吉田みきと ほぼ毎日ブログ

「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。 生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。」 吉田松陰・高杉晋作語録   「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない。」 西郷隆盛・山岡鉄舟語録

教育

磐城緑蔭中学校とオーストラリアタウンズビルとの国際交流

いわき市の私立中学校のひとつ、磐城緑蔭中学校では、国際交流の一貫として、オーストラリアタウンズビル市から、学生を受け入れています。いわき市とタウンズビル市とは、国際姉妹都市を締結していて、1年に1回ずつ、学生の相互交流を実施しています。昨年はいわき市からタウンズビル市に学生を送り出しているので、今年は先方からの学生をいわきで受け入れる番です。

スティーブンさん(男子)・ブリアンナさん(女子)・アビゲールさん(女子)の3名が、カーメル先生(女性)の引率のもと、日本に1週間ほど滞在し、ここ磐城緑蔭中学校や磐城第一高等学校で、いわきの生徒と一緒に(日本語・英語両方で)学習活動を行うそうです。

<磐城第一高等学校は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/43550247.html
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学校の許可を得て、美術・図工の時間を見学させていただきました。タウンズビルの学生は、日本語スピーチコンテストで優秀な成績を収めた人から選抜されているだけあって、日本語の日常会話は、ほぼできます。なので、日本語での授業にもなんとかついていくことができます。一方、せっかくの国際交流の機会なので、緑陰の学生は、できるだけ英語で話しかけていました。日本語・英語ちゃんぽんでも、身振り手振りと、伝えたい!という熱意さえあれば、会話はスムーズに成り立ちます。

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緑陰の生徒さんが素晴らしいと感じたのは、外国人に対してものおじしないで、積極的に話しかけることでした。中学2年生なので、英語の語彙力はそう多くないし、外国人と話す機会もこれまであまりなかったはず。にもかかわらず、話そうとする姿勢は、賞賛すべきものでした。詰め込み方の教育でない、学校側の姿勢がこういうところに現れていると思います。

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教室には、生徒ごとの今年の目標が、掲げられていました。「学年一位をキープする」「一日○ページ進める」等、かなり具体的です。毎日、自分の手で書いた目標を目にすることで、目標の再確認とモチベーションの維持につながっているのでしょう。

磐城緑蔭中学校では、和田秀樹氏が率いる緑鐵ゼミと提携し、中高一貫のメリットをいかした教育を進めています。具体的には中学1年次には小学校レベルの内容の復習を徹底して行い、中学2年~高校2年までに密度の濃い学習により高校課程を全て終わらせる。そして最後の1年で大学受験に専念するというものです。

<磐城緑蔭中学校・高等学校 和田秀樹氏講演会は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/34888623.html
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緑陰や秀英等の私立中高に対する批判として、勉強ばっかりで部活に力をいれていないと、しばしばいわれます。週カリキュラムを見ると、土曜授業もあり、1週間37コマと、やはり授業数はみっちり詰まっています。一方、週2回(火・木)は、放課後に部活動の時間もあるそうです。

<秀英中学校、高校の入学式は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/37799217.html
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学校内には、自由研究の発表内容や、修学旅行・研究旅行の発表が写真付で紹介されていました。また、英語での研究等もたくさん校内に掲示されており、英語に親しむ機会をあえて作っているようでした。

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これまで医学部医学科に4年連続合格、慶應義塾大学に3年連続合格、国際教養大学に2年連続合格と、小規模校にもかかわらず、着実な実績を出し続けています。卒業生のほとんどが大学進学するそうです。昨年度の卒業生(平成29年度、開学して7期生)は、医学部系大学としては、福島県立大学・自治医科大学等に合格者を輩出しています。医師不足に苦慮しているいわき市としては、地元高校生がそれに応えて医学部を目指し合格しているというのは、素直に嬉しい。また、そのように動機付けをしてくださっている学校関係者の思いに感謝したいと思います。

<いわき市の医師不足は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/35794977.html
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注)写真は学校の許可を得て撮影させて頂いております。
 

まちなか星空観望会@いわき駅前

まちなか星空観望会、いわき駅前のペデストリアンデッキでやってます!通りがかりの子供たちや学生が望遠鏡を覗いて、感動していました。おまけですが、ISSも一等星くらいの明るさで観望会の間に通過したらしい。まちなかだからこその観望会、絵になります。宇宙飛行士となった、山崎直子さんも子どものころ参加した観望会が宇宙へ興味を持った第一歩だったそうです。これがきっかけで、日本の子供たちに宇宙や自然科学に興味を持ってもらえたら、と思います。

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ペデストリアンデッキ上に浮かぶ、お月様を見るんです。

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宇宙フェス実行委員会☆いわきプラネタリウム復活プロジェクトさんと星空アンバサダーズ@ふくしま浜通りさんが、企画・運営してくださいました。ありがとうございます!!!また賛同いただき、当日お手伝いにお越しくださった方々にも感謝です。

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どうです!駅前のラトブを背景にした、歩道橋上での星空観測会!いいね!

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この月の写真は、私のiphone6Sで撮影したもの(望遠鏡を使って)。月のクレーターまで、ばっちり撮影できました!

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東日本国際大学 いわき短期大学 オープンキャンパス

東日本国際大学・いわき短期大学のオープンキャンパスが、2018.3.18に平鎌田のキャンパスで開催されました。それぞれ「トーニチ」「いわたん」と略される学校です。東日本国際大学には経済経営学部と健康福祉学部が、いわき短期大学には幼児教育科が設置されています。後者では、二年間の間に幼稚園教諭と保育士の両方の資格が取得でき、いわき市内の幼稚園・保育園の若い先生の主要な供給源になっています。1966年の開学以来、約1万人の卒業生がいるそうです。ちなみに主要な建物は1-5号館まであり、体育館などは大学・短大・昌平中高が共用で使っているようです。

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参加されたのは、やはり女子高生+その父兄が多数を占めました。

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学部長講話や在学している学生の体験談を話されました。ここにはボランティアの部活が盛んだそうで、今回のオープンキャンパスにも、案内係や誘導係、キャンパスツアー係等、多数の学生ボランティアが活動していました。

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ペッパー(softBank)くんがお出向え。

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3号館1階にある学生食堂で、無料でランチが提供されました。鶏の唐揚げ・カツカレー・豚汁うどんの三種類から選べ、サラダは自由に取り放題。太っ腹なところを学生に見せ、好印象を与えています。学生の胃袋をつかむ、素晴らしい学生取り込み作戦。

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サラダ取り放題に、女子高生が群がっていました。作戦大成功です。

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良いと感じたのが、E-LERNING環境です。こちらではエクステンションセンターと称して、独自にE-LERNINGのシステムを構築し、学生及び教職員らに無料で提供しています。具体的には、MOS(マイクロソフトオフィス検定)や、宅建・簿記・FP・秘書検定・TOEIC等が、いつでもイーラーニングで学べます。もっといえば、ネット環境さえあれば自宅でスマホでもできるのですが、やる気を出す環境として、専用のPC・ヘッドセット・半個室が整備された部屋が用意されています!スゴイ!素晴らしい環境だ!

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ソフトは専門の業者に独自発注し作ってもらった東日本国際大学専用のもの。多額な費用がかかっていることが想像されますが、逆に言えばいったんきっちりとしたシステム環境さえ整えば、毎年のランニングコスト(教員人件費・教材費)がほとんどかからないという、夢のようなシステムともいえます。

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図書館は、普段から地域に開放されています。ここで借りた図書をラトブの中央図書館で返却することもできます。

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学長に就任されている吉村作治氏は、エジプト考古学の専門家。図書館の一角に吉村作治学長特設コーナーが設置されており、エジプト関連の書籍・DVDを借りることができます(DVDは館内視聴のみ)。

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東日本国際大学の精神は、雑駁に行って「論語」にあります。学力はともかく、論語をべースにした人間力を育むことを目的にしています。以前、いただいた「人間力を育む」も並んでいました。

<人間力を育むは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/37868599.html
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「和」を大切にすることで「義」の道に達するというもの。3号館入口正面に経学されている書は、建学された田久孝翁氏のものようです。

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建学された、田久孝翁(たきゅうたかお)氏は、すでに2008年に亡くなっていて、現在の理事長は、親族の緑川氏に引き継がれています。その「為大義大和」「大義為大和」の精神は、脈々と引き継がれていると感じました。

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平成29年12月議会 質疑(平第三小学校校舎床改修工事)

議案第5号 平成29年度いわき市一般会計補正予算(第4号)
10款教育費 2項小学校費 1目学校管理費 平第三小学校校舎床改修工事費について 質疑

黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁
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ア 把握している課題について
把握している課題について伺います。
(教育部長)
平第三小学校におきましては、これまで、地盤沈下等に対応するため、各種改修工事を実施してきたところですが、本年7月、校舎の地下部分にある排水管が破断、トイレの汚水が地中に漏れ出すという事故が発生し、地盤沈下の進行が確認されたところです。
その対応には、校舎1階部分を全面的に改修する必要があり、工事期間も長期間に及ぶことなどが判明いたしました。
市教育委員会といたしまいたは、技術的検討はもとより、学校側の意見も取り入れ早期に対応するため、今回、補正予算に計上したところであります。

<平成28年度 平第三小学校卒業式は、コチラ>
イ 工事内容について
工事内容について伺います。
(教育部長)
現在、校舎1階部分については、床下が空洞化している状態にありますが、対策工事をも、地盤沈下の影響をうけないよう、全面的に構造床に改修することとしております。
また、昇降口につきましても、同様の改修工事を実施する予定であります。
なお、今年度末には工事に着手し、平成30年度末の竣工を予定しております。

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ウ 工事の影響について
工事の影響について伺います。
(教育部長)
工事にあたりましては、児童の安全を第一に考えるとともに、学校運営に影響が出ないよう、防音対策を図るほか、学校とも連携を密にしながら、実施時期や実施時間を調整するなど、授業に影響がでないよう、努めて参りたいと考えております。

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注)上記記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確には市議会公式HPをご確認下さるようお願いいたします。

第3回いわき素読教室

いわき素読教室(代表:山名隆史氏)による、第3回 いわき素読の会が、2017.6.25(日)に、開催されました。後援はいわき市教育委員会。午前中は、親子素読教室。先人の残した言葉や論語等を、大きな声を出して読みました。また「6月」や「超~」「雑草」の、日本語で別の表現方法、厚みのある表現を、楽しく紹介。いつか生活の厚みがでてくるでしょう!

午後は、現代で忘却された「素読」(明治大学の声に出したい日本語の斎藤孝教授と、東北大学の脳科学者 川島隆太教授を除く)。これを復活、自分たちでやってみるには何が必要かを学びました。素読の脳に与えるメカニズムを理解した上で、どうやってインセンティブを持って継続するか。

<前回 第2回いわき素読教室は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49901707.html
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講師の松田先生は、全国を巡って素読の有用性、活用方法を講演しています。特に幼稚園からの講演依頼が多いそう。小学校入学前からできる(なぜなら意味を理解しないで声に出すから)のが、良いようです。実際、小学校入学前までに多くの幼稚園児が相当の漢字を読めるようになるそうです。

参加者お二人による、暗誦の発表は驚きでした。前回終わった後、ご自宅で素読暗誦の練習をしたそうです。論語と平家物語の暗誦には、大人も驚き。

<素読暗誦の動画は、コチラ>
https://youtu.be/yrMW1PLUyvM
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いわき素読の会 代表の山名隆史氏の本職は、大國魂神社の神職です。日本の歴史や文化・芸能に関する知識は、群を抜いています。しかし、それを一般人に伝える機会がほとんどないのが現状です。素読というツールを通じて、ちょっとずつ子どもたち(そして大人にも)に継承していかねば、これまで日本の先人たちが積み上げてきた歴史・文化が、忘却されていくことになりかねません。戦後GHQの教育政策の中で、日本人としての誇りや歴史に重点が置かれてこなかった(その代わり、平和主義や民主主義が金科玉条のごとく刷り込まれた)のが、遠因です。ここで改めて、GHQ教育のデメリットを再発見していくべきでしょう。

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ご参加各位とお手伝いいただいた方々の皆さん、どうもありがとうございました。

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奨学金が日本を滅ぼす 大内裕和著

近年、大学生の間で奨学金利用者は急増しているそうです。背景には、学費の高騰とともに、親世代の収入低下によるこどもの学費負担があります。仮にこどもが奨学金を月12万円ずつ借り入れた場合、学部卒業時の返済額は、なんと600万円近くに(ぜひ、一度電卓を入れてみてください)。本の中には、大学時代に借りた奨学金がネックとなり、大学院進学を断念した学生、結婚時に相手方の両親に難色を示された学生の事例が紹介されています。奨学金という「借金」がその後の人生に大きな負の影響を及ぼしている事実。著者の提案のひとつが、給付型奨学金制度を充実させること。(高等教育を膨大な公費を投入して何でも無償化すればよいという暴論でなく)、高等教育を受けたいという熱意と持ち、学習実績を上げている学生に対する給付型奨学金制度は、十分実効性のある施策だと思います。

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私も大学生のときには4年間、日本育英会から毎月4万円の奨学金を借りて、卒業後、たしか10年間かけて毎月の給料から返済していました。たしか毎月2万円くらいの返済額だったと思います(完済済み)。当時の初任給は額面18万円で、社員寮費1万円や社会保険等を差し引かれて、14万円くらいの手取りだったので、2万円/月の返済は、(嬉しくはありませんが)なんとか支払える水準でした。この経験からすると、タイトルの「奨学金が日本を滅ぼす」は大げさかなと思っていました。

ところが!!!今の奨学金の制度や、大学の学費の水準は、私のいた20数年前とは、まったく異なる水準なのです。まず、奨学金の額。当時は1種(無利子)と2種(有利子)があり、自宅2万円、自宅外4万円と、定額かつ低額でした。なので最大借りても累計で200万円でしたが、今では、1種2種は同じですが、最大12万円/月、4年間累計で600万円にも及ぶのです!!!単純に将来の返済額は、私が借りていた3倍の水準、6万円/月にもなり、これは大学出たての初任給から支払うにはあまりに過酷すぎる、と思います。これは奨学金という名の、教育ローンといえるでしょう。

また学費の水準も、私のいた20数年前とは、まったく異なる水準なのです。当時、国立で30万円/年、私立で60万円/年(いずれも文系)が相場でした。今では、国立で約60万円/年、私立で90万円/年が平均です。学費を親が負担しきれず、奨学金を学費支払いに充てている、すなわち生活費まで十分な仕送りができていないということが推測できます。これは日本社会のGDPの停滞、労働生産性が低いこと、賃金の低水準等が要因であり、奨学金制度そのものの問題ではありませんが、学生にとっては、大学生を続けるために、バイトに明け暮れなくてはならないという切実な問題です。

そもそも当時は、日本育英会が運営主体でしたが、いまでは日本学生支援機構と組織変更されていて、取り立ても厳しいそうで、一定期間経過するとサービサーに債権譲渡され、さらに滞納が続くと、金融機関のブラックリストに載るとのこと。こうなるとクレジットカードが作れなくなり、社会生活に支障が来すことになる。そもそも、学生が将来を切り開くために学ぶための奨学金なのにもかかわらず、その返済のために、将来が拘束されてしまうというのは、本末転倒です。

著者の以下の提言は、まったくその通りだと思います。
・延滞金(ペナルティ5%)の廃止
・返済猶予期限の撤廃(払えない人は、時間が経っても払えない人)
・日本学生支援機構による運営面での改革(救済制度の運用面での拡充)
・所得連動型返還奨学金制度の導入(払えない所得水準の方は、一定期間後に返済免除する)
・人的保証の撤廃(親や兄弟に他人債務を負わせず、連鎖破産を防ぐ)
・無利子貸与奨学金の抜本的拡充(やはり奨学金に利子はふさわしくない)

著者は、学費についても定額化を提唱しており、上記の提言の財源も含めて、富裕税に課すとしています。しかし国立大学86校、私立大学600校、入学定員が全国で60万人近いと言われています。1学年60万人×4年間をすべて、無償化・定額化するのは現実的ではないでしょう。

第2回 いわき素読教室

いわき素読教室(代表:山名隆史氏)による、第2回 親子素読教室が、2017.2.16(日)に、開催されました。後援はいわき市教育委員会。ご参加各位とお手伝いいただいた方々の皆さん、どうもありがとうございました。

当日は、論語を大きな声で読んだり、フラッシュカードを使ってたくさんの金魚の種類を覚えたり、福島県内の各市の名前を覚えたり、日本古来の色の呼び方等を、たのしく学びました。あっという間の2時間でした。

参加者(小学生)による、暗誦の発表は驚きでした。数分間に及ぶ平家物語の冒頭部分の暗誦は、通った声とその堂々とした姿勢に、参加者全員から賞賛を浴びていました。
 
<いわき素読教室 初開催は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49519019.html
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素読とは、発音を必須とした国語教育法です。意味の理解は求めず、日常得難い語彙を知り、基礎国語力向上に寄与するものです。テレビや雑誌での露出も多い、脳科学者である東北大学の川島隆太教授、教育学者である明治大学の斎藤隆先生らも、「素読のすすめ」で素読を強く薦めています。
 
<素読のすすめは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49846097.html
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当日は、記録用に動画も撮影させていただきました。後に編集して残したいと思います。

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福島民報(2017.4.18)に掲載していただきました。

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素読のすすめ 川島隆太・齋藤孝著

月刊「致知」2016年12月号に掲載された、川島隆太先生と齋藤孝先生の対談「素読のすすめ」の書籍化。東北大学教授の川島隆太先生は脳科学者の立場から読書離れとスマホ中毒の悪影響に警鐘を鳴らし、素読の必要性を訴えてきました。齋藤孝先生も同様に「声に出して読みたい日本語」等の著書で、素読の意義を伝えています。対談から見えてきたのは素読で人を育てた先人の優れた知恵と、それとは対照的なスマホやSNSの驚くべき弊害でした。

まずは、自分たちで素読をやってみよう。そんなきっかけで、いわきで子どもたちのための素読教室を開催してみました。

<いわき素読教室 初開催は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49519019.html
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特に驚いたのは、川島隆太先生が、仙台市で調査している「仙台市標準学力検査および仙台市生活・学習状況調査」をもとに7年間、毎年2万人以上の子どもたちを調べた結果です。まず、スマホやSNSを使えば使うほど学力は下がったという結果。そして特筆すべきは「スマホや携帯を長時間使用すると、いくら勉強していても成績が下がる」という衝撃の事実です。下記のグラフは、2時間以上勉強しても2時間以上スマホをやってしまえば、勉強時間が30分未満の生徒よりも学力が伸びないということを示しています。LINEなどの通信アプリやスマートフォンを1時間使用すると2~4点,点数が下がるという実証データもあります。

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出典:仙台市 学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト
http://bit.ly/2o5lpZk

これはどういうことか?川島教授の仮説は、SNSをやっていると脳に抑制が掛かることになり、勉強の効果が打ち消されてしまうということ。要は、SNSにより脳が眠った状態になるらしい。

その逆に川島教授のオススメは「素読」です。素読は脳の機能を高め、特にその実践のコツの一つはできるだけ速く読むトレーニングです。速く読むことで頭の回転速度が上がります。例えば、早口言葉のようなものを毎日やっていると、脳がつくり替えられるそうです。

一方の、齋藤孝先生は、中高生の読書離れとスマホ中毒により、「このまま脳の器のできない日本人が増え続けていくと、大変な国家的損失になりかねません」と警鐘を鳴らしています。私は、われわれ大人が自ら、素読の実践や読書の習慣化を行い、子どもたちにその背中を見せなければならない、と思います。

放課後学習支援@小名浜一中

放課後学習支援のモデル校である、小名浜一中に来ています。平日週に二回の放課後16:30-18:30まで民間学習塾スタッフが、公立校の教室で少人数ゼミをするという試み。授業の視察&関係者ヒアリングさせていただきました。

これは平成28年2月議会において一般質問・提案した、子供への学習支援施策が具体化したものです。提案した施策が実現すると非常にやりがいを感じます。

<平成28年2月議会 一般質問 子どもへの学習支援については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47001656.html
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モデル校は、小名浜一中と小名浜二中の2校。今回は、小名浜一中の中学生1年と2年のクラスを視察しました。ちなみに参加しているのは、中1生6名、中2生12名、中3生21名の計39名です。2学期途中からの募集にもかかわらず、すぐに募集枠は埋まったそうです。この放課後学習支援を受託したのが、民間学習塾を全国展開している「トライ」です。このトライが、オリジナルの学習教材の提供と、講師派遣、そして教室の運営を行っています。一方、学校側は放課後の教室の提供と、生徒募集を担当します。

学年ごとに一クラス設営し、クラスごとに講師が付きます。①小テスト(20分)、②全体授業(40分)、③演習授業(55分)、④授業のまとめ(5分)という時間配分(目安)。学習の習熟度が生徒ごとに違いますが、クラス10人程度ならば、同じクラス内であっても、講師ひとりで、生徒それぞれに対応できるそうです。トライのオリジナル教材が提供され、単元ごとに印刷されているQRコードを使えば、タブレットで授業の動画説明を視聴することができ、わからない部分だけを自ら補習することができる仕組みでした。流石、民間のプロの学習塾だなあと感じました。

<授業の様子の動画は、コチラ>
https://youtu.be/tlJDojDtZPM
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学校側と民間塾業者のWINWINの関係が作れていると感じました。この取り組みの実施期間は平成
28年9月~平成29年3月までの6ヶ月、計48回の授業です。毎週月・水の週2回で、英語と数学をやり、確実に生徒の学力は向上しているそうです。定期的に校内学力テストの順位等の結果を集計しているそうなので、近いうちにこの事業の成果が発表されると思います。

<学校側のメリット>
・学校の先生(県職員)が、民間の塾の講師の授業の進め方を見ることができる
・使用教材等から、生徒に学ばせるノウハウを得ることができる
・生徒の民間塾に対する受講姿勢を、客観的に見ることができる
・外部の教育者が学校に入ることで、教師にも良い意味での緊張感が出た
・家庭の、こどのも学習に対する意識が向上した

<民間塾側のメリット>
・生徒募集を学校側がやってくれるので、安定した経営に資する
・会場を学校が提供してくれるので、教室の運営に専念できる

<生徒のメリット>
・学校内に設置されるため、移動の時間の無駄がない
・具体的に学力が向上する

<保護者のメリット>
・学校内で運営されるので、生徒の安全が確保できる
・格安(無料)で民間塾を受けられるので、経済的事情等で塾に通えない生徒の学習機会が提供される。
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国民の修身 高学年用 渡部昇一著

かつての修身教科書を忠実に再現し、感動を呼んだ『国民の修身 低学年用』。その続編、我が国の国柄を学ぶ、4-6年生の高学年用の教科書のエッセンスです。読後の印象をひとことで表すと、戦前の教育はこんなにも輝いていたのか!ということ。

<国民の修身 低学年用は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/42874649.html 
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渡辺登、吉田松陰、高田善右衛門ら先人の生き様のほか、ジェンナーやコロンブスという海外の偉人の生き様を紹介しています。お話は一話2-3ページで、現代語解説付きです。

「尋常小学修身書 児童用 巻4」(文部省著作・大正9年発行・4年生用)
「尋常小学修身書 児童用 巻5」(文部省著作・昭和3年発行・5年生用)
「尋常小学修身書 児童用 巻6」(文部省著作・昭和2年発行・6年生用)
 を再編集して、まとめたこの本は、当時の文体・挿絵とともに、現代語訳と簡単な注釈がつけられています。この挿絵が秀逸で、当時の教科書の雰囲気がとても感じられます。

<我が國>我が国・皇大神宮・忠君愛国・国旗・祝日大祭日・靖国神社・憲法・挙国一致・国運の発展・国交・よい日本人
<公民の務>礼儀・良心・公民の務・公益・博愛・人の名誉を重んぜよ・国民の務・男子の務と女子の務・法令を重んぜよ
<祖先と家>孝行・祖先と家・兄弟・主婦の努・慈善・孝行
<勤勉・勤労>勉学・勇気・勤労・工夫・勤勉・師弟・朋友・教育
<自立自営>自立自営・克己・志を堅くせよ・忍耐・倹約・産業を興せ・沈勇・自信
 
