわく、「東京は政治屋たちの私物じゃない」。

東京のポテンシャルを最大限に活かし、それを最大限に活用することによって、明るい未来があるはず。氏は、組織を軽くし、スピードを上げ、効率的に進める。民間の力を最大限利用し、得た利益や便益を、支援すべき層に回していく。それには経済・オカネの循環をうまく回すこと。

37の提案には、荒唐無稽なものも含まれているし、良いけれども既存勢力のものすごい強い抵抗が予想されるものもあります。しかし既存の政治家にないメンタルをもっている堀江氏の行動に注目していきたいと思います。

なお表紙の写真は、写真家の蜷川実花氏に撮影してもらったそうですが、コロナ渦で外出制限されているので、リモートで蜷川氏からアドバイスもらいながら、スマホでセルフ撮影したものだそうです。いろいろ修正は入っているのでしょうが、クオリティはとても高い。書籍の表紙にこんな撮影方法の写真を使うなんて、ちょっと驚きでした。

<蜷川実花展 ビビッドでポップ調は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53387601.html
2020-06-01 08.26.09-1


 

マンガ ビジネスモデル全史 創世記編

著者の三谷宏治氏は、ボストンコンサルティンググループ・アクセンチュアという超一流戦略コンサル会社で、バリバリやっていたビジネスマン。今は、金融業界から解脱して、次世代向けの教育事業をされているそうです。しかし、そのコンサル会社時代の膨大な知識と経験から、著作も多数です。

このマンガ ビジネスモデル全史 創世記編も、絵やキャラはおちゃらけてますが、そのベースとなるケーススタディとビジネスモデルの本質的な考察は、書籍からの知識だけでなく実務経験なくしては、実現できないと感じました。特にストーリーの間にはさまれている、当事者のこぼれ話やユーモアは、オタクレベルに調べていなければ、知らないことだし、書けない。絶対に、純粋な経営学者・研究者にはできない著作です。

それにしても、この30年余りの技術革新とビジネスモデルの栄枯盛衰は、激しい。数々の偉大な企業・経営者たちの山ほどの挑戦と失敗。これを踏まえれば、今ここにある商売やビジネスは、将来そのままあると考えるほうがおかしいと腹落ちしました。こういうことこそが、いまビジネスをしているもしくはしようとしている人向けだと思います。

堀江貴文さんもいっていますが、新たなビジネスモデルは既存のモデルと新たな情報の組み合わせです。新たなことにチャレンジする勇気を与えてくれる一冊です。

<スマホ人生戦略 堀江貴文著は、コチラ>
2020-05-30 12.59.52-1

 

UAの信念 すべてはお客様のために

ユナイテッドアローズ編著の、同社の足跡をたどった社史とべきいうもの。編著がユナイテッドアローズそのものなので、業界の慣行や、会社の生い立ちから上場までの秘話、不祥事事件への対応等、とても詳しいです。BEAMS、SHIPSとともにセレクトショップの御三家と呼ばれますが、前2社は株式非公開であるにもかかわらず、ユナイテッドアローズは1999年に株式公開し、売上も1300億円と、3社のなかで唯一1000億円を超えています。

創業者の重松理氏は、1976年に設楽悦三氏の出資を得てBEAMSを作り、その店長・バイヤーに就任。独自の目利きで海外の一流品を買い付けてきて紹介・販売するというセレクトショップという業態を日本に創りました(今では仕入商品が50%、自社開発商品が約50%)。順調に売上げを伸ばし、1989年にワールドから出資を受けて独立、ユナイテッドアローズを立ち上げます。トレンドに敏感でハイテイストなドレスウェアを販売するも、バブル崩壊に直面し、設立以来4期連続赤字を計上。プライスゾーンを中低価格帯へ広げたことや、自社生産でコストを下げたこと、ファッション雑誌にデザイン性の優れた本店社屋が頻繁に取り上げられたこともあり、やっと黒字化。1999年に店頭公開を果たします。しかし、原宿本社のそばにユニクロの基幹店が出店し、そのあまりの低価格路線に「ユニクロショック」となり、業績が急降下。さらには産地偽装で公正取引委員会から景品表示法違反で排除命令が出されたりで、コンプライアンス対応に四苦八苦することになります。

ここですごいなあと感じるのは、会社の理念、社是、ルール、スピリッツ等を「理念ブック」等を作成することでテキスト化・ビジュアル化し、全社員と共有を図ったこと、そしてそれを数年毎に見直して、継続していることです。その効果か、利益率は日本の伝統的アパレルから一歩、抜きんでています。そして、ユナイテッドアローズのアニュアルレポート・決算発表資料・データブックの内容は非常に充実しています。正直、これだけの規模の会社で、この高いレベルのレポートを外部に公表しているのは、非常に珍しいと思います。

現在の代表取締役の竹田光弘氏は、2009年に就任された4代目の社長ですが、初のプロパー出身者でない社長です。業界全体としては将来的なパイの縮小が見込まれているアパレル業界ですが、「進化する老舗」「店はお客様のためにある」「私たちは新しい日本の生活・文化の規範The Standards of Japanese Styleとなる価値観を創造し続ける会社です」というUAの信念を貫いて、素晴らしい商品を世に出していってほしいと思います。

2020-05-27 16.20.49-1

 

アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス

全米150万人の受刑者のうち、民営刑務所が約13万人を収容するという事実は衝撃的でした。刑務所運営の民営化により行政コストが削減できます。受刑者1人あたり、1日39ドルが民間運営会社に支払われる約束になっていて、行政が直接運営するよりも20ドル程度コスト削減なのだそうです。一方、民間委託により、さまざまな問題があり、それは塀の中のことなので、誰も知らなかったし、知りようがありませんでした。そこで、自らもイランで受刑歴のある米フリージャーナリストが、身分を隠して小型カメラとレコーダーを隠し持って、刑務官として2014年に4ヶ月間も潜入取材したのがこの本です。潜入取材は、ユニクロのものを読んだことがありますが、実体験だけに説得力があります。2016年の出版で、まさに知られざる実態が明らかになり、実際に当時のオバマ政権の下、連邦刑務所の民間委託が中止になりました(トランプ政権下で、民間委託が再開された)。

刑務所の運営を受託しているのは、コレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)という会社で、なんとニューヨーク証券取引所に上場している、売上高1000億円を超えるピカピカの会社です。しかし、記者の目には、利益追求し運営コストを極限し、慢性的な人手不足になったいたようにみえます。

・なんと刑務官の時給は、たった9ドル
・地元からの応募は少なく、必要な人数を配置に割り当てていない(しかし州政府には合法と報告)
・慢性的な人手不足で、刑務官1人あたり176人の囚人を担当
・受刑者とのトラブルは人数不足で解決できないので、トラブルには誰も手を出さない
・受刑者の医療費は運営会社が負担するので、なるたけ外部の医者に診察させない
・スタッフが足りないので、囚人の大運動場でのレクや図書館・売店サービスが休止となっている
・全米では男性受刑者の9%が性的被害に遭っている
・刑務所内で多数のハンドメイドのナイフが見つかる

利益第一主義がもたらす歪みや非人間性が刑務所内で起きているのは、歴史的経緯があると著者はいいます。すなわちアメリカ南北戦争までの奴隷制度が、奴隷を利用して権力者が富を得ていく仕組みができていたということ。その奴隷制度が、刑務所の囚人を利用して権力者が富を得ていく仕組みに変わっただけだというのです。もっといえば、奴隷は主人の所有物だったため、資産として健康管理をはじめ大事にされた面があるのですが、囚人は州政府から預かっているだけなので、当初はまったく健康を顧みられることなく、補充が効く使い捨てだったそうです(毎年の死亡率20%超)。また囚人の血液を売って血漿を作るビジネスや、新薬の臨床試験に囚人を使うビジネスもあったそうです。やはり、有色人種を人間とは捉えておらず動物の一種と捉えていた実態があります。今のアメリカでは考えられませんが、たった100年前はそんな状況だった。現在では改善はなされているのでしょうが、根本的な思想の底流がこれでは、刑務所ビジネスに、まともな倫理感がないことは明らかでしょう。
 
CCAの共同創業者トーマス・ビーズリーの言葉が紹介されています。
「車や不動産やハンバーガーを売るように売るだけ」。

<ユニクロ潜入一年 横田増生著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/51050825.html
2020-05-25 17.41.30-1

ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真相

2018年の逮捕と、2019年のプライベートジェットを使ってのレバノンへの逃亡と、連続で驚かせているカルロス・ゴーン氏の逮捕から逃亡に至るまでのいきさつ一連の報道をまとめた書籍です。朝日新聞取材班が著書となっていて、400ページもあり圧倒される情報量です。事件の流れが時系列で整理されていて、事件の真相にかなり近いと感じました。もっともスタンスは朝日新聞社寄りになっていて、記者のスクープ自慢や独占インタビュー掲載があるのは、ご愛敬ですかね。

ニッサン(当時は、日本産業)の創業者、鮎川義介氏の経歴からはじまり、歴代の経営者の光と影、ニッサンの従業員の体質等がよくわかります。トヨタやホンダとは全く異なる社風なんですね。だからこそ、1999年にニッサンは、借入金1兆円を超え、民事再生法適用の一歩手前まで凋落してしまった。そこで、ダイムラーやフォード等との提携話があり、最終的にルノーの出資を受け、ゴーン氏がCOOとしてニッサンに着任。クロスファンクショナルチームの編成や、社員の意識と行動の変革、大胆なコストカット、日産リバイバルプランの発表と達成。そして翌年からの業績のV字回復やリーダーシップは、マスコミや経営本が大絶賛することになります。またルノーの代理人として送り込まれたにもかかわらず、株式の30%超を持つルノーからの経営支配に対して、日産の一定の独立性を保てたのもゴーン氏があったから。

不正のきっかけは、2008年のリーマンショック。ゴーン氏が新生銀行とのスワップ取引で個人的に13億円もの損失を出し、追加担保を要求されたこと。これを契機に、不正に手を染めていってしまいます。起訴されている容疑は4つ。
1. 役員報酬の虚偽記載(金融商品取引法違反)
2. 日産に損失を付け替えた特別背任(会社法違反)
3. サウジアラビアルートの特別背任(会社法違反)
4. オマーンルートの特別背任(会社法違反)

ゴーン氏は逃亡の理由として、日本の人質司法制度を上げています。起訴されると有罪率99%というのは、刑事訴追の原則である推定無罪が日本の司法制度では働いていないのではないか。確かに記事を読む限り、可及的速やかに司法制度を改善しなくてはならないでしょう。

・拘留期間が長すぎる
逮捕からはじまる拘留期間が数ヶ月に及び拘置所にとどめ置かれるのは、長すぎる。確かに尋問するだけなら、数日ですんで、すぐ起訴すれば良いし、それ以上に続くならば、毎日自宅から来てもらって尋問すれば良いわけで、拘置所に24時間×数週間もとどめ置く必要はないでしょう。

・保釈の条件
保釈の条件に、証拠隠滅の可能性を理由に妻のキャロルさんとの面会が許可されなかった。確かに結婚関係にある妻と、保釈中に会えないってのは、保釈を認めておいて裁判所の判断は尋常ではなかったと思います。

・保釈が認められない
証拠隠滅の可能性を理由に、数ヶ月も拘置所にとどめ置かれるのは、意味がない。検察は証拠固めをするのに、そんなに長い期間は不要でしょう。保釈したら、GPS端末の装着義務や携帯通話記録のチェック、監視カメラ等で、行動制限すれば良いはず。その間に被疑者に自由にモノが食べさせず、友人に会わせず、経済活動もさせず、インターネットも断絶させるような拘置所にとどめ置くのは、ナンセンスだと思います。

