表紙の帯のサブタイトルが、「救世主か?怪物か?彼女の真実の姿」とあります。著者は、ノンフィクション作家の石井妙子氏。これまでひとりの女性に焦点をあてて、その半生記を書いてこられた方です。そして3年以上の月日をかけて、100名以上の方に取材をして、完成したのがこの本です。東京都知事選挙の直前に発売されたというタイミングもあって、発売と同時に大変な話題になっています。

重層的な取材を重ねて書かれているだけに、説得力があります。ネット上では、「面白かった」「怖かった」だけなく、「小池さんという人がどういう人物なのか初めてわかった」「今まで疑問に思っていたことが腑に落ちた」「肯定する気にはなれないけれど、がむしゃらに男社会をのし上がっていった小池さんに喝采を送りたい気持ちもある」「憎めない、かわいそうだ」「絶対に政治家にしておいてはならない」等の意見が、著者に寄せられているそうです。

私の感想は、これだけよく取材を重ねたなあ、というもの。上記のような見方は、どれも正解だと思います。当然、取材先の意図が反映されてしまうため、事実と異なることもあるでしょう。しかし重層的にされた取材から浮かび上がってくる、小池氏像は、良くも悪くも、驚くべきものでした。本のトーンは、小池氏に批判的なスタンスで書かれていましたが、私の印象としては小池氏は自らいろんな手を使って、現在のポジションまでのし上がったなあというもので、あまり否定的には捉えませんでした。逆に、都知事選直前に販売するところなど、著者の販売部数を増やしたいという明らかな意図を感じました。いずれにせよ、都知事の意外な側面がわかるこの本は、東京都民必見です!!!

2020-06-26 18.40.30-1