戦前の修身教科書というと、短絡的に軍国主義教育ととらえる向きがあります。これについて著者の渡部昇一氏は「戦前の日本は暗黒の時代だったのか」という章をしたためています。曰く、太平洋戦争中も英語の科目はあったし、生活は自由だったとのこと。真に軍国主義的で禁欲的な生活を抑制されたのは終戦前の1年間くらいしかなく、日本古来の価値観を明治期にまとめた「修身」の考え方が、一律に軍国主義で括られることに、大きな違和感があるという実体験を書かれています。
 
特に「国旗」「よい日本人」「志を堅くせよ」の章では、外国と丁寧に接し、それぞれの国旗を敬い、仲良くすべきということが、高らかに謳われています。これ、当時の日本(今の日本もそうですが)は決して全く好戦的な国ではなく、むしろ平和的で相手をおもんぱかる奥ゆかしく、至誠をやろうとしている。これこそ(世界のどことも似ていない)日本人が体現し、また目指すところでしょう。この修身の教科書と比べると、今の道徳の教科書が、非常に表面的で薄っぺらいものに感じてしまいます。
 

平成28年6月アロハ議会 一般質問2(森林環境教育)

森林環境教育の推進について
 
黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁
動画:https://www.youtube.com/watch?v=7WhysRuqvwg

(1) アドベンチャーインIWAKIについて
(ア) 概要
今日、環境や資源の有限性が認識され、循環型社会の構築が求められる中で、地球温暖化防止など森林の多面的機能や森林資源の循環利用の必要性等に対する理解を醸成するため、森林内での多様な体験活動などを通じて人々の生活や環境と森林との関係について学ぶ「森林環境教育」の有用性が認識されています。
いわきにおいても、鬼ヶ城を活用した、旧わんぱく森の探検隊がまさにこの森林環境教育のうち教育の問題について体現したものであり、それがその後、アドベンチャーインIWAKIに改称されたと伺っております。そこでアドベンチャーインIWAKIの概要について伺います。

(教育部長)
アドベンチャーインIWAKI事業につきましては、物資的な豊かさや便利さの中で生活する子どもたちが、いわきの里鬼ヶ城の豊かな大自然の中で、6泊7日の校庭でキャンプ生活を行い、登山や星空観察などの自然体験活動や年齢の異なる参加者間の交流を通して、野外生活の基礎を学ぶことにより、苦しくても頑張り抜く生きる力を養うとともに社会性及び協調性を養うことを目的に、市内の小学校5年生から中学生3年生までを対象として、平成15年度から平成21年度まで実施し、総数525名が参加した事業であります。

(イ) 活動を停止した理由
こどもたちが森林内での多様な体験活動などを通じて人々の生活や環境と森林との関係について学ぶアドベンチャーインIWAKIは、こどもたちの身心を育成していくうえで、とても有用な事業だったと伺っておりますが、その活動が停止となって理由を伺います。

(教育部長)
アドベンチャーインIWAKIの活動を停止した理由につきましては、事業を安全に運営するにあたっては、150名前後のボランティアの方々の協力が必要不可欠でありますが、事業が長期間に及ぶことからボランティアの協力を得ることが困難になったこと、また、子どもたちの意識や価値観が変化し、参加者が減少してきたことなどが理由としてあげられます。

(2) 防災サマーキャンプ事業
(ア) 概要
アドベンチャーインIWAKIが、東日本大震災を経て、防災サマーキャンプ事業に発展的に解消されたとのことですが、まずその概要を伺います。

(教育部長)
防災サマーキャンプ事業につきましては、アドベンチャーインIWAKIの内容を一部取り入れながら、防災をテーマとした宿泊体験や体験学習プログラムを通して、災害時等の困難な状況においても、自ら考え、互いに助け合い、生き抜くための知識や体験を学ぶことにより、防災意識を高め、他者を思いやる心や行動できる力などを育成すること、また、地域住民が事業の運営に参画することを通して、地域防災力の向上を図るとともに、地域の絆づくりにつなげることを目的として、市内の小学校4年生から6年生までを対象に、1泊2日の行程で、6カ所の公民館、学校等で約200名が参加し、平成24年度から毎年実施している事業であります。

防災サマーキャンプ事業は、以前の旧わんぱく森の探検隊・アドベンチャーインIWAKIと比べると、日数も少なく、また森に親しむという視点が減ってしまっているように感じます。

(3) ボーイスカウト活動
森林環境教育では、自然豊かな森に実際に足を運び、森の多面的機能を肌で感じ体験するだけにとどまらず、体験を振り返り、自分と森との関わりを考えていく体験学習法が重要となります。体験学習を体現している市内のボーイスカウトの体験活動について伺います。
(ア) 市内の活動団数
まず市内のボーイスカウトの活動団数を伺います。

(教育部長)
市内の活動団数につきましては、今年4月現在で、ボーイスカウトが6団体、ガールスカウトが3団体の合計9団体となっております。

(イ) 市内の活動員数
次に、市内のボーイスカウトの活動員数を伺います。

(教育部長)
市内の活動員数につきましては、今年4月現在の内訳から申し上げますと、ボーイスカウトについては活動している子どもたち、いわゆるスカウトが64名、指導者が60名、ガールスカウトについては、スカウトが41名、指導者が43名であり、合計スカウト105名、指導者103名となっております。

(4) 福島キッズ森もりプロジェクト
(ア) 実施概要
一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団は、森林環境教育ができるような里山再生を目指して、長野県黒姫で自らの森を管理運用している団体です。代表を務める作家でイギリス出身のC.W.ニコル氏は昭和55年に現地に移住し、61年からは荒れ果てた森林を買取り、間伐などの手入れで生態系を取り戻す活動を続けています。お手元の資料をご覧下さい。これがアファンの森の様子です。このように人の手が入った「明るい森」「里山」を作っていく活動は、天皇陛下も注目され、今年6月に、天皇・皇后両陛下でアファンの森を視察されました。6月7日付けの産経新聞の記事によれば、ニコルさんの案内で森に入られ、天皇陛下は「木くずが敷いてある道は気持ちがいいですね」と笑顔を浮かべられたそうです。そのアファンの森財団が、今年度新たに、公益財団法人イオンワンパーセントクラブ様と共にいわきの子どもたちの心のケアを目的に、アファンの森へいわきの子どもたちを招待する「福島キッズ森もりプロジェクト」をスタートさせています。
まず、福島キッズ森もりプロジェクトの概要を伺います。

(教育部長)
「福島キッズ森もりプロジェクト」につきましては、英国出身の作家C.W.ニコル氏が再生・整備した長野県信濃町の「アファンの森」に小学校3年生から6年生までの児童を2泊3日で招待し、東日本大震災で被災した福島の子どもたちの心のケアを目的に本年度より実施しているものです。
その内容は、木登りやバードウォッチなど大自然を体験しながら、「生命の輪」で結ばれた豊かな森の中で心も体も解放するプログラムとなっております。

<アファンの森 C・Wニコルさんは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47473128.html
アファンの明るい森

(イ) 参加人数
いわき市のこどもたちの参加人数を伺います。

(教育部長)
本年度につきましては、県内でもいわき市立の小学校に通う子どもたちを対象として、全部で9回の実施を予定しており、5月の第1回目では、39名の児童が参加いたしました。
今後は各回40名の合計320名の参加を予定しております。

(ウ) 参加しての効果
参加しての効果を伺います。

(教育部長)
5月の第1回目に参加した児童の感想としては、「自然と触れ合うことができてとても楽しかった」、「たくさん友達ができて良かった」、「また参加したい」など充実した3日間であったことが伝わる内容でございました。
一方、保護者からは、「行く前に比べて、少したくましくなったと感じた」「いろいろな小学校の児童と交流できたのは貴重な体験であったと思う」、「自然環境に興味を示すようになった」などの声が寄せられており、子どもたちの「心のケア」に一定の効果があったものと考えております。

(エ) 今後の展開
今回は、一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団及び公益財団法人イオンワンパーセントクラブ様のご厚意により、非常に良いこどもたちの森林環境教育が提供されたわけですが、このような森林環境教育に対する今後の展開を伺います。

(教育長)
福島キッズ森もりプロジェクトにつきましては、本年度より3年間で福島県の子どもたち約1,000人を「アファンの森」に招待する予定と伺っております。
来年度以降の対象市町村は未定でございますが、市といたしましては、子どもたちが大自然の中で、さまざまな体験活動をすることは貴重な経験であり、子どもたちの「心の復興」にもつながるものと考えますことから、引き続き本市の子どもたちが参加出来るよう、積極的に働きかけを行うとともに、事業実施に協力して参りたいと考えております。

参加した児童や保護者だけでなく、プログラムを提供いただいたアファンの森財団が及びイオンワンパーセントクラブ様、それぞれが満足していただけるよう、そして今後もいわきの児童が良い森林環境教育を受けられるよう、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

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注)上記記載内容は、当方のメモをもとに作成したものです。正式な議事録は、いわき市議会HPの議事録検索システムから入手下さい。 

牛久市カッパ塾 放課後学習支援

茨城県牛久市が、直営でとりくんでいる、放課後学習支援を視察しました。牛久市の放課後の学び場事業「うしく放課後カッパ塾」は、既存の学童クラブの枠組みから一歩踏み出して、放課後の児童の居場所を、全家庭向けに提供しています。

茨城県牛久市では、市内全小学校で、保育に欠けるかどうかを問わず4年生~6年生の全児童を対象に平日の放課後に開設しています。基礎学力の向上や、学習習慣の定着を図るための児童の自主学習を支援しています。活動時間は、火~金曜日のうち週2日16:00~17:30で、学習指導員が、児童生徒が勉強したい教材・学習プリント等を使用し、学習内容・方法等の指導助言をするというものです。

<平成27年9月議会の一般質問で取り上げました>
http://www.mikito.biz/archives/45362006.html
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こどもたちは宿題や自分たちで用意した課題に向かって学びあったり、一人で取り組んだり、自分たちのペースで学習していました。今回視察したのは、「ひたち野うしく小」というマンモス校でした。週2日開催されていますが、参加する割合は全児童数に対して、約15%程度だそうです。この学校でも対象生徒が500人くらいで、カッパ塾に参加している人数は、2教室70数名でした。小4の参加率は高く、高学年になるにしたがって、自分でできることが増え、また部活や、通塾等のさまざまな理由により、カッパ塾を卒業していくのだそうです。

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放課後カッパ塾の目的は、学習習慣を身につけさせることと、基礎学力の補完・向上です。先生が全員に何かひとつのことを教えるのでなく、児童自らが力をつけたい教科・教材を選び、自習する。それを学習支援員がサポートするというスタイル。思っていたより、自習はさわさわとした小声が聞こえます。これはお互いに教え合ったりしているし、積極的な質問を推奨しているためです。学習支援員のバックグラウンドは、元教師だけでなく、サラリーマンや研究者、大学生等、さまざまですが、共通なことは、地元在住者ということです。また、一年経験した方は、翌年も学習支援員を希望する方がほとんどとのこと。報酬は2.5時間で3000円と決して高いものではありませんが、地域の子どもたちを育てるという生きがい、そして複数年を経験すると、地域との密着度がやりがいを育むようです。

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この小学校では土曜日も土曜カッパ塾をやっていて、英語教室や牛久郷土かるたを使っての郷土の歴史教室を開催しているそうです。学校警備の課題や、管理責任等のハードルがあることは想像に難くありません。しかし、それを突破してでもこどもの学力向上に取り組もうという意欲を感じました。

聞けば、教育委員会内に「放課後対策課」という、放課後児童クラブと、牛久カッパ塾を担当する独立部署を作り、専任でこどもの放課後の過ごし方を考える部署が設置されているそうです。そして、特筆すべきが、放課後児童クラブと、牛久カッパ塾をそれぞれ、牛久市が直営で運営していることです。直営でやることにより、その成果と責任が、すべて市が負うことになります。このインセンティブは大きいし、学校施設を利用するにも、教育委員会内で、すべてが完結するため、行動がはやくなります。

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参加者からは、「友達と一緒に取り組むことで楽しさや達成感が味わえる」「自分のやりたい学習ができ、宿題や自主学習がはかどる」「わからない問題を教えてもらえるので、解くことができてよかった」等の声が寄せられています。また保護者からは、週2日子どもの世話から解放される時間が作れたことで、心に余裕を持ってこどもに接することができるようになったとの声が寄せられております。そうしたことから放課後カッパ塾は、参加希望者が1毎年増加しているそうです。こうした取組みの結果として、牛久市では近隣の市町村からの移住が増加し、14才以下の定住人口は平成17年から右肩上がりとなっています。国が進めている地方創生に基づき、いわき市でも総合戦略を策定しましたが、そのキモは人口ピラミッドの低年齢層を広げることであります。そのために小中学校の児童・生徒を持つ保護者を呼び込むことが必要です。

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注)上記写真は、牛久市教育委員会様の許可を得て撮影しております。
 

アファンの森 C・Wニコルさん

アファンの森を運営されているC・Wニコルさんに、長野黒姫でお会いしました。アファンとはウェールズ語で"風の通るところ"の意味。アファンの森とは、荒れ果てた人工林を、明るい森として再生させ、たくさんの生き物の住処として、動植物の多様性を確保し、保全しているところです。

<アファンの森の物語 C・Wニコル著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/40887022.html
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1986年から、地元の林業家松木信義氏とともに、荒れ放題だった森の間伐を行いました。地面を覆う笹や薮やツル植物を切り払うことで、充分な陽の光が当たるようになり、また風通しが良くなりました。これで新しい若木が育つようになりました。また一定の実をつける植物は残すことで、在来の動植物が棲息しやすくなりました。そんな活動を30年以上も続け、いまでは10万坪を超える森林を保有するまでになり、近隣の国有林の管理も任されているそうです。

2010年には、活動の拠点となるアファンセンターが完成しました。床、天井、壁には長野県産の杉の間伐材を中心にすべて国産材を使用し、合板や接着剤を一切使わず、極力「土に還る」素材で作られているそうです。
 
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大きな薪ストーブが設置されていました。もちろん薪は、アファンの森から取れる間伐材を、乾燥させて使っています。

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椅子や机は、すべて木製。多くは、アファンの森の間伐材、馬で搬出して(馬搬、ばはんというらしい)、製材した木材を、家具職人につくってもらったものとのこと。コストは一脚数万円とのことですが、それもすべて寄付者の浄財が原資となっています。

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机や椅子には、すべて寄贈者(個人・企業とも)の名前が刻印されています。決して安くはない、手作りの木製家具です。聞けば年間数億円におよぶ運営費の多くが、寄贈者からの浄財だそうです。明るい森の実現に賛同する方が多くいらっしゃいます。支援者数は、個人約600人、法人約20社にものぼるとのこと。

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アファンの森の活動は、いろいろなところから注目されており、C・Wニコルさんはイギリスエリザベス女王から叙勲を受けていますイギリスのチャールズ皇太子も実際にアファンの森を訪問され、ニコルさんと一緒に森を散策されたそうです。

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2002年からは、一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団として活動されています。

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一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団の理事のひとり、吉田寛氏にご案内いただきました。吉田寛は公認会計士の先輩であり、また公会計研究所で、公会計の研究の第一人者です。

<吉田寛氏は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/34388543.html
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アファンの森をひとことで表すと、人の手が入った(管理された)明るい、広葉樹の森です。入ってみると、本当に、太陽の光が明るい!森林というと、暗い湿ったイメージがありますが、その対極です。人が歩くところには、間伐材から作ったウッドチップが敷かれています。ウッドチップのよいところは、3年程度で朽ち果てて地に還ること、そしてそこ以外を人間が通らなくなるので、人間と自然の棲み分けが無秩序にならないことです。

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アファンの森は、私有地です。山というと、愛好家が自由に立入って、山菜をとったり、釣りをしたり、登山をしたりするイメージがありますが、こちらは原則、部外者の立入禁止です。基本的には、アファンの森の活動に賛同して頂ける方に対して、事前に人数を制限して、その自然を楽しんでもらっています。
 
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現在の、アファンの森の全体像です。黒姫山・飯綱山の山麓に広がる、広葉樹の森を、民間から購入し、直接保有・管理しており、毎年、徐々にその面積を拡大しています。現在、その広さは約10万坪。近隣の国有林(スギ棟の針葉樹)の管理も受託し、針葉樹も明るい森に変えようとしています。

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チャールズ皇太子もお茶を飲んで休息した、サウンドシェルター。木の表皮で覆った小屋の中に座って、森の音と静かに対話すると、小鳥を始めとする森の声が聞こえてきました。

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春のアファンの森には、タラの芽、コシアブラ、コゴミ、つくし等が、たくさん芽を出していました。

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林業家 松木信義氏の小屋。現在の林業は、大規模に機械化し、伐採を外注・集約化することで伐採コストを下げようとする方向が主流となっています。一方、小規模に簡素な機械や仕組みだけで、自ら伐採(自伐的林業)することで、オカネをかけないで管理していこうとするもの。オカネをかけず、自ら伐採することで、林業を維持していこうとするのも、ひとつの考え方です。薪や木炭等を、みずから生み出しています。

<伐採現場コスト削減の救世主ハーベスターは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/45860897.html
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現在のアファンの森からは、想像も出来ませんが、当時、この周辺は暗くて「幽霊森」と呼ばれていたそうです。それがすっかり、生物多様性がなされた、明るい森に変貌を遂げています。これまでの30年間も続いた、強い理念、情熱、時間、オカネ等に、圧倒されました。脱帽です。

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丹野独学塾 卓球台があるいわきの寺子屋

丹野独学塾は、いわき駅裏 徒歩3分の鷹匠町にある学習塾です。その特徴は、個人ごとにオリジナルのノートを作らせるという独自の個別指導で、中高生あわせて10数名が通塾しているそうです。また、365日いつ来てもOK、何時間でも塾で勉強していてもOKという大胆な運営で、1984年の開所以来30年間も、このスタイルを貫いているそうです。丹野勝弘・恵子ご夫妻が、オーナー兼講師を務めていて、一人ひとりの塾生の学習進歩状況を講師の丹野、二人で把握、対応しているそうです。
 
丹野夫妻は、学習塾を経営しつつ3人の子を育て、3人ともテニスでインターハイに出場するほど、運動に熱中させたそうです。そして、長女は歯科医師、長男は医師、次男は研究者に育て上げたとのこと。自らの子育てが、丹野独学塾の指導方法と進学実績に、そのまま体現されています。
 
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丹野独学塾は、歴史ある蔵の横にあります。

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塾の教室は、10数畳の一部屋。中学生・高校生それぞれが、個別指導を受けます。といっても、この塾にいる数時間の間、休憩してもよいし、おにぎりを食べてもよい、さらには、備え付けの本やマンガ日本の歴史を読んでも良いという自由な環境です。

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部屋ではエアコンを使わない代わりに、年季が入った木材チップのストーブが置かれていました。木の燃焼が発する熱は、体にやさしいし、お湯を張っておくことで、乾燥も防止できますね。

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丹野独学塾の最大の特徴は、専用の卓球台が備え付けられていること!勉強に飽きたら、これで軽く汗をかいて、リフレッシュして勉強に向かうそうです。ほとんどの生徒は、塾に来たらこの卓球をやるのもわかります。私もプレイさせていただきましたが、ほぼ卓球専用の部屋で、30畳以上もありとても広いので、気持ち良く遊ばせて頂きました。

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とっぷり日が暮れて、これから生徒がやってきます。都会の進学塾にはない、家庭的な塾です。いわきの寺子屋というにふさわしい、ユニークな塾でした。

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丹野ご夫妻の著書、「独学塾ものがたり」「ときめきの子育て」が上梓されています。お二人の教育方針がよくわかる本です。入塾を検討されているご家庭は、一度目を通して頂くと、丹野独学塾の方針に賛同されるのではないでしょうか。

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秀英中学校、高校の入学式

秀英中学校、高校の入学式。いわき市内の今年度の高校入試は、激震でした。その要因のひとつが、ここ秀英高校の、入試選抜の変更です。秀英中学からの内部進学が始まったので、高校選抜(いわゆる新高生)は専願のみに変更となりました。これでかなり一般化していた、市内では進学校といわれている磐城高校との併願ができなくなりました。これで頭を抱えたご家庭も多いはず。いずれにせよ、秀英高校にとっては、初の内部進学者の入学式、誠におめでとうございます!

<いわき秀英中学校・高等学校は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/37799217.html
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福島県の少人数教育

午前中は母校の入学式でした。93名が入学しました。うち3名が特別支援学級のため、3クラス編成となります。なお、福島県は、全国に先駆けて少人数教育を実施していて、小1.小2のクラス人数は、原則30人未満です(全国基準は35人)。小3からも33人クラス(全国基準は40人)。手厚い教員配置によって非行は少ないといわれる一方、なぜか学力は上がってこない(全国の小中学生を対象に実施される全国学力テストの結果、福島県平均が数学A,Bとも全国平均を下回るという結果が出ています)・・・不思議です。

平三小のモットー「負けじ魂」。ぜひ負けないよう、頑張ってほしい、と思います。
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今年、いわき市内の小学校に入学したのは、2,691名。また中学校の入学者数は、3,049名。一学年の生徒の減少率は6年間で12%。ざっくりいって、1年に2%ずつ子どもの数が減っていく計算になります。

ちなみに入学者数ベストスリーは、小学校が、泉小学校の167名、泉北小の124名、植田小の90名です。中学校は、泉中の262名、平三中の197名、小名浜一中の188名です。例外もありますが、南部地域にマンモス校が増えているようです。

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校庭が入学式出席の父兄用に臨時駐車場に成っていました。小さい体の小1が自分の体より大きいランドセルを背負って徒歩で登校しますが、その保護者は入学式に列席するために自家用車でやってくるという光景も、興味深いです。。。

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五年前の東日本大震災では、津波被害・原子力災害等がクローズアップされることが多いです。一方、地震による直接的な被害もあります。具体的には、地盤沈下です。建物は、揺れによる被害は少ないものの、地盤沈下によって、亀裂がはいっていて危険な場所が残されています。

復興予算を重点的に配分してきたため、緊急性が低いところの補修は後回しになってきました。震災から5年経過し、市の一般財源であっても早期に補修すべきところが見えてきているのではないでしょうか。

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私立保育園の保育士の給与は、公立の7割の水準

全国的に、幼稚園教諭・保育士の給与が低い!と叫ばれて、幾久しいです。幼児教育の重要性は、論を待たないところですが、それを担う、幼稚園教諭・保育士の待遇が一向に改善されないのは何故か考えてみました。

<幼児教育の経済学 社会的流動性と社会的包容力は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44715013.html

全国的にみて、保育士や幼稚園教員の賃金は全産業平均より月11万円ほど低く、保育士の確保が難しくなっているそうです。待機児童の解消のために人材を集めやすくする狙いで、保育士や幼稚園教員の賃金を引き上げる事業者に助成金を支給し、1人あたり平均で月1万円の賃金上昇を想定する提案が出されているようです。それにしても、全産業平均より月11万円ほど低い現状に対して、1万円増やしてもどれだけ効果があるでしょう???
 