・裁判期間が長すぎる
日本の裁判制度では、1審から最高裁の3審まで数年、もっとかかるのが一般的。それまで不自由な拘置所にとどめ置かれ、人生を費消してしまう。確かにこれはいかんともしがたい・・・

・操作情報の意図的リーク
本来は、検察側は、捜査状況をリークするのは法的に禁止されているはず。しかし現実には、検察は自由に操作状況をマスコミに流し、新聞雑誌がこぞってその情報をもとに世論をリードしています。反対側の被告は、拘置所に勾留されていて全く外部との連絡が禁止されているので、全く意思や意見を外部に公表・アピールすることができません。そういう間に、国内の世論を、事実上、検察側有利に運べる仕組みになっています。こんな立場の被疑者側になったら、絶望するしかないかもしれないですね。

逃亡劇について、関西空港のプライベートジェットの出国手続のいい加減さが報道されていますが、そもそも、入国管理の目的は、不正な人や不正なモノを水際で入れないこと。すなわち出て行く人やモノに関しては、入ることより緩くなるのは、ある意味仕方ない。さらに手荷物検査の目的は、危険物・爆発物を確認し、フライトの安全を確保すること。プライベートジェットの場合、顧客と機長との信頼関係があれば、省略しても問題がないという実務は、なるほどです。

2020-05-23 15.16.54-1

 

スマホ人生戦略 堀江貴文著

「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」や「多動力」や「お金や人脈、学歴はいらない! 情報だけ武器にしろ。」等多数の著書を出されている、ホリエモンこと、堀江貴文氏。いつも刺激的なタイトルですが、今回も目を引くものでした。サブタイトルは、「貯金はするな、スマホで稼げ! 金・教養・フォロワー35の行動スキル」です。

堀江氏がスマホを自らの手足のように使いこなし、どのように情報収集し、アウトプットにつなげているかのスマホ活用術が、書かれています。しかし単なるスマホ活用術にとどまらず、情報収集のクオリティや選別、物事の考え方、掛け合わせを考え続けることでキャッシュを生み出すか、そしてどうやってその生活スキルを身につければいいのかを、自らチェックしている情報リソース等を開示して、指南してくれています。

・スマホを思考と行動を加速するためのツールとして、自らの手足のように活用し倒す
・自分がフォローしている信用筋(ソーシャルフィルタリング)の発信情報を集約する
・ビジネスで稼ぐために、既存の価値+手持ちの価値を掛け合わせて革新的なアイディアを生み出す
・「直接会って話したい」という人とは付き合わなくていい
・影響力のある人と化学反応を起こすためには、自らが努力を重ねて相手にメリットを与えられる確かな実力をつけるしかない
・スマホを使って情報の扉を開ける有効な方法は「自らがアウトプットを重ねる」こと

確かにスマホが有れば大体のことはできる、というのは理解できました。しかし、スマホさえあれば稼げて、PCやタブレット等必要ないという断言には、私にはまだ違和感がありました。

2020-05-20 09.49.38-1

 

精読 学問のすゝめ 橋本治著

著者の橋本治氏は、膨大な著作を残している小説家・文筆家です。惜しくも昨年亡くなってしまいましたが、そのジャンルは、小説・エッセイ・恋愛・古典文学と幅広く、また軽やかな独特の文体も特徴的でした。興味の範囲はとどまるところを知らず、編み物に凝り、セーターは、製図を作ってから編み込んだそうです。さらには「男の編み物」という本まで出版するほど。以前、「性タブーのない日本」という著作を読み、日本史に造詣が深いことと、性に対して極めてドライかつ愛情込めた分析にうなりました。

そして今回のテーマは「学問のすゝめ」。いわずとしれた「天は人の上に人を造らず」の有名な書き出しではじまる、明治初期に刊行された、20万部のベストセラーです。それを一行一行、精読していこうというもの。実際には全17編のうち、前半半分で終わってしまうのですが、それはご愛敬。まず、福沢諭吉が学問のすすめを書いたころの時代状況を丁寧に解説。実は、ここが一番大切なんです。

出版時の明治6年の一般大衆には、「お上」としての幕府と明治政府の違いが理解できる環境ではなかった。当時、お上によって大枠が作られつつあった政府・議会・憲法だったが、一般大衆はそれを無知なまま受け入れていた。形だけ導入しても、本来の民主主義は根付かない。だからこそ、(時間はかかるけれど)個人それぞれが学習をして、民主主義を理解し自らが自立した上で、日本国を自立した国家にしようという壮大な啓蒙本なのです。

橋本治の解釈でもっとも慧眼なのは、「福沢諭吉は政府という言葉を何度も使っているが、ここでいう政府は明治政府のことではなく、福沢が思い描く理想のあるべき政府のことだった」という指摘です。
福沢諭吉は政府や政治活動に関わろうとしなかったけれど、その理由は、彼からすると明治政府の人間はバカばかりで、関わるに値しないと判断していなかったから。とはいえ、当時の言論統制や風潮として明治政府をあからさまに批判することはできないので、回りくどい難解な言い回しになったようです。

時代は違えども、共通の認識としては「自分を確立しろ。そして政治と向き合え」ということ。

巻末に学問のススメの第1編が収録されていますが、福沢諭吉の愛国心があらわれています。「国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申しべきなり。」日本国民が全員玉砕してまでも、国の独立を守ることのほうが重要とは、、、福沢諭吉が考える国のあり方というものをダイレクトに感じます。

<性タブーのない日本 橋本治著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53846185.html
2020-05-18 17.42.03-1

 

なまけもの時間術 ひろゆき著

著者のひろゆき氏は、匿名掲示板・2ちゃんねるの開設者で有名。2チャンネルの運営のほか、多数の著作も出されています。2チャンネル書き込み関連で、さまざまな企業・個人から損害賠償請求の訴訟を提起され敗訴しても賠償金を支払わないなど、話題に事欠かない方ですが、著作を読んだのは初めて。サブタイトルは「管理社会を生き抜く無敵のセオリー23」「最後に勝つのは自分に甘い人!」となかなか刺激的。

これからの世の中は、成果主義社会。ただ会社に行くだけでは給料は上がらない。大事なのは時間の使い方。だから???「なまけもの」になろう!!!???意味不明です。なお、あとがきに書いてありましたが、ひろゆきさんのこれまでの著書は、すべて本人自らが書いている部分は、あとがき部分だけだそうです。すなわち、本文はすべてゴーストライターが書いていることを自ら暴露しています。まあ、これは堀江貴文さんにも共通することですが。

<まったく共感できなかった部分?
・そもそも遅刻は悪なのか?
・明日できることは、今日やるな
・仕事は、〆切りギリギリがいい

<共感できた部分>
・与えられた時間で、最大の価値を作る
・収入が多い仕事は、実際楽しい
・「好きだから延々できる」が価値になる
・時間を切り売りするな
・仕事に使う時間は少なくて良い
・労働=美徳という呪縛から解放されよう
・幸せの時間を確保するために、仕事を選ぶ
・自分がいなくても、世の中は回っている
・堂々と休む勇気を身につける
・間違った努力という時間のムダ
・他人の心配より、自分の心配
・SNSというメンタル破壊ツール
・とりあえず、やってもん勝ち
・人間はヒマだと不幸になる
・貧乏だけど幸せな人は、無敵
・嫌いなやつは、記憶ごと抹消する

結局、住む場所と食べ物があって、人とコミュニケーションがとれる状況であれば、人は幸せを感じることができるんですねえ。

2020-05-13 09.41.40-1

 

PRESIDENT FACT FULNESS ネット記事ねつ造がビジネスに

2020.5.8号のプレジデントの特集が、FACT FULNESSです。事実に基づいた物事の見方を説く「ファクトフルネス」。著者のハンス・ロスリングさん(故人)いわく「自分の内なる本能をできるだけコントロールし、ファクトに基づいて判断を下すということ。それが、政治家や医師のように決断を下す立場の人々はもちろん、国民にも今、求められていると思います」。

今回のコロナ禍に関するニュース、報道においても、ファクトフルネスに書かれている「思い込みがちな10の視点(10のバイアスといってもいいかもしれません)」が再現されているといいます。
1. 分断本能:世界は分断されている
2. ネガティブ本能:世界がどんどん悪くなっている
3. 直線本能:世界の人口はひたすら増える
4. 恐怖本能:危険でないことを恐ろしいと考えてしまう
5. 過大視本能:目の前の数字がいちばん重要
6. パターン化本能:ひとつの例にすべてがあてはまる
7. 宿命本能:すべてはあらかじめ決まっている
8. 単純化本能:世界はひとつの切り口で理解できる
9. 犯人捜し本能:だれかを責めれば物事は解決する
10. 焦り本能:いますぐ手を打たないと大変なことになる

いくつかのクイズが面白かったです。
Q 外国人が増えたら、日本は犯罪の巣窟になってしまう?
A 在留外国人の増加と犯罪件数は比例せず

Q ネットで大炎上!日本中を敵に回してしまったのか?
A 書き込んで大騒ぎする人は、ごく一部

Q 地方自治体は選挙で首長を決めているので、民主主義的だ
A 中央に財政依存し、自治を失っている

Q 新聞記事は事実しかない?
A 誤報は日常的にある

フェイクニュースを量産して儲けている村が、マケドニアに実在していることに驚愕でした。一市民や学生がこぞって、まともな記事を改ざんした上で、実際の人物の映像を加工して、キャッチーなタイトルをつければできあがり。記事がたくさんweb上でヒットし閲覧されれば、記事1本で親の年収分を稼ぐこともあるそうです。自分のウェブサイトに広告配信サービスを埋め込んで、広告を見たりクリックしたりすれば、広告料が入る仕組みです。キャッチーなねつ造記事の作り方を指導する「先生」も実在。なんとも、恐ろしい。

<世界で200万部のベストセラー、FACTFULNESSは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53286629.html 
2020-05-14 16.42.03-1


優位戦思考で世界に勝つ 日下公人著

著者の日下公人氏は、日本長期信用銀行取締役、ソフト化経済センター理事長、東京財団会長等を歴任された経済人です。その一方、常に日本の国益を冷静に最優先に考え、その思考のもとを過去の歴史と対比しながら考える保守の論客でもあり、多数の著書を出されている方です。

「優位戦」とは、こちらが主導権を握って「戦場」を選び、時を決め、目的も手段も決められる戦いのこと。そうした優位戦の思考を持てば、「劣位戦」に追い込まれることなく自分の利益を確保できるというもの。以前から欧米は、そうしたかけひきに長けていて、日本は彼らに決められたルールの下、不利な条件で戦ってきました。それは政家・外交・経済いずれの分野でもあてはまります。特に、劣位思考に陥ったままの政治家、学者、マスコミに顕著。それを変えていこうという著者の提案です。

「日本には力があり、選択肢がある」国際親善に力を尽くして海外と好き合わなければ経済が成り立たないというのは思い込みに過ぎません。日本人が決意して優位戦思考を持てば、日本は自由に戦えるはず。核兵器を保有していなくても、日米安保条約が日本を制約するビンの蓋だとしても、優位戦思考で戦い方を選んで行けば、道は開ける。

2020-05-10 18.20.10-1

この趣旨のことは野中郁次郎著の「失敗の本質」でも、書かれていますね。

<失敗の本質は、コチラ>

日本書紀入門 2000年以上続いてきた国家の秘密に迫る 竹田恒泰著

著者のひとり竹田恒泰氏は、旧皇族・竹田家出身。誕生前に竹田家が臣籍降下してしまっていたため、皇族に列せられたことはありませんが、明治天皇の玄孫にあたる方です。今でも、皇族の方々と定期的な交流があるそうです。その生まれもあって、皇族・日本の歴史に詳しく、多数の著作を書かれています。もうひとりの著者、久野潤氏は軍事史・艦内神社等を研究している歴史学者の方。そのお二人の対談をまとめたものです。

日本書紀入門とのタイトルは、ともかく歴史トリビアが、たくさん詰まっています。お二人の研究成果があふれ出ていました。

・天皇陛下の地位は、日本書紀の「天壌無窮の神勅」に由来
・「八紘一宇」ではなく「八紘為宇」(あめのしたをおおいて、いえと為すこと、またよからずや)
・神武天皇の存在は、日本書紀に記されていて、神話が歴史上の存在として認められている
・大御宝である国民の幸せは、天皇の幸せであり、日本国の幸せ。どちらに主権があるかの2項対立はない。
・日本書紀の「一書曰(あるふみいわく)」は、いろんな説の紹介
・日本の祝日の多くが、皇室の祭儀がベースだった
1/1元旦=四方節、2/11紀元節=建国記念の日、春季皇霊祭=春分の日、4/29天長節・昭和天皇誕生日=みどりの日、7/20明治天皇の横浜入港=海の日、秋期皇霊祭=秋分の日、11/3明治節・明治天皇誕生日=文化の日、11/23新嘗祭=勤労感謝の日、12/23上皇陛下誕生日=天皇誕生日(来年から名称変更か?)
・靖国神社の源流は、神武東征の際に犠牲となった「五瀬命」の御霊を弔うために建立された、和歌山にある竈山(かまやま)神社
・熊野詣が重要なのは、熊野から出陣して大和を攻略できたため
・それを案内したのが、黒い八咫烏
・そのときに金鵄(きんし:金色のトビ)が光って、神武天皇を助けた(なるほど、だから国民歌 紀元2600年の最初に出てくる言葉なんですね!)

