いわき震災伝承みらい館は、地震、津波に加え、原発事故が重なるという未曾有の複合災害に見舞われた、いわき市の震災経験をあらためて捉え直し、震災の記憶や教訓を風化させずに確実に後世へ伝えていくことを目的とした「震災メモリアル事業」を推進するための総合拠点施設です。9:00-17:00会館、月曜休館、入館料無料。場所は、いわき市薄磯3丁目11(震災土地区画整理事業により、住居表示が変更になっています。以前は、いわき市平薄磯だったのが、「平」が取れて、「いわき市薄磯」になりました)。
整備に要する総工費は3.7億円(施設整備のハードに2.3億円、展示などソフトに1.3億円)。いったんは市が全額支出しますが、最終的には国の負担率が100%なので、いわき市の財政負担はありません。一見、有用な施設ができ、かつその工事も市内業者が請け負っているので、市内経済にはプラスのインパクトなのかもしれません。しかし、本当に国民負担で、このような施設が億円単位の支出をして有用なのかを、きちんと考えなければならないと思います。また運営には、5名の常駐職員が見込まれており、その運営費は人件費を中心に年間34百万円を見込んでいます。これはいわき市の負担ですから、将来、負の遺産となるおそれあり。
そもそも、震災メモリアル事業としての総合拠点施設を、新規に作ること自体、異論がありました。仙台市の荒浜では、津波により浸水した荒浜小学校の現状保存を決め、メモリアルパークにおける記念館という位置づけで後生に残すそうです。
<震災遺構 豊間中学校は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/43262589.html
展示内容として、見るべきはガイダンス映像とメイン映像です。どちらも、かつての住民や被災された方・避難所にいた方、給水活動に従事された方、避難所運営に従事された方等のインタビューと、当時の動画映像が、上手に5分程度にまとめて編集されており、一度は見る価値があると思います。YouTube等で、東日本大震災時の津波動画等はたくさん見ることができますが、この各当事者へのインタビューは、よくできています。改めて見る価値があると感じました。またパネル展示やハンズオン展示、タッチパネル展示、被災現物展示、VR体験(コロナ対策のため、一部停止しているものあり)もあります。
土日には、「震災語り部」としてリアルに震災を被災した語り部が、有料で解説してくださるそうです。1時間あたり5,000円だそうですが、団体で聞けば、参加者ひとりあたりの負担は小さくなるので、教育旅行等には良いかも知れません。
それにしても、立地場所については、かなり疑問が残ります。確かに薄磯地区は、津波被害が最も甚大だった場所ですが、訪問者にとって利便性が高いとは言えません。公共交通機関もなく、市中心部から車で20分近くかかります。教育旅行を念頭においた、市外からの訪問者はもちろん、市内の小中学校生徒が、自ら訪れることは難しいでしょう。
震災メモリアル事業ですが、目的は、①震災の記憶・将来への伝承、②被災された方への哀悼・鎮魂、③市内外の方が教育旅行として訪問することによる、市への認識度定着・経済効果、だと思います。薄磯の施設は、①がメインで、②③に重きが置かれていないように感じました。利便性が低い場所に、このような施設を作ることは、負の遺産になるおそれがある。それを見越して、仙台市では、「せんだい3.11メモリアル交流館」という①②③いずれにも配慮した震災メモリアル施設を、市営下鉄駅直結のビル内に整備して、訪問者の利便性に最大限、はかっています。薄磯の施設もオープン当初は、物珍しさも含めて、訪問者は多いでしょう。しかしそれが一巡したら、訪問者がおらず、毎日ガラガラな建物となってしまい、運営コストを切り詰めるために運営を外部委託し、運営スタッフ数を減らし、定期的な展示コンテンツの更新がなされない、という将来が見えてきます。震災関連メモリアル施設は、福島県も、さらには双葉8町村それぞれが類似のコンテンツ施設を作っています。整備費に億円単位を使って、さらには将来毎年数千万円の運営費もかかる事業は、国民の税金を使って新規に作る必要はあるのか。もはや作ってしまった以上、もうどうにもならないというあきらめ感はあるものの、そういった痛い公共施設とならないことを、切に祈る思いです。