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全国はともかく、いわき市内ではどうでしょうか。市内の保育士の給与の現状です。結論からいえば、公立保育園の保育士の給与が、私立のそれを大きく上回っています。議会での一般質問・答弁の内容から、年齢に沿った月額給与の推移グラフを推定・作成してみました。

縦軸:月額給与、単位(万円)
横軸:年齢
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まず公立保育園の保育士の給与ですが、20才 15.9万円、25才20.7万円、30才24.1万円、35才29万円、40才32.7万円、45才34.2万円、50才35.2万円、55才35.7万円、60才37.7万円です。これは、いわき市の職員として給与テーブル(何等何号棒)に従って決められています。昇進のスピードの個人差はありますが、平均すれば市役所職員として他の職種と大きく異なることはありません。

問題は、私立保育園の保育士の給与です。私立なので月額給与は一般に公開されていませんが、2016年2月議会の一般質問で発言されたある議員の調査サンプルに基づいて推測すると、20才15.2万円、25才16.7万円、30才18.1万円、35才20万円、40才22.7万円、45才23.2万円のようです。

就職当初は、公立と私立で大きく待遇は違わないものの、勤務年数の経過とともに待遇の格差が広がり、45才時点では、月額給与で11万円もの差が出ており、私立保育園の給与は、公立の7割に満たないことが明らかになりました。同じ職種で同じ 業務にもかかわらず、民間給与は、公立の7割の水準なのです。

冷静に考えれば、保育士を目指す短大・大学生が目指すべき合理的な選択は、市職員として公務員試験で採用され、公立保育園で保育士としてキャリアを積んで行くことです。しかし公立には採用枠があり、その採用試験に漏れた保育学部・保育学科生が民間保育園にまわっているわけです(もちろん私立保育園の良い学習方針に惚れて、その保育園で働きたい等の例外もあります)。金銭的な待遇だけで現状を極めて単純化すれば、公立保育園で保育士が勝ち組、私立保育園で保育士が負け組という構図です(もちろん、例外もあります)。

私立保育園では低い待遇にがまんできず、結婚を理由での退職を筆頭に、さまざまな理由をつけて途中で保育士としてのキャリアを止める例が後を絶ちません。公立保育園の保育士の途中退職が極めて少ないのに対し、民間保育園の退職率は高く、勤務年数は非常に短いのです。民間保育所でも独自の教育方針を持ち、立派な教育を施そうという気概のある園はたくさんあります。しかし、それを実現する保育現場のベテランが育ちにくい民間の現状では、保育の質を確保することが難しくなりつつあるという面があるわけです。

では、どうすればよいか1。
保育をすべて公立保育園で担当する、ということが考えられます。すなわち民間保育園をすべて廃止して、公立保育園に転換していくということです。自治体の負担はとても重くなりますが、民間保育士は公務員となることで、待遇や給与は確保され、これまでより大きく向上しますので、そこからの退職率は大きく改善するでしょう。ベテランが増えるため、保育の質に寄与するはずです。一方、自治体の負担増とともに、民間の発想からのオリジナルの良い教育方針や機動性がなくなるデメリットがあります。そして最大の課題は、私立保育園にこれまで私財をなげうって保有・経営してきた、民間の教育者の処遇をどうするかの問題に対する適切な解決策が見当たらないことでしょう。保育園の土地や建物をどう買い取るか、民間の教育者・経営者としての今後のポジションをどうするか等について、一律の対応を決めることはできないであろうからです。したがってこのアイデアは、現時点では、荒唐無稽・非現実的といわざるをえません。

では、どうすればよいか2。
目的は、民間保育士の給与を上げることだとすれば、まず私立保育園に対する補助金を上げることが考えられます。私立保育園の経営は、家庭からいただく保育料もありますが、保育士の給与をメインとする運営経費の多くが、自治体からの運営補助金で支えられています。これまではその運営補助金がカツカツだったので、経営上、保育士の給与を上げたくても上げられなかったのです。ただ課題は、運営補助金の金額を上げても、必ずしも保育士の給与改善につながるわけではありません。保育士の給与を上げるかどうかは、私立保育園の経営者次第だからです。うがった見方をすれば、経営者が隠匿するのではないか?という疑惑です。そうでなくても将来の不確定要素に備えるため、園に内部留保することも考えられます。では、経営者を介さずに、ダイレクトに自治体が、保育士に対して給与の補填をする(例えば5万円/月)のはどうでしょうか。しかしながら一見良い政策のように思えますが、その分、経営者が保育士の基本給を下げてしまえば、元の木阿弥になってしまいます。

では、どうすればよいか3。
なかなか解決策が見つからない現状ですが、キーとなるのは、私立保育園に対する地方自治体の指導監査権限だと思います。認可園は、補助金が出ているため自治体による監査があります。財務関係や運営費の支出割合など経理的な監査、構造や、設備、入所人員などの設備や運営面での監査、保育に関わる日誌や給食の提供に関わるような監査、適切な保育がされているかどうかの監査等、さまざまな視点から、不適切な部分がないか、不足な部分がないかなどを精査され、必要に応じて、改善命令がでたり、指導があったりします。この監査の際に、民間保育士の待遇に注力してもらえないでしょうか。すなわち、上記で上げた私立保育園に対する補助金増とともに、保育士の待遇改善金額を具体的に指示して、園に実行させ、それを定期的に監査でチェックするという仕組みです。これとて完璧なものではないでしょうが、民間保育士の給与改善のひとつの解決策ではないかと思っています。

生活保護世帯の大学進学率は20%

貧困の連鎖を断ち切ろう!という標語をよく耳にします。実際に調べてみると、生活保護世帯の高校進学率が一般家庭よりも低い。

<生活保護世帯の高校進学率は、約90%は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47025483.html

さらに、大学進学率は顕著で、全国平均71.3%、福島県平均67.2%、いわき市平均62.7%に対して、いわき市内の生活保護世帯の大学進学率は、たった20%です。いわき市平均から、40ポイント以上も低いことになります。これでは、「貧困の連鎖」を断ち切ることはできないでしょう。

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生活保護世帯の大学進学率が低い原因を、精査していく必要があります。生活保護マンガ、「神様の背中」に、セイホに育った子どもが、(学力があっても)大学進学を早々に諦める姿が、生々しく描かれていました。

<神様の背中 さいきまこ著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/45613440.html

生活保護世帯に育ち、精神障害からくる母親のDVに耐えながら育った子は、仮に学力があったとしても大学へは進学しない。なぜなら奨学金は限定されるし、進学すると自分の分の生活保護費は支給されなくなるから。大学を卒業しても就職できたとしても、家族は一蓮托生、入社早々から精神障害を持つ母親を養い、医療費や介護費を負担しなければならない。さらに奨学金も返済しなければならない。ならば定時制でも高校までいけばそれでよい。次の世代も貧困の中にいる。そこに希望はない。

「生活保護受給は立派な社会保障制度のひとつです。国民なら誰でも利用する権利があるんです」「権利があるんだから利用する」と、著者は登場人物にいわせています。確かにそうかもしれない。ただ生活保護だけが、ラストリゾートとしてのセーフティネットというのは、持続的な仕組みでないし、(生活保護受給世帯と、保護をうけていない貧困世帯の間で)公平でもない。その希望は、次の世代が、きちんと進学して、足かせなく、自分の道を歩いて行けるように環境を作ってあげることなのではないか。
 

生活保護世帯の高校進学率は、約90%

生活保護世帯の高校進学率は、約90%です。これを高いとみるか低いとみるか。ちなみに、いわき市内の中学3年生の高校への過去3年間の進学率は、平成24年度は98.0%、平成25年度は98.3%、平成26年度は97.8%です。それに対して、市内の生活保護世帯の中学3年生の高校への過去3年の進学率は、平成24年度が90.0%、平成25年度が89.7%、平成26年度が91.4%です。

いわき市の場合、過去3年間の生活保護受給世帯の高校進学率は、いわき全世帯の高校進学率を、10ポイント近く下回っていることになります。「貧困の連鎖」という言葉があります。生活保護世帯で育った子供が、大人になって再び生活保護を受けることです。平成18年に関西国際大学が行った実態調査によると、貧困の連鎖の発生率は25%だったそうです。生保の家庭で育った4人のうち1人が、また生保になるということです。なんという税金の浪費でしょうか。この貧困の連鎖を断たねばなりません。社会的損失を防がなくてはなりません。それには生活保護受給世帯の子供たちが、安定した環境できちんと学習活動をし、高校に進学してきちんと卒業し、安定した仕事に就いてもらうことです。将来、自立のための資格を取得したり、就職を有利にするには、高校を卒業することが大切だと思います。

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<平成27年9月議会 学力向上への取組みについては、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/45363311.html

 

平三小で租税教室しました

税務署主催の租税教室が、いわき市内小学校のいくつかで開催されています。これは小学校六年生を対象に、税金の意義や役割等を、知ってもらうというもの。私の母校である、平第三小学校に講師として派遣していただけました。

小学生は、法人税や所得税等の主要な税金について触れる機会がないので、それを学ぶということは、正直、ハードルが高いです。一方、消費税は誰しもやりとりしていますし、税率の問題を出したところ、ほぼ全員が8%ということを知っていました。

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税金がある現実の世界と、税金がない世界(パラダイス?)の、映像を見た上で、税金の役割をまず考えます。その後で、税金が使われて作られているモノと、税金が使われていないモノを分類。小学生にカードを渡して、分類してもらったのですが、一発で全員合格!小学六年生、理解度が高いです。

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昨今、ADHD等をはじめとする発達・学習障がいや、学級崩壊等を耳にする機会が多かったので、ある程度、講義がうまくいかないのを覚悟してきました。しかし、その心配は全くの杞憂でした。みんな真摯に耳を傾けてくれ、積極的にクラスに参加してくれました。生徒だけでなく、そのセットアップをしていただいた先生方に感謝です。

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実は、講義の一番の関心は、現金1億円(相当)の札束を、実際に、それぞれの小学生が手に持つことでした。当初はやりたい人だけ限定と思っていましたが、ほぼ全員がやりたい!という手があがったので、全員に持ってもらうことに(けっこう時間がかかるんですよね)。

現行の仕組みでは小学校の授業料や教科書はもちろん無料ですが、もし税金を使わずに私費だけで賄うとすると、授業料は月額約7万円になるそうです。6年間で、約510万円です。今回90人の生徒が参加しましたので、ここにいる生徒にこれまで4億5千万円の税金が投入されてきた計算になります。それだけみんなに期待しているので、一生懸命に勉強してくださいね、という話で締めくくりました。小学校校舎が約10億円かけてつくられていることや、教科書の実費の金額等、改めて自分も勉強になりました。

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児童養護施設 子供の家を視察しました

児童養護施設とは、保護者のいない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護する施設です。雑駁にいうと、養ってくれる親がいない子のための生活の家の提供です。入所する子は、3歳~18歳までここで10年以上暮らし、ここから小・中・高校に通学します。タイガーマスクに出てくる、孤児院「ちびっこハウス」みたいなものといえば、イメージが付くでしょうか。見た目は大きめのアパート?という感じで、表札もないので、一見して児童養護施設とはわからない。

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社会福祉法人 子供の家は、東京都清瀬市にある施設で、児童福祉法に基づいて運営され、東京都が社会副法人に運営を委託しています(財源は国1/2、都道府県1/2)。入所定員42名に対し、職員配置は約40名です。ホームは、子どもたちは原則、個室が与えられ、5-6人ごとに職員と一緒に共同生活します。(建物内部の写真はNGなので、ありません)。食事は処遇職員が調理をし、子どもと一緒に配膳をして食べます。中学生の部活動の時間や、高校生のアルバイトの時間などもできるそうです。これを365日、24時間、10年以上続けるわけですから、職員は、もう「親」みたいなものでしょう。

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施設長の早川氏に、社会的養護の現状と背景について、お話しを伺いました。社会的養護の類型で一番多いのは、児童養護施設で、全国に601施設、28,183人が利用している(2014年度)。それに対して国の児童入所施設措置費等は、1076億円(2015年度)。1施設当たり約2億円が投じられていることになります。それを高いとみるか安いとみるか。短期的には、建物を作り、スタッフを24時間張付けて、子どもを育てることは、非常にコストがかかります。しかしそれによって、こども達が犯罪に手を染めることがなく、きちんと定職に就くことができれば、将来の犯罪取り締まりのためのコスト削減、就労による所得税収増につながり、元がとれる(投資に対するリターンが良い、コストパフォーマンスが良い、と言い換えても良いかもしれません)ということ。

スタッフの疲弊が課題。24時間、365日勤務で、ハウスでの宿直もあるため、職員の定着率がよくない。職員が定着しないと、こども達も不安になり、生活が乱れる。そうすると職員の業務はさらに大変になる、という悪いサイクルを断ち切らなければならない。そのためにもスタッフの質(給料待遇)・量(人員数の確保)は、最大の課題。

2000年に「児童の虐待の防止等に関する法律」が施行されたのを機に、児童虐待の通告件数自体はそれ以前の1998年の6,932件から、2014年は88,931件にまで毎年増加を続けている。児童相談所全国共通ダイヤルの三桁化(「189」いちはやく)も、虐待通報のハードルを下げたという点で評価できるが、一方、通報すればそれで虐待が解決されるわけではないということに注意。地域の方も、虐待通報する前に、母子家庭に手を差し伸べ一緒に子育てしてあげることが必要。

社会的養護の背景には、過程の状況がある。入所者のほとんどが一人親、それも実母のみというケース。離婚による場合、父親が育児を放棄し、また養育費を支払わない。養育費を支払っている父親は2割のみ、また母親が就労してもその平均年収は183万円、相対的貧困率は58%といわれている。生活保護を受給できている家庭は、約1割のみ。そういう厳しい経済環境で、多忙に働き育児に疲れきった母親による虐待があるが、放棄し虐待の要因を作った父親の責任はもっと重い。

保護者は、単親、低学歴、低所得に加え、社会的孤立が特徴。社会も、疲労しきった母親に手を差し伸べないので、児童虐待は、親や特定の個人の問題ではなく、もはや社会の問題といえる。

児童扶養手当は、ないより良いが、それほど有効ではない。こども3人世帯で満額受給できても5万円。それも年収200万円を超えると減額されてしまう。

日本の社会的養護は、2歳までが「乳児院」、3歳になったら「児童養護施設」に措置変更となり、子どもは施設を移動することになる。愛情が必要な時期に、法律が違うからという理由で、慣れた場所、慣れたスタッフから引きはがすのは問題。

「母親」に対する社会的期待が大きすぎるのではないか。母親は、産んだら育てて当たり前、それができなかったら母親失格、ダメな人という母親の自己責任論は、悪いスパイラル。産むことへの賞賛・見守り・支援が必要。また育てる親へのキャリア支援・経済支援があるべき。
  
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辻由起子氏(大阪府知事認定こども家庭サポーター)からは、高齢者関連給付費と、児童・家庭関連給付費の割合が、13対1であるという驚愕のデータが示されました。将来を担うこどもに対する支援と、これからの余生を楽しむ高齢者に対する支援と、これほどまでに差があるとは。

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NPO法人 タイガーマスク基金の代表理事 安藤哲也氏から、ジュースの売り上げの一部が、自動的にタイガーマスク基金に送られ、それが、児童養護施設卒業者の大学進学する際のお祝い金に使われるという仕組みについて、説明をいただきました。

上述のとおり、18歳になると施設を出なければなりません。そしてその日から、食事も家賃も水光熱費も衣服費も、なにもかも全て自分で調達しなければなりません。当然、大学進学するための学費もです。これまで、大学進学に対する援助の仕組みがなかったため、卒園者の大学進学率は12%に過ぎなかったそうです(日本全体の大学進学率は、50%超)。これを援助することで大学進学率を高めたいとの目的で運営され、これまで3年間で100名の子どもたちに大学進学のための支援金給付をしてきたそうです。初年度12万円、2.3.4年進級時にそれぞれ6万円です。

なお、安藤氏は、NPO法人ファザーリング・ジャパンもやっており、「父親の子育てへの関与が社会を変える!」という活動をされています。私の理解した範囲では、父親の子育てへの関与が、子どもの発育に良い影響を与えるだけでなく、無駄な深夜残業をせずに早く帰宅することが、個人の幸せだけでなく、日本企業の生産性向上につながる。それはまた、生産性が高い短時間労働のニーズともなり、これまで社会に出てこれなかった女性の勤労機会となり、これも日本企業の生産性向上につながる、というものです。これには、納得し賛同しました。

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学生には、必ず支援者に対する(見たこともない支援者に対して)御礼の手紙を書くように指導しているとのこと。それに対して、タイガーマスク基金を通じて寄付者から、(見たこともない学生に対して)激励の手紙をいただくこともあるそうです。幸福の連鎖ですね。

施設の外には、協力団体として活動している「NPO法人 タイガーマスク基金」による自動販売機が設置されていました。
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保育園義務教育化 古市憲寿著 母親だって人間であり、万能な超人ではない

保育園を義務教育にしたら?という大胆な提案をしているのが、社会学者・古市憲寿氏です。それによって子供の学力は向上し、児童虐待は減少し、景気も向上、母や子供、日本を救う少子化対策!とのふれこみです。ここでの「義務教育」の意味は、0歳から小学校にあがるまで、国に、(親から求められたら)誰でも、好きなだけ、無料で、子どもを保育園で預かり、教育(保育)をしなければならないとする義務を負わせてはどうか、というものです。

(著者曰く)
「保育園義務教育化」はただ少子化解消に貢献するというよりも、社会全体の「レベル」をあげることにつながる。良質な乳幼児教育を受けた子どもは、大人になってから収入が高く、犯罪率が低くなることがわかっている。
同時に「保育園義務教育化」は、育児の孤立化を防ぐ。今の日本では、子育ての責任がとにかく「お母さん」にばかり背負わされている。子どもが電車や飛行機の中で泣くことも、学校で勉強ができないことも、友だちと起こしたトラブルも、何かあると「お母さん」のせいにされる。だけど、本当は育児はもっと社会全体で担ってもいいもののはずだ。しかも子育て支援に予算を割くことは経済成長にもつながる。いいことずくめなのだ。

この国は、(時として母親の人権さえ認められないほどまでに)母親に育児の負担を押し付けてきている。母親だけが子育てに専念してきた時代など、長い歴史を通じても、せいぜい1980年前後の20~30年間程度。安心して子どもを持つことができない国で、少子化が止まるわけがない。6歳までの教育環境は人格形成にものすごく大事で、幼児期によい環境を提供する施策は国として、コストパフォーマンスの優れた事業である。いっそのこと、保育園(幼稚園や家庭的保育なども含む)を義務教育化してしまってはどうだろう。

著者の主張は、明快。保育園の義務教育化は、国が本気で少子化対策に必要と考えるかどうかでしょう。全員分の保育園を整備するのにいったいいくらかかるのか、財源論と政策効果等の推計をしてみるべきかもしれません。
 
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(保育士の待遇について)
考えてみると、大学・高校・中学・小学校の先生に比して、保育園・幼稚園の先生ほど冷遇されている職場環境はありません。日本において保育士(幼稚園を含む)の給与は安いというのは常識です。単にこどもが好きだ、という気持ちだけでは続けられず、いくら短大を卒業して保育士になっても、若い年齢での離職が続いています。私立保育園経営にとっては、安い給料で若い保育士が雇えるということで良いかもしれませんが、経験豊富なベテラン保育士が育ちにくい。北欧では低年齢を預かる保育士が最も資格取得が難しく、かつ給与も高いと聞いたことがあります。考えてみれば、一番手がかかり、目が離せず、人間として大幅に成長する重要な期間の保育を担うのだから、高給のほうが自然かもしれません。しかし、現実に日本では「保育=教育でなく、代わりの保育士はいくらでもきく」くらいの位置づけではないか。だからこそ、保育士の待遇は低いのかもしれません。

(女性に求められる役割について)
初めての出産・育児をする母親にとって、まだ「人間」とはいえない赤子と24時間一緒に過ごし、寝不足のまま、やるべきこともわからず、出口が見えない、正しいルートもわからない暗闇を走れといわれているようなものです。そして父親は「育児は母親の仕事だから」と丸投げ。あげく、いつまでも綺麗な妻でいてほしい、家事もやってほしい。さらにはこどもを産んでも働いてね、なんてのは、無理ってもんです。完全に疲弊します。心を壊すかもしれないし、子供に手をあげてしまっても、むげには責められないのでは。

(解決策はあるのか)
ママが疲弊する前に、育児のプロである保育園・保育士に、もっと頼ってみてはどうでしょう。働く母親はもちろん、働きたいという気持ちがなくとも、週に一度でも預ける場があれば、どれほどの心の余裕を母親に与えるか計り知れません。充電した上で、より濃く愛情を注げることができます。それが子どもの成長に良い、というエビデンスがある以上、反対する理由はないでしょう。

母親だって人間であり、万能な超人などではありません。女に「超人」と求めるなら、男もそうでなくてはならない。それができないなら、母親を人間扱いできる社会の枠組み作りをしなければならないと思います。
 
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国民の修身 低学年用 渡部昇一著

修身は、戦前の小学校で教えられていた現代の道徳にあたる科目です。本書では小学校1-3年生の修身の教科書を再現しています。豊富な挿絵と文章が収録されていて、文字の大きさや1年生用のカタカナ表記もそのままらしい。単にイラストと文字をコピーしてきたのではなくて、総ルビ・現代語訳・用語解説も付いて 子ども達でも読めます。ひとことでいうと、そこには日本人としての大切なことがわかりやすく説かれています。昨今の教育改革の中で、道徳教育のあり方が問い直されていますが、日本人の原点を振り返るのにふさわしい一冊です。

正しい日本人の姿がここにある。二宮金次郎や「三本の矢」の元となったエピソードなど、昔の日本人ならば誰もが知っていた話も多数掲載されています。

■1年生:よく学び よく遊べ/兄弟仲良くせよ
■2年生:自分のことは自分でせよ/恩を忘れるな
■3年生:堪忍/よい日本人

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監修の渡部昇一氏は、80歳代になって、幼少時に良い話を聞かせることの重要性に気がついたそうです。自分で考え出した名案と思っていたことが、実は、昔からあった話で、小学生のころに聞かされていた話だった。「子供の時に読んだ話は、そのときに感心してもすぐ忘れる。しかし10年も20年も経ってから、人生のある局面においては、昔読んで、感心して、忘れていたような行動を選択するものなのではないか。」よい話は記憶の底に刷り込まれ、行動に現れるのかもしれません。

「正直であれ」「人の過ちを許せ」「恩を忘れるな」「規則に従え」「人の難儀を救え」「行儀よくせよ」「生き物を憐れめ」「仕事に励め」「学問をせよ」「師を敬え」「自分の物と他人の物」など、人間としての基礎としての教育を受けていたからこそ、日本という美しい国柄が保たれてきたのかもしれません。現在の小学校で教えられている道徳の授業は、なにか空虚で、子ども達に聞いても、「時間の無駄」「何をいっているか意味わからない」そうです。大切な教科であるはずなのに、どうも方向性を誤っているような気がしてなりません。今こそ、修身教育の本質を再度捉え直し、現代に合うように構成しなおして、再現するべきだと思います。

 

「つなぐ教育」教育講演会 ベネッセコーポレーション

「つなぐ教育」教育講演会 子どもが伸びる、学力向上のための親の姿勢、関わりと題した講演会が、小名浜市民会館で行われました。登壇されたのは、ベネッセコーポレーション小中学校事業部の岡田行弘氏です。特徴的なのは、主催者が、いわき市立小名浜第一中学校の鵜沼淳校長と、同地区の小学校三校の校長先生であったことです。全国の小中学生を対象に実施される全国学力テストの結果、福島県平均が数学A,Bとも全国平均を下回るという結果を受け、危機感を持っているそうです。

岡田行弘氏は、全国学力・学習状況調査の考察でも関連性が指摘されているとおり、まず学習と生活の関係について、言及。そして、子どもが生きている社会状況を大きく展望した上で、学力向上につながる親の姿勢,小中学生の生活と学力との関係についてご講演いただきました。子どもたちの自立・自律に向けて、家庭・学校・地域社会が一体となって働きかけをしっかり行っていくことが改めて示されました。
 
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ひとことでいうと、「学力は学校だけでは決まりません」。「子どもたちに生活をコントロールする力が身についていますか?」

<子どもが伸びる五箇条>
1. 生活の基本的な条件を家庭が整備する
2. 子どもに対する高い関心を持つ
3. ポジティブなかかわりを中心とする
4. かかわり方や程度は発達によって変える
5. 子どもは親の背を見て育つ、を自覚する

結論:「子育ての主役は保護者」

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とてもよい話でした。たくさんの父兄に話を聞いて欲しかったです。それにしても収容人員1000名の小名浜市民会館は、大きすぎたでしょうか・・・

