2018年の逮捕と、2019年のプライベートジェットを使ってのレバノンへの逃亡と、連続で驚かせているカルロス・ゴーン氏の逮捕から逃亡に至るまでのいきさつ一連の報道をまとめた書籍です。朝日新聞取材班が著書となっていて、400ページもあり圧倒される情報量です。事件の流れが時系列で整理されていて、事件の真相にかなり近いと感じました。もっともスタンスは朝日新聞社寄りになっていて、記者のスクープ自慢や独占インタビュー掲載があるのは、ご愛敬ですかね。
ニッサン(当時は、日本産業)の創業者、鮎川義介氏の経歴からはじまり、歴代の経営者の光と影、ニッサンの従業員の体質等がよくわかります。トヨタやホンダとは全く異なる社風なんですね。だからこそ、1999年にニッサンは、借入金1兆円を超え、民事再生法適用の一歩手前まで凋落してしまった。そこで、ダイムラーやフォード等との提携話があり、最終的にルノーの出資を受け、ゴーン氏がCOOとしてニッサンに着任。クロスファンクショナルチームの編成や、社員の意識と行動の変革、大胆なコストカット、日産リバイバルプランの発表と達成。そして翌年からの業績のV字回復やリーダーシップは、マスコミや経営本が大絶賛することになります。またルノーの代理人として送り込まれたにもかかわらず、株式の30%超を持つルノーからの経営支配に対して、日産の一定の独立性を保てたのもゴーン氏があったから。
不正のきっかけは、2008年のリーマンショック。ゴーン氏が新生銀行とのスワップ取引で個人的に13億円もの損失を出し、追加担保を要求されたこと。これを契機に、不正に手を染めていってしまいます。起訴されている容疑は4つ。
1. 役員報酬の虚偽記載(金融商品取引法違反)
2. 日産に損失を付け替えた特別背任(会社法違反)
3. サウジアラビアルートの特別背任(会社法違反)
4. オマーンルートの特別背任(会社法違反)
ゴーン氏は逃亡の理由として、日本の人質司法制度を上げています。起訴されると有罪率99%というのは、刑事訴追の原則である推定無罪が日本の司法制度では働いていないのではないか。確かに記事を読む限り、可及的速やかに司法制度を改善しなくてはならないでしょう。
・拘留期間が長すぎる
逮捕からはじまる拘留期間が数ヶ月に及び拘置所にとどめ置かれるのは、長すぎる。確かに尋問するだけなら、数日ですんで、すぐ起訴すれば良いし、それ以上に続くならば、毎日自宅から来てもらって尋問すれば良いわけで、拘置所に24時間×数週間もとどめ置く必要はないでしょう。
・保釈の条件
保釈の条件に、証拠隠滅の可能性を理由に妻のキャロルさんとの面会が許可されなかった。確かに結婚関係にある妻と、保釈中に会えないってのは、保釈を認めておいて裁判所の判断は尋常ではなかったと思います。
・保釈が認められない
証拠隠滅の可能性を理由に、数ヶ月も拘置所にとどめ置かれるのは、意味がない。検察は証拠固めをするのに、そんなに長い期間は不要でしょう。保釈したら、GPS端末の装着義務や携帯通話記録のチェック、監視カメラ等で、行動制限すれば良いはず。その間に被疑者に自由にモノが食べさせず、友人に会わせず、経済活動もさせず、インターネットも断絶させるような拘置所にとどめ置くのは、ナンセンスだと思います。
・裁判期間が長すぎる
日本の裁判制度では、1審から最高裁の3審まで数年、もっとかかるのが一般的。それまで不自由な拘置所にとどめ置かれ、人生を費消してしまう。確かにこれはいかんともしがたい・・・
・操作情報の意図的リーク
本来は、検察側は、捜査状況をリークするのは法的に禁止されているはず。しかし現実には、検察は自由に操作状況をマスコミに流し、新聞雑誌がこぞってその情報をもとに世論をリードしています。反対側の被告は、拘置所に勾留されていて全く外部との連絡が禁止されているので、全く意思や意見を外部に公表・アピールすることができません。そういう間に、国内の世論を、事実上、検察側有利に運べる仕組みになっています。こんな立場の被疑者側になったら、絶望するしかないかもしれないですね。