<国民歌 紀元2600年は、コチラ>
https://www.youtube.com/watch?v=zYgKAzOoNsQ

・戦後の人間宣言というのはなく、「新日本建設に関する詔書」

これらが、私も含めて深く学ばれてこなかった原因の多くは、GHQによるWGIP(ウォーギルトインフォメーションプログラム)や、30項目にわたる日本マスコミへのプレスコードによるところが大きい。検定教科書に書いてあることはすべて正しい、とテストや受験で刷り込まれているので、これを乗り越えるのはかなりハードルが高いです。しかし、われわれ大人の意識を変え、こどもたちに誇りある日本の先人の足跡を伝えていくためにも、しっかり学んで行動していくことが大事ですね。

<GHQのプレスコードは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44861400.html
<ひと目でわかる「GHQの日本人洗脳計画」の真実 水間政憲著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/45508784.html
2020-05-10 11.03.48-1

 

スポーツ立国論―日本人だけが知らない「経済、人材、健康」すべてを強くする戦略 安田秀一著

著者の安田秀一氏は、ブランド名「アンダーアーマー」で知られる、株式会社ドームのCEO。快進撃を続けるサッカーチーム、「いわきFC」のオーナーです。ドームの国内最大の物流拠点「ドームいわきベース」は、いわきFCパークの敷地内にあります。

<ドームいわきベースと安田秀一社長は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47614912.html
<いわきFCパークは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50282102.html

氏自身も、大学でフットボール選手として活躍し、日米のスポーツ選手を囲む環境の大きな違いに直面したそうです。多忙極める現在でも母校法政大学のフットボール部の監督を務めたり、筑波大学体育会改革のアドバイザーを務めているそうです。現在でも、自らの体を鍛えていて、ドーム本社建物内に併設されている「ドームアスリートハウス」というトレーニングジムで、筋トレしているとのこと。

<ドームアスリートハウスは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54391944.html

氏いわく、スポーツには、国を強くする3つの力がある。
1.「経済」巨額を稼ぎ出し、地方と国を豊かにする
2.「人材」教育の質を高め、優れた人材を輩出する
3.「健康」人々を健康にし、社会保障費が削減される

それが日本においてうまくいっていないのは、スポーツビジネス業界にオカネがうまくまわる仕組みがないからです。うまくいっているのは、野球の巨人等、極めて少数。高校野球や大学スポーツ全般を含め、選手は一生懸命なのに、関連ビジネスがうまくまわっていないため、選手の待遇向上や、環境整備にオカネが投資されていない。

日本のスポーツの問題点をいろいろ指摘されていますが、目からウロコだったのは、国内の各大学内に設置されている「体育会」は、大学内の正式な組織ではなく、運営はもちろん、そこで発生する費用や収益は、大学とは無関係だということ。これでは、大学本体が、長期的に大学のブランド強化を目的に、スポーツに本腰を入れて施設や広報活動に投資していこうとは思わないですね。アメリカの大学スポーツ(大学対抗アメフトやバスケットボール)が異常に盛り上がるのは、体育会が大学本体の下部組織になっていて本気で選手育成、環境整備、大学のブランド力向上に力を入れている。この違いがあまりに大きい。

また日本で毎年開催されている、国体・高校総体・中体連等の競技の位置づけもあいまいと指摘しています。すなわち、開催目的が、競技なのか教育なのか地域興しなのか?が、あいまいなのです。開催すること自体は、いろいろな意味で良いことだと思います。しかし開催目的がはっきりしなくては、ムダなオカネが毎年、全国でばらまかれることになってしまう。競技が目的なら、人口規模が違う自治体ごとの競争は機会の平等ではないし、毎年各自治体の持ち回りで開催する意味もないでしょう。教育目的ならば、これほど大規模に開催することもないし、順位を過度に気にするあまりハード過ぎる練習する必要もない。地域興し目的なら、学生スポーツをダシにすることはないでしょう。これらのために、毎年、競技設備を公金で整備し、莫大なメンテナンス料も公金で負担することにどれだけのリターンが望めるのか。

最終章で、著者の大胆な各種提言がなされています。なるほど!と膝を打つのもありますし、直感的に各方面から反対されそうだなというものもあります。いずれにせよ、スポーツには「経済」「人材」「健康」に役立つ力があり、それは個人のみならず、国力を高める強い力なので、うまく回る仕組みを作っていきましょう、という著者の思いに賛同しました。

2020-05-01 12.33.15-1

 

これからの投資の思考法 柴山和久著

株式投資・運用の基本は、「長期・積立・分散」。これを低い運用コストで実現しているのが、グローバルETF投資信託です。さまざまな投資指南本で、アクティブ運用よりもパッシブ運用の方が、長期的に見て運用成績が良いということが指摘されています。パッシブ運用の代表的なものが、ETF。なぜなら上場している株式全体に運用成績が決まるETF銘柄に投資するため、企業分析して投資意思決定するファンドマネージャーが不要になり、運用のためのコストがほとんどかからないからです。その投資意思決定プロセスをロボットAIにさせることで、運用コストの引き下げをしましょうと提案しているのが、著者が起こした会社です。

ただ著者の本当にいいたかったことは、投資をする上で真剣に考えるべきは「何のために資産運用をするべきか」ということだと思います。お金は、自分が自由になるために必要なもの。衣食住、さらには勉強や子育てや事業を起こすための道具なのです。お金という道具を介して、真面目に働き、周りの人々や社会に役立つこと、経済的に豊かになる社会の実現です。これは、漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則にも、書かれていたことと同じです。

<バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54288308.html
2020-05-04 14.31.07-1

お金の不安から解放されれば、自分にとって本当に大切なこと、本当にやりたいことを追求していけるようになるわけですね。「お金の減らし方 森博嗣著」にもありましたが、自分が本当に欲しいもの、自分が本当にやりたいことにお金をつぎ込もうということ。それがさらなるチャンスにつながるし、自己実現になるわけです。

<お金の減らし方は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54521302.html

アパレルは死んだのか たかぎこういち著

著者のたかぎこういち氏は、服好きの68才。若くして服飾雑貨卸業を大阪で起業するも、うまくいきませんでした。その後、ヨーロッパ・香港等で、長らく服飾ブランドに携わって来られた方です。文化服装学院、東京モード学園という学校でも講師を務められたそうです。50年近くに及ぶ服飾ビジネスの実務経験から、今のアパレルの業界の現状と今後の課題を問うたビジネス書です。

「アマゾンvsZOZO」「ユニクロvsGAP」の章が、それぞれの特徴をつまびらかにしてわかりやすかった。まずZOZOが成功した要因として、最大なのがまず「トライ」して創造的なサービスを開始するスピードの早さ。その一方、過去に終了したサービスも数多いです。またECサイトに出品者を引きつけたのが、出品者が最も悩む、写真撮影・商品紹介ページ作成・梱包・発送を、すべてやってくれること。ほぼ丸投げ可能なので、ZOZOの手数料30%と高い水準を維持できています。そして上記作業をすべて、自社で上記を行っているため、サイト運営を含めサービス全般のクオリティが高いこと。それもアパレルには少ないIT人材に強みがあり、他のECサイトと差別化できたことです。

一方、ZOZOの凋落の例としては、前評判が高すぎたZOZOスーツ。採寸のクオリティが低く、サイズ違いが頻発し、生地や縫製のクオリティが高かったものの、すぐに生産中止に追い込まれました。また独自の値引きをするZOZO ARIGATOは、独断で進めたこと他のアパレルの信用を失い、中止に。いったん離れた出品者を呼び戻すのは難しい。またプライベートブランドを始めたがこれは、別のビジネススキルが必要でしょう。

Amazonの現状に対する考察も鋭い。AmazonがECコマースの巨人であることはもちろんだが、ファッション業界に多額の投資を始めている。日本ではアマゾンファッションウィーク東京を開催し、デザイナーをサポートしている。近い将来には、顧客の好みにぴったりのリコメンド商品を推奨するシステムができるのではないか。

GAPの凋落。GAPは中間マージンを廃したSPA業態という形で、大成功を収めた。しかしショッピングモールへの大量出店が、大量閉店を招いた。

ユニクロの躍進。東レをはじめとする素材メーカーとのコラボによる、素材からの差別化。上質な縫製工場との協力関係。グローバル旗艦店の出店による知名度向上。マーチャンダイジング(商品・時期・場所・量・価格)の適正化。SKUが少ないので、1SKUあたりの生産量を多くできる、結果、コストダウンが図れる。誰に何を売りたいかを一目でわかりやすく見せる、ビジュアルマーチャンダイジングに力を入れている。

これからのアパレルは、ますますパーソナル化していきます。突き詰めれば、すべての商品が適正な価格でオートクチュール化していくのも夢ではありません。そこでは「ホンモノ」が求められます。その条件は、
1.模倣品でなく、ブランドが生み出すオリジナル
2.クラフトマンシップを持ち、匠の技や優れた技術の美があること
3.誠実・正直であり、透明性があること
4.実質の価値を持ち、実用性があること
5.一貫性を持った価値観・哲学で事業が行われていること

日本の服飾機関のレベルは、高いそうです。しかしアパレル人材への教育・処遇が不足しているように感じます。まず、彼ら(彼女ら)を業界に引きつける待遇面を改善すること。また実店舗では販売スキルとともに、ファッション業界に通じたITスキルを持つこと。ビジネススキル、財務やお金の知識を持つことが、大事でしょう。

<ユニクロ対ZARAは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54456041.html
2020-04-27 10.59.20-1



 

新・失敗の本質 失われた30年の教訓 山岡鉄秀著

著者の山岡鉄秀氏は、自称、情報戦略アナリストの55才。保守派の論客で、ツイッターをはじめとして愛国心も基づいた発信を継続しています。これまでの著書には、「日本よ、もう謝るな!」や「日本よ、情報戦はこう戦え!」等、刺激的なタイトルが並びます。一方、今回の「新・失敗の本質 失われた30年の教訓」では、名著「失敗の本質」をさまざまな点で引用し、そこから学ばねばならないと指摘しています。