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会場の小名浜市民会館は、1960年にオープンした小名浜地区にある多目的ホールで、地元の方に親しく使われている施設です。しかし築55年で老朽化は否めません。施設の集約化・多機能化は避けて通れないし、早急に方針だけは決めないと、場当たり的な補修費ばかりかさんでくることになるでしょう。

<小名浜市民会館の雨漏りは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44732297.html
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いわき体験型経済教育施設Elem(エリム) ファイナンスパーク 市民ボランティアに参加しました

2015年5月に「いわき体験型経済教育施設Elem (エリム、アラビア語で教育の意味)」がオープンしています。Elemでは、小5向けのスチューデントシティ、中2向けのファイナンスパークという体験学習を提供しています。そのうち、中2向けのファイナンスパークに、学習支援の市民ボランティアとして参加しました。仮に決められた自分の年収や月収に応じて月々の家賃・食費・被服費・娯楽費・交通費・投資・預金などのお金(家計の収入や支出)に関する意思決定を行い、自らの関心事や希望するライフスタイル等に基づいて将来の生活設計を体験的に考えるというプログラムです。

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いわき市の全ての中学2年生が招待されていますが、本日は豊間中、植田中の生徒約200人が、18テーブルに5-7人ごとのチームに分かれました。全体の進行はElem専属の先生が仕切るのですが、各チームごとに、私のような市民ボランティアがついて、生徒の学習支援のお手伝いをしていきます。9:00amに開始して、30分のランチタイムを挟んで、15:10まで、みっちり経済を体験します。

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この経済体験プログラムは、公益社団法人Junior Achievementが提供しており、1919年に開始され、現在では世界123カ国で同プログラムを展開しているそうです。日本では、15年前に品川区が導入し、京都市、仙台市、そしてここいわき市の4カ所でのみ展開しています。仙台市・いわき市は、東日本大震災を契機として、中東カタール国からの資金援助を受け、建設されました。プログラムは共通ですが、いわきの実名企業(常磐共同ガス、いわき市水道局、タイヘイドライバーズスクール、源グループ、パレスいわや、ひまわり信金、いわき信用組内等等(敬称略))が登場しますので、臨場感満載です。

<カタールフレンド基金に当選!は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/19589234.html
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参加者それぞれが、一成人として1ヶ月間の支出をどうコントロールしていうかを体験学習するのですが、すでに個人情報としてそれぞれ別の、年収・年齢・家族構成・所得税・年金・支払保険料等が、事前に与えられます。その前提で、17種類の支出+株式市場の動きを、自らの選択・意志を決定するというものです。17種類の支出の項目としては、住宅・車のローン支払、食費、外食費、お稽古ごとの費用、水道光熱費、携帯電話料金、慶弔費、レジャーとしての旅行代金等があり、これらを家族構成と年収の範囲内でどうやりくりしていくかを考えていくわけです。チーム内で、すでに年収ベースで、数百万円の差がついているケースもあり、裕福であればふんだんにモノが買えますが、年収が限られていると購入できること、やれることに大きな制約ができてきます。また読唇であれば、旅行費用や外食費は一人分ですみますが、妻・子ども2人いれば、それぞれ4人分が必要になってきます。

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まず生徒が悩んだのが、購入する車種の選択です。多くの生徒が、かっこいい2シーターのスポーツカーを選択しました。これには男女の例外はありません。また住宅としては、なるたけ新築で広い(できればマンションタイプ)ものを選択しました。それから、週に1回は家族で美味しいモノを外食したい、等等の希望がでてきます。そして、それらの1ヶ月の支出を合計すると、、、、収入を大きく上回っていることに、愕然とします。

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そこから、支出の内容を見直し、支出額を減らしていくのですが、その過程と苦悩がおもしろい。まずはかっこいい車を、セダンにそして中古車に、そして走行距離が長いものを選択していきます。なぜならその方が月額のローン金額が少ないから。それでも予算に足りないので、次に住居費を削っていくことになります。当初3LDK新築マンション!といっていたのが、2DKの民間アパートになったりします。それでも足りなければ外食費を削る!こどものお稽古事を削る!等、だんだん過激になってきます。

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冗談みたいですが、夫(妻)は外食に連れて行かない!とか、自分は外食しても注文しないで、家族に食べさせることを優先する!など、いろんな家族愛が垣間見れました。ゲームを通じて、独身貴族の贅沢だけれど孤独な生活、貧乏人のつましい子だくさんの生活、お金持ちだけど生活の固定費が高くて楽でない現実等を体験していました。

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この体験学習の終了後に、感想文を書いてもらいました。その中で圧倒的多数の感想は、①楽しかった!です。これまでオカネに対して、あまり深く考えたこともなかったけれど、どういうふうに毎月のオカネが流れているかわかって楽しかったということ。そして2番目の感想は、②オカネの大切さがわかった!ということ。毎月限られた収入・予算を赤字にならないようにどうにかしてやりくりしなければならないし、オカネを大事に使わなければならない、ということ。3番目の感想は、③両親への感謝!です。オカネのやりくりを毎月やってくれ、さらには基礎となる収入を得るための活動をしてくれている両親へ、改めて感謝したい、ということでした。

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さらに考察を深めた生徒は、「今、やるべきことは何か?」「将来の収入を得るために、今、力をつけがんばらねばならない!」等まで、考えているようでした。オカネの使い方を通じて、勤労の対価としての報酬金額、どういう家族になりたいか、そのためにはどのようにキャリアを作っていけばよいか等を、考えるきっかけになったのではないかと思います。非常に良いコンテンツ、学習機会の提供です。ぜひ運営のノウハウをさらにレベルアップし、それを次の運営スタッフに継続し、いわきのこどもたちが、充実した人生を送れるような装置となるように、期待しています。

末筆となりますが、運営に大変な尽力下さっている教育委員会の先生方、ボランティアに参加いただいている学校関係者、保護者、市民ボランティアの方々、さらには建設にあたって資金提供くださったカタール国、アレンジに尽力くださった三菱総研、さらにはいわき市のご担当者の方々らに感謝申し上げます。

注)上記写真は、いわき市教育委員会の許可を得て、撮影しております。

平成27年9月議会 一般質問しました3(偉人教育について)

平成27年9月議会 偉人教育について
7番 吉田みきと
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黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁 

3. 偉人教育について
(1)  郷土資料集
(ア) 現在配布している郷土資料集
配付資料をご覧下さい。こちらがいわき市の郷土資料集で、現在、小学校の社会科の時間において使用され、いわきの地理や産業、歴史、文化等が詳しく、楽しく、わかりやすく紹介されている資料であります。いわき市教育委員会に所属されている委員の先生方が中心となって、毎年改訂に次ぐ改訂を重ねて現在の形になっていると伺っております。大人の私が読んでもその記載内容は非常に興味深く、また最新の情報・写真等も掲載されており、その制作にかける努力に敬意を表するところであります。この郷土資料集は、小学校社会科の授業の副読本という位置づけと伺っておりますが、どのようにして配布しているか伺います。

(教育長答弁)市教育委員会が毎年編集・発行しています「郷土資料集いわき市」につきましては、毎年度始めに、小学校3年生を対象に、無償で配布しているところでございます。

(イ) 郷土学習の時間
その資料を教育現場で使用し地域の学習を何時間程度、学習しているか伺います。

(教育長答弁)学習指導要領においては、小学校3年生、4年生の社会科で、地域の産業や消費生活の様子、地理的環境や地域の発展に尽くした先人の働きなどについて学習することになっております。
各学校においては、主たる教材である教科書と市教育委員会発行の郷土資料集を併用しながら、小学校3年生、4年生合わせて160時間程度の学習をしております。
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(ウ) 郷土の偉人を紹介する資料
政府がすすめる地方創生において、地方への若者定住が盛んに叫ばれています。その前提としてそこで生まれ育った者が郷土を愛し、住みたくなること、郷土を誇れるということがあります。それがあってはじめて市外の方も移り住みたくなるのではないでしょうか。そのような郷土愛の根本は、親や兄弟や地域の人たちに育ててもらったから、さらには地域の先人達が残してくれた文化やインフラや産業等の生活の糧があったから、これまで育つことができるようになったのです。6月議会においても、わが清政会の磯上佐太彦議員が、いわきの先人である武術家の国井善弥氏をとりあげましたが、現代人の生活は先人達の活動を礎として成り立っております。その意味で、郷土の偉人、先人の歩みを知ることはとても大事で、いわき市郷土資料集はとても意味のある冊子であります。
惜しむらくは、この資料集では先人の活動を紹介するページが1ページしかないことです。そして先人の活動紹介は、一人あたりそれぞれ3行しかないことです。これでは残念ながら、先人の活動やその思い、ドラマ、人間くささが伝わってこない。ぜひ子どもたちには、先人の功績が単にうまくいったということでなく、いろいろな思いがあって、紆余曲折があった上で、功績を残せたということを知って欲しい。そして勤労や勤勉の大切さとともに、その先人の生き様を参考として、自分のこれから歩む道をしっかりと考えて欲しいと思っています。
そこで、郷土の先人の活動をより詳しく紹介していただきたい。将来的には「郷土資料集」とは別冊で「偉人資料集」を作って欲しいと思っています。お手元に配布の偉人資料集を見て下さい。こちらは金沢市が2012年に市の独自予算で制作した「もっと知りたい 金沢ふるさと偉人館 91人の偉人たち」というものです。金沢市が金沢ふるさと偉人館に委託して、小学生向けに郷土人物伝を編集・発行したものです。
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2013年には、この冊子が、金沢市内の全小学生4.5.6年生に配布され、教材として使われております。紹介スペースには一人2ページが割かれているものから、1ページに10人までさまざまですが、いずれも金沢、もしくは日本の歴史や産業に貢献してきた人達です。先人のにおいを感じるくらいの丁寧な紹介の仕方をしていますが、制作コストは1冊350円くらいだそうです。
いわき市においても、まずは現在使用されている郷土資料集の偉人紹介欄を丁寧に充実していただきたい。ぜひご検討いただきたく、市の所見を伺います。

(教育長答弁)郷土の学習をする際に、偉人を取り上げることは、郷土に対する誇りと愛情を育成する上で、非常に有用であると捉えております。
本資料集においては、学習指導要領に示された郷土の開発の学習において、小川江筋を取り上げ、その学習と関わって、澤村勘兵衛についても学習し、先人の歩みを知り、その工夫や努力、苦心などが実感できるように構成しております。
また、開発、教育、文化、産業の分野で活躍した郷土の偉人を紹介するページを設けているところですが、これについては、子どもたちが発展的に学習ができるようにというところのページでございます。
その他にも様々な偉人が数多く存在することから、学習内容との関わりを踏まえて、偉人を紹介するページの充実に向けてさらに検討して参りたいと考えております。

「小さく産んで大きく育てる」という言葉があります。郷土資料集の偉人紹介欄を拡充いただいたら、次のステップとして、金沢市のように、分冊として偉人資料集としてまとめて、こどもが興味を持てるように紹介していただきだく、ぜひ一歩一歩着実に進めていただきたいと思います。

(2)  偉人の足跡を紹介する施設
(ア) 偉人の足跡を紹介する施設
郷土の偉人・先人を紹介する場として、現在、市内にはどのような施設があるか伺います。

(教育部長答弁)郷土の偉人・先人を紹介する施設としましては、本市の名誉市民でもある詩人草野心平の足跡を紹介いたしました草野心平記念文学館及び生家がありますが、そのほかに郷土の偉人・先人を単独でまたは一堂に集めて紹介している施設は、現在のところ、ございません。

現在の郷土資料集には、7人の偉人が紹介されておりますが、彼らの足跡をもう少し知りたくても、草野心平記念館に限定されてしまっていて、小中学生にとっては、それ以外の人物についてわかりやすい資料や情報に触れることが難しいのが現状であります。

(イ) 常設のふるさと偉人館について
子ども達が自主的に先人の活動の調査を発案して、文献がある場所まで自ら行って、そして文献を読み解くことは現実的ではないと思います。郷土資料集以外で、事実上知る機会がないと思います。先人の活動をまとめて、パネルでの紹介や偉人ゆかりのモノを現物展示するような常設の場があれば、遠足の機会等で触れることができます。
ここで、先ほどの金沢市にある金沢ふるさと偉人館を紹介します。こちらは「郷土が生んだ優れた先人」を顕彰し、その業績を広く伝えるための博物館です。1993年の開館時は、金沢市ゆかりの人物5人だけを紹介していましたが、さまざまな分野で業績をあげた人びとを加え、現在では20人を超える人物の常設展示を行っています。資料や著作の展示、パネルによる解説などにより、その生涯や業績などを広く紹介する人物館です。特に、次代を担う子供たちには、見学や体験などを通じ、その偉業と生き方を知ると共に、こうした先人たちの研究の拠点ともなることを目的としています。ちなみに金沢ふるさと偉人館は指定管理者制度で運用されており、年間委託料は1,500万円、事業企画費は400万円程度と伺っております。

<金沢ふるさと偉人館は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44727752.html 
 
こういう偉人紹介施設をいわきにも持てないでしょうか。例えばいわき市文化センター1Fの科学展示室に偉人紹介スペースを設けてはいかがでしょうか。現在いわき市全部の小学校5年生、中学校2年生が一度は、東分庁舎の前にあるElemで経済体験教育を受けていますので、その帰りに文化センターの偉人紹介スペースに立ち寄ることができるのではないでしょうか。設置場所も含めて、こどもたちの郷土愛を醸成に資するための、偉人紹介施設についてのお考えを伺います。

(教育部長答弁)現在、市文化センター科学展示室をリニューアルする一環として、磐城平藩主の安藤信正をはじめとした本市にゆかりのある歴史上の偉人を紹介するパネルの展示等について検討しております。併せて、これまであまり知られていない郷土の偉人についても、地域の方々から情報を収集し、紹介していくことも検討して参りたいと考えております。
私の思いは、いわきの社会全体に仕事と希望があふれ、それぞれの死生観を持って頑張る者が報われる社会が実現することであります。子供たちは夢に目を輝かせ、大人は倫理観に基づく秩序を保ち、大人としての自信と誇りにあふれ、子供たちから尊敬されている社会です。すべての人が家族や地域との絆に幸せを感じ、ここに生まれてよかったと感謝できる社会です。
そんな地域となるためには、ひとづくりが第一であります。今回の一般質問では、とりわけ学習環境や学力、先人教育等の人財を育てる具体的な施策についてとりあげて参りました。清水市長におかれましては日頃から「歴史と文化を感じるまち」の実現を目指されると伺っております。その実現に向け、微力ながら全力でお支え申し上げることをお誓い申し上げまして私の一般質問を終了いたします。ご静聴、誠にありがとうございました。

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注)上記記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確には市議会公式HPをご確認下さるようお願いいたします。

平成27年9月議会 一般質問しました2(学力向上への取組みについて)

平成27年9月議会 学力向上への取組みについて
7番 吉田みきと
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黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁 

2. 学力向上への取組みについて
(1)  低所得世帯の子どもへの学習支援
(ア) 市内の中学3年生の高校進学率
市内の中学3年生の高校への過去3年の進学率を伺います。

(教育部長答弁)市内の中学3年生の高校への過去3年間の進学率につきましては、平成24年度は98.0%、平成25年度は98.3%、平成26年度は97.8%となっております。

(イ) 市内の生活保護世帯の進学率
市内の生活保護世帯の中学3年生の高校への過去3年の進学率を伺います。

(保健福祉部長答弁)生活保護世帯における高校進学率につきましては、平成24年度が90.0%、平成25年度が89.7%、平成26年度が91.4%となっております。

いわき市の場合、過去3年間の生活保護受給世帯の高校進学率の平均は90%でした。いわき全世帯の高校進学率は98%なので、10ポイント近く下回っていることになります。
今議会においても、高橋明子議員がとりあげた「貧困の連鎖」という言葉があります。生活保護世帯で育った子供が、大人になって再び生活保護を受けることです。平成18年に関西国際大学が行った実態調査によると、貧困の連鎖の発生率は25%でありました。生保の家庭で育った4人のうち1人が、また生保になるということです。なんという税金の浪費でしょうか。この貧困の連鎖を断たねばなりません。社会的損失を防がなくてはなりません。それには生活保護受給世帯の子供たちが、安定した環境できちんと学習活動をし、高校に進学してきちんと卒業し、安定した仕事に就いてもらうことです。将来、自立のための資格を取得したり、就職を有利にするには、高校を卒業することが大切です。

(ウ) 生活保護世帯の教育扶助の金額
そこで生活保護世帯への教育扶助の金額を伺います。
 
(保健福祉部長答弁)中学生に対する教育扶助の金額につきましては、学校給食費を除いた主なものといたしまして、基準額として4,290円、学習参考書等の購入費及び課外のクラブ活動に要する費用に充てる学習支援費として4,450円などが毎月支給されております。

中3で月9千円支給という教育扶助の金額は、学級費、PTA会費等の支払やノートや鉛筆等の学用品の購入に相当するものと思われ、とても授業を補完するための、もしくはもっと上の学校への進学を目指すための通塾費用にはほど遠く、事実上、生活保護世帯の子どもは塾に通いたくても、制度上通えない実態にあります。

(エ) 準要保護世帯への支援内容
生活保護は受けていないが、就学援助費を受給しているような、経済的に厳しい環境の家庭、いわゆる準要保護者世帯に対する学習支援の金額を伺います。

(教育部長答弁)本市の就学援助制度につきましては、現在、通塾費用に当たるような学習支援費は、特に支給しておりません。

代表的な就学援助費である学校給食費の負担額は、中学生で年間約5万4千円です。準要保護世帯はこれさえも支払うことが難しいために、市から支給してもらっているわけで、準要保護世帯は生活保護世帯と同様、子どもは塾に通いたくても、事実上通えない実態にあります。進学した後の方が良い仕事に就くことができ、長い目で家計を助けることになるという場合においても、今、目の前の家計の状況が厳しく、最低限の生活もできない状況であれば、将来の所得増加よりも、現在の所得を選ぶことになるのであります。

(オ) 生活困窮家庭への支援内容
生活保護になってしまう一歩手前で踏みとどまるための施策として、国が定めた生活困窮者自立支援法があります。その中に、学習支援事業というメニューがあり、これは貧困の連鎖の防止のため、生活困窮家庭の子どもへの学習支援事業であります。対象要件は各実施主体において、地域の実情を踏まえ対象者を設定するものとされており、要件を満たせば事業経費の1/2が国庫補助対象となるものです。
こういった国が定めた制度を利用して、国庫補助を受けられるような制度を設計し、経済的にめぐまれない家庭の子どもに対し、貧困の連鎖を防止するために生活環境を整え、学習の機会を設けることに対するお考えを伺います。

(市長答弁)生活困窮者自立支援法の任意事業の一つに、貧困の連鎖を防止するため、生活保護を含む生活困窮世帯の子どもに対し、学習支援や居場所の提供、進路相談のほか、親に対する養育支援などを実施する学習支援事業があります。
市においては、現在、生活保護世帯の子どもを対象に高校進学支援プログラムを実施しておりますが、今後につきましては、同プログラムの効果や本年4月に設置した生活・就労支援センターに寄せられました相談内容を分析・検討するとともに、先進自治体の取組みなども調査・研究しながら、本市における学習支援のあり方について、検討して参りたいと考えております。

埼玉県では、埼玉県生活保護受給者チャレンジ事業として、生活保護受給世帯の子供たちの高校進学率の向上を目指し、平成22年度から中学生を対象に高校進学を目指した学習教室を始めています。その学習教室には小学校で習う小数の足し算や分数を理解していない生徒もいるので、先生役の大学生ボランティアがマンツーマンで子供に付いて、一人一人の学力に合った学習支援を行っているそうです。この事業で、高校進学率が向上しています。平成24年度には中学3年生の対象者782人のうち316人の中学3年生が学習教室に参加し、その結果、309人が高校に進学し、教室参加者の高校進学率は97%となりました。事業開始前の平成21年度の生活保護受給世帯の高校進学率86.9%より11ポイント以上高くなりました。
また教室の会場は特別養護老人ホームの会議室や食堂を無償でお借りし、教員OBなどの支援員と大学生ボランティアが、指導しているそうです。老人ホームが会場だと、施設職員の方や入所中のお年寄りと施設の行事などを通じ交流することができ、こうした交流の中で、生徒の人間的な成長も期待できるそうです。
また、高知市でも「チャレンジ塾」という類似の学習支援の仕組みをやっており、福祉部局と教育委員会が連携し、生活保護受給世帯の中学生を対象とした学習支援を実施しています。やりかたとしては就学促進員が定期的に家庭訪問し、保護者へ事業参加への働きかけ等を行うものです。民間団体に委託して、教員OB・大学生などの学習支援員が週2回程度、市内5カ所で学習支援を実施したところ、平成24年度は生活保護受給世帯の生徒106人が参加し、中学3年生43人のうち41人が高校へ進学したそうです。チャレンジ塾のOBの子どもたちの中で、自分が大学とか卒業してもここへ教えにくると言ってくれている子どもたちが出てきています。次の後輩を自分が教えに行くということで、そういう意味でも非常にうまくいいかたちで回っているそうです。なお、この事業に対する予算額は平成26年度、平成27年度とも年間3,200万円であります。

私が申し上げたいのは、何も生活困窮者をことさら優遇しようとするものではありません。「情けは人のためならず」という言葉があります。生活困窮世帯であることを遠因として学習意欲に欠けてしまっている生徒に対する支援をし、家庭環境や学習環境を改善することにより、まわりめぐって、そうではない生徒にも良い影響をもたらすことができるということであります。ご存じの通り、30人あまりのクラス編成の中では、学習意欲に欠け、さらには他の生徒に悪影響を与える問題児がおります。教師はそういった問題児への対応に時間がとられ、他の生徒に接する時間が減ってしまう、また本来の目的である授業に集中できない等の問題があります。そういった学習意欲を持たない生徒が学習意欲を持つようになることで、その生徒の将来の可能性広がるだけでなく、教師の目が多数の生徒に行き渡りやすくなり、クラス内の他の生徒も安心して学習に取り組めることにもなるということです。クラス全体のためにも、ぜひ調査・研究を進めて頂きたいと思います。


注)上記記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確には市議会公式HPをご確認下さるようお願いいたします。

平成27年9月議会 一般質問しました1(放課後児童クラブについて)

平成27年9月議会 放課後児童クラブについて
7番 吉田みきと
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黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁 

1. 放課後児童クラブについて
(1) 運営の現状について
(ア) 運用学校数
放課後児童クラブは、児童福祉法第6条の3第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るというものであります。ここではいわゆる「学童」と呼びますが、これについて伺います。まず市内の小学校区で学童が設置されている割合をお示し下さい。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブにつきましては、平成27年4月1日現在、46クラブを設置しているところでありますが、一つの小学校区に複数のクラブを設置しているところもあることから、市内67の小学校区のうち、40の小学校区に設置しており、設置割合は60%となっております。

現在、市内では約2000名の児童が、学童に在籍しております。

(イ) 運営主体
学童の運営主体を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブの運営主体につきましては、クラブを利用する児童の保護者で組織された保護者会により運営されているものが27クラブ、保育園及び幼稚園等を運営している社会福祉法人や学校法人により運営されているものが14クラブ、その他NPO法人等により運営されているものが5クラブとなっております。

保護者会が運営主体となっているケースが大多数ということがわかりました。

(ウ) 平均的な終了時刻
学童の平均的な終了時刻を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブの終了時刻につきましては、各クラブの運営者が利用者のニーズに応じて、それぞれ定めているところであります。
平日の終了時刻につきましては、午後6時30分以前としているのが3クラブ、午後6時30分としているのが12クラブ、午後7時としているのが28クラブ、午後7時以降としているのが3クラブとなっており、平均では概ね午後6時50分となっております。

