著者の日下公人氏は、日本長期信用銀行取締役、ソフト化経済センター理事長、東京財団会長等を歴任された経済人です。その一方、常に日本の国益を冷静に最優先に考え、その思考のもとを過去の歴史と対比しながら考える保守の論客でもあり、多数の著書を出されている方です。
「優位戦」とは、こちらが主導権を握って「戦場」を選び、時を決め、目的も手段も決められる戦いのこと。そうした優位戦の思考を持てば、「劣位戦」に追い込まれることなく自分の利益を確保できるというもの。以前から欧米は、そうしたかけひきに長けていて、日本は彼らに決められたルールの下、不利な条件で戦ってきました。それは政家・外交・経済いずれの分野でもあてはまります。特に、劣位思考に陥ったままの政治家、学者、マスコミに顕著。それを変えていこうという著者の提案です。
「日本には力があり、選択肢がある」国際親善に力を尽くして海外と好き合わなければ経済が成り立たないというのは思い込みに過ぎません。日本人が決意して優位戦思考を持てば、日本は自由に戦えるはず。核兵器を保有していなくても、日米安保条約が日本を制約するビンの蓋だとしても、優位戦思考で戦い方を選んで行けば、道は開ける。
この趣旨のことは野中郁次郎著の「失敗の本質」でも、書かれていますね。
<失敗の本質は、コチラ>