<失敗の本質は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/20737667.html

著者が、冷静・客観的な思考が持つようになったのは、オーストラリア留学し、その後も20年以上住み、あるきっかけで日本に帰国したときに受けた衝撃です。それは、もはや日本は経済大国ではなくなっていて、オーストラリアをはじめとする諸国に所得水準の点で、大きく水をあけられてしまったいること。また平和ぼけしていて、中国がしかける超限戦(情報戦・経済戦)で負け続けていることを認識していないことでした。

<China 2049 秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54274181.html

日本人は、PDCAサイクルなど目標が与えられているシングルループ・ラーニングは得意だが、その目的や前提そのものを疑い、必要であれば学習棄却(アンラーニング)をするダブルループ・ラーニングは苦手である。前例を踏襲することで、逸脱を忌避し、成功体験を捨てることができずにに失敗に至ってしまう。一例として、制定当時と社会状況が大きく変化しているにもかかわらず、憲法改正にさえ着手できないこと。自発的に枠を打ち破れず、「黒船」という外圧があって初めて考え決断に至るというところが、民族としての日本人の最大の弱点である、ということは、「失敗の本質」でも、日露戦争の際の日本海海戦の勝利の成功体験が、大東亜戦争時にいろいろな面で引きずり、敗戦につながったことが指摘されています。「モノづくりと商売のことだけに専念するのが正しい生き方」という成功体験を捨て去り(学習棄却・アンラーニング)、新たなラーニングをしながら、行動することが肝要。

情報戦の軽視も、旧日本陸軍参謀本部と同じ。真珠湾攻撃のアメリカ国民に与えるインパクトを、深く考えていなかった。当時のアメリカ国民は、第一次世界大戦の厭戦ムードから、参戦に反対だったといいます。いわゆるモンロー主義ですね。日本はそれを理解した上で、戦争を避けるためにアメリカに対し、情報戦を仕掛けるべきだった。「我々は戦争をしたくない。しかし資源がない日本は供給がストップされたら戦争になってしまう。なぜルーズベルト大統領は、日本をそんなに追い込むのでしょうか」と、米国民と世界に強力に訴えるべきだった。いまの、韓国の従軍慰安婦・自衛隊への火器管制レーダー照射事件や、中国の南京大虐殺ねつ造にもいえることです。いますぐにでも、国も企業も強力なインテリジェンス能力を持つべきでしょう。

大東亜戦争で甚大な損害を出してしまったのは、リーダーの作り方に失敗したから。当時の陸軍士官学校は、いまの東京大学より、もっともっと狭き門だった。学力的・体力的に優れていたにもかかわらず、他の優秀な部下を認め、耳が痛いような進言を取り入り入れるトップを据えてこなかった。過酷な国際政治のかけひきの舞台に伍していけるリーダーを、国民自ら選んでいく目と覚悟が要るでしょう。

そして日本をやり直すには、ゼロベースで愛国グローバル人材を育成していくこと。国益を考え、健全な愛国心をもつ国民。そして外国人から見ても、尊敬できる日本人であること。これは、北野幸伯氏が書かれた、新日本人道でも同様の主張です。

<新日本人道 北野幸伯著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54352438.html
2020-04-27 10.59.12-1


 

アパレル興亡 黒木亮著

著者の黒木亮氏は、「トップレフト」「巨大投資銀行」等の小説家です。自らの三和銀行・三菱商事での勤務経験を元にした小説は、現実の金融・投資業界のリアルを描いています。小説というスタイルを取ることで、ほぼ実会社・実名で書ける。そんな著者が、日本のアパレル業界の歴史を、あるアパレル会社の起業から消滅まで(正確には買収され、経営陣が総退陣するまで)を書いています。金融の世界だけでなく、アパレルにも詳しいんですね。私も、ラルフローレンの企画・製造をしていたアパレル会社の会計監査を数年やっていたので、業界には詳しいつもりでしたが、新たな視点をいただきました。

中心となるのは、日本の伝統的なアパレルメーカー、東京スタイルです。1977年に東京証券取引所1部上場となった、無借金経営で有名な会社でした。2002年から村上ファンドが株式を買い集め、株主提案で、内部留保を使って自社株買いを行うことを提案し、プロキシーファイトとなった「東京スタイル事件」の経緯も、もちろん詳細に記載されていました。村上世彰氏が、仲裁に入ったイトーヨーカドーの伊藤雅俊氏を激怒させてしまったんですね。

・昭和の時代の百貨店は、夢のようにモノがあふれ、消費者吸引力は強大だった
・百貨店の職員食堂は、幼稚園のお遊戯会のように他職種のコスプレであふれている
・繊維業界は、糸を作る「川上」、生地を作る「川中」、縫製・アパレル・小売りなどの「川下」
・百貨店が消費者に売る価格が「上代」、アパレルが百貨店に卸す価格が「下代」の下代÷上代が掛け値。その率は百貨店とアパレルの力関係や商品によって異なるが、一般的に60-70%。
・従来のアパレルメーカーの原価率は、20-30%。
・中国への生地や縫製の生産移管が、国内業者(特に川中)の激減につながった
・百貨店とアパレルメーカーの「消化仕入」という特殊な取引形態が、長期的に両者のパワーを弱める遠因となってしまった

当時の東京スタイルは、日本全国の生地生産地や親機を知り尽くし、その時点でベストな先に発注、売れ筋を見ながらすぐに追加発注し、売れ筋を逃しませんでした。そして丁寧な縫製と仕上げから、安定した顧客基盤を作りました。支払条件等の金払いが良かったので、受託先とWIN-WINの関係性も作れた。
一方、現代のSPAの代表であるユニクロも、詳細が違えど、かなり似ていると思います。全世界で最適な生産地を探し(結果として中国メインですが)、売れ筋を見ながら追加発注し、大量の在庫を抱え込まないようにしました。ベーシックな定番商品を基本とし、機能性と品質の向上を追求しています。低価格にもかかわらず、大量発注するので、受託先とWIN-WINの関係性も作れています。
時代が違うので、日本国内/国外生産、企画製造アパレル/SPA、規模の大小という違いはあるものの、商売のスタイルはかなり似ているのではないか。東京スタイルは、創業者社長の死去、2代目社長の専横、3代目社長の迷走で、事実上、消滅してしまいました。さて、ユニクロはどうなっていくのか。事業承継が最大のキーポイントであることは、間違い有りません。

<ユニクロ ニューヨーク 5番街店は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/25612167.html
2020-04-23 12.27.27-1

 

フィンランドの幸せメソッド SISU(シス) カトヤ・パンツァル著

著者のカトヤ・パンツァルさん(女性)は、フィンランド生まれのカナダ人です。バンクーバー・トロントといった大都会で、編集者としてバリバリ働いていましたが、ストレスで体に変調をきたし、ふとしたきっかけで両親の故郷であるフィンランドに戻ったところ、心の落ち着きを取り戻しました。なぜ落ち着きを取り戻せたのか、自問し、いろいろな専門家やフィンランドの知人に聞いてまわってただりついたのが、フィンランド語のシスSee-Su。意味は、勇気・忍耐・シンプル・自然体です。レジリエンス、グリッド、あきらめない力といっても良い。フィンランドにルーツを持ちつつも、大学教育やキャリアのほとんどをカナダで過ごした著者にとって、フィンランドで生活してみての働き方や教育は、客観的な分析だと思います。

フィンランドといえば、世界一の幸せ大国、かつ教育先進国として有名です。2019年の経済協力開発機構(OECD)が発表した国際学習到達度調査(PISA)で、フィンランドは参加国のなかで唯一、読解力と生活満足度の両方が高い国です。国連の「世界幸福度ランキング」で2年連続トップに輝いているフィンランドですが、未来を担う子ども世代も幸せな日常生活を送っているわけです。一方、フィンランド人は「無口で物静かで、世界でもっとも笑わず、最もしゃべらない国民」ともいわれています。フィンランド人と話したかったら、裸でサウナに入り、隣に座ること。その背景は何か?

いろいろな歴史的背景があるものの、その根底にあるのがフィンランド人それぞれが持っている「シス」だと著者は結論づけています。それによってウェルビーイング(心身の充足感)が得られるといいます。

・北欧のシンプルなライフスタイル・ミニマリスト、レス・イズ・モア
・週末には、自然と交わるアクティビティ
・夏には、ほぼ全員が1週間以上、郊外のコテージで過ごす
・ひとりになって静けさにひたる時間を重視
・自動車よりも自転車通勤という、社会的責任
・マイナス20℃でも、スパイクタイヤの自転車で通勤
・レイングッズ・帽子・手袋・フェイスマスク・着替え・リフレッシュキットさえあれば自転車ライフは快適
・この世に悪天候は存在しない。ただ不適切な衣服があるだけ
・シスはメンタル面だが、フィジカルを鍛えることでプラスに働く
・就学前教育(生まれる前から学校に入るまで)を重視。「遊び」「信頼」「健康」
/」フィンランド教育の強みは、全員が成功することをゴールに定め、国家的アプローチを取っていること
・すべての小学校教師が、修士号以上の学位を持っている
・統一テストや政府の検閲・検定はなく、プロフェッショナリズムに基づく教育現場を信頼
・何事にもスマートにモノゴトを進める

著者が、毎日続けているアイススイミングとは、冷たいエクスタシー、冷水治療のひとつです。冷たい海の中で30秒~1分間くらい、平泳ぎするというもの。冬期は厚い氷が張るので、穴を開けて入る。装備は、水着と毛糸の帽子・手足にネオプレンの手袋・サンダルのみ。著者自身、やってみるまでは、とても信じられない所業だったとのこと。しかしいまでは、その虜になっているそうです。ちょっとずつ、試してみたいですね。

<フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのかは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54505214.html
2020-04-25 12.33.03-1

<マンガ サ道 タナカカツキ作は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54433819.html

太平洋戦争の大嘘 藤井厳喜著

著者の藤井厳喜氏は、ハーバード大学政治学部大学院卒の政治学者、評論家です。かつては大学で教えていたこともあるようですが、現在は、YouTubeや、有料記事配信等で活動されておられる方。保守の立場ですが、必ずしも政権寄りは発言をされているわけではありません。

本書は、太平洋戦争(大東亜戦争)を望んだ者は誰なのか、第31代アメリカ大統領ハーバート・フーバー(任期1929~33)の著作をもとに、藤井厳喜氏オリジナルな見立てを展開しています。まずフーバー大統領の回顧録とは、第二次世界大戦の過程を詳細に検証した「裏切られた自由(Freedom Betrayd)」です。

まず、フーバー大統領ですが、一般的な歴史観は、1929年の世界大恐慌時に有効な経済政策を打ち出せなかった無能な大統領というもの。しかし実際は、第28代大統領ウッドロウ・ウィルソンの下で食糧庁長官、第29代大統領ウォレン・ハーディングと第30代大統領カルビン・クーリッジの下で商務長官を務めた、極めて有能な方だったようです。

結論からいうと、大東亜戦争はルーズベルトによって日本が巻き込まれた戦争だったというもの。昭和初期に日本が軍国主義国家になったことは事実でしょうが、軍国主義だからアメリカに戦争を仕掛けたというわけではないんですね。戦後、マッカーサーも「日本の戦争は自衛戦争であった」と認めているし、フーバーがマッカーサーに「太平洋戦争は日本が始めた戦争ではない。ルーズベルトが始めた戦争であり、ルーズベルトが日本を追い詰めてやった戦争である」とマッカーサーに言うと、「その通りだ。」と認めたそうです。

あの戦争は、「ファシズム・軍国主義 対 デモクラシーの戦い」ではなく「後進資本主義国家である日独伊が、先進資本主義国家である英米の覇権に挑んだ戦い」だった。ヤルタ協定で、ルーズベルト(とチャーチル)がスターリンを連合軍側に引き入れたことが、ソ連が共産主義を世界中に広める手助けになってしまった。スターリンとヒトラー同士を戦わせておけばよかった。