「小1の壁」という言葉をご存じでしょうか。これは、これまで幼稚園延長保育や保育園で18:00過ぎまで子どもを預かってもらっていたのが、小学校に入学し、16:00過ぎには帰宅するようになり、6才の子どもが両親の帰宅まで時間を過ごす場所がないという問題であります。
もっとも、これには両親が共働きであり、かつ自宅や近隣に祖父母がいないという前提です。本来であれば、愛情あふれる近親者に自宅にいてもらい、そこでともに時間を過ごすというのが理想ではありますが、現実社会ではそのような条件が揃っている家庭だけではなく、そのようないわゆる「保育に欠ける」児童を社会的に対応しようというのが、学童保育制度であります。
学童保育は保護者の児童の安全を守る場であるとともに、学齢期の児童が自立するための成長支援・健全育成を実践する場でもありますが、結果的に「仕事と子育ての両立」を実現するための、極めて有効なツールとなっていることも事実であります。もし学童保育がなかりせば、保護者の就労等に大きな不都合が生じることになります。

(エ) 平均的な市委託料
学童の運営に対するいわき市の補助、すなわち支払っている委託料の平均を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブの運営主体に対する委託料につきまして、平成26年度の実績で申し上げますと、平均で約486万円となっております。

(オ) 平均的な会費
保護者が学童の運営主体に対して、支払っている毎月の会費の平均額を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブの会費につきましては、各クラブが運営状況に応じて定めているところでありますが、平成27年4月1日現在の状況で申し上げますと、月額7,000円から1万6,500円の範囲内にあり、平均で約9,600円となっております。

先ほどの答弁のとおり、学童の運営の多くは、保護者会が直接行なっています。児童の親は月会費1万円程度を負担し、公費負担と併せ、それらを原資に保護者会が、指導員・補助員を雇用しています。多くの学童の運営費総額は年間10百万円-12百万円程度と伺っています。この運営費から5人程度の専属の指導員・補助員の人件費を負担し、備品購入、イベント開催費等を考慮すれば、運営は非常に厳しいといわざるをえません。

(カ) 対象者の属性
どのような児童であれば学童に入れるのが、その対象者を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブにつきましては、児童福祉法の規定に基づき、小学校に入学しており、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童を利用対象者としているところであります。

(キ) 学童クラブの効果
学童に通うことによって、児童及びその保護者が得られるメリットを伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブのメリットにつきましては、保護者においては、子育てと仕事等を両立することができるようになることは勿論、利用する児童においては、安心して過ごせる生活の場が提供されること、学習や友達との交流、遊び、体験活動等が放課後児童支援員の指導のもとに受けられること、各クラブで定められたスケジュールに沿って生活することにより、規則的な生活習慣を身につけることができることなどが挙げられます。

学童クラブの機能として、保護者の帰宅、お迎えまでの間の児童の健康管理・安全確保・情緒の安定、さらには適切な遊び・工作・季節の行事・誕生日会・飼育栽培等により自主性・社会性・創造性を培うことができます。また補食としてのおやつの提供、宿題など自主学習の場の提供、児童虐待や福祉的支援を要するケースなどの早期発見・関係機関との連携等があります。もとより、こと小学生の勉強に関しては、何かを教えるということよりも、机に15分間座って集中して取り組ませるということが大事であります。その点、指導員と一緒に全力でドッジボールや鬼ごっこをし、その後は宿題をするというふうに、学童では外遊びの時間と宿題の時間の切り替えがあります。そこでは指導員の声がけで、児童が机に向かう時間が確保されていて、座りたがらない子にも寄り添って、ソフトに机に誘導し、集中して何かに取り組ませる習慣付けが行われています。宿題というのは何の発見もないし、探求もありません。勉強したことを反復する、その繰り返しです。しかし宿題は重要なことを教えています。それは勤勉たれ、ということです、面白くもないことを勤勉に続けることで、それが端的に成績となって表れます。指導員は直接勉強を教えることはありませんが、わからないところを質問されれば、ヒントをあげたりもして、自主的に学習するよう方向付けてあげたりもしています。また部活動の開始時間までの利用や、いわゆる「中抜け」、それから「特定曜日だけに利用」などにも柔軟に現場で対応していて、学童を利用している家庭にとって、安全かつ有用な児童の居場所として非常によく機能しております。

(ク) いわゆる「保育に欠ける世帯」以外への門戸開放
惜しむらくは利用者が、いわゆる保育に欠ける世帯に限定されているということであります。そして現実に、それ以外の世帯からも学童の利用を求める声があります。ぜひ安全かつ有用な児童の居場所として、資格限定せずにすべての児童を持つ家庭に広く学童を開放していただきたく、市の所見を伺います。

(市長答弁)放課後児童クラブにおける利用対象者の拡大につきましては、国が定める基準と異なることから、実施は難しいものと考えております。
しかしながら一方で、核家族化の進展など、子どもを取り巻く生活環境が大きく変化する中で、放課後対策につきましては、すべての子どもの問題として考え、事業を構築する必要性があることから、先進事例も参考にしながら、関係機関等とも十分な協議を重ね、対応について検討して参りたいと考えております。

既存の枠組みのご回答は了解しました。一方、その既存の枠組みから一歩踏み出して、放課後の児童の居場所を、全家庭向けに提供している先進自治体があります。茨城県牛久市では、放課後の学び場事業「うしく放課後カッパ塾」を市内全小学校で、保育に欠けるかどうかを問わず4年生~6年生の全児童を対象に平日の放課後に開設しています。基礎学力の向上や、学習習慣の定着を図るための児童の自主学習を支援しています。活動時間は、火~金曜日のうち週2日16:00~17:30で、学習指導員が、児童生徒が勉強したい教材・学習プリント等を使用し、学習内容・方法等の指導助言をするというものです。参加者からは、「友達と一緒に取り組むことで楽しさや達成感が味わえる」「自分のやりたい学習ができ、宿題や自主学習がはかどる」「わからない問題を教えてもらえるので、解くことができてよかった」等の声が寄せられています。また保護者からは、週2日子どもの世話から解放される時間が作れたことで、心に余裕を持ってこどもに接することができるようになったとの声が寄せられております。そうしたことから放課後カッパ塾は、昨年に比べて希望者が1.5倍に増加しているそうです。こうした取組みの結果として、牛久市では近隣の市町村からの移住が増加し、14才以下の定住人口は平成17年から右肩上がりとなっております。国が進めている地方創生に基づき、いわき市でも総合戦略を策定中と伺っておりますが、そのキモは人口ピラミッドの低年齢層を広げることであります。そのために小中学校の児童・生徒を持つ保護者を呼び込むことが必要です。いわき市においても、新しい制度設計として全児童対象として児童の居場所を確保するための仕組みを調査検討していただきたく要望して、次の質問に移ります。

(2) 放課後児童支援員の待遇
(ア) 平均勤続年数
放課後児童クラブの運営の巧拙は、放課後児童支援員、いわゆる学童の先生によるところが大きいと思います。学童にいる先生は、ひとつとして保育士等の資格を持つ支援員、ふたつにその補助員がありますが、それら学童に勤務する放課後児童支援員の平均勤続年数を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童支援員の平均勤続年数につきましては、平成27年4月1日現在で放課後児童クラブに勤務している放課後児童支援員の年数で申し上げますと、約5年8ヶ月となっております。

(イ) 現在の平均年収
放課後児童クラブに勤務する放課後児童支援員の平均収入を伺います。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童支援員につきましては、平成27年5月1日現在、男性が17人、女性が140人、合計157人が雇用されており、一人当たりの賃金の平均につきましては、各クラブからの報告に基づき算定いたしますと、時給にして940円となっております。

(ウ) 支援員がよりよく活動できるための環境改善への取組み
ハローワークの募集条件によれば、放課後児童支援員の収入は、一日8時間勤務で月給15万~17万円、時間単位のパート時給で750円~1,000円であります。総務省「平成22年地方公務員給与実態調査結果の概要」によりますと、小中学校教員の43才ベースの平均月給は42万円であり、教員免許の有無や研修制度や責任の重さは全く違うとはいえ、教員と同じように体全体でこども達にぶつかりながら、こどもたちを育成していく職業として、放課後児童支援員の収入は半分にも満たずあまりに低額です。児童の安全を預かる責任の重さやモンスターペアレント対応、生命にかかわる食物アレルギー対応など、求められる仕事が複雑化しているのに待遇が不十分なことから、勤続が長く経験の豊富な指導員が育ちにくいという課題があります。将来を担う子どもの育成の一翼を担う指導員が、しっかりとその役割を果たすためにも安心して働ける環境が必要と思いますが、これに対してどのように改善していくかお示し下さい。

(こどもみらい部長答弁)放課後児童クラブにつきましては、子育て世帯の就労人口の増等に伴い、その需要は高まっていくものと認識しており、その運営の柱となる経験豊かな人材の育成については、重要な課題の一つと捉えております。
現在、放課後児童支援員の賃金については、処遇改善を図るべく、国の交付金を活用して取り組んでいるところでありますが、今後とも、更なる取組みについて、放課後児童支援員の賃金や各クラブの運営の状況、更には、他市の状況なども踏まえながら検討して参りたいと考えております。

現在の学童の運営への公的な財政支援は、国が1/3,県が1/3、市が1/3を負担する仕組みを伺っております。このような公的補助制度及び国の補助メニュー利用しつつ、さらにいわき市の独自の財政負担等も視野に入れて、支援員がより活躍できる環境を整えて頂けますよう要望して、次の質問に移ります。


注)上記記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確には市議会公式HPをご確認下さるようお願いいたします。

学力の経済学 中室牧子著

子供の学力について内外の調査データを集めて実証研究の成果を解説した本です。教育を経済学の理論や手法を用いて分析することを目的としている計量経済学に、教育経済学という分野があることをはじめて知りました。教育・子育てについては、芸能人や一般の人も含めて、一億総専門家、それぞれがそれぞれの経験や感覚に基づいて、ご意見を開帳しています。その主張の多くは、彼らの教育者としての個人的な経験に基づいているため、科学的な根拠がありません。なぜその主張が正しいのか、という説明が十分になされているとはいえません。それを、データ(エビデンス、科学的根拠と言い換えてもいい)を基に議論していこうとするのが、まず前提です。その上でデータに基づく検証を行い、ゴールを達成するために最も効果的な手段が何かということを明らかにし、改革の道筋を立てようという考えを示しています。教育データに基づく分析という意味では、以前読んだ幼児教育の経済学と同一の論調でした。

<幼児教育の経済学は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44715013.html 

良い成績を取ったという結果ではなく、何時間勉強したというようなインプットや過程を褒めるようにする。テレビゲームは1日1時間くらいであれば成績に影響しない。教育への投資は早いほど良い。家庭環境が重要。小さい頃にはしつけなどの教育が特に重要。ゆとり教育は格差を広げたし、児童手当は学力向上の効果はなかった。少人数学級には投資に見合うほどの効果はない。教師の質は重要。こういったことが、データ(主にアメリカの実証調査)を元に書かれています。それを踏まえて、「教育にもエビデンスを」という教育政策への提言し、そのエビデンスに基づいた子育てに関する具体的な方法論の例示をしてくれています。

「能力をほめることは、子どものやる気を蝕む」「子どものご褒美はアウトプットに対してではなく、インプットに対して行う」の2つは、私の心に刺さりました。前者は、能力をほめるといい気になって(天狗になって)、努力を怠る傾向がある。逆に努力をほめられた子ほど成績を伸ばしたということをデータで示しています。後者は、テスト結果の優劣に対してご褒美を与えた子より、読書という行為に対してご褒美を与えた方が成績が伸びたというデータから導き出された結論です。なるほど、納得。
 
教育経済学が、費用対効果のある政策の判定に大きく役立つことがわかりました。まだ日本では、現状として日本の実証データが少ないですが、こういった分析・政策決定に役立てるという目的観を持って、諸データを集めていかなくてはなりません。そして国民の税金で集めたデータを、民間が活用し役立てられるように開示していく方向に持って行かなくてはなりません。現在でも、教育現場の先生方は、個別の政策の効果をある程度肌で感じることができても、数値で示した「費用対効果」までは考えが及んでいません。今後、教育政策の費用対効果を論じるのは、とても健康的なことだと思います。

一方、この教育や子育ては個別性が強い。教育経済学の実証研究は、あくまで政策の全体的な、平均的な効果に着目するものです。それぞれの家庭、それぞれの子ども個性に関しては、平均像で語ることなく、個別に接しなければなりません。保護者が自分の子どもをよく理解し、先生が子どもと向き合うことで、個別に向き合うしかありません。

それにしてもここで書かれている教育・子育てに関する提案等は、教育評論家や子育て専門家の指南やノウハウよりも、よっぽど価値があります。知っておかないと、あまりにもったいない。本の定価1600円の費用対効果は、抜群です。

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『もっと知りたい 金沢ふるさと偉人館 91人の偉人たち』 次世代を担う子どもたちへ 20人を超える地域の偉人を顕彰

金沢ふるさと偉人館は、石川県金沢市にある「郷土が生んだ優れた先人」を顕彰し、その業績を広く伝えるための博物館です。1993年の開館時は、金沢市ゆかりの人物5人を紹介していましたが、さまざまな分野で国際的国家的業績をあげた人びとを加え、現在では20人を超える人物の常設展示を行っています。特定の人物でなく、地域が輩出した複数の人物を対象として顕彰する施設は珍しい。
 
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金沢は、藩政後期から今日まで、さまざまな分野にわたり多くの先人を生み、育んできました。特に、明治期においては、新しい時代の幕あけとともに、国内外に優れた業績を残し、世界に誇れる「ふるさとの偉人」を輩出しています。特にナンバースクールという旧制高校があったことの意義は大きいと思います。金沢市には、旧制第四高等学校が置かれ、偉人の多くはこちらの出身者でした。ちなみに第一高等学校は東京、第二高等学校は仙台、第三高等学校は京都、第五高等学校は熊本、第六高等学校は岡山、第七高等学校は鹿児島、第八高等学校は名古屋です。

金沢ふるさと偉人館は、こうした先人たちの中でも、(金沢で)よく知られている代表的な人物について、資料や著作の展示、パネルによる解説などにより、その生涯や業績などを広く紹介する人物館です。特に、次代を担う子供たちには、見学や体験などを通じ、その偉業と生き方を知ると共に、こうした先人たちの研究の拠点ともなることを目的とするものです。

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小中学校の遠足先・郷土史調べ等に利用されているそうです。

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人物の生き様を紹介をすることによって、地域の歴史を知り、地域を好きになることによって、共通の価値観を持つことができます。共通の価値観を持った次世代の子ども達が育つことによって、地域を愛し、地域のために汗をかこうという雰囲気もが醸成されるでしょう。その意味では特定の人物でなく、地域が輩出した複数の人物を対象として顕彰するほうが、より効果的だと思います。

当初は偉人5人からスタートしたそうですが、遺族等からの貴重な資料の寄附が集まり、現在では20人を超える人物の常設展示を行っています。こちらの施設は、金沢市から指定管理により財団法人が運営していますが、毎年一定の指定管理料が必要になります。また資料を収集し、魅力的な展示とするための、精力的な学芸員個人も必須です。それらを支える市民の意思が、この施設を成り立たせているといってもよい。

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こちらでは『もっと知りたい 金沢ふるさと偉人館 91人の偉人たち』という冊子を配布しています。これは、金沢市が2012年に市の独自予算で、金沢ふるさと偉人館に委託して、小学生向けに郷土人物伝を編集・発行したものです。

2013年4月には、この『もっと知りたい 金沢ふるさと偉人館 91人の偉人たち』が、金沢市内の小学生に配布され、教材として使われているそうです。この91人のなかには、いわゆる体制順応型の人物もいれば、体制批判的人物も含まれているようです。紹介スペースには一人2ページが割かれているものから、1ページに10人までさまざまですが、いずれも金沢、もしくは日本の歴史や産業に貢献してきた人達です。
 
こうした文化事業は、時間も手間もオカネもかかります。しかも成果がなかなか見えにくい。したがって行政としても政治としても、やりにくい。しかし地域の子ども達の、先人達への畏怖や尊敬、地域が歩んできた歴史等を知ることは、まちの将来の強さにつながります。この金沢市の遠大な取組みに強く賛同します。
 
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<収録されている金沢ゆかりの人物>
【科学】
高峰譲吉、桜井錠二、木村栄、藤井健次郎、飯盛里安、(その他:大野弁吉、大屋愷あつ、井口在屋、高橋順太郎、辰巳 一、田中□吉、山崎延吉、原龍三郎、冲中重雄)
【文学】
徳田秋声、泉鏡花、室生犀星、中西悟堂、(その他:尾山篤二郞、小松砂丘、島田清次郎、中野重治、鶴彬、長沢美津、中原中也、井上靖、水芦光子)
【学問】
三宅雪嶺、鈴木大拙、西田幾多郎、藤岡作太郎、(その他:石川舜台、長尾巻、赤羽萬次郎、井上友一、桐生悠々、細野燕台、中田邦造、米山久子、駒井志づ子)
【教育】
黒川良安、関口開、北条時敬、加藤せむ、(その他:小川直子、納富介次郎、メリー・ヘッセル、黒本稼堂、山本良吉、日置謙、石原堅正、赤井米吉)
【芸術】
谷口吉郎、北方心泉、松田権六、(その他:竹久夢二、魚住為楽、玉井敬泉、吉田三郎、木村雨山、氷見晃堂、高光一也、寺井直次、蓮田修吾郎)
【産業】
清水誠、津田米次郎、安宅弥吉、八田与一、(その他:関沢明清、中橋徳五郎、早川千吉郎、野口遵、小倉正恒、林 安繁、藤本吉二、畠山一清)
【地域】
小野太三郎、横山隆興、高多久兵衛、森下八左衛門、(その他:西川吉平(長右衛門)、森田柿園、長谷川準也、水登勇太郎、木谷吉次郎、井村徳三郎、三浦彦太郎、安藤謙治、浦上太吉郎、荒崎良道、松本佐一郎)
 
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就学援助費 いわき市全体の1割が受給中

いわき市では、子どもを公立小中学校へ就学させるのに経済的理由でお困りの方に、費用の一部を援助する就学援助制度があります。対象者は、市立小中学校に在籍する児童生徒の保護者の方で、次のいずれかに該当する方です(申請主義です)。
平成26年度の実績では、市内の小中学生2,522人の保護者に対して約2億円が支出されました。小学生一人当たり約6.3万円、中学生一人当たり年間10.1万円です。

・母子・父子家庭及び障害者で、市民税が非課税の方
・天災等により、市民税・個人事業税・固定資産税のいずれかが減免された方
・国民年金の掛金の減免、国民健康保険の減免又は徴収の猶予が認められた方
・児童扶養手当を受けている方
・世帯更正貸付補助金の貸付決定を受けた方
・失業対策事業適格者手帳を有する日雇労働者又は職業安定所登録日雇労働者の方
・その他特別な理由で、経済的にお困りの方 など

ざっくりいえば、生活保護を受けていないけれども、相当経済的に厳しい家庭です。このような家庭では、学用品等をふんだんに買い与えることができない状態であると推測できます。

そのような家庭にたいして、学用品費・通学用品費・校外活動費・新入学児童生徒学用品費・修学旅行費・通学費・学校給食費・医療費等の一部を援助しています。援助を受けている方は、平成26年度で2,522人ですから、生活保護を受けている237人を加えると、いわき市児童・生徒数28,044人に対し、約10%になります。減少傾向にはあるものの、1割ものこどもが経済的に厳しい環境下で育てられていることに改めて驚きました(なお、全国的に就学援助制度の申請は年々増加していて、平成24年は16%(平成7年は6%)。小中学生の6人に1人が活用しているそうです)。
 
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親の年収と子どもの学力の関係は、全体として正比例の関係にあることは、すでに大規模調査で明らかになっています。資本主義・自由主義の世界においては、個々の自由な活動の結果、こどもの教育に力を入れるも入れないも自由です。塾に通う費用がじわりと家計を圧迫している家庭もあるでしょう。学用品もふんだんに使えないような状態では、塾に行って学力を伸ばしたい子どもがいても(おそらく)親が塾に通わせることができない状況の家庭も多かろうと推測されます。塾に通わせられない低所得世帯も増えており、経済状況による「通塾格差」は開きつつあるという報告もあります。

全国的には、生活困窮者世帯の中学生を対象に、通塾援助する仕組みを取り入れている自治体があります。そのような家庭の保護者に、単に金銭支給するのではなく、こどもに勉強する機会を設けてあげるべきではないか。

 

幼児教育の経済学 社会的流動性と社会的包容力

著者のヘックマンは、2000年に労働経済学の計量経済学的な分析を精緻化したことでノーベル賞を受賞している方です。その著者が就学前教育の効果が非常に高いことを実証的に明らかにしています。40年以上にわたって実施した入学前の教育の効果を追跡調査した分析の結果、わかったことは、
●5歳までの教育は、学力だけでなく健康にも影響する
●6歳時点の親の所得で、学力に差がついている
●ふれあいが足りないと子の脳は萎縮する
というもの。感覚的には妥当かもしれませんが、それを第三者的に実証分析したことに意義があると思います。

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 なぜ幼少期に積極的に教育すべきなのか?幼少期に適切な働きかけがないと、どうなるのか?早い時期からの教育で、人生がどう変わるのか?これまで、これらの疑問は個々人の感覚や経験に左右されており、平均的な像が描けていませんでした。著者は、幼少時教育の効果を2つに分けています。

・認知能力:いわゆる学力(算数・国語等)
・非認知能力:やる気・忍耐力・協調性等 
 
幼少時教育は前者が捉えられがちだけれども、実は、非認知能力を向上させることこそが、子供の人生を豊かにすると結論づけています。親の子に対するリアクションや、生活環境等が非認知能力の育成を左右します。同時に、認知能力を高める学習を通じて、やる気や忍耐力等の非認知能力の向上につながることも認めています。自制力が高かった子どもと低かった子どもでは、大人になってからの健康度や経済力にどの程度影響があったかを30年間追跡調査した結果が明らかになっています。

・自制力が高かった子どもは大人になっても、健康度が高かった
・自制力が高かった子どもは、30年後の社会的地位・所得・財務計画性が高かった

これらはアメリカで1960年代に実施された「ペリー就学前プロジェクト」で、現実に比較調査されています。このペリー就学前プロジェクトとは、経済的に恵まれない3-4才のアフリカ系アメリカ人の子ども達を対象に、毎日平日の午前中は学校で教育を施し、週に一度午後に先生が家庭訪問して指導にあたるというものです。この就学前教育は2年間続けられ、その終了後、この実験の被験者となった子ども達と、就学前教育を受けなかった同じような経済的境遇にある子ども達との間で、その後の経済状況や生活の質にどのような違いが起きるのかについて、約40年間にわたって追跡調査をしたという壮大な社会実験です。その結果は・・・
・10才の時点では、就学前教育を受けたグループと、そうでないグループとの間には、IQ(認知能力)の差は見られませんでした。
・40才の時点では、就学前教育を受けたグループは、そうでないグループに比べて、高校卒業率や持ち家率、平均所得が高く、また婚外子を持つ比率や生活保護受給率、逮捕者率が低い
という、驚愕の結果が得られたのです。

就学前教育をやったほうがよいかどうかという議論に対しては、「やったほうが良い」のは当たり前で、大事なのはそのコストに見合う効果が得られるのかという点です。その点でこのペリー就学前プロジェクトについては、就学前教育のコストに対する効果として所得や労働生産性の向上、生活保護費の削減等と定義して、その全体の投資収益率を15-17%としています。驚きの高リターンです。ひとことでいえば、就学前教育はコストパフォーマンスが著しく高い社会投資ということです。

著者が求めるところは、こどもが豊かに(精神的にも肉体的にも金銭面でも)生活していくためには、認知能力・非認知能力いずれもが一定の水準に達していることのほうが望ましい結果を得やすくなる。そして認知能力・非認知能力を高めるのには、一定のコストがかかるが、幼少時のほうが青年時よりも少ないコストで、効果を上がることができるというものです。

これは「こどもの貧困」対策を考える上で、有用なヒントともなります。貧困に対処し社会的流動性を促進(貧困層から中間層への自発的移動)するために、所得の再分配を求める声があります。再分配はある程度社会の不公平を減じることができるものの、それ自体が社会的流動性や社会的包容力(社会的に弱い立場にある人々を排除・孤立させるのではなく、共に支え合って生活していこうという考え方)を向上させません。一方、事前分配(恵まれない子どもの幼少期の生活を改善すること)は、社会的包容力を育成すると同時に、経済効率や労働力の生産性を高める上で、単純な再配分よりもはるかに効果的です。事前分配は公平であり、経済的に効率が良いと、結論づけています。 
 