<せんだい3.11メモリアル交流館は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/48908530.html
整備に要する総工費は3.7億円(施設整備のハードに2.3億円、展示などソフトに1.3億円)。いったんは市が全額支出しますが、最終的には国の負担率が100%なので、いわき市の財政負担はありません。一見、有用な施設ができ、かつその工事も市内業者が請け負っているので、市内経済にはプラスのインパクトなのかもしれません。しかし、本当に国民負担で、このような施設が億円単位の支出をして有用なのかを、きちんと考えなければならないと思います。また運営には、5名の常駐職員が見込まれており、その運営費は人件費を中心に年間34百万円を見込んでいます。これはいわき市の負担ですから、将来、負の遺産となるおそれあり。
<荒浜小学校の視察は、コチラ>
この薄磯地区も100名を超える津波による死亡者を出した薄磯海岸にあり、東日本大震災の教訓を残すために、震災遺構として(新規に建物を作るのではなく)この地にあった豊間中学校の保存し、後生に残すべきではなかったか。<震災遺構 豊間中学校は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/43262589.html
展示内容として、見るべきはガイダンス映像とメイン映像です。どちらも、かつての住民や被災された方・避難所にいた方、給水活動に従事された方、避難所運営に従事された方等のインタビューと、当時の動画映像が、上手に5分程度にまとめて編集されており、一度は見る価値があると思います。YouTube等で、東日本大震災時の津波動画等はたくさん見ることができますが、この各当事者へのインタビューは、よくできています。改めて見る価値があると感じました。またパネル展示やハンズオン展示、タッチパネル展示、被災現物展示、VR体験(コロナ対策のため、一部停止しているものあり)もあります。
土日には、「震災語り部」としてリアルに震災を被災した語り部が、有料で解説してくださるそうです。1時間あたり5,000円だそうですが、団体で聞けば、参加者ひとりあたりの負担は小さくなるので、教育旅行等には良いかも知れません。
それにしても、立地場所については、かなり疑問が残ります。確かに薄磯地区は、津波被害が最も甚大だった場所ですが、訪問者にとって利便性が高いとは言えません。公共交通機関もなく、市中心部から車で20分近くかかります。教育旅行を念頭においた、市外からの訪問者はもちろん、市内の小中学校生徒が、自ら訪れることは難しいでしょう。
震災メモリアル事業ですが、目的は、①震災の記憶・将来への伝承、②被災された方への哀悼・鎮魂、③市内外の方が教育旅行として訪問することによる、市への認識度定着・経済効果、だと思います。薄磯の施設は、①がメインで、②③に重きが置かれていないように感じました。利便性が低い場所に、このような施設を作ることは、負の遺産になるおそれがある。それを見越して、仙台市では、「せんだい3.11メモリアル交流館」という①②③いずれにも配慮した震災メモリアル施設を、市営下鉄駅直結のビル内に整備して、訪問者の利便性に最大限、はかっています。薄磯の施設もオープン当初は、物珍しさも含めて、訪問者は多いでしょう。しかしそれが一巡したら、訪問者がおらず、毎日ガラガラな建物となってしまい、運営コストを切り詰めるために運営を外部委託し、運営スタッフ数を減らし、定期的な展示コンテンツの更新がなされない、という将来が見えてきます。震災関連メモリアル施設は、福島県も、さらには双葉8町村それぞれが類似のコンテンツ施設を作っています。整備費に億円単位を使って、さらには将来毎年数千万円の運営費もかかる事業は、国民の税金を使って新規に作る必要はあるのか。もはや作ってしまった以上、もうどうにもならないというあきらめ感はあるものの、そういった痛い公共施設とならないことを、切に祈る思いです。
<せんだい3.11メモリアル交流館は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/48908530.html