第二次世界大戦の本当の勝者はソ連でありスターリンであり、次に儲かったのは毛沢東の共産党だった。イギリスは戦勝国にはなっても植民地など失ったものが大きい。アメリカは中国本土へ侵入し領土獲得を望んでいたようだが、それもスターリンや毛沢東に阻まれ、実現しなかった。この戦争が無かったら世界地図は全く異なっていた。

それにしても、もととなったフーバー大統領の著作「Freedom Betrayd」が、2011年まで出版されなかったのが不思議です。その邦訳「裏切られた自由」は2017年です。それは本の内容が、ルーズベルト批判、アメリカの第二次世界大戦への参戦への批判だったから。都合が悪かったので、これまで戦後50年以上の放置されてきました。ここにきていろいろな外交文書・秘密文書等が公開されてきていて、出版できる状況になったのでしょうか。

2020-04-08 12.01.55-1

 

「イノベーター」で読む アパレル全史 中野香織著

著者の中野香織氏は、服飾史家。東京大学文学部卒、英国ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、ライターとなり、アパレル関連の著作多数です。その氏が、1858年以降のアパレル業界に革新をもたらしたイノベーター達の足跡を紹介するという、斬新なものです。50人もの方を紹介しているのですが、特に印象に残ったのは、以下の14人です。

・モードのサイクルを作った、クリスチャン・ディオール
・女性の社会進出を後押しした高級既製服の始祖、イヴ・サンローラン
・時代にふさわしい男性像、女性像を作ったジョルジオ・アルマーニ
・アメリカの上流階級という幻想を創出した、ラルフ・ローレン
・遊び心と親近感ある英国紳士像を体現する、ポール・スミス
・デザイナーズ・アンダーウェアを発明した、カルバンクライン
・ミニマリストの女王、ジル・サンダー
・アジア人初のパリ・オートクチュール組合会員、森英恵
・実用エレガンスの巨匠、芦田淳
・テクノロジーを駆使したファッションデザイン、三宅一生
・モードの哲学者、山本耀司
・コムデギャルソン、川久保玲
・ファストファッションを生み出した、アマンシオ・オルテガ
・コモディティファッションの価値を変えた、柳井正

多くのブランド名が、創始者・イノベーターたちの名前ということが改めてわかりました。すでに鬼籍に入られた方も多く、ブランドのテイストを受け継ぎながら、後継者がブランドを維持していくことに成功しているところもあれば、後継者がいなかったり、会社自体が倒産してしまっているところもあります。本の中で著者は、「人の見え方を変えることは、あり方を変えること」、「ファッション史を学ぶことは、時代と人のあり方の関わりを学ぶことにつながる」といっていますが、先人たちの足跡の先に、今のアパレル業界があることを改めて、体感しました。

2020-04-18 16.15.26-1


お金の減らし方 森博嗣著

お金を増やすためのノウハウ本があふれている今日、なんという刺激的なタイトルでしょう。そのタイトルだけで購入しました。著者の森博嗣氏は、専門が航空物理学の研究者で工学博士、かつ小説家という異色の方です。ヒットメーカーらしく、氏によると印税収入だけで累計20億円を超えているとのこと。また、私はあまり小説は読まないのですが、「スカイ・クロラ」という小説は、アニメ化されています(著者によれば、小説自体はあまり売れなかったとのこと)。

著者の主張をつきつめれば、自分にとって欲しいものを知ろう、そして買おうということ。現実社会では、多くのひとは自分のためにお金を使っていないように見える。誰かに見せるためにお金を使っている、のではないか。「お金の減らし方」とは、自分が本当に欲しいもの、自分が本当にやりたいことにお金をつぎ込もうということ。それがさらなるチャンスにつながる。

実際、著者の食生活や他人との関わりは、薄給だった国立大学教員だったころとあまり変わらないそうです。逆に小さい頃からやりたかったこと、それは自宅の庭にSL列車を走らせること、ラジコン飛行機を組み立てることに、印税収入をつぎ込む。それ以外の洋服や人付き合い関連支出は、ほとんどしないそうです。

もうちょっと踏み込むと、「お金を減らす方法」が、自分が欲しいもの、やりたいことを実現することとはいっても、単なる消費でなく、その先の探求・研究レベルになると、より楽しくなり、知識が増え、自分の価値が高まる。なるほど、タイトルは「お金を減らす方法」ですが、実は、こういったアプローチでお金を減らすことで、自己実現を達成しようという、著者の実践報告なんですね。新鮮でした。

2020-04-14 11.48.53-1

 

21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス

著者のおおたとしまさ氏は、教育関連の書籍を多数、書かれている教育・育児ジャーナリストさんです。著者のいくつかの本を読んで感じたことは、実際に取材している、塾の現状等のレポートは、教育学者にはない視点があるということ。今回の本は、男子校(麻布、栄光、海城、開成、芝、修道、巣鴨、東大寺、桐朋、灘、武蔵)のベテラン先生たちのいっていることを、聞いてきてまとめたもの。客観的なエビデンスやデータに欠けるということはありますが、それもそういうスタイルなのだからしょうがないと思います。

21世紀の~とのタイトルはあるものの、これからの教育に求められることは、これまでの教育とそう変わらない。必要とされるのは「そこそこの知力と体力」「やり抜く力」「他人とチームになるコミュニケーション能力」です。日本においては、中学受験のプロセスが非認知能力を高める上で、役立つこともあるとのこと。これは、幼児教育の経済学でも明らかにされています。

面白かったのが、思春期にできることに集中しろ!ということ。これは部活動であったり、恋愛だったりします。恋愛でいえば、これまで両親から全身の愛を受ける側だったのが、愛を他人(女性)に向ける側に立つということ。さらにいえば一人の女性を愛するということを通じて、全世界の人がその営みをしていて、誰かを愛し愛されていることに気づけば、他人を誹謗したり傷つけるような思考や行動にならなくなるだろうと。

<幼児教育の経済学は、コチラ>
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 「あの人はちゃんと見てくれている、わかってくれてる。そう思える大人がいれば、子供は決してねじ曲がらない」。だまって子どもを抱きしめてあげたくなりました。

告発 フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル

フェイスブックは、GAFAのひとつであり、全世界のSNSインフラといっても良い存在だと思います。そのFBは、2019年末に個人情報流出事件を起こしています。2億6700万人以上のフェイスブックユーザーの名前や電話番号を含んだデータベースがオンライン上に公開されていたというもの。

実は、それ以前からフェイスブックの個人情報が、市場で販売・流通していました。個人が知らないうちに、個人の行動・好み・性格等が、第三者に販売され、収益化されていたことが明らかになりました。どういう収益化かというと、例えば選挙行動の誘導です。投票者の性格を分析し、特定に候補者に有利になるような政治広告を出すことによって、当選確率を上げるというもの。そのコンサルティングと実行をしていたのが、イギリスの選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ社(現在は、閉鎖済み)です。著者は、そのCA社で、創立初期の段階から関わり、顧客開拓等の生生しい場面を経験してきた女史です。

有名な事象は、CA社が5000万人以上の個人情報を利用し、2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプを支援し、実際に当選に導いたことです。CA社がやっていたことは、「行動マイクロマーケティング」というもの。流れとしては、CAは、自分のデータだけでなく全ての友達のデータをアプリ開発者にアクセスさせる「友達API」アプリ(無料の性格判断アプリ等)によって、収集したFBのユーザーのデータを収集。そして、個人ユーザーに関する数千ものデータポイントから算出されるデータを、行動心理学と社会心理学で分析。その人が、どの程度に「開放的」「誠実」「外向的」「協調的」「神経質」なのかを特定。これらの性格タイプをモデル化することで、ひとりひとりをグループ分け。あとは、マイクロデータターゲティングです。共通する性格と共通する問題意識をもつ個人に的を絞って、望みどおりの結果を得られるまで微調整と改良を加えたメッセージを何度も送る。選挙の場合には、人々に呼びかけて、献金し、候補者と選挙戦の争点について学び、実際に投票所へ出かけ、自陣の候補者へ投票することを求める。

まさに、データ=資産、です。FBが、個人データを外部に販売していることにも驚きましたが、それを活用して、大きくビジネスにしている会社があることにも驚きです。CA社がやっていることは違法性が強いものの、これに近いビジネスが現実の世界で同時多発していると考えると、空恐ろしくなります。

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2030年のアパレルの未来 福田稔著

著者の福田稔氏は、経営戦略コンサルティング会社の共同経営者のひとり。アパレルをはじめとする小売業のアドバイザーとして活躍されている方です。業界慣行やビジネスモデルを熟知しながらも、取引のしがらみがないので、極めてオープンに業界分析と将来を予測しています。

グローバル全体ではアパレル業界は成長しています。ただ市場の構造変化で勝ち組と負け組の格差が広がっている。海外進出ができていない国内には負け組が多い。今後、国内では服の単価も数量も減少していく。その中で生き残っていくためには、①インバウンド需要の取り込み、②越境ECの取組み、③海外出店。

アパレル業界にデジタル化の波は、いろいろな変化を起こしています。

・2割の「能動的な消費者」はインフルエンサー化、プロシューマー化する
ファッションに関心が高い消費者は、影響力の大きい人物、生産活動を行う消費者となり、かつて流行を作っていった編集者やスタイリスト、販売員の役割を担う。その例が、リアルなファッション情報がある、インスタグラム。

・8割の「受動的な消費者」にはレコメンデーション機能の影響力が増す
どうやって服を選んでいいかわからない層は、EC上でのサポートやサブスクによる似合う服のレコメンデーション機能により、パーソナライズされた提示で、合理的に選ぶことができる。その例が、衣服のレンタルサービス、エアークローゼット。

・お気に入りのブランドを「直販サイト」で購入する「DtoC」ビジネスモデルが増える
コアなファンを作り、自社ECサイトから直接買ってもらう、Derect to Consumer。その例が、インスタグラムで口コミを誘発したり、リアルのイベントでブランド価値観を消費者に伝える。例として、誰でも参加できるファッションコーディネイトサイト、WEARアプリ。人気のユーザーをフォローしたり、同じ服をzozo経由で購入可能。

・「売り手と買い手の情報格差」がなくなり、業界人の地位と仕事が奪われる
インスタグラムやWEARアプリが、かつての流行の仕掛け人であった業界人から、優れた個人へ変化し、双方向化しつつある。インスタグラムは、ファッションに特化したものではないが、人のライフスタイル全体の価値観や流行の最先端が、スマホの中にある。

・「無駄な在庫」を抱えるリスクがなくなる
ECとAIの組み合わせで、需要予測の難しさが一定レベルまで解決される。具体的には、ヒット率の向上と生産量決定の精度向上が見込める。その前提として、ブランドとしての独自性がさらに重要となる。例として、ファッションビッグデータを提供する、英エディテッド社がある。

・服づくりのデザインプロセスもデジタル化する
これまでの2次元スケッチをデザイナーが行い、パタンナーが3次元化して立体化するというプロセスが、3DCAD導入により、リードタイムを短縮可能、これが競争力の源泉になっていく。すでにCLOVirtual Fashion社が3Dバーチャルソフトを提供始めている。

・「マス・カスタマイゼーション」で、「受注生産」と「大量生産」の両立が可能になる
パーソナライズされた受注生産と、低コストの大量生産が両立できるようになる。すでにZOZOスーツの登場により、自動計測されたオーダーシャツを安価に提供できる仕組みはできている。

国内アパレル業界に関する書籍は、2017年に出版された「誰がアパレルを殺すのか」等、数多くあれど、これだけの海外アパレル社に精通し、また10年先、20年先を見通す眼力は、さすが経営コンサルティング会社のパートナー。本当に、書かれていることの多くが現実化されると思いました。

<誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54456164.html
<アパレル・サバイバル 齊藤孝浩著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54455358.html
2020-04-04 08.41.02-1