日本一子育てしやすいまち 鯖江市の市役所の工夫 

福井県の鯖江市役所を訪問しました。鯖江市は、2011年国勢調査の集計結果によると、福井県の共働き率は56.8%で、1995年調査から4調査連続で全国1位となりました。1世帯当たり所得も日本一だそうです。女性の就労率が高いとともに、女性労働のうち正規の職員、従業員の割合が多い(70.5%)のも特徴です。一方、出生率も全国上位で、人口が増加している数少ない地方都市になっています。市民参加型の市政のさまざまなアイデアが実行されていて、正直、うらやましいと思いました。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/syosai/35001.html

市役所1階にある児童福祉課の横には、10畳ほどの「きっずるーむ」が設置されていました。児童福祉課は、母子手帳の交付等、出産に関連する手続きや、子育てに関する手続きをする部門です。赤ちゃんや小さい子連れの母親が多く来庁されるところです。多くの市役所で、赤ちゃんを抱っこしながら、また小さい子の手をつないだまま、窓口で相談・申請している姿を見かけます。そのようなお母さんが、子どもを、児童福祉課の窓口から自分の目線が届く「きっずるーむ」内で遊ばせておきながら、手続等を済ませられる仕組みは、なるほどと思いました。

<鯖江市 日本一の子育てしやすいまちの秘密は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44686175.html
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きっずるーむ内には、絵本や、赤ちゃん用の簡易サークルが設置されていて、少しの間なら自由に遊ばせられるようになっていました。子どもを他人に預ける託児所ではなく、あくまでも親の目の届く遊び場というのがポイントです。

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総合窓口の雰囲気、すなわち、パステル調の色調、やさしい字体、生け花(市職員が自主的にいけているとのこと)、は、病院・介護施設・銀行等を連想させます。市役所建物自体は、築50年を超える老朽建物ですが、耐震化工事を機に、内装も一変させたそうです。古い建物なので天井高は低いですが、工夫次第で圧迫感はかなり軽減されていたと思います。

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子育てしやすいということは、副次的にさまざまな良い影響があります。
・子育てしやすい→共働きしやすい→1世帯あたりの所得向上→教育費にオカネがかけられる→子どもの学力向上
・共働きしやすい→祖父母に子どもを預ける→祖父母はぼけない・体力向上→健康年齢の延長
・祖父母に子どもを預ける→大きい家が普通となる→物理的・精神的に豊かな生活の実現
http://bit.ly/1Ti5EZ4
http://bit.ly/1fj64ji

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よくよく見れば児童福祉課窓口には、でかでかと耐震工事補強のための筋交いがあり、見た目だけでなく業務上も差し障りがありそうですが、その一方、カウンターの横には、来庁者(その多くは若いお母さん方)のための、ベビーベッドが設置されていました。日本一子育てしやすいまちというのは、建物等のハードの整備や(金銭的な)支援制度の充実だけでなく、このようなソフト・アイデア・気配り等の積み重ねなのではないかと思いました。

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日本人OSインストールガイド 松田雄一著 神話を失うことにより、共通の価値観、道徳意識、帰属意識の希薄化

著者は、広島まほろば学習会の代表を務める方。この会は、日本語の「素読の集い」を通じて、日本文化・伝統の素晴らしさを次世代に伝えることを目的としている民間教育組織です。この「素読(そどく)」は、和漢の古典等を、(意味を理解しないで)、ひたすら口で諳んじる、というものです。教材としては、万葉集や古今和歌集などの和歌や古事記の神話、偉人の名言、漢詩や論語など和漢の古典を織り交ぜたものを使用するそうです。特定の書籍は使用しないそう。

<素読教室 暗唱発表の様子は、コチラ>
https://www.youtube.com/watch?v=xX058tUOlng

松田雄一氏の講演を聞く機会がありました。曰く、戦後の日本では戦勝国による教育改編が行われ、戦後世代の私たちは戦勝国が思い描いた精神性や思考を身に付けています。思考の基本となるOSのバージョンが「GHQ」「戦勝国バージョン」となっているわけです。英国の歴史学者であるアーノルド・トインビーは、世界の滅亡した諸民族を調べて、共通の特性を発見しました。それは「12-13才までに民族固有の神話を教えない状態が100年以上継続した場合、その民族は滅亡している」ということでした、日本が先の大戦で敗北し、神話は学ぶ必要のない作り話とされ、また日本を戦争に駆り立てた元凶とまで、いわれました。そして学校教育の場では神話が扱われなくなり、古事記は禁書同様の扱いを受けるまでになりました。

神話を失うことにより、民族は共通の価値観、道徳意識を失い、帰属意識を希薄化させています。これにより外的なものから受ける武力がなくとも、自滅していくわけです。平成27年は、日本が神話を封印されてから68年目です。トインビーの説を当てはめると、日本に残された時間は32年しかない。

結果として、日本としての自国の伝統や文化を理解する機微に欠け、 むしろ自国を誇りに思えないような思考回路がこどもたち(私世代を含めて)に、インストールされている面があります。日本人としての素養の基礎となるOS、中でも国語を中核に据えてその育成方法、 いわば日本人としてのOSのインストール方法について具体論を書いています。GHQ施策の分析と批判については既に多くの書物がありますが、素読だけが解決のすべてではないにしろ、現状を解決する方法の提案とその実践を紹介してくれています。

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豊間中学校が取壊し決定 震災遺構

東日本大震災の教訓を残すために、震災遺構として被災した建物等を、保存するかどうかが被災地各地で議論されています。いわき市においても、100名を超える津波による死亡者を出した薄磯海岸にある、豊間中学校の保存or取壊しで、長期間にわたって、数え切れない議論がなされてきました。津波で亡くなった方、そのご家族、関係者の方々には心から哀悼の意を表したいと思います。

<震災遺構・防災教育は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30148007.html

この豊間中について、議論は百出したものの、過去を乗り越えて将来を見据えようと、地元住民・いわき市は、震災遺構候補に選定する方向性で、丁寧に根廻しが進められてきました。

<いわき・旧豊間中を震災遺構候補に選定は、コチラ>
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141008_61004.html

しかし、最後の最後で、大どんでん返し。2014年年末に、校舎のある薄磯地区の会合において、区役員の投票で解体が12票、保存が2票となり、保存反対が決まったそうです。それにしてもいわき全体で、震災遺構をどうするのか議論するならまだしも、数百世帯だけの行政区の役員の投票結果で、豊間中の取壊しの方向性が決まった引き金となってしまったことは、衝撃でした。とにかく、4月以降、取り壊し工事が始まってしまう前に、目に焼き付けておくべく、事前許可を得て、豊間中を訪れました。

<旧豊間中校舎、いわき市が保存断念は、コチラ>
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141217_63014.html

合理的な議論を行わず、問題の全体像を一つの小さな正論から、その場のムードを染め上げてしまう、という日本人の特質を鋭くついた名著、「失敗の本質」を想起しました。

<失敗の本質は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/20737667.html
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建物内部は、すべての機器は取り外され、いわゆるスケルトン状態に近い。震災遺構として保存が決定されたときには、震災関連のものを展示するための施設として考えられていたため、いつでも内装を変えられる状態です。

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体育館は津波で壁面の大部分が損傷・破壊されましたが、校舎建物は、大きなヒビ等が入っているわけでもなく、内部だけ見れば被災した建物の中にいるとは思えませんでした。普通の休日?と思うくらい、静かな校舎。

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3回から、校庭を見ました。まっさらな更地に作業用のプレハブが、いくつか置かれていました。ここは、うずたかく、10m近く高いガレキの山が、震災後長期間にわたって置かれていました。そして画面左側は、プールがあった場所ですが、すでに更地に変わっていました。いずれも、震災・津波被害の現実を、直接、自分の目で見て感じることができる場所として、県外から観光バスや乗用車で来て(県外ナンバーなので、すぐ判別できた)、見て、手を合わせて去るという、光景をたくさん見てきました。一時は、観光バスが常時、停車している頃もあったそうです。いわゆる、教育旅行のひとつでした。

いわきにイエール大学がやってきたときには、「震災を感じる施設が見たい」というリクエストから、当時の豊間中3年生の案内でこちらに案内しました。海外からの旅行客が、いわゆるいわきの観光スポットである、アクアマリンふくしまやスパリゾートハワイアンズに立ち寄らず、この豊間中に訪れたということは、私の中では衝撃でした。

2015年4月からJRデスティネーションキャンペーンが始まりますが、JR仙台支社が作ったプレゼン資料には、いわきで訪れるべきスポットとして、「ハワイアンズ」「アクアマリン」と同格で、「豊間中学校」が紹介されていました。これほどまでに、市外から訪れるべき場所として認知・支持されているにもかかわらず、自らの意志で取壊しを決めてしまったのは、残念というしかありません。

<イエール大学生 いわき来訪>
http://www.mikito.biz/archives/30123299.html
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廊下は塵一つ落ちていない。大震災・津波被害があった直後に、徹底的に流入した土砂の掃除が行なわれたため、裸足でも歩けるくらいきれいな状態です。

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豊間中の校歌。「太平洋」「塩屋崎」「紺碧の親潮」等、海岸沿いの中学校らしい校歌です。

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旧校舎の石造りの表札です。せめてこうした物品は、豊間小横に建設が進められている新校舎に移設し、大切に使って欲しい。

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津波が来襲した時刻を、ばっちり記録している時計。これこそ震災遺構に現状保存・展示して欲しかった。

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豊間中の校舎入口に取り付けられていた校章。これはいったい、どう処理されるのでしょうか。

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精撰尋常小学修身書 八木秀次監修

正直、礼儀、責任、友情、公益、勇気。これらの美徳は戦後に日本人があえて目を背けてきた面があると思います。これらの美徳を100以上も精選したのが本著です。あえていえば、時代を生き抜く知恵であって、子々孫々に伝えたい物語です。

そもそもどうして、「美徳」であるならば、戦後にGHQにより修身の教育は中止になったのか?しばしば聞かれる、「教育勅語は軍国主義だから、ダメ」は本当なのか?もういちど「修身」が、軍国教育の教科書なのかどうか、マスコミ等の二次、三次情報によらずに自分で確かめる必要があります。実際自分の目で読んでみたら、現代の日本人の常識と異なる部分もあれば、重なる内容もたくさんあることが確認できます。その時代の人は、日本人の先人の足跡に関して、現代人の何倍も詳しかった。ろくに高等な教育を受けていなかった老人世代まで含めて、ほとんどの例外なく日本人の共通認識として持っていたことは、驚異の一言です。よくよく考えてみれば、日本人としてのアイデンティティは、そういう認識や価値観を共有してきたことです。

そんな「修身」が失敗したと結論づけられたのは、①子どもたちから自ら考える力を奪い、押し着せられる徳目にひたすら従順であることのみを求めたこと、②その従順さにつけこんで、権威主義を助長させてしまったことでしょう。 
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<引用>男子の務と女子の務
男子も女子も人として国民として行ふべき道に違いはありません。男子が世の繁栄をはからねばならぬと同じ様に、女子もそれをはからねばなりません。また女子が身もちを慎まねばならぬと同じ様に、男子もそれを慎まねばなりません。 かように、人として国民としては違いはありませんが、男子と女子とによって、それぞれ実際の務めはおのづから別れて居ます。 男子と女子とは生まれながらにして身体も違い性質も違っています。それで見ても、その務めがおのづから違うことは明らかであります。強いことは男子のもちまえで、やさいいことは女子のもちまえです。国・社会・家を安全に保護していくようなことは男子の務めで、家庭に和楽を与え、また子供を養育するようなことは女子の務めであります。 我等の父母が家庭で実際に行っている事は、すなわちこの男子の務めと女子の務めとの主なものであります。父は一家の長として家族を率い、家計を支え、また外へ出ていろいろな仕事をして働いています。母は主婦として内にいて父を助け、家をととのえ、我等の世話をしています。 男子と女子とがよく調和して各その務めを全うしていけば、家も栄え国も栄えます。

かっこいい言葉が流行っています。「つめこみ教育ではなく情操を育む」「個々の良い所を伸ばす」「心の充実」等等・・・。その延長線上で、新たに設けられる「道徳の時間」も薄っぺらなものになってしまうことを危惧しています。道徳を教える前提として、日本人の足跡を知らなければ、あまりにも薄っぺらいモノになってしまうのではなか。道徳の前提として、教えるべき事をきちんと教えていなければ、砂上の楼閣となりかねません。なぜなら、そんな言葉遊びは、子どもの心に響かないからです。筋道として、まずわれわれ日本人のの歩んできた道、すなわち先人達が徳をもって実践された歴史から学ぶのが近道です。そうしないかぎり、道徳の教科は方向性を見失った、切れた凧になってしまうのではないか。

日本を救うための教育 竹内太司朗著

幕末・明治初期の志士たちの志に学ぼうとする、「G1東松龍盛塾」があります。そちらでは、東:藤田東湖、松:吉田松陰、龍:坂本龍馬、盛:西郷隆盛、の4人の志とその行動に学ぼうとするグループで、私も参画させていただいています。東松龍盛塾のメンバーのひとりが、その志を、「大和魂に火をつけよう 日本のスイッチを入れる」で著作しました。現在大阪守口市の市議会議員である竹内太司朗氏で、その処女作がこの「日本を救うための教育」です。

<大和魂に火をつけよう 日本のスイッチを入れる、はコチラ>
http://www.mikito.biz/archives/41734494.html

竹内氏は、もともと元早稲田アカデミーの英語講師出身です。浪人生に教育をしているうちに、このままでは日本はどうなってしまうかと、漠然とした不安を覚えます。将来の夢がない高校生、選挙に行かない若者たち、不祥事だらけの政治家、日本のことを説明できない日本人、本当にこれでいいのか?熱き思いに駆り立てられて東京の塾講師から、出身地に戻り、市議に当選しました。そこで見たのは「選挙」という嘘と誠の入り交じった世界。現実的にそれとの折り合いをつけるべきか、あるべき姿を追究すべく決別すべきか?誰も正解を持ち合わせていません。今の日本に必要なものは何か。教育はこれでよいのか。政治はこれでよいのか。地に足を付けた疑問とその筆者なりの解答が載せられています。

ご批判を覚悟の上でまとめるとすると、その答えは、戦前教育の中にあった。すなわち、修身、教育勅語、武士道、古事記の世界にこそ、、現代の日本に必要な「教育」と「政治」のあり方があると筆者は訴えます。

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修身教育は、(一部の例外を除いて)江戸・明治以降の日本人の行動規範をうまく表していると思います。しかし、一部の思想的な反対から、修身教育をきちんとできていないところに、日本の矛盾の根幹のひとつがあります。

<教育勅語 修身 道徳観は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/40945384.html

現在、道徳を教える科目への格上げし、さらにそれを評価対象とすることが議論されています。個人的には、道徳や修身は、評価対象とするような性質の教科ではないと思うし、評価してどうこういうべきものでもないと思う。ただ間違いなく、そのような先人達が血の滲むような努力をして、今の日本の礎を作り、その遺産をベースにわれわれの現代生活がなりたっていることを忘れてはならないと思うのです。

<道徳の教科へ格上げへの懸念 それって修身教育?>
http://www.mikito.biz/archives/40887095.html
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いわき市内の小学校・中学校の学級数

いわき市には71校の小学校、42校の中学校があります。昨今、少子化に伴って学級数の減少が深刻です。一般的には、1学年の学級数が1個だけになってしまうと、クラスの入替えがなくなり、友達の交流機会の減少、入替えによる気持ちの刷新等がなくなり、マンネリ化してしまう面があります。なお、私の母校である平第三小学校は、当時、1学年5クラス(特殊学級も入れれば6クラス)で1クラス40人だったので、クラス替えは新たな友達ができる楽しみでもあり、親友とクラスが分かれる悲しさもあって、それはそれで良い経験になったのではないかという個人的感想があります。

いったい市内で、どのくらいの学校が1学年の学級数が、クラス替えがない「1学年1クラスだけ」(1校6学級以下)なのかを調べてみました。すると、31校、全体の4割以上の小学校が「1学年1クラスだけ」(1校6学級以下)でした。さらにその内15校は5学級以下、すなわち複式学級といって、2つ以上の学年をひとつにした学級で授業をしています。これは学年による学習進度の違いもあり、あまり教育上良くないといわれています(もちろん、少人数による良い面もあるのでしょうが)。

先日、訪問した田人第二小学校は、複式学級でしたが、少人数教育の良いところを最大限活用して、生徒ひとりひとりに目が届く、のびのびとした環境でした。しかしながら、児童の友達との関わり等の教育上の観点及び財政上の制約から、田人地区において統廃合となりました。

<田人第二小学校 閉校予定>
http://www.mikito.biz/archives/35989695.html

逆にすべての学年が2クラス以上ある(すなわち12学級以上)学校は、半分に満たないということもわかりました。当面、入学する児童数の減少傾向は不変ですので、この割合が減ることがあっても増えることはなさそうです。

文部科学省が公表した手引案によれば、6学級以下の小学校、3学級以下の中学校は教育上の課題があるとして「統廃合などの速やかな検討」を求めています。その基準によればいわき市内で検討対象となるのは、全体の16%にあたる18校。
 
<小学校15校>大野一・大野二・久之浜二・川前・桶売・小白井・好間三・好間四・白水・田人・沢渡・三坂・差塩・永戸・永井
<中学校3校>川前・小白井・差塩
 
なお上記のうち、沢渡小・三坂小・差塩小・永戸小・永井小と差塩中は、公式な説明会だけでも10回の地区説明会を経て、平成27年4月からの三和地区学校統廃合に向けて準備が始まっています。残りの12校を今後どうしていくか、各地区で話し合いが始まることになりそうです(すでに進行中もあり)。こどもの教育上の課題だけでなく、地域の精神的つながりや、財政上の制約等、複数の論点があるので、目が離せない。
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参考までに中学校も調べてみました。1学年の学級数が1クラスだけ(1校3学級以下)は15校、4割弱でした。さすがに、中学校になると複式学級を実施している学校は少ないですが、それでも3校が複式学級です。さまざまな背景や理由で複式学級になっていると推測しますが、児童の教育機会は可能な限り均等になってほしいと思います。
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大和魂に火をつけよう 日本のスイッチを入れるⅡ 神谷宗幣著

私は昨年から、グロービス経営大学院大学が主催するG1東松龍盛塾に定期的に参加しています。これは「志とビジネスマインドを持つ政治家、パブリックリーダーを育てる」ことを目的とする勉強会です。塾の名前は幕末の維新の志士、藤田東湖、吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛からとっています。私の政治信条も、相当程度、このの勉強会から影響を受けています。その勉強会の塾頭、神谷宗幣氏の新著です。

吹田市市議会議員を務めた後、衆議院議員選挙に出馬し落選。その後も精力的に政治活動を続けており、龍馬プロジェクトや東松龍盛塾のような、勉強会・研修会を主催されています。著者にとっての幸せとは、自分が社会や人の役に立っていると感じられること。なせなら社会や人のために立っていれば、人にありがとうといってもらえ、良い仲間ができ、その結果として良い仕事やお金にも恵まれる人生になると考えるからだそうです。

そのバックグラウンドは、優等生、家業の倒産、司法試験への挑戦、海外放浪、失恋、大阪府教師等と多彩です。一貫しているのは、リアルな実体験に基づく強固な価値観を持っているということ。

<G1東松龍盛塾は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/33521639.html
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神谷氏とは、G1東松龍盛塾で一緒に学び、また何度か合宿させていただいたこともあり、神谷さんと呼ばせて頂いています。かつて「原大本徹 4箇条」すなわち、政治家としての芯の強さをガチンコで議論したことがあります。その際に改めて、なぜ自分が政治を目指すのか強く再認識することができました。

原点(危機感は?何のため、誰のために生きるのか?そのきっかけは何か?)
大局(どこまで我が事と思えるか?放っておけない範囲は?アイデンティティと舞台)
本気(志すことは何か?どんなことに集中していくか?)
徹底(どう広げるか?いかにして続けるか?どこを工夫するか?)

著者曰く、戦前や戦後に持っていた大和魂は、現代にないように思える。その大和魂を思い出すことが「スイッチを入れる」ということ。その大和魂の精神性を、吉田松陰や西郷隆盛に求め、5つの能力にまとめています。この能力を高めたいと努力することが、「大和魂に火が付いた」「日本人スイッチが入った」状態。
<大和魂>
大和魂1 公平でよき人間関係を築き、人を助けることができる
大和魂2 損得を超える正義感と正直さを持ち、人や社会への貢献を考えて働くことができる
大和魂3 自然や郷里を愛し、先祖や目に見えない尊いものを大切にできる
大和魂4 思考停止せず、独立した心と健全な身体を維持できる
大和魂5 誇りと使命感を持ち、「今」に焦点を当て、命を燃やして生きることができる

では、なぜ大和魂が社会に一般的に普及しないのか。その阻害要因を著者は5つに分析します。
<バリア>
バリア1 個人主義の誤った解釈、過度な権利主張、日本語の興廃
バリア2 道徳教育の衰退、拝金主義の横行
バリア3 近代科学万能論、過度な都市化
バリア4 テレビ、ゲーム、受験教育、食事、医療
バリア5 安全や物質的豊かさへの甘え、歴史教育や偉人教育の欠如

バリア1-5に囲まれると、コミュニケーションがとれず、自己中心的で、目に見えるものやお金しか信じられない。思考は止まっていて、人やメディアの流す情報を鵜呑みにし、不健康な生活を送っている。そして自分に誇りがなく、「○○になればいいのに」と現実逃避しながら、行動を起こせない。これらバリアができた遠因は、戦後の占領政策、特に教育の問題、歴史教育や偉人教育の欠如は、見逃せない。今、日本人が自立するため、国力を維持するためには何をすべきかの5つの提言です。

日本人の自立1 経済規模の維持、通貨発行権の死守
著者が東南アジア等を放浪して感じたのは、日本がある程度海外の国からリスペクトされるのは、強い経済力のおかげだということ。経済力が弱い国ほど、外国に出稼ぎに行く必要性がでてくる。そのためにも単純な経済のグローバル化や、大量の外国人移民をしてはならない。

日本人の自立2 軍事の自立
戦後、米国の軍事力の下で幸運にも平和が維持できたから、「言葉だけ」の平和主義が実現できた。それをいつの間にか勘違いし、平和主義を「掲げた」から平和が維持できたと錯覚し、一部ではそれを金科玉条のごとく盲信してしまった。永世中立国であるスイスにも、徴兵制や軍隊はある。戦争が起こる原因は、①食料・エネルギーを手に入れるため、②外交上・宗教上の課題の決着を付けるため、③戦争が起こると儲かる人がいるため、のいずれかです。まず、現実を直視し、国民理解を得るための国防教育が必要。

日本人の自立3 食料・水・エネルギーの確保
過去を振り返れば、太平洋戦争の主要因は、石油の対日輸出を禁止されたこと。食料・水・エネルギー調達の最悪のケースを常に想定しておかなければならない。

日本人の自立4 精神の自立
日本人の特徴は、勤勉性とチームワークにあるといわれますが、その根本は江戸時代の教育、「読み書きそろばん」と「人間教育」ではないか。もしくは明治の教育勅語にあるのではないか。

<教育勅語・修身教育は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/40945384.html

日本が今後目指すべき国家像として、「道義国家」「課題先進解決国」があります。著者の主張する「大和魂に火が付いた」「日本人スイッチが入った」状態ならば、実現できそうな気がしています。
 

星一物語 読み聞かせ

星一(ほしはじめ)の紙芝居の読み聞かせに参加しました。いわき市出身で、東洋の製薬王と呼ばれた方です。参加した小学六年生に聞いたところ、事前に星一を知っていた児童は約40名中、1名のみ。地元の偉人を知ることは自分達のルーツを知ることになるだけでなく、具体的なエピソードを通して、"正直"、"勤勉"、"正義"、"公益"などが身につき、こどもたちの人格形成に大きな影響を与えます。地域や世代間で共通の道徳観を持つためにも大事なことだと思います。これって、まさに道徳教育でしょう。