逃亡劇について、関西空港のプライベートジェットの出国手続のいい加減さが報道されていますが、そもそも、入国管理の目的は、不正な人や不正なモノを水際で入れないこと。すなわち出て行く人やモノに関しては、入ることより緩くなるのは、ある意味仕方ない。さらに手荷物検査の目的は、危険物・爆発物を確認し、フライトの安全を確保すること。プライベートジェットの場合、顧客と機長との信頼関係があれば、省略しても問題がないという実務は、なるほどです。
ニッサン(当時は、日本産業)の創業者、鮎川義介氏の経歴からはじまり、歴代の経営者の光と影、ニッサンの従業員の体質等がよくわかります。トヨタやホンダとは全く異なる社風なんですね。だからこそ、1999年にニッサンは、借入金1兆円を超え、民事再生法適用の一歩手前まで凋落してしまった。そこで、ダイムラーやフォード等との提携話があり、最終的にルノーの出資を受け、ゴーン氏がCOOとしてニッサンに着任。クロスファンクショナルチームの編成や、社員の意識と行動の変革、大胆なコストカット、日産リバイバルプランの発表と達成。そして翌年からの業績のV字回復やリーダーシップは、マスコミや経営本が大絶賛することになります。またルノーの代理人として送り込まれたにもかかわらず、株式の30%超を持つルノーからの経営支配に対して、日産の一定の独立性を保てたのもゴーン氏があったから。
不正のきっかけは、2008年のリーマンショック。ゴーン氏が新生銀行とのスワップ取引で個人的に13億円もの損失を出し、追加担保を要求されたこと。これを契機に、不正に手を染めていってしまいます。起訴されている容疑は4つ。
1. 役員報酬の虚偽記載(金融商品取引法違反)
2. 日産に損失を付け替えた特別背任(会社法違反)
3. サウジアラビアルートの特別背任(会社法違反)
4. オマーンルートの特別背任(会社法違反)
ゴーン氏は逃亡の理由として、日本の人質司法制度を上げています。起訴されると有罪率99%というのは、刑事訴追の原則である推定無罪が日本の司法制度では働いていないのではないか。確かに記事を読む限り、可及的速やかに司法制度を改善しなくてはならないでしょう。
・拘留期間が長すぎる
逮捕からはじまる拘留期間が数ヶ月に及び拘置所にとどめ置かれるのは、長すぎる。確かに尋問するだけなら、数日ですんで、すぐ起訴すれば良いし、それ以上に続くならば、毎日自宅から来てもらって尋問すれば良いわけで、拘置所に24時間×数週間もとどめ置く必要はないでしょう。
・保釈の条件
保釈の条件に、証拠隠滅の可能性を理由に妻のキャロルさんとの面会が許可されなかった。確かに結婚関係にある妻と、保釈中に会えないってのは、保釈を認めておいて裁判所の判断は尋常ではなかったと思います。
・保釈が認められない
証拠隠滅の可能性を理由に、数ヶ月も拘置所にとどめ置かれるのは、意味がない。検察は証拠固めをするのに、そんなに長い期間は不要でしょう。保釈したら、GPS端末の装着義務や携帯通話記録のチェック、監視カメラ等で、行動制限すれば良いはず。その間に被疑者に自由にモノが食べさせず、友人に会わせず、経済活動もさせず、インターネットも断絶させるような拘置所にとどめ置くのは、ナンセンスだと思います。
・裁判期間が長すぎる
日本の裁判制度では、1審から最高裁の3審まで数年、もっとかかるのが一般的。それまで不自由な拘置所にとどめ置かれ、人生を費消してしまう。確かにこれはいかんともしがたい・・・
・操作情報の意図的リーク
本来は、検察側は、捜査状況をリークするのは法的に禁止されているはず。しかし現実には、検察は自由に操作状況をマスコミに流し、新聞雑誌がこぞってその情報をもとに世論をリードしています。反対側の被告は、拘置所に勾留されていて全く外部との連絡が禁止されているので、全く意思や意見を外部に公表・アピールすることができません。そういう間に、国内の世論を、事実上、検察側有利に運べる仕組みになっています。こんな立場の被疑者側になったら、絶望するしかないかもしれないですね。
逃亡劇について、関西空港のプライベートジェットの出国手続のいい加減さが報道されていますが、そもそも、入国管理の目的は、不正な人や不正なモノを水際で入れないこと。すなわち出て行く人やモノに関しては、入ることより緩くなるのは、ある意味仕方ない。さらに手荷物検査の目的は、危険物・爆発物を確認し、フライトの安全を確保すること。プライベートジェットの場合、顧客と機長との信頼関係があれば、省略しても問題がないという実務は、なるほどです。