成功に奇策はいらない 平山真也著

著者の平山真也氏は、海外育ちで、アメリカの戦略コンサルタント会社を皮切りに、リクルートの営業職、米アパレルDickiesの中国法人の副社長、同日本法人の社長として新規法人立ち上げを経験されてきた方です。業界の経営をしていく中で、著者は「当たり前の徹底」が圧倒的な成果を生むことを、体感したそうです。

・アート&サイエンスのバランスが成功の鍵
アパレルは感性(アート)と計数(サイエンス)のビジネスといわれるが、それぞれ専門性を持つスタッフが、お互いをリスペクトし、理解しようとする企業文化が作れるかどうか。

・事業のすべてを有機的に結合し、シンプルな戦略を
戦略は、誰もが理解し、明快でシンプルなものでなければならない。そしてそれが商品企画・製造・物流・価格設定・店舗設計・ディスプレイ・接客・広告・人事・財務・情報システムなど、すべてにかみあっていなければならない。

・「らしさ」を考え抜き、それに根差して戦略を立てる
自らのブランドのらしさを、深く考え直す。それは歴史からひもとき、その企業の核を中心に、適した成長や変革の道筋が見えてくる。

・未来がわからないからこそ、「思い」が大切
ブランディングは、約束の積み重ね。守るべきところと変化していくこと。丁寧に対話し、現場へ説明していくことで、最終的に消費者に伝わっていく。

・ビジョンに「数字」をつければ、実現への道が見えてくる
理念だけでは、観念的・抽象的。実行性あるビジョンとするには、①実現を思い描けること、②従業員がわくわくできること、③数字に落とし込めること。

・人への投資がいちばん大事
高い給与を支払うのは、人に投資しているため。企業のビジョンから戦略が生まれ、戦略から組織像が生まれる。組織像から、求められる各人材像が生まれる。その人材にとって推奨される行動特性(コンピテンシー)を具体的に示し、こまめにフィードバックを重ねることで、個々人の成長を支援していく。これが会社の業績向上につながる。

・遊びも大事、楽しさも大事。ただし、それを業績につなげること。
会社が社員にとって居心地が良く楽しい場所であることで、生産性の向上につなげる。組織のビジョン・戦略の実現につなげるためのもの。楽しく働けるから成果が上がり、業績が良いから働くのが楽しいというサイクルにしなければならない。Work Hard & Play Hard.

・すべては時間の使い方次第。時間軸を合わせ、余裕を作る
時間を無駄にせず、徹底的に行う。1日に24時間しかない。パフォーマンスを上げるには、時間の使い方を考えて、時間あたりの価値を高めるしかない。そのために各部門・各機能の時間軸を合わせ、足並みをそろえる。だらだらやらない。その場で決めることはすぐ決める。ツールを活用する。無意味な作業はしない。無駄な会議はしない。価値の生まれる場所を意識する。

2020-04-05 16.47.30-1

既存の日本のアパレル経営の闇は、セールの乱発、企画の丸投げ、商品の画一化、若者を低賃金で使い捨てにする経営等は、「誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著」等で、明らかになっています。では、現実の経営者として、どう行動すべきか?その答えは、人・現場・ブランドにこだわること、そして、従業員を幸せにするという、極めて当たり前のこと。当たり前のことを極限まで追求する、との帯に書いてあるが、上記のような行動様式・経営哲学そのものでした。

<誰がアパレルを殺すのか、はコチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54456164.html

フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか

フィンランドのイメージは、サウナ・マリメッコ・ムーミン・ノキア、そしてオーロラ。著者の堀内都喜子氏は、フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院で修士号を取得し、フィンランド系企業を経て、現在はフィンランド大使館で広報の仕事に携わっていらっしゃる、長野出身の日本人です。現地で数年間生活し、フィンランド人と関わっていく中で、両国の考え方や行動の相違を感じた(感じている)そうです。それを書籍化したもの。

表紙にも書いてありますが、フィンランドは「仕事も休みも大切にして自分らしく生きる」ことで、幸福度世界一位!有給消化率100%、一人当たりGDPが日本の1.25倍、在宅勤務3割、といまの日本からは考えられないようなユートピアのようですが、本書を読めば、確かに事実だけれど、各個人が自立し、がんばっている結果ということがわかりました。

フィンランド人は、仕事も、家庭も、趣味も、勉強も、なんにでも貪欲。しっかり休んで、効率良く働いているんですね。だから1ヶ月の夏休みをとり、みんなが取るので、他が補完しあう。仕事の能力を高めるために、自主的に継続教育を受講する。

フィンランドの仕事文化は、「ウェルビーイング」Well-Being。身体的・精神的・社会的に老巧な状態にあるという概念です。これは仕事のみならず、日常生活全般にあてはまる。短時間勤務やオフィス環境の整備が、社員の健康やパフォーマンスに直結する。人件費が高いので、生産性の向上・業務の効率化が強く求められる。必然的に、付加価値の高いこと、創造性・革新性が求められる、という好循環です。これは労働人口が減少してくことが間違いない日本に、まさに当てはまることでしょう。少ない労働人口で、男女ともに働き、家事も行い、無駄を省き、効率をあげて、結果のパフォーマンスを出す。そのためには、単なる短時間労働でなく、ITを有効に導入し、書類を減らし、間接業務を減らし、これまでのやり方やしがらみにとらわれず、より効率的に費用的にも良いと思ったことを、ドライに大胆に導入していく。

面白いと思ったのは、上記ウェルビーイングの根底には、「シス」という思考・行動規範があるということです。日本語に直訳すると「頑張る」。ガッツ・忍耐・やり遂げるという強い気持ちです。そして自力でどうにかする、考えるより行動あるのみ。日本の武士道にも、ある意味、通じるところがあるのでしょうか。

<武士道 The soul of Japanは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/51289814.html
2020-04-09 10.30.04-1

良い会議のためのルール、が紹介されていました。フィンランド企業が集まって作った「良い会議のためのキャンペーン」だそうです。これは実践的で、役に立ちそう。

会議の前に:
①会議の前に本当に必要な会議なのか、開催の是非を検討する。
②もし必要なら、会議のタイプと、相応しい場所を考える。
③出席者を絞る。
④適切な準備をする。細かな準備が必要な時もあれば、そうでない時もある。議長は、参加者に事前に通知し、必要に応じて責任を割り当てる。

会議のはじめに:
⑤会議のはじめに目標を確認。会議が終わった時にどんな結果が生まれるべきか。
⑥会議の終了時間と議題、プロセスの確認。それがアイデア、ディスカッション、意思決定、コミュニケーションのどれであるかを参加者に知らせる。

会議中に:
⑦会議の議論と決定に全員を巻き込む。一部が支配するのではなく、各自の多様性(外向的/内向的)を考慮に入れる。少人数、隣同士との議論を通して意見を表明する機会なども作る。

会議の終わりに:
⑧結果や、その役割分担をリストアップし明白にする。


マンガ サ道 タナカカツキ作

サウナブームの火付け役といえば、やはりマンガ「サ道」です。サ道とは、サウナを極めた道。この本が、いろんなサウナ本の導入になったことは間違いないし、ドラマ化された「サ道」全12話は、放送終了しましたが、Amazon Primeで見れます。

ストーリーとしては、主人公がこれまでオヤジが集まり高温のガマン大会だと思っていたが、偶然サウナの本当の気持ち良さを知ってしまう。蒸しZという架空の師匠を追い求めているうちに、すっかりサウナ中毒に。通い詰める内、サウナ友ができ、気持ち良くなれるサウナの入り方を一緒に追求していく。その中で、全国の有名なサウナを訪れ、ひたすら快楽を追い求めていく。サウナトランス=キマッた瞬間の名ゼリフ「ととのったー!」は、あまりに有名。

著者のタナカカツキ氏は、日本サウナスパ協会公認のサウナ大使(本当)。サウナでのトランス状態を「ととのう」と初めて言語化した方です。今のところ3巻までですが、サウナを広めるために、これからもぜひ続編を描いてほしいと思います。

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私も、ジムや健康センターに附属しているサウナの存在は知っていましたが、暑くて息苦しく、オヤジのガマン大会だという認識でした。さらには水風呂なんで、心臓麻痺一歩寸前のものになんでリスクを犯してまで入るのが理解に苦しんでいました。この本を機に、サウナ10分+水風呂1分+休憩5分を試したところ、血行の流れを直に感じることができたし、脳みそが真っ白になる感覚もちょっとだけ感じられました。新たな境地にまで、導いてくれたこのマンガに感謝です。

ユニクロ対ZARA 齊藤孝浩著

著者はファッション流通コンサルタントの齋藤孝浩氏。日経ビジネスや日経MJ等でアパレル関連の記事を書いていて、大学等でもファッションビジネスを教えていらっしゃる方です。

昨今、既存のアパレル企業が業績を悪化させている中、SPAと呼ばれる製造小売業が躍進しています。その代表が、ユニクロ・ZARA・H&M・GAP等です。その中でも、特にユニクロとZARAは、一歩頭が抜けていて、世界一のファッションチェーンを争っています。

その2社の大きな違いは、ZARAは製造業から始まり、ユニクロは小売業から始まっていること。このスタートの違いが、同じSPAでもいろいろなところに違いがでてきています。

・ベーシックの品質を極めるユニクロと、最新トレンドの提供スピードに磨きをかけるZARA
・対象客層を広く浅く狙うユニクロと、狭く深く狙うZARA
・中国で作り日本で拡大したユニクロと、自国スペインを中心に作り世界で拡大したZARA
・時間をかけてローコストを実現するユニクロと、スピードを重視して値下げを抑えて実現するZARA
・広告宣伝に投資して集客するユニクロと、広告宣伝を一切行わず店舗に磨きをかけるZARA

日本企業なのでユニクロの分析をしている本は多いですが、スペイン企業であるZARAの分析を、店舗に訪れ、ディスプレイを分析し、スペイン本社までインタービューして調べ上げた本は、珍しい。ZARAが、スペインから全世界に商品を空輸できるのは、年間2000本ものボーイング747チャーター便を持っているとは驚き。

ただ両者に共通するのは、顧客ニーズを毎週ごとにくみ取り、デザインや製造にタイムリーに反映させていることです。ユニクロでいえば、毎週月曜日に前週のアイテム・サイズ・色別ごとに売上と予算を比較し、生産調整発注をかけていること。また年間52週すべてにチラシを制作・頒布し、値下げロスを最小限に抑える仕組み。ZARAでいえば、毎週2回、全店舗に新アイテムを投入し、顧客がいつ来ても新商品が並んでいて、立ち寄りを誘因し、いま買わなければアイテムがなくなってしまうことを印象づけ、実際に平均4週間で売り切ってしまうこと、です。

SPA企業は数多くあれども、トレンドファッションの鮮度でいえばZARA、ベーシックのコストパフォーマンスではユニクロ、というポジショニングは、しばらく不動でしょうね。

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スノーデン 日本への警告

著者は、2013年にアメリカ政府が無差別監視をしている実態等を暴露した「スノーデン・リーク」で有名な、エドワード スノーデン氏。元CIA、NSA及びDIAの情報局員で、インターネットの電子通信や電話盗聴活動に従事していました。個人の通信や、家宅捜索や物品の捜索・差押えは法律で禁じられ許されないのに、プライバシーの権利を国民が奪われているということ。大きな権限を持つ中で、国のインテリジェンス活動に疑念を持ち、国民に政府活動の事実を知らせるために、上記のリークをすることにしたそうです。現在、このリークに関してアメリカで刑事訴追中なので、ロシアモスクワに政治亡命中とのこと。

内容は、アメリカをはじめ日本でも行われている、「超監視社会の脅威」です。2001.9.11のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロ防止の名の下に、アメリカ政府は、大規模な監視体制を開始。技術発展と相まって、低コストで膨大なデータをインターネットを通じて集めています。対象はテロリストだけではなく、一般市民すべてです。通話記録データから携帯の移動位置情報まで、自動的に一般人の行動が収集されていること。これらの諜報活動の事実を、2013年に動かざる証拠をもってマスコミに持ち込んだのが、スノーデン氏。