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星一の掲げる「親切第一」とは「自己に親切なれ、何人にも親切なれ、物品に親切なれ、時間に親切なれ、学問に親切なれ、金銭に親切なれ、親切は平和なり、繁栄なり、向上なり、親切の前には敵なし、親切は世界を征服す」です。親切は、世界をも征服してしまうんですね(笑)。

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読み聞かせが終わった後に、生徒一人一人に原稿用紙一枚の感想文を書いてもらいます。この内容が素晴らしい。改めて、郷土の偉人教育が、地域共通の価値観、道徳観を持つのに重要だということを感じました。

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すずかけ学童クラブ 平三小 小1の壁

学童保育とは、主に日中保護者が家庭にいない小学生児童に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業です。正式名称は「放課後児童健全育成事業」で、厚生労働省が所管。いわき市では、「学童クラブ」「放課後児童クラブ」等で呼ばれていますが、運営主体で自主的に名前を決めているのが実態。

いわき市では44カ所に学童保育が設置され、約2,000名の児童が在籍中。運営主体は社会福祉法人(保育園のこと)、民間団体等でもよいのですが、いわき市の場合、保護者会が運営主体となっているケースが大多数です。私の母校、平三小では昭和57年から「すずかけ学童クラブ」として、保護者会が運営主体として、小学一年生~四年生までの61名が在籍しています。設置場所は、平三小内の空き教室2つを改装して使っています。

学童保育の機能としては、
1. 保護者の帰宅・お迎えまでの間の児童の安全確保
2. 遊びや活動の提供
3. 補食としてのおやつの提供
4. 宿題など自主学習の場の提供
5. 親子イベントの開催等

平日は13:00過ぎから開所し、19:00前後まで児童を預かっています(家庭によって帰宅時間が異なる)。土曜日も事前登録により、開所しています。
 
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児童は放課後、まず学童クラブに来てランドセルを預けます。指導員とは毎日顔を会わせているので、児童の精神状態や健康状態等、コミュニケーションはバッチリです。このコミュニケーションの水準はもしかすると、(年次で担任が替わるわけでもなく、かつ教科を教えるという役割がない分だけ)小学校の担任教諭以上かもしれません。

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学童保育の設置根拠は、児童福祉法第6条3の第2項。
この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。

条文中の「おおむね10歳未満の児童」という文言は運用上の目安であって、現在は小学校第4学年までという運用をしていますが、来年からは第6学年でも利用できるようになります。

学童の運営は、保護者会が直接行なっています。児童の親は月会費9,000円を負担します。それを原資に保護者会が、指導員を雇用しています。公費負担もありますが、ざっくりいって児童一人あたり年間10万円程度です。それ以外のイベントの運営費、備品(ストーブ等)購入等は保護者負担です。

多くの学童の運営費総額は年間10百万円-12百万円程度(親負担の月会費+市からの補助金)です。金額大きいように見えても、5人程度の専属の指導員の人件費に、備品購入、イベント開催費等を考慮すれば、運営は非常に厳しい。

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外遊びの定番は、ドッジボールと鬼ごっこ。児童と一緒に指導員の方も懸命に遊んであげていました。30分程度の外遊びですが、こどもたちは嬌声をあげて全力で遊んでいました。これは楽しそう。

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平三小は、一学年2-3クラス編成の比較的大きな学校ですが、クラブ活動はさかんです。放課後には、サッカー部・陸上部・吹奏楽部・合唱部らが毎日遅くまで練習をします。部活動に入れるのは3年生からなので、2年生まで学童クラブに入る子も多いですし、学童クラブに入りつつ、部活動をする子もいます(その場合、部活がない日だけ学童に来ることなる)。

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学童では、まず①学校の宿題を済ませる、②外遊びをする、③おやつをいただく、④自由時間となり室内遊びをするという順番で行なわれることが多い。平三小では、専属の指導員が常時5名が児童の育成を見守ります。勉強を教えることはありませんが、わからないところを質問されれば、ヒントをあげたりもして、自主的に学習するよう方向付けてあげたりもするそう。

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「小1の壁」、すなわちこれまで幼稚園延長保育や保育園で18:00過ぎまで子どもを預かってもらっていたのが、小学校に入学し、16:00過ぎには帰宅するようになり(13:00過ぎに帰宅する曜日もある)、6才の子どもが両親の帰宅まで時間を過ごす場所がないという問題があります。

もっとも、これには両親が共働きであり、かつ自宅や近隣に祖父母がいないという前提があります。本来であれば、愛情あふれる近親者に自宅にいてもらい、そこでともの時間を過ごすというのが理想ではありますが、現実社会ではそのような条件が揃っている家庭だけではなく、いろいろな多様性があるので、それのような「保育に欠ける(個人的には好きな言いまわしではありませんが、役所言葉ではこうなる)」児童を社会的に対応しようというのが、学童保育制度です。

学童保育は保護者の児童の安全を守る場であるとともに、学齢期の児童が自立するための成長支援・健全育成を実践する場でもありますが、結果的に「仕事と子育ての両立」を実現するための、極めて有効なツールとなっていることも事実です。もし学童保育がなかりせば、保護者の就労等に大きな不都合が生じることになります。

全国を見回せば、地域によっては申請が殺到して待機児童が生じるほど需要が高いところもありますが、いわき市においては、いちおう条件に合致する家庭はすべて受入れているということになっています。ただし、これはあくまで建前。潜在的に学童保育を利用したい(が、保育に欠けるという条件がクリアできない)家庭は、かなりの割合で存在していると肌で感じています。学童のような施設の拡充等の積み上げこそが、潜在的な女性の力を引き出し、日本の産業活動の活性化させ、また児童の能力を引き出す手段なのではないか。

しかし設備という量の拡充もさることながら、運営を担当する指導員の質も大事です。学童の機能を 1.単純に子どもを時間まで預かるだけの扶助機能と捉えるか、2. 安全確保や遊びや活動の提供、おやつの提供、 宿題など自主学習の場の提供等と考えるかで、大きく考え方が異なってきます。私は後者と考えており、指導員は幅広くかつ児童に直接コンタクトするため非常にその役割は大きいと思います。その割には、指導員は保護者会からの雇用形態であり福利厚生は十分とはいえません。日本の将来は次の世代であるこどもにかかっている、そしてさらに人的資本の蓄積が大事になる世の中になるということであれば、責任も待遇も、まずは幼稚園の先生と同水準を目指すべきではないでしょうか。
  

教育勅語 修身 道徳観

教育勅語とは、1890年に公表された日本の教育の根幹と国民の培うべき徳行を説いた勅語。正式には「教育ニ関スル勅語」。教育勅語には、日本人が祖先から受け継いできた豊かな感性と伝統的道徳観が込められ、人が生きてゆく上で心がけるべき徳目が、12の項目に別けられて簡潔にまとめられています。当時の学生達は、皆、この教育勅語を暗唱でき(させられ)、また、学校では修身を学んで道徳観を養いました。

<教育ニ関スル勅語>
朕惟フニ我カ皇祖皇宗国ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ済セルハ此レ我カ国体ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風を顕彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ実ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス
朕爾臣民ト倶ニ拳拳服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治二十三年十月三十日
御名 御璽

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この中で扱われている徳目は12の項目。

1.父母ニ孝(こう)ニ         親や先祖を大切にしましょう
2.兄弟(けいてい)ニ友(ゆう)ニ   兄弟仲良くしましょう
3.夫婦相和(あいわ)シ       夫婦はいつまでも仲むつまじくしましょう
4.朋友相信(ほうゆう)ジ       友達はお互いに信じあいましょう
5.恭倹(きょうけん)己(おの)レヲ持(じ)シ   自分の言動を慎みましょう
6.博愛衆(しゅう)ニ及ボシ    広くすべての人に愛の手をさしのべましょう
7.学ヲ修メ業(ぎょう)ヲ習ヒ      勉強にはげみ技能を身につけましょう
8.智能ヲ啓発シ             知徳を養い才能を伸ばしましょう
9.徳器(とっき)ヲ成就(じょうじゅ)シ    人格の向上につとめましょう
10.公益ヲ広メ、政務ヲ 開キ    広く世の人々や社会のためにつくしましょう
11.國憲ヲ重ジ、國法ニ遵(したが)ヒ   規則に従い社会の秩序を守りましょう
12.一旦緩急アレバ、義勇公(こう)ニ奉(ほう)ジ   気をもって世のためにつくしましょう

伝統的な道徳観を天皇を介する形でまとめたものが教育勅語です。問題は、太平洋戦争中に治安維持法体制下で、教育勅語を国民教育の思想的基礎として神聖化し、曲解した思想も含めて生徒に強要してしまったことです。例えば、教育勅語を「御真影」とともに奉安殿・奉安庫などと呼ばれる特別な場所に保管された。また生徒に対して教育勅語の全文を暗誦することも強く求め、評価の対象としたこと。国家総動員法を正当化するために利用されるなど、教育勅語の本来の趣旨から乖離する形で軍国主義の教典として利用されたことです。

12項の内容を見れば、軍国主義への運用根拠とするにはかなり無理があります。一部を除き、我々が学ぶべき内容が明確に示されている大切な教科でしょう。大切な教えの部分は、現代でも当然身に着けるべき内容だ思います。日本人は丁寧・親切・勤勉・チームプレーなどといわれますが、それはもともと日本人のDNAにすり込まれているわけではない。極言すれば明治・大正・昭和の時代に教育勅語・修身等を刷り込まれた世代が、次の世代にそれを受け継いで教え育てた子供達の行動様式がそうだったということだと思います。いまこそ、現代の資本主義・自由主義・貨幣経済に生きる日本人の若者達こそに、日本人として行動することの原点がここにあるのではないかと思います。

道徳の教科へ格上げへの懸念 それって修身教育?

中央教育審議会が、現行では教科外活動扱いの小中学校の「道徳の時間」を「特別の教科」(仮称)に格上げして導入するよう下村博文文部科学相に答申しました。学習指導要領に基づき、検定教科書を用いて、教員によって教えることになります。そして記述式評価(5段階評価等でない)を行ないます。教科化は2018年度からになる見通し。

現行の指導要領でも道徳の時間がとられていますが、答申では「道徳性」や「道徳的実践力」という形では分かりにくいため、「様々な問題や課題を主体的に解決し、よりよく生きていくための資質・能力を培う」という目標を目指すそうです。児童・生徒に対する評価は、教員が、学習状況や成長の様子を総合的にみて、通知表などに記載するとのこと。授業時間数は現状通り小1は年34時間、小2~中3は年35時間。

<日本経済新聞2014.10.23>
http://goo.gl/NAslJh

私見ですが、道徳は豊かな人間性を育むために不可欠だと思います。将来を担う日本人の若者が国際社会で生きていくための必須の身につけておくべき修練でしょう。特に、自由主義・貨幣制度経済の下で生きていく以上、道徳こそが日本人の存在理由なのではないかと思います。よって道徳に力を入れていくことは、論を待ちません。ただ、単に「教科へ格上げ」することについては、大きな懸念を持っています。

1. 学習指導要領では、必ずしも道徳の心が伝えられない
道徳は、日本人のあるべき姿を、先人の行動様式を例示し、それぞれが考えることによって体得すべきものと考えます。教師の行動様式を規制する学習指導要綱は、そのような性質を持っていない。

2. 教諭の資質によって、必ずしも正しく生徒に伝えられない
道徳は、日本人としての行動や、人と人との関係性を教える科目です。教職課程をパスをしたり、採用試験に合格することで道徳を教えられる能力が身につくものではありません。算数や国語のように知識やスキルを教えるものと本質的に異なるので、現場の教諭により、大きく道徳の教え方・伝わり方に差が出ます。

3. 教科書検定をパスする教科書に、道徳の本質が載せられない
現行の教科書検定は、そうとう厳格です。道徳という、日本人としての考え方や行動様式を示すような内容を教科書検定で決めることは難しいのではないか。例えば、以下のリンクのような、日本人として生きる例を指し示してくれるようなものであれば良いが、検定の方針如何で、とんでもない道徳という教科ができはしまいか。

<日本人として生きるは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/37165821.html

4. 道徳は、生徒を「評価」すべきものではない
すでに「評価方法が判然としない」との指摘も出ており、教員による指導内容や評価のばらつきも懸念されます。そもそも道徳という科目は、評価するような性質になじまない。

5. 現場教師にさらなる重荷となる
現在でも、教育の現場の教師は多忙です。授業だけでなく事前準備・部活の指導・採点や評価・県教育委員会等からの調査依頼・保護者対応等等・・・。国際調査でも日本の現場教諭の多忙さが指摘されています。それに加えて道徳という、非常に対応が難しい科目の新設となれば、さらなる負担となることが予想されます。他の授業の質の低下だけでなく、教師自身の健康やモチベーション維持も心配です。

<教育現場の疲弊 OECD国際教員指導環境調査(TALIS)は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/39515436.html

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戦前には、明治から文部省から国定修身教科書が発行され、この教科書に基づいて修身教育が行われました。修身教育は、明治、大正、昭和と3つの世代を通じて長い間日本人の精神形成の中心的な役割を担ってきました。そして、第2次世界大戦の敗戦にともない、占領軍指令で授業の終了と教科書の回収が決定され、日本の教育の現場から姿を消しました。

"修身"の教科書には、吉田松陰を始め、勝海舟、加藤清正、米国初代大統領ワシントンなど、古今東西の偉人の話が載っていました。そして、その方々の具体的なエピソードを通して、"正直"、"勤勉"、"正義"、"公益"などの徳目を教えていました。修身の教科は人格形成に大きな影響を与えます。親から子へと語り継ぎ、世代間で共通の道徳観を持つことができました。これって、まさに道徳教育でしょう。

修身教科書の最初にあった「教育勅語」を筆頭に、修身の教科で教えられた主な内容は次の様な内容でした。
「家庭のしつけ」「 親孝行」「家族・家庭」「勤労・努力」「勉学・研究 」「創意・工夫」「公益・奉仕」「博愛・慈善」「質素・倹約 」「責任・職分」「 友情」「信義・誠実」「師弟・反省」 「正直・至誠」「克己・節制」 「謝恩」「健康・養生」「愛国心」 「人物・人格」「 公衆道徳」「国旗と国家」「国際協調」など。
 
教育勅語の一部にある「愛国心」から戦争を想起させるため望ましくないという部分を除けば、完全に日本人の行動様式・精神論・道徳観ではないか。有識者なる方々が、その知識や能力の範囲でいちから道徳という教科書を編纂しはじめるよりも、先人の作り上げてきたものを咀嚼し昇華させた上で、道徳の教科書を作ってもらいたい。

公立病院の建替よりも、市内の人材育成へ投資を

1. はじめに
8/9.8/10の2日間にわたって「いわきの医療・まちづくり公開シンポジウム」を開催致しました。そこでは、現場の医療関係者の懸命の努力によって、地域医療がぎりぎりのところで支えられているということが明らかになりました。医療をより良くするためには、何よりも医療スタッフのマンパワーが必要。公立の磐城総合共立病院の建替えというハコモノ建設に400億円近い金額を出すよりも、現場の医療スタッフをより充実させるため、市内の人材育成への投資をして頂きたい。
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2. いわき市立総合磐城共立病院について
市内には、いわき市が直接経営する病床数717床の総合磐城共立病院(以下、共立病院)という一番大きい病院があります。震災後の福島県地域医療復興事業補助金が、ここの建物の建替えに使えそうだということで、建替え問題が急浮上しました。
建替えの問題点
共立病院の建替えには300億円を超える莫大な費用がかかるとともに、将来世代の負担が発生します。市民ひとりあたり、大人も子供も赤ちゃんも、約10万円の借金を背負うことになります。建替えにあたっては以下の問題点が指摘されています。
追加土地取得や物価スライド条項(契約後の建設物価の変動によって自動的に契約金額が増える仕組み)等によって、今後さらに総工費は膨らみ、青天井となる可能性がある。
建設業界が活況を呈しているこの時期に、公立病院建設という公共工事を実施するメリットはない。
市民にとって、病床数で市内第1位(磐城総合共立病院)と第2位(労災病院)の病院が同時期に建替えをするメリットはない。
外側が新しくなっても、中身は一緒。
新病院開院後の医師不足・医師招聘の目処は立っていない。病院を建て直したら、医師が招聘しやすくなるというのは幻想に過ぎない。
現在の敷地面積では、研究施設や介護施設、教育施設等の将来の用途拡張性がない。
現病院を稼働させながら敷地内での建設工事には、駐車場・騒音・粉じん等の問題がある。
経営形態の問題点
これまでの市立病院経営で、過去10年間累計で約200億円の医業損失が発生し、一般会計からの他会計繰入(市のお財布からの赤字補填)でしのいできました。これは医療の専門性や機動的でない施策、非弾力的な人材待遇等の観点から、市による直接的な病院経営が効果的ではなかったために起こりました。新病院の収支見通しにおいても毎年、20億円から30億円の経常的な医業損失が見込まれています。国の財政状態を鑑みれば、総務省からの地方交付税措置も永続的とは考えられません。
ここから導き出されることは市の直接経営は持続的ではなく、単なる建物の建て替えに留まらず、病院経営そのものを見直さなければ、医療の改善という根本的な解決につながらないということです。仮に市による病院経営をやめて、独立行政法人化もしくは民間委譲等に経営手法を変えたとき、2次・3次医療圏の病床数で圧倒的な地域一番店で、市民からの抜群の認知度・ブランド力を持つ優位性が強みとなって、病院経営だけでなく医療スタッフにとっては魅力的な勤務先となり、市民にとっては医療サービスの質・量の向上につながる可能性があります。

3. 市内の医療人材育成を
共立病院の建替えに貴重な税金を投入するよりも、市内の医療人材の育成に力を入れるべく、以下3つの政策提言をします。
看護師等養成校の定員増
現在、看護師の数が足りないため、医療現場は多忙となっています。その要因のひとつは、市内の看護師養成校の入学枠が少ないために人材供給量が限られていることです。現在、市内には3校の看護師・准看護師養成校がありますが、その入学定員合計は165名です。一方、入学希望者数は過去5年間の平均で約340名です。すなわち170名以上が看護師になりたくても入口でお断りされているわけです。入学定員を増やし、市内医療機関に勤めていただくことが看護師不足解消への一歩となるため、既存の看護師等養成校の定員増を図っていくべきです。

上級学校への進学の受け皿
看護師・准看護師養成校の卒業生は、必ずしも市内医療機関に就職していません。一定数が卒業後、さらなる上級資格を目指して市外へ進学しています。その数は、平成23年で31名、平成24年31名、平成25年で39名です。准看護師学校においては、4割近くの卒業生が市外に進学していっています。彼ら彼女らの受け皿になるためには、市内に上級の学校、例えば准看護師から看護師になるための学校、もしくは4年制の看護大学・学部の設置をすべきです。

学生を支援する基金の創設
学費の問題から、私立の医学系学部進学をあきらめる高校生は少なくありません。平成25年度のいわき市内高校生の医学部進学者は16名ですが、うち私立医科大学への進学者はたった2名です。国立医学部の学費が6年間で約350万円に対し、私立医学部の学費は2000万円から3000万円と言われております。その高額の学費に対して二の足を踏んでいるわけです。結果としていわき市から医学部に進学する人材が少ないという事実を生み、医師不足に手をこまねいている現状を引き起こしています。
それなら学費を官民が支援して、市内から自前で医療人材育成をすれば良い。人への投資は必ず、市の財産となります。自主的に市へ貢献したくなるような詳細な制度設計は別途するとして、医療への道を目指す医大生・看護学生への奨学資金貸与、支払免除の基金を創設したいと考えています。

4. さいごに
一時的な復興財源が措置されているため、市内では「復興」という美名のもとにハード面の建設・整備が着々と進められています。市内には3,000戸を超える災害・復興公営住宅(家賃が安い公営の賃貸マンション)や30kmにも及ぶ防潮堤(万里の長城を彷彿とさせるコンクリート塀)が建設されます。一方、ソフト面、人材育成という点ではどうでしょうか。東京大学医科学研究所の上昌広教授によれば、これまでの福島県の教育に対する投資は、残念ながら最低ランクだそうです。私は、日本の将来は人づくりにかかっていると思います。まさに「まちづくりは人づくり」。人への投資が長期的なまちの財産となり、その魅力的なまちに若者が住みたくなる、そんな好サイクルを築いていきたいと思っています。

教育現場の疲弊 OECD国際教員指導環境調査(TALIS)

3.11東日本大震災から3年余りが経過しました。この3月の卒業生は、震災時に中学の卒業式・高校の入学式が満足にできなかった子達です。震災により直接・間接の親戚・友人を失い、また自宅の直接的な被害に会った子達です。それでも震災復興の3年間を、いろいろな思いを持ちながら磐城高校の生徒として通学し、卒業していきました。私の母校でもある磐城高校は市内の進学高校の一つで、多くの生徒が大学進学を目指します。

震災は間違いなく、各生徒の進学先・キャリアプランに少なからず影響を及ぼしました。特に、震災直後の救護活動や、福島第一原子力発電の事故を契機として、医療系を目指す生徒が増えたように感じます。また農業再生を目指す生徒もいました。事故は不幸なことですが、生徒が自分の進む道を自問した3年間となったので、強い意志をもって大学の学部選択をしています。そのような極めて強い意志や地域に貢献したい気持ちを持っていても、学力が伴わなくては希望の学部に進学できません。特に医学部は定員数も少ないため激戦、すなわち極めて高い学力が求められます。特に学費の面から私立医学部という選択肢がなく、国公立医学部先願という背水の陣を引かざるをえず浪人してしまう、もしくは医師への志をあきらめ、より合格が容易な他学部へ希望替えしてしまった生徒も少なくありません。ひとつの解決案として、6年間で数千万円という私立医学部の学費を完全に援助するファンドを作るという方法もあると思います。一定の条件を付した上で、私立医学部進学者に対して、学費負担ゼロで支援している自治体もあるそうです。
 
しかし何といっても生徒の学力そのものの向上に優る解決策はありません。ここにおいて残念なのは、現場の教諭が多忙すぎて、生徒の学習に直接向き合う時間が十分にとれていないことです。磐城高校においては、就業前の自己学習や、終業後の補習、任意のゼミ等、生徒の学習意欲を上げるようなたくさんの取組みをして、実際に効果を上げています。やりがいがある反面、教師の勤務時間がそれに比して増大し、現場は疲弊しています。例えば中学校の例ですが、経済協力開発機構(OECD)が行った国際教員指導環境調査(TALIS)※によれば、勤務時間も日本の教員は世界最長です。全世界平均の1週間の勤務時間が38.3時間に対して、日本は53.9時間と突出しています。多忙さの原因は部活や事務作業の時間です。また日本の先生は、指導への自信が低く勤務時間が長かったという調査結果も出ています。間接業務にはどのような業務の種類があり、それぞれ何時間を充てているのかまず全体を把握する必要あります。そして生徒に向き合う時間やその準備時間、そして教師としてのプロフェッショナリズムを維持する自己研鑽の時間等の優先順位を付けた上で、あるべき時間の割り振りをしなくては、効果的な学習指導がさらに困難になるでしょう。

※OECD国際教員指導環境調査(TALIS:Teaching and Learning International Survey)は、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査です。

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教育現場を見せて頂いて感じることは、高校生のポテンシャルは非常に高く、適切な「場」さえ与えれば、それに適応して能力を伸ばすことができるということです。昨年から、磐城高校と米イエール大学とで、毎朝スカイプ通話を始めました。これは語学力の向上というよりも、新しいものに対し、心のハードルを下げるという目的でやっています。そういった場を提供し続けていくことが大人の責務だと思います。

<スカイプ通話は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32241947.html

グローバル・リーダーを育てる中学・高校の学びとは

「グローバル・リーダーを育てる 中学・高校の学びとは」と題して、教育セミナーが法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎の薩埵ホールで開催されました。グローバルリーダーなる言葉は、大嫌いなのですが、ハーバード大でベストティーチャーとなった開成中高の柳沢幸雄先生が、その場で公開授業をやってくださると聞き、それを見たくて参加しました。

