著者のエドワード・ルトワック氏はユダヤ出身で、英、仏、イスラエルの軍隊を経験した後、ジョンズ・ホプキンス大学で学び、現在は、フリーの軍事アドバイザー・戦略家という肩書きです。そして何といっても、知日家・親日家です。著書に、「ルトワックの日本改造論」や「中国4.0 暴発する中華帝国」があり、中国封じ込めのさまざまな提案がなされています。その氏がこれまでの日本を分析して得た結論は、日本が大きく進化=バージョンアップしてきた時期を4つに分け、今「日本4.0」にあるという。日本は、あるタイミングでそれまでのシステムを完全に捨て去ることで、現実に対応してきたわけです。

日本1.0:内戦を完璧に封じ込めた江戸→ガンコントロールと同盟
日本2.0:包括的な近代化を達成した→侍が特権を棄てて近代的な軍隊への転換を主導
日本3.0:弱点を強みに変えた戦後→禁じられた軍事を経済に集中投資
日本4.0:自ら戦える国に進化・アップグレード→ヒューミントや先制攻撃能力の獲得

いま日本は、4.0になるかどうかの瀬戸際。そのカギは少子高齢化の若返りとイノベーションです。国を愛する者がもっとも大切にするのは、国旗でなく子どもたちだからです。

一例として、近隣の大国からいつ侵攻されてもおかしくない危機感を持った国として、フィンランド(貧弱な装備でロシア軍を撃退)とイスラエル(効率的な攻撃でイランと対抗)が上げられています。小国ではあるものの、彼らの軍事力はリアリティを追求したもの。その戦略性・効率性は、見習うべき点が多いのではないでしょうか。

2020-06-10 19.04.23-1