さらに、氏は日本警察機構での、イスラムへの上記のような無制限な諜報活動の事実も明らかにしています。いわく「権力が際限のない監視を行い、それが秘密にされるとき、権力の濫用と腐敗が始まる」。これを止めるには、健全なマスコミと市民の声しかないとのこと。一市民として、単に政府に要望するだけでなく、選挙等を通じて政府内部に「公」の心を持つ人間を送り込まなくてはならないと思います。また健全でないマスコミ会社を、視聴しない購読しないという形で積極的に応援しないことも大事。一方、地道な探査報道をしているマスコミ会社を、購読するという形で積極的に応援していきたい。

著作の内容は、2016年にスノーデン氏をゲストに迎えた東京大学本郷キャンパスでの、公益社団法人自由人権協会での講演会の内容をもとに、文字起しを行い、加筆修正したものだそうです。実際には、氏はインターネット中継で出演だったそうですが、その生の声の迫力は文字になってからでも感じられました。2017年に発刊された書籍ですが、2020年の今、読み返しても背筋に汗が流れる感覚です。

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ぜんぶ毛包のせい。花房火月著

私の髪は(まだ)禿げてませんが、AGAについては興味がありました。そんな中、ある書店の一角が「毛包(もうほう)本」にジャックされていました。その大胆なキャッチコピーは、「男性の外見の悩みは、ほぼ全て、毛包のシワザだった」というもの。そもそも毛包って何?というところから読破してみました。

著者の花房火月氏は、東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科で助教を務められているそうです。皮膚疾患の保険治療だけでなく、美容皮膚・エイジングケア等で、個人病院を経営されている方です。いわく、男は「毛包(もうほう)」に握られている!すなわち、薄毛・AGA・ニキビ・ヒゲ・体毛・ニオイ・汗など、男性であれば何かしら悩みを持っている症状に全て関連しているのが、毛包ユニットのしわざというわけです。

はじめて知った!こと。
・ヒゲエリアの毛の本数は、生まれてから変わらない
・ヒゲエリアの毛の本数は、男女で変わらない
・違うのは、男性の毛が太くて剛毛ということ

なるほど、、、毛包を攻略すれば、悩みの大半はなくなるってことですね。外見に関するコンプレックスを少しでも減らすことで、対人関係(特に異性への)を改善していこうという提案です。さすが皮膚科専門医の視点だと、膝を打ちました。

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毛包本が、書店の一角をずらりと、平積みされていました。それだけ書店が売り出したい!ということでしょうし、ニーズがあるに違いない!!!という確信でしょう。

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古代ローマ人、カエサルも薄毛に悩んでいたとか。すべての男性に一読をお勧めします。

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誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著

著者の杉原淳一氏と染原睦美氏は、日経ビジネスの記者。その現場取材力はすごく、アパレル業界の過去と現在の商流・サプライチェーンが詳しく書かれています。また当事者として高島屋や大丸松坂屋等の百貨店の経営者やユニクロの矢内会長にも直接インタビューする等、アパレル現役プレーヤーの率直な声も収録されていて興味深い。「誰がアパレルを殺すのか」という衝撃的なタイトルと、どピンクの表紙は、書店でもかなり目立っています。私が好きな著名ブロガーのちきりんさんの推薦の書とのこと。

現状認識として、経営的に深刻な苦境にあえぐ大手アパレル業界各社があります。その例が、ワールド・三陽商会・オンワード樫山・レナウンです。それら国内大手の売上高や純利益は激減しています。同時にアパレル業界と、一緒にビジネスを拡大してきた百貨店も業績不振店が多く、地方だけでなく都内でも閉店店舗が出てきています。

その原因は、アパレル・百貨店いずれもかつての成功体験・ビジネスモデルから抜け出せないから。そして、消費者のニーズを考えずに、服を作りすぎるからです。高度成長期以降、服は作れば作った分だけ言い値売れて、余っても在庫処分しても十分な利益が取れていた。海外ブランドの取扱い数を増やせば、その分だけ、売上げが伸びた。さらに規制緩和で全国各地に大型ショッピングセンターができたときには、そのテナントとして、アパレル企業がこぞって出店。これをさして、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、これを数打ちゃあたるの、散弾銃商法と呼んでいました。

しかし消費者の目が超えてきて、ブランド名だけでは購入しなくなるようになると、デフレの影響もあり次第に販売単価が下がってきます。そのためアパレル各社はコストカットに注力し、商品はOEMメーカーや商社に発注して中国で生産するようになりました。同じ商社やOEMメーカーがデザイン提案や生産をするので、ブランドは違うのに似たような流行のファッションとなり、ますます消費者がはなれていく。一方、アパレル社内にはデザイナーが育たず、国内の縫製工場は減っていくという悪循環。

これまでの、小売は百貨店、企画はアパレル、製造は工場という水平分業が時代にそぐわなくなってきていると思います。キーは、消費者のニーズ把握。百貨店が軒先貸ビジネスをやっているかぎり、企画のアパレル会社に、ダイレクトに消費者ニーズが届きにくい。その点、昨今ビジネスを急拡大している、SPA企業(ユニクロ、ZARA、H&M等)は、自ら店舗を持ち、企画し、製造指示し、そのサイクルが短いため、顧客のニーズを把握し、企画生産にすばやく反応することができる点が大きい。

<ちきりん 未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられるは、コチラ>
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一方、消費者のファションに対する思考・行動も変わりつつあります。もはやブランドというモノを買うことや所有することに対するこだわりは薄れ、流行もしくは好みのファッションがあればよい。古着への抵抗感もないので、エアークロゼットやメチャカリ等、ファッションのレンタルやシェアの企業も
出てきています。また中古売買も、メルカリやZOZOユーズド等が手がけています。これからは他人からの見栄で服を着るのではなく、価格やデザインに自分が納得して着る時代になってきているのでしょう。

その他にも持続可能なモノ作りを目指す、ミナペルホネンやパタゴニアの企業理念、行動が紹介されていてこれも興味深かった。

アパレル・サバイバル 齊藤孝浩著

著者は、ファッション流通コンサルタントというニッチなお仕事の方です。まずアパレルの現状と日米比較しながら、SPA、ファストファッション、オムニチャネル等の事象を説明、そして既存のアパレルプレイヤーを脅かす、メルカリ、アマゾン、ZOZOなどの登場。なぜ、それらが成功したのかを分析。最後に、10年後のファッション消費の未来を大胆に予想しています。

その予想が、とてもインパクトが強かった。そしてそのイメージを冒頭の「Her Story 10年後のファッション消費の未来」という短編小説で、具体的に見せてくれたのが衝撃。
・自分のスマホの中に、自分の持っている服・アクセサリ等すべての情報が入ったクローゼット管理アプリで一元管理
・アプリは、ウェブ上にある膨大な画像データをもとにAIが流行を分析し、持っている服でシーンに応じた違ったコーディネートを毎日提案
・第2候補、第3候補も提示し、
・複数の角度から撮影された画像データは、自分撮影だけでなく、クリーニングサービスの一貫として提供される
・毎シーズンごとに、今持っているアイテムと相性の良い新作の提案が、アプリに送られてくる
・良さそうな提案を選び、リアルタイムの店舗在庫をチェックし、試着を予約
・予約されたフィッティングルームで試着
・店舗スタッフから、リアルな提案
・値札のバーコードを読み込み、商品情報や口コミ評価をチェック
・登録クレジット情報から、スマート決済
・購入した商品は、クローゼットアプリに自動で追加され、コーディネイトされる
・しばらく着ていない服リストは、アプリからオークションサイトもしくはリユースサイトへ数タップで出品可能
・衣替えの時期には、クリーニングとトランクルーム預託をオンライン予約
・結論:上記のようにクローゼットなどのプライバシーを、ファッションストアやサイトと共有できるほどの信頼関係が築けるかどうがが、未来のファッション流通企業の生き残りのカギ=アパレル・サバイバル

ファッション=百貨店で購入するハイファッションだけだった時代はすでに過ぎていて、今日ではファストファッションを中心として安くて、オシャレ、しかし質の悪くないアイテムが日本全国どこでも手に入ります。それを支えるのが、SPAであり、IT技術です。そのファストファストブームでさえも、さらなる進化しつつあります。その例のひとつが、買わずに借りる「サブスクビジネス」や、売ることを前提に買うもの選ぶ「メルカリ」です。ファッションの主体がメーカー主導から、消費者個人の意思や行動に変わりつつあります。星の数ほどある無限なコーデネート画像データからAIが最適な選択をし、個人ごとの好みにパーソナライゼーションされた提案をしてくるといった、著者の大胆な予測が、実現するときは、すぐそこまで来いる確信しました。

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論語と算盤 漫画版

2024年からの一万円札に描かれる渋沢栄一のコミック。合本主義を唱え、道徳経済合一を実行しました。それは儒教・武士道の東洋思想をベースに、道徳的なビジネスを発展させようというもの。生き馬を目を射貫くビジネスの世界に、道徳を持ち込んだのは、極めて先駆的です。日本が目指すべき道義国家とも、軌を一にする考え方・行動様式だと思います。氏が実際に設立し発展した会社は、みずほ銀行・澁澤倉庫・王子製紙・IHI・いすゞ自動車・太平洋セメント・清水建設等と、業種を問わず、幅広い。

「富を成す根源は仁義道徳、正しい道理の富でなければ永続できない」
「人生では善人が悪人に負けたと見えることもあるが、長期では善悪の差が歴然とする」
「正しい人生の道を歩み、その結果手にした地位でなければ、完全な成功とはいえない」
「現実に立脚しない道徳は人々から活力を奪い、最後には国を滅ばす」
「金持ちになりたい欲望は時に暴走するが、金は卑しいといった極端な思想では活力を失う」
どれも論語と算盤を表した名言だと思います。

<理化学研究所 一般公開は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47405808.html
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印象深いのが、当時海運業界を独占して高額な運賃を取っていた岩崎弥太郎の郵便汽船三菱会社に対し、渋沢栄一が自由競争を目論んで設立した共同運輸会社です。両者の激しい運賃競争の結果、1885年に両者が合併し、日本郵船が誕生しました。2社の顔を立てた対等合併の証として、2社を白地に紅色2線で表した社旗、通称二引(にびき)からとっているんだそうです。先人の歩みと歴史を感じる。

 <日本郵船大井ふ頭コンテナターミナルは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50173534.html

渋沢栄一は、群馬県深谷市出身。深谷には、渋沢栄一が作った、日本で最初の機械式レンガ工場、日本煉瓦製造株式会社がありました。ここで、赤坂迎賓館や帝国ホテルなどのレンガもここで作られたそうです。今の深谷駅は、東京駅か?と見まがうほどの立派なレンガ造の駅舎が建っていて、渋沢栄一を忍んでいました。

<レンガ作りの深谷駅は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50201485.html

神山進化論 人口減少を可能性に変えるまちづくり

著者の神田誠司氏は、朝日新聞の記者。これまで「今、地方に何が起こっているのか」等の著作があり、地方再生やまちづくりに造詣が深い方です。インタビュー主体の記事構成は、神山町で活動する方々の思いや背景が描かれていて、その取材力に驚かされました。

さて、神山町とは、今、地方再生で注目されている山村です。かつては、消滅可能性都市で20位にランクされたさびれた町。1950年代には2万人を超えた自治体ですが、現在5千人あまりにまで減少。それが、いま、都会から若者が流入し、サテライトオフィス等の新設が相次いでいるという現象。2011年以降、町に本社を置く会社が16社増えました。移住者も相次いでいます。その秘密を知ろうといま、全国から視察が相次いでいます。その秘密が書かれています。

