著者の橋本治氏は、膨大な著作を残している小説家・文筆家です。惜しくも昨年亡くなってしまいましたが、そのジャンルは、小説・エッセイ・恋愛・古典文学と幅広く、また軽やかな独特の文体も特徴的でした。興味の範囲はとどまるところを知らず、編み物に凝り、セーターは、製図を作ってから編み込んだそうです。さらには「男の編み物」という本まで出版するほど。以前、「性タブーのない日本」という著作を読み、日本史に造詣が深いことと、性に対して極めてドライかつ愛情込めた分析にうなりました。
そして今回のテーマは「学問のすゝめ」。いわずとしれた「天は人の上に人を造らず」の有名な書き出しではじまる、明治初期に刊行された、20万部のベストセラーです。それを一行一行、精読していこうというもの。実際には全17編のうち、前半半分で終わってしまうのですが、それはご愛敬。まず、福沢諭吉が学問のすすめを書いたころの時代状況を丁寧に解説。実は、ここが一番大切なんです。
出版時の明治6年の一般大衆には、「お上」としての幕府と明治政府の違いが理解できる環境ではなかった。当時、お上によって大枠が作られつつあった政府・議会・憲法だったが、一般大衆はそれを無知なまま受け入れていた。形だけ導入しても、本来の民主主義は根付かない。だからこそ、(時間はかかるけれど)個人それぞれが学習をして、民主主義を理解し自らが自立した上で、日本国を自立した国家にしようという壮大な啓蒙本なのです。
<性タブーのない日本 橋本治著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53846185.html
そして今回のテーマは「学問のすゝめ」。いわずとしれた「天は人の上に人を造らず」の有名な書き出しではじまる、明治初期に刊行された、20万部のベストセラーです。それを一行一行、精読していこうというもの。実際には全17編のうち、前半半分で終わってしまうのですが、それはご愛敬。まず、福沢諭吉が学問のすすめを書いたころの時代状況を丁寧に解説。実は、ここが一番大切なんです。
出版時の明治6年の一般大衆には、「お上」としての幕府と明治政府の違いが理解できる環境ではなかった。当時、お上によって大枠が作られつつあった政府・議会・憲法だったが、一般大衆はそれを無知なまま受け入れていた。形だけ導入しても、本来の民主主義は根付かない。だからこそ、(時間はかかるけれど)個人それぞれが学習をして、民主主義を理解し自らが自立した上で、日本国を自立した国家にしようという壮大な啓蒙本なのです。
橋本治の解釈でもっとも慧眼なのは、「福沢諭吉は政府という言葉を何度も使っているが、ここでいう政府は明治政府のことではなく、福沢が思い描く理想のあるべき政府のことだった」という指摘です。
福沢諭吉は政府や政治活動に関わろうとしなかったけれど、その理由は、彼からすると明治政府の人間はバカばかりで、関わるに値しないと判断していなかったから。とはいえ、当時の言論統制や風潮として明治政府をあからさまに批判することはできないので、回りくどい難解な言い回しになったようです。
時代は違えども、共通の認識としては「自分を確立しろ。そして政治と向き合え」ということ。
巻末に学問のススメの第1編が収録されていますが、福沢諭吉の愛国心があらわれています。「国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申しべきなり。」日本国民が全員玉砕してまでも、国の独立を守ることのほうが重要とは、、、福沢諭吉が考える国のあり方というものをダイレクトに感じます。
巻末に学問のススメの第1編が収録されていますが、福沢諭吉の愛国心があらわれています。「国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申しべきなり。」日本国民が全員玉砕してまでも、国の独立を守ることのほうが重要とは、、、福沢諭吉が考える国のあり方というものをダイレクトに感じます。
<性タブーのない日本 橋本治著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53846185.html