任期満了に伴い、市議会議員の職を卒業させていただくにあたって
⚫ 市議となった理由
大学卒業後、東京の金融業界で公認会計士・ビジネスマンとして勤務していた。2011 年の東日本大震災で、与えられた命が有限かつ貴重なものであることに気づかされた。東日本大震災からの復興に何らか貢献したい気持ちで、それまでの職を辞し、2012年秋に市議に立候補した。ふるさといわきから離れて 20 年以上経っており、ほとんど無名だったにもかかわらず 2000 名を超える方々に信頼いただき、活動してこれたことに感謝申し上げたい。
活動の原点は、日本国民の税金である復興予算は、将来世代に役に立つ資産を残すために使うべきということ。スローガンは「こどもにツケを回さない」。連綿と続いてきた先人たちの活動に感謝し、次世代へバトンを渡していくこと。まちづくりには、一定数のよそ者・若者・バカ者の関与が必要。それは、東京からいわきに U ターンしてきた私の役割であり、その外部視点で市政に大胆な提案をしてきた。
⚫ 卒業する理由
数字が読める地方議員として活動し、今年 9 月に 2 回目の任期満了を迎える。復興創生期間も終わり、立候補当初の目的である経済的な復興事業は達成されつつあり、ひとつの区切りと考えている。一方、私自身この 8 年間の間に、いわきの環境に慣れてきたこともあり、よそ者でなくなってきた。40 才代から 50 才代になり、若者ともいえなくなってきた。いろいろな経験をさせていただき、必ずしも猪突猛進なバカ者ともいえなくなってきた。
市議の職務は、自らの自治体の役割や限界を知る上で得がたい職だと肌身で感じているので、いろいろな立場の方に経験してほしいと思う。議会は「男性・中年・多選」でない人でやったほうが良い。今回の市議選には、複数の若者・女性の立候補が見込まれており、多様なバックグラウンドを持った方々が議員になることで議会、そして行政が活性化する。ぜひ彼らの活動を応援したいと、心から思う。
⚫ 私が提案し、任期中に実現してきたこと
1. いわきの医師を応援するお姉さんの会
私が 2013 年 10 月議会において市で初めて、厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査データを引用し、いわき市の医師不足の実態を公表した。以降、この客観的な医師不足データが一般的に用いられるようになった。2016 年に医師不足を解消すべく、市民活動として医師に感謝の意を伝える場として、いわきの医師を応援するお姉さんの会(代表:宮野由美子氏)を立ち上げ。多忙なドクターを手料理でもてなし、これまで市内医師との交流や勉強会を 20 回開催し、医師招聘に貢献。
2. いわき七浜海道
防潮堤を活用したサイクリングロードを、私が 2014 年 9 月議会で提言した。実施主体がいわき市・福島県・国にまたがり、折衝が難航した。何度も県に足を運び、市に連絡調整会議を設置してもらい、協議を進めてもらった。2020 年度中に、全長 53kmの「いわき七浜海道」として完成予定。
3. 磐城平城本丸跡地の城跡公園
いわきに戻ってきてまず感じたのは郷土愛の不足だった。昭和 40 年代の 14 市町村の合併によって生まれたいわき市なので、旧自治体への愛着に比べていわき市全体へのものが低かった。そこで市民の心の支柱としての、いわき市の玄関口であるいわき駅前にあり、築城時にはほぼいわき市全域を版図としていた磐城平城に目を付けた。私が 2013 年 10 月議会で磐城平城の城跡公園構想の提案をし、2014 年に所有者の案内で、封鎖されていた本丸跡地を現地調査した。
かつて昭和 40 年代に同地にお城再建の機運があり、失敗に終わっていたことから、関係者の同意を得るのは容易ではなかった。しかしその観光面での活用に目をつけた JR ディスティネーションキャンペーンに賛同していただき、JR いわき駅長・市土木部長・都市建設部長らを現地案内し、その立地の希少性・有用性を知ってもらった。その後地権者との交渉が進み、2018 年からは市の公有地となり、2020 年度に都市公園整備事業として実施設計。2021 年度には城跡公園として一般公開予定。
かつて昭和 40 年代に同地にお城再建の機運があり、失敗に終わっていたことから、関係者の同意を得るのは容易ではなかった。しかしその観光面での活用に目をつけた JR ディスティネーションキャンペーンに賛同していただき、JR いわき駅長・市土木部長・都市建設部長らを現地案内し、その立地の希少性・有用性を知ってもらった。その後地権者との交渉が進み、2018 年からは市の公有地となり、2020 年度に都市公園整備事業として実施設計。2021 年度には城跡公園として一般公開予定。
4. いわきの先人顕彰するための副読本
いわきの郷土愛不足の一因が先人を顕彰する機会が少なかったこと。2015 年 9 月議会で郷土の偉人教育副読本の制作を提言した。郷土の先人顕彰をしている金沢市を自ら視察・調査し、その協力を得て関連資料を、市教育委員会に提供した。
2019 年に市教育委員会は、郷土の偉人である沢村勘兵衛・片寄平蔵・安藤信正・星一・国府田敬三郎・吉野せい・中村豊・草野心平・大河内一郎らの生き様を伝える副読本「いわきの先人」を制作し、市内の小学 5・6 年生全員に配布。
5. 骨髄バンクドナー支援助成制度
5. 骨髄バンクドナー支援助成制度
いわき市にはそれまで、白血病治療のための、骨髄バンクドナー支援助成制度がなかった。2016 年 2 月議会で、新規制定を提案。3 月に市長あてに要望書を提出。2017 年からいわき市でドナー支援助成制度が開始された。
6. ブログでの情報発信
議会や委員会、さらには地域行事等への参加を通じて、一般市民が持ち得ない市議会議員の立場からの情報を得ることができた。それを一般に情報共有するために、市議着任と同時にブログを開設。これまで硬軟織り交ぜて、8 年間で 3000 件を超える投稿で情報発信に努めた。
⚫ 今後