結論からいうと、秘策はなく、20年前から取り組んでいる地道が、外からの人財との交流活動が、ここ数年で実を結んでいるということ。もうちょっといえば、そういった交流活動を通じて、住民や自治体職員の意識が、まちに関わる問題を、自分事として考えるようになったということです。

これまで町がやってきた事業は、以下のとおり。突飛なものもありますが、多くは他の自治体でも手がけられています。これらを継続して、自分事として面白がってワクワクしながらやってきたことが実を結んでいるのだということがわかりました。

・神山塾:6ヶ月間の滞在型職業訓練
・NPOグリーンバレー:ヨソモノ受け入れ
・アート・イン・レジデンス:芸術家に滞在してもらって制作
・イン神山:豊かなコンテンツが表現されるウェブサイト
・奇跡のショット:川の水に浸かりながらウェブ会議に参加
・ヒトノミクス:手に職を持つ人を誘致
・地方創生まちづくり:自分事として参加
・神山つなぐ公社:まちづくりの実働部隊
・フード・ハブ・プロジェクト:地産地食、産食率アップ
・孫の手プロジェクト:地元高校生の地域参加
・つなプロ発表会:まちづくりの進捗発表

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新日本人道 北野幸伯著

著者は、30年近くロシアに住み働いていた方。ロシアの外交官養成機関のモスクワ国際関係大学を日本人として初めて卒業したそうです。現在は、まぐまぐ大賞を受賞したメールマガジンRPE「ロシア政治経済ジャーナル」で意見を発信し続けています。サブタイトルは、「この世界の荒波を私たちはどう生きるか ロシア滞在28年で考えた日本復活への7つの指針」。まさに「日本の復活を願う人」への「指針」です。

実際に、著者の講演を聴講したことがあるのですが、執筆の動機と視点が興味深い。30年近く住んで、日本に帰国した著者が感じたことは、日本国民の心から「希望」が消えていることだそうです。例えば「日本の未来は明るいですか」「日本は、これから繁栄していきますか」の問いに対して、肯定的に答えられる人はほとんどいないでしょう。そうして国民の大多数が、日本の未来は暗いと思っていれば、実際にそうなる可能性が高いでしょう。

そんな流れを断ち切るためには、各個人の心の内を変えていき、ポジティブな考え、いいかえれば希望の火を持つこと。そうして国民の多くが日本の未来は明るい、自分の未来も明るいと希望を持っていれば、実際にそうなる可能性が高いでしょう。

では各個人の心に内をポジティブにするには、希望の火を持つためにはどうすればよいか。そのための行動指針として著者は七つの掟を上げています。

第1の掟 「和の世界」を創れ
 調和を大事にする日本人の特質を大事に
第2の掟 知性によって日本を自立国家へと導け
 エネルギー・食糧・軍事等を、可能な限り自立せよ
第3の掟 「理想を目指す」現実主義者であれ
 空想主義・理念主義でもなく、ただの現実主義でもなく、理想を持ったリアリストとなれ
第4の掟 日本の「真の国益」は何かを常に考え行動せよ
第5の掟 常に「大戦略」の視点から物事を見よ
 短期的な利益やメンツにとらわれず、長期的視点で行動せよ
第6の掟 日本を愛し、他国・他民族への尊敬の念を忘れるな
 愛国は良いことだし、他国も尊重する
第7の掟 言葉と行動によって日本の名声を高めよ
 日本は道義国家であることに自信を持ち行動する

このような指針を持った上で、日本人であることに誇りを持ち、他国とおつきあいしていけば、おのずと国は豊かになるし、他国からも尊重される国であり続けられると思います。

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漂流するトモダチ アメリカの被ばく裁判

著者のひとりエイミ・ツジモトさんは、米国ジャーナリストですが、自らも放射線障害を持っている広島出身の被ばく2世だそうです。2011年3月の東日本大震災時に、被災地に急行し、被災者支援をおこなってくれた空母レーガンらを主体とするトモダチ作戦Operation Tomodachiは、日米間の友情と信頼関係をあらためて実感させました。一方、その影には、活動にあたった兵士や艦船の放射線被ばくがあったことは、あまり知られていません。副題の、Soldiers Left Behindの意味は、取り残された兵士達ということでしょうか。その影に焦点を当て、切り捨てられた兵士らにインタビューし、実態に迫った本です。

まず「トモダチ作戦」を振り返りたい。
3/11の東日本大震災が発生し、日本政府は米国へ支援を要請。ちょうどインド洋に向けて西太平洋を航行中だったアメリカ海軍の原子力空母ロナルド・レーガンが、急遽行き先を変更し、福島県沖に棟博したのは、3/13早朝でした。ちなにみ原子力空母レーガンの乗組員は5000人、他に25隻の艦船、航空機も駆けつけてくれて、約1万7千人の兵士らが、被災者救出・ヘリの往復で支援物資の運搬をしてくれました。なんとその支援物資は、艦内の兵士たちのための食料であり、衣類でありペットボトルの水だったそうです。

しかし、空母レーガンには福島第一原発が水素爆発を起こし、大量の放射性物質が飛散していることは知らされていませんでした。3/13-3/14にかけて、放射線プルームのまっただ中に空母レーガンが停泊してしまったのです。空母はその機構上、甲板は吹きさらしだし、艦載機エレベータの昇降により、外気が艦内を巡っています。結果として、甲板で作業していた兵士は勿論、乗組員約五千人が大量の放射線を浴びました。このトモダチ作戦終了直後から、従事した兵士たちは白血病など様々な病を発症しました。いまでも放射線障害に苦しんでいて、少なくともすでに9人が亡くなったとのこと。

放射線障害により体力がなくなった兵士らは、除隊を余儀なくされた者もいます。除隊になると、軍向けの医療施設も使えず、医療保険がない彼らは、高額な治療費が払えない。しかも体力がないので、まともな仕事に就けない。という二重三重苦に陥っています。

米軍兵士は、原則として従軍による危険について宣誓して入隊しているので、軍を提訴することはできません。したがって兵士らは東京電力などに対して救済基金設立を求める訴訟をし、その原告は400人を超えました。しかし今のところ、訴訟の行方はまだ見通せないとのこと。

映画 Fukushima50では、トモダチ作戦の場面が登場します。支援物資を空輸し被災地に送り届けるシーンには、空母レーガンの放射性被ばくの事実について、まったく触れられていませんでした。忘れてしまってはいけないと思います。

<小説 Fukushima50は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54392974.html
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世界一美味しい珈琲の淹れ方 茶こしで微粉を取り除く

世界一美味しい珈琲って、どんなものでしょう?結論からいうと、好みの味は、人によって違うので答えは無数。しかしそのレンジはこれまで先達が研究してきた、いわゆる美味しい珈琲のカテゴリ内のものであるはずです。この本は、そのレンジな中で、自分好みの味に合わせて豆選びから抽出までをコントロールし、「世界一美味しいコーヒー」を淹れる方法を伝授。教えます。

「自分好みの味」をどう探り当て、どう1杯のコーヒーで実現するかのために、豆選びのメソッドから味わいの判定法、抽出時の「流量」「流速」「時間」「温度」「高さ」「注湯回数」など、ワールド・バリスタ・チャンピオンの著者がこれまでの科学的研究+個人的な感覚をベースに解説。

素材である豆が重要、感覚的には美味しさの決め手の過半は豆を占める。それに加えて焙煎、挽き方、保存、淹れ方等が続きました。焙煎は個人ではできないので、ドリッパーやミル等淹れる道具にこだわる人は多い。目からウロコだったのが、「微粉」の処理です。ミルで挽くときに発生してしまうコーヒー豆の微粉が、過抽出を起し、苦みが出る等の均一的な抽出ができなくなってしまう。その微粉を取り除くという作業を加えるだけで、味のクオリティが数段上がるそうです。そしてその道具として、「茶こし」を通すだけで良いそうです。茶こしを通すと、微粉が取り除かれるので、実質的な量が1割くらい減ってしまいます。もったいない。しかしそれであっても美味しい珈琲ができるのならば、実践していきたいと思います。

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科学的に正しい筋トレ 最強の教科書

著者は、医学系の大学院卒で理学療養士の庵野拓将氏。たくさんの論文・文献を読み込んで、筋トレ実務に役立つエッセンスを紹介しています。筋トレのアプローチには、いわゆるトレーニング法、タンパク質摂取法、睡眠法等たくさんのメソッドが世の中には流布されています。それを、これまでのスポーツ科学、医学、心理学、公衆衛生学、進化心理学などの科学の知見に基づく研究で、「無駄なく」「超効率的に」「正しく」、そして自分に合った正しい鍛え方でやりましょう!という提案。

筋トレ方程式として、科学的に正しい「トレーニング」、科学的に正しい「タンパク質摂取法」、科学的に正しい「筋トレの続け方」が紹介されています。筋トレ直後には25-30gのプロテイン+糖質摂取で筋肥大というのが定説であることは、間違いありません。それだけに、「筋トレ後の糖質摂取が筋肥大に影響がない」という新研究が紹介されていたのは、ちょっと珍しい。筋肥大には、クレアチン+適度は糖質摂取という説もあり、もうちょっと研究が必要でしょうね。

筋トレを行う上で大切なことは、膨大な情報の中から見極め、自分に合った方法を考えて選択していくこと。もちろん体には、個人差があるので、絶対に正しい方法はないけれど、理論的なところを踏まえた上で、自分にあった筋トレを探していくというアプローチは、とても参考になりました。

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石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人

著者の早瀬利之氏は、マスコミ出身の石原莞爾研究家です。石原莞爾信者、フリーク、マニアといってよいかもしれません。石原莞爾といえば、関東軍作戦参謀。満州での満州国建国の立役者であり、1万人の関東軍だけで、20万の兵を持つ張学良軍を破った柳条湖事件・満州事変は、当時、全世界を驚かせたらしいです。

陸軍中将まで上り詰めますが、東条英機との確執で陸軍を追われ、立命館大学の教授や、中国と講話すべしという東亜連盟の活動をしました。東城嫌いは有名で、「私には些細ながら思想がある。東條という人間には思想はまったくない。だから対立のしようがない」といって、東條の無能さをこきおろしたそうです。晩年は病になり、故郷の酒田で療養するのですが、GHQはその石原に証言させるべく、酒田にまで出向き、東京裁判酒田法廷を開催します。そこでも、明らかに戦争犯罪と認識されている大都市空爆や原爆投下をもって「トルーマンが戦争犯罪人だ」と主張しました。また、法廷で、判事に歴史をどこまでさかのぼって戦争責任を問うかを尋ね、「およそ日清・日露戦争までさかのぼる」との回答に対し、「それなら、ペリーをあの世から連れてきて、この法廷で裁けばよい。もともと日本は鎖国していて、朝鮮も満州も不要であった。日本に略奪的な帝国主義を教えたのはアメリカ等の国だ」と持論を披露しました。スゴイ切り返しですね。

石原寄りの本ではありますが、当時の史料や関係者へのインタビューを基に書かれており、天才・石原莞爾は、事実なのでしょう。実際、ナポレオンやフリードリヒ大王らを研究し、天皇陛下へご進講することもあったほどの、読書家。その才能をやっかむ東条英機等により、失脚させられたわけです。男の嫉妬は、女の嫉妬の数倍あるといいます。しかしそんなことで、日本の行く末が方向付けられたとすれば、残念で仕方ないし、これを教訓にこれから繰り返してはならないと思います。
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吉田みきと プロフィール

ふるさとの福島県いわき市で、市議会議員として活動しています。いわき市は、震災後、複層的な問題が山積しています。公認会計士・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 認定 アンガーマネジメントファリシテーターとしてのキャリアを生かし、フレッシュな視点で問題点を洗い出し、解決策を提案していきます。



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