<開成文化祭は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32402231.html

私は正直、「グローバル人材」という言葉が嫌いです。その理由は、グローバル人材と唱える方が信用できないからです。
・グローバル人材、という人に限って(必ずといって)グローバルに活躍していない方である
・外国語が流暢に話せることを、グローバル人材の第一条件に挙げている
・グローバルの意味を自分の言葉で説明できていないのに、何故かグローバル化のお題目を唱えている
・なぜグローバル化が良いのかを、(美辞麗句はともかく)自分の言葉で説明できていない

私の思いはともかく、文部科学省は全国 56 の高校を「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定し、国を挙げて中等(中学、高校)教育のグローバル・リーダー育成に力を入れています。
 
第1部 公開授業 「発言することはグローバルスタンダードだ!」 
鷗友学園、横浜サイエンスフロンティア高校、Y-SAPIXから選抜された高校1年生、24人に対し、実際にハーバード等で行った反転授業(ただし、今回は日本語で)を70分間、再現してくれました。反転授業とは、Reading Assignment(事前学習)を踏まえて、授業(教室)でそれをベースに議論することです。そのルールは、
・ランダムで指名されるので、当てられたら3秒以内で答えること
・前の発言を繰り返さないこと
これにより、授業中、常に脳を活性化させておく必要があり、集中度が上がります。また始めに発言することで、自分の得意分野を話題にできます。

仮想ケーススタディは、水俣病のような未知の病にかかったら?がテーマです。情報が不完全な状態で自分が判断しなければならない状況で、自分が当事者だったらどのように思考するのかが目的です。 ここでは、専門家やリーダーは、常に責任ある判断を求められるということと、情報が不完全であっても瞬間的に判断しなければならない事柄は多いということを学びました。

「常に意見を形成することにより、脳が活性化し、知識が定着する」ということが実践で体得できたのではないでしょうか。柳沢教授は、その次のステップとして、議論の中で、自分の発言の時間を確保するために、空間の時間を見つけ、時間を勝ち取ることも必要だと示唆してくれました。要は試合に出なければ、成績は残せないということです。 
 
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 第2部 公開シンポジウム 「グローバル・リーダーを育てる中学・高校の学びとは」 
パネリスト: 
有馬朗人 氏(学校法人根津育英会武蔵学園長 元東大総長 元文科大臣) 
栗原峰夫 氏(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校校長) 
田中優子 氏(法政大学総長) 
柳沢幸雄 氏(東大名誉教授 元ハーバード大大学院准教授・併任教授) 
吉野 明 氏(鷗友学園女子中学高等学校校長) 

有馬氏は、グローバルリーダーの力として、「自ら調べ、自ら考え、応用する力」と定義しました。また初等・中等・高等教育に公的予算が投入されていないことに、憤慨しておられました。初等教育はGDPの2.7%、高等教育にいたってはGDPの0.5%しか投入されておらず、OECD加盟国中、最下位だそうです。確かにシンガポールの教育予算は、国家予算の1/4くらいでしたから、それには納得です。その割に、国際学力PISA等で上位にくる日本は、ある意味スゴイということです。

柳沢氏は、グローバルリーダーの力として、「人と人とが理解し合える共通の技術を持つこと」と定義しました。自らの意見を論理構成し、きちんと表現できることです。それをどの言語で表現するかは、その次。おそらく現状では、それが英語であることが、多いでしょう。

吉野氏は、自らが経営する鷗友学園の英語授業を引き合いに出されました。鷗友学園では、オールイングリッシュといって、11年前から英語授業を既存の教科書を使わず、英語の絵本を始めに、英語圏で使われている教科書を使い、3年間で100万語に触れることを目標に、授業中はすべて英語で授業を行うそうです。英語で思考しコミュニケーションをとれることを目的としています。知識としての英語でなく、ツールとして使える英語を目指しています。11年前からの取組みですが、当時も今も、100%の準備ではないものの、できるところから始めているということでした。実際に、授業風景をビデオで見せて頂きましたが、生徒が英語でディベートしているところを拝見し、環境さえ与えれば生徒はできることを証明してくれています。課題は費用だそうで、年間数百万円の書籍購入費や、All Englishができる教師の準備、誰もやっていないカリキュラム、授業計画の策定等の、労力をすべて学園自ら負担しなければなりません。

このセミナーを通して感じたことは、生徒へグローバル・リーダーとして育て、ということの前に、大人自らがグローバル・リーダーになるべく努力しなければならないなあと思ったことです。子どもは親の背を見て育つ、まさに英語教育も、リーダー育成も、あてはまると思います。

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いわき秀英中学校・高等学校

いわき秀英中学校・高等学校にお邪魔しました。同校はいわき市で中高一貫教育を提供する私立中学校・高等学校の一つです。秀英高等部が設立される、2001年より前のいわき市には、公立高校が15校ありました。成績順に磐城高校(男子校)・磐城女子高校(女子校)・湯本高校(共学)等に、実質的に学力でヒエラルキー化されており、大学進学を目指したい生徒は、自分の中学の成績・順位を見てそれに合致する高校を受験していました。

なぜなら、公立高校の併願はできないため、滑り止めには私立高校を受験することになるわけですが、市内には私立高校が男子高と女子高が1校ずつしかなく、その2校は決して大学進学者が多いとはいえませんでした。このため、市内の上位県立高校を志望する生徒の滑り止め校は茨城県の茨城キリスト教学園を受験するか、中学浪人するなどの方法を取らざるを得ませんでした。実際、私が磐城高校を入学したときのクラスメートの1割、すなわち40人教室のうち、4-5人は1歳年上の中学浪人組でした。

その現状を打破すべく、地元有力者であった志賀利彦氏によって、開校となりました。志賀利彦氏は、受変電設備・設計・施工・技術管理等を業とする泉電設株式会社の代表取締役を務めたこともある企業経営者です。2013年には、念願の中高一貫校となりました。
 
沿革
2000年 学校法人いわき秀英学園設立、いわき秀英高等学校設置認可
2001年4月 いわき秀英高等学校開校
2013年4月 いわき秀英中学校開校 
 
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開学当初より進学対策を重視し、毎週土曜日の授業を実施。大手受験塾である河合塾のサテライト校も併設されています。学校では中高一貫により、中学校の1年・2年で中学校3年分の学習内容を学び、中学校3年と高校1年・2年の中間で高等学校3年間分の学習内容を終えてしまうそうです。そして高校3年は大学受験対策にあてることができます。この方式は、東京の私学でも一般的で、特段珍しいものではありませんが、いわきにおいては先駆的な試みのひとつです。 
 
正面玄関を入ると、昨年の合格者一覧が掲載されています。このような例は磐城高校でも例年行われていますが、個人情報に配慮してか、実名表示はありませんでした。

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当日は、東京私学校教育研究所の清水氏をお招きして、「肯定からはじめよう 私学の持つ視点」として保護者・教員向けに講演をいただきました。清水氏は、世田谷にある中高一貫の女子校、鷗友学園の常務理事でもあります。こちらでは毎年東大合格者を輩出しており、中高一貫教育による学力の向上だけでなく、情操教育の重要性等を繰り返し、おっしゃっていました。
乳児の頃は決して肌を離さず、
幼児の頃は肌を離して決して手を離さず、
子どもの頃は手を離して決して目を離さず、
青年期には目を離して決して心を離さず という話です。

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タワー棟上層部には、図書館(改装中)や実験室等がありました。泉ヶ丘ハイタウンのその10数階からの眺めは、素晴らしい。小名浜も一望できます。この建物は大手ゼネコンの大成建設が施工し、震災時にはヒビも入らなかったという逸話があります。ただ震災後は、一般教室として使用するのは控えているとのことでした。

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開学の精神は、「大学進学」。それに対する批判も多いです。授業コマ数は多く、勉強時間が長すぎる、情操教育の時間が少ない、体育系のチーム部活動がない、詰め込み教育で自ら思考することが訓練されていない等の批判です。それらは、いわきにおいての私学の新しい試みに対する批判ともいえ、今後、どのように生徒の教育方法の舵を切っていくか注目していきたいと思います。
 

人間力をはぐくむ 東日本国際大学 いわき短期大学の実践

「人間力をはぐくむ 東日本国際大学 いわき短期大学の実践」を拝読しました。著者は、東日本国際大学の緑川浩司理事長です。サブタイトルが、人のため、社会のために生きる人間形成をめざす就職率100%達成の教育の原点とは?です。

東日本国際大学・いわき短期大学は、必ずしも入学時の偏差値が高い学校ではありません。しかし野球や柔道などスポーツに積極的に取り組んでいる学生、将来、福祉・介護サービスや幼稚園・保育園の先生の道をめざす学生が集まっています。またボランティア活動にも積極的で、たいら七夕祭りや夏井川灯籠流しのお手伝いや町内清掃等の活動を通じて、人間力を高め、自立の精神を養い巣立っていくそうです。

その建学の精神は、儒学の基本理念である「仁義礼知」の実践です。学問としての儒学でなく、どう実生活に適用するかを、人間らしい生きる姿勢と方法を若者に伝えることをしているそうです。建学の精神は「義を行い以って其の道に達す」。全国でもめずらしく「儒教」科目を必修とされているとのこと。雑駁にいえば、これらを通して、人間力を高め、それぞれが生き延びる力を持つことです。

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そのような建学の精神は、設立の経緯や創立者について知らないと、理解できないかもしれません。現在の姿は、元理事長の田久孝翁によるところが大きいです。1964年に現在地に、学校法人昌平黌(いわき短期大学)を、さまざまなハードルを乗り越え公の力を全く借りずに建設して、理事長となりました。その後1994年に東日本国際大学を開設し、2000年にいわき市発の中高一貫校である、附属昌平中学高等学校を開校させました。

田久孝翁氏については、説明が必要かもしれません。氏は実業界で成功を収めた後、一代で学校法人昌平黌、社会福祉法人昌平黌を立ち上げ経営者です。一方、いわき市議、福島県議を歴任した政治家でもあります。
1966年 東京の昌平高校を運営する学校法人の経営を引き継ぎ、昌平黌短期大学を開学
1972年 いわき短期大学に改称
1995年 東日本国際大学を開学
2000年 東日本国際大学附属昌平中学・高等学校を開学

もっと遡ると、昌平黌のルーツは、幕府の林羅山がかかわった昌平坂学問所です。それが明治になり、開成学校になるわけで、現在、東大進学者でナンバーワンの開成高校は、遠縁?みたいな関係になります。

1903年 東京市神田区淡路町の東京開成中学校内に昌平黌が開設
1923年 関東大震災により、開成中学(後の開成高校)は日暮里道灌山に移転し、開成夜間中学(後の昌平中学)は神田駿河台へ校舎を移転。
1948年 学制改革により、昌平高等学校となる
1964年 北区上中里へ移転 
1966年 いわきに昌平黌短期大学を開学するに伴い、土地建物をすべて売却処分
 
偉大な理事長を5年前に失い(2009年没)、大学にはリーダーがいない、学生も集まらないという時期があったそうです。新たに大学をリードしていくことになった緑川理事長は、東京理科大学出身で、一般企業でシステム設計をやっており、大学経営とは距離を置いていたそうです。しかしいわきに戻り、女子寮の舎監を当初から現在まで務め、まさに「義を行い以って其の道に達す」を大学経営に実践してきたそうです。ここに学生への教えも、大学の経営も儒学・東洋思想という、全国にまれに見る形の大学となったわけです。
 
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私がおもしろい視点だなあと思ったのは、東日本大震災からのいわきの復興活動を、「復興学」として授業に取り入れようとされておられることでした。復興活動に関しては、非常にうまくいった取組みや、携わった方々の熱意等のいわゆる「良い話」はたくさんありますが、一方、うまくいっていない取組みや、活動が空回りしてしまった「悪い話」もあります。前者は多くの方が研究したがりますが、後者こそ、過去の失敗を将来に活かすという点で、より学問的な重要性が高いのではないでしょうか。このような分野こそ、地元の研究者の強みであるフィールドワークを通じて、体系化できれば、いわきの研究機関としてもの存在価値があるのではないかと思います。

 

英語多読法 古川昭夫著

SEG(エスイージー)の主催者、古川昭夫氏の著書ということで興味をもちました。SEG(Scientific Education Group)は、理数系科目を中心とした中学生・高校生対象とし少数グループ形式の学習塾です。SEGの特徴は、何と言っても都内の優秀な生徒を魅了し、実際に支持され集められていること。ここから毎年100名以上の東大合格者を出しています。某国立高校の東大合格者数が多いのは、SEGへの通塾率が高いから、という噂もあります。

古川昭夫氏自身は、数学者。しかし英語での数学の教育方法を研究している過程で、使える英語の必要性に気づき、自身の多読を始めて英語力を伸ばしてきた経験、さらには多読学会をはじめとした学識を基に、英語学習法としての「多読」の理念、方法、効果などについて、説明しています。高校1年生でTOEIC850点を得た生徒もおり、また800点前後にまで伸ばす生徒はたくさんいるそうです。

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実は、日本近代文学を代表する小説を生み出した文豪、夏目漱石も「現代読書法」という著書で、多読の有用性を説いているそうです。「英語を修むる青年はある程度まで治めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書をたくさん読むが良い。少し分らない節があってそこは飛ばして読んでいってもドシドシと読書していくと終いには分るようになる、また前後の関係でも了解せられる、それでも分らないのは滅多に出ない文字である。要するに英語を学ぶものは日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的に習慣によってやるがよい。すなわち幾遍となく繰り返し繰り返しするがよい。ちと極端な話のようだが、これも自然の方法であるから手当たり次第読んでいくがよかろう」。

実は多読を英語学習法として強く推奨しながらも、「多読さえやっていれば、英語の全ての分野が上達するわけではない」と明示し、文法や単語帳での学習、辞書を引くことの効用も認めています。そして、多読に対する批判も紹介しています。
・ネイティブスピーカーの子供が読む英語の本であれば、多読が出来るのはわかるけれど、やさしい英文ばかり読んでいては、いつまでたっても英語力は伸びないのでは?
・辞書を引かなければ、わからない単語は永遠にわからないままでは?
・文法や語彙を勉強しないで、多読だけで英語は本当に身に付くのだろうか?
・英語を身につけるには、どのくらいたくさん読んだらいいのか?

語彙教育の権威によれば、多読を通じて新しい語彙を身につけるためには、未知語が全体の5%以下の本でなければならないそうです。つまり未知語が全体の5%以下であれば、辞書を引かなくても前後関係から、あるていどそのその言葉の意味を高い確率で類推できるそうです。これが人それぞれが異なる、読むべき本のレベルの決定係数になります。

非常に興味深かったのは、実証データから、英語力の伸びの公式をオリジナルで編み出していることです(さすが、数学者!)。それは、
英語の伸び=(読書量)×(理解度)の4乗 だそうです。
そしてこの公式を実際に自らのSEG生徒の学力の推移をサンプル調査し、概ね実証できたそうです。しかし限られた時間で読書量を増やせば、理解度は落ちるという相反する関係にあります。この公式によって、限られた勉強時間を費消しつつ、英語力を伸ばすためには、以下の結論が導き出されます。
①読書語数を増やす(一定時間内の読書速度を上げる)
②理解度を上げる(最低でも70%の理解で読む)
すなわち、理解度100%にこだわらず、未知語が20語中1語程度の本を使って、読書スピードを維持しつつ、70%の理解をキープしながら、できるだけ多くの語数を読むようにするということが、最適の戦略ということになります。

SEG「多読の3原則」は、含蓄が深く、我慢して苦行に耐えるのが学習ではないということです。同時に学習記録帳をつけ、300万語を目標に記録を続けるのはユニークです。これにより自分が英語学習のどの地点にだいたいいるのかが把握でき、そのやり方があっているかどうかも修正できるからです。
①辞書を引かずに楽しめる本を読む
②わかるところをつなげて読む
③自分が面白いと思う本を選んで読む

しかし、実際に多読を取り入れても自発的に読む生徒は非常に少ない。生徒に多読をさせるには、教師にちょっと変った能力が必要です。すなわち、英語の本を読む習慣のない生徒一人一人に適切なレベル・内容の本を紹介し、励ましながら自発的に読むところまで持って行くことが「多読指導」だそうです。それには時間がかかるし、そこまで生徒のモチベーションを下げずに多読を続けさせることが教師の腕の見せ所だそうです。それを実践している(本当は数学・理科がメインのはずの)SEG。こんな英語教育ができる教育人材が増えれば日本の若者にとっても、産業界にとってもプラスになるのではと思わせるものがありました。

海陽学園 入試報告会

海陽学園の入試報告会に参加しました。全国でも珍しい全寮制、かつ新設校にもかかわらず、新設校ながら第1期生の東大合格者は13人(卒業生数101人ですから、いきなり13%!)を輩出し、教育界を驚愕させた学校です。東京開催にもかかわらず、100名近くの父兄生徒が参加していました。

当日は、卒業生2名(東北大学法学部と早稲田大学在学中、両名とも好青年!)が来てくれて、海陽学園の実生活を、良くも悪くも正直に話してくれました。
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海陽中等教育学校は、愛知県蒲郡市にある私立の全寮制の中高一貫制男子校です。2006年4月開校の新設校ですが、その特徴はトヨタ自動車やJR東海、中部電力などの中部地方の産業界から約80社から寄付を集め設立されていることです。理事長はトヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏、校長は東京大学名誉教授、産総研出身の中島尚正氏です。新設校ながら第1期生の東大合格者は13人(卒業生数101人ですから、いきなり13%!)を輩出し、教育界を驚愕させました。

2006年の開校以来、一時期、生徒募集に苦戦していた時期はあったものの、5年ほど前から評判ともに、出願者の実績数を増やしてきています。なお、実出願者とは複数回受験の重複を除いた受験人数です。以前から入寮できる全生徒は100-120名定員で変わっていませんから、以前は合格した生徒のほとんどが入学していたのに、近年は生徒の他校(海陽よりレベルの高い学校との併願をし、かつそちらに合格していること)受験が一般化していることを裏付けています。

<海陽学園の出願者数推移 単位:人>
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イギリスの名門パブリックスクールであるイートン校をモデルとしており、イートン校では「ハウスマスター(HM)」がいますが、海陽では、HMに加え「フロアマスター(FM)」が1年ごとに、日本を代表する出資企業から派遣されてくるそうです。彼らも、生徒と一緒に寮生活を送り1年間を共にします。FMは20代の主に若手社員であり、生徒たちの兄貴分的存在。HMはさらに年齢が上で50才代、いわばハウスの父親的存在ともいうべきでしょうか。ひとつのハウスにつき生徒が約60人、それに対して、FMが3人、HMが1人つきます。

1学年は120名(1クラス30名×4クラス)の少人数教育、、英語・国語・数学の主要3教科は一般的な公立学校の2倍の授業を実施するそうです。入学生徒は全国から集まっています。もちろん学校自体が東海地方にあり、東海の企業が出資していることもあることから、東海地方の学生が5割近いです。逆にいえば、過半がそれ以外であり、関東・関西以遠からも学生が集まっていることに驚きます。

<生徒の出身地別割合:単位%>

1

卒業生が正直に語ってくれた、いくつかの小話を紹介します。

・閉鎖空間
寮の中ではマンガやゲームはいっさい禁止。病欠以外の理由で学校を欠席することも禁止。辛くても逃げ出すことができない究極の「閉鎖空間」です。男だけで数百人が共同生活を送るわけですから、個人の価値観はぶつかりますし、ケンカもあります。しかし、「とにかく逃げ出せない」。参加してくれた卒業生によれば、どこかで折り合いを付ける必要があるわけです。何度もそれらを通じて、人間的に成長できたと感じているそうです。

・受験勉強
全国の進学校の多くが大学受験に備えて、高校2年生くらいから予備校に通うケースが多いですが、海陽学園では塾に通うことは(事実上)できません。そもそも最寄り駅の三河大塚駅には大手予備校はないから。ではどうしているか?それを補うのが、夜学習です。部活動後の夕食を終えた生徒たちは着替えを済ませると夜8時からの夜間学習するとのこと。FMに個人的にわからないところを教えてもらったり、FMによるキャリア相談など、自分も受験をくぐり抜けてきたFMによる支援はFMが敷地内に住んでいるからこその技です。

・学費
年間約280万円。支払総額だけ見ると日本一、学費が髙いらしい。もっともこれは、寮費・食費・光熱費などすべての生活費が含まれています。特徴的なのは、1学年100名のうち、20名は特別給費生といって、すべての学費が無料となっていることです。この特別給費生の選抜入試の偏差値は、慶応や早稲田の中等部入試より上位です。実際に、灘や開成の腕試しとしての受験も多く、実際そういった入学者もいるそうです。
 
・愛校心
青春の6年間を昼も夜も過ごす場所ですから、必然的に生徒たちの愛校心も強くなります。夏休み・冬休みの長期休暇は実家に帰省しますが、逆にいえばそれ以外で、週末に実家に戻る子はほとんどいないそうです。それは東海地方出身の子でも変わらない。長期休みも、全国から来ている同級生の実家に泊まりにいったりして、実家に帰らない生徒も多いそう。親とすれば、ちょっと寂しいかもしれませんが、確実に大人の男になって、生徒たちは巣立っていくそうです。実際に話してくれた卒業生2人は、大学進学後、自らのキャリアプランを模索中で、海外留学や社会人となった姿を描きながら、大学生生活を送っていることが、ひしひしと分りました。
 
・身の回りのこと
寮なのである程度寮母さんがフォローしてくれると思いきや、自分の洗濯物は自分で、ランドリーで行わなければならないとのこと。ランドリーの数にも限りがあるので、入学当初は先輩方に気を遣って順番待ちをしているあまり、深夜に起き出して洗濯しなければならなかった思い出等を話してくれました。(学校にとっても)辛い体験をよくぞ話してくれたと思います。

・ドロップアウト
当時の入学生約100名のうち、約1割にあたる約10名の同期生が卒業まで在籍せず、退学、いわゆるドロップアウトしてしまったそうです。閉鎖空間に耐えられない、授業についていけない等ざまざまな理由があります。この1割を多いと見るか、一定程度は仕方ないと見るか。参加してくれた卒業生2名の話では、「残念だけれど、仕方ない」とのこと。

・フロアマスター
海陽の肝はこのフロアマスター制度にかかっているのではないか、と個人的には感じました。すなわち、トヨタ・JR東海・中部電力などの企業から派遣された若手社員が、各ハウスの各フロアに1人ずつ住み多感な時期の生徒達と交流を深めたり相談に乗ったりすることです。生徒はフロアマスターに日誌を毎日提出し、その日の出来事や、相談に乗って欲しいことなどを書き、フロアマスターは返事を書くそうです。また定期的にコーチングと呼ばれる面談も生徒対象に行っているそうです。そこでは単に勉強や生活だけでなく、恋愛相談や、人にいえない悩み等もFMが受け止め、相談に乗るということです。FM自体も一人の人間ですし、若手企業人としての責任感もある。彼らが真剣に24時間、向き合ってくれるというのは、ひょっとすると全国何処でもそうそう経験できないことなのではないかと思うのです。そう考えると、卒業生2人が物怖じせずに、当時の経験を語る姿にも納得がいきました。社会人と話すこと、社会の仕組みについて話すことに、気負いがないんです。

海陽学園については、ネガティブな見方をする方もいらっしゃるとは聞いていますが、一方で、その強さの秘密は何がドライバーなのか。「閉鎖空間」だからこそ、たくさんの企業講師招聘や企業訪問を通じて、社会との接点を複数のルートで持つことができ、それが生徒の思考・行動様式に多大な影響を与えていること等、参加してはじめてそれがわかったような気がします。

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注)上記は、入試報告会で説明を受けた範囲の内容で、かつ当方の理解と印象を書いたものです。実際の海陽学園とは、異なる可能性があります。
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吉田みきと プロフィール

ふるさとの福島県いわき市で、市議会議員として活動を開始しました! いわき市は、今、複層的な問題が山積しています。公認会計士としてのキャリアを生かし、フレッシュな視点で問題点を洗い出します。



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