著者の山岡鉄秀氏は、自称、情報戦略アナリストの55才。保守派の論客で、ツイッターをはじめとして愛国心も基づいた発信を継続しています。これまでの著書には、「日本よ、もう謝るな!」や「日本よ、情報戦はこう戦え!」等、刺激的なタイトルが並びます。一方、今回の「新・失敗の本質 失われた30年の教訓」では、名著「失敗の本質」をさまざまな点で引用し、そこから学ばねばならないと指摘しています。

<失敗の本質は、コチラ>
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著者が、冷静・客観的な思考が持つようになったのは、オーストラリア留学し、その後も20年以上住み、あるきっかけで日本に帰国したときに受けた衝撃です。それは、もはや日本は経済大国ではなくなっていて、オーストラリアをはじめとする諸国に所得水準の点で、大きく水をあけられてしまったいること。また平和ぼけしていて、中国がしかける超限戦(情報戦・経済戦)で負け続けていることを認識していないことでした。

<China 2049 秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54274181.html

日本人は、PDCAサイクルなど目標が与えられているシングルループ・ラーニングは得意だが、その目的や前提そのものを疑い、必要であれば学習棄却(アンラーニング)をするダブルループ・ラーニングは苦手である。前例を踏襲することで、逸脱を忌避し、成功体験を捨てることができずにに失敗に至ってしまう。一例として、制定当時と社会状況が大きく変化しているにもかかわらず、憲法改正にさえ着手できないこと。自発的に枠を打ち破れず、「黒船」という外圧があって初めて考え決断に至るというところが、民族としての日本人の最大の弱点である、ということは、「失敗の本質」でも、日露戦争の際の日本海海戦の勝利の成功体験が、大東亜戦争時にいろいろな面で引きずり、敗戦につながったことが指摘されています。「モノづくりと商売のことだけに専念するのが正しい生き方」という成功体験を捨て去り(学習棄却・アンラーニング)、新たなラーニングをしながら、行動することが肝要。

情報戦の軽視も、旧日本陸軍参謀本部と同じ。真珠湾攻撃のアメリカ国民に与えるインパクトを、深く考えていなかった。当時のアメリカ国民は、第一次世界大戦の厭戦ムードから、参戦に反対だったといいます。いわゆるモンロー主義ですね。日本はそれを理解した上で、戦争を避けるためにアメリカに対し、情報戦を仕掛けるべきだった。「我々は戦争をしたくない。しかし資源がない日本は供給がストップされたら戦争になってしまう。なぜルーズベルト大統領は、日本をそんなに追い込むのでしょうか」と、米国民と世界に強力に訴えるべきだった。いまの、韓国の従軍慰安婦・自衛隊への火器管制レーダー照射事件や、中国の南京大虐殺ねつ造にもいえることです。いますぐにでも、国も企業も強力なインテリジェンス能力を持つべきでしょう。

大東亜戦争で甚大な損害を出してしまったのは、リーダーの作り方に失敗したから。当時の陸軍士官学校は、いまの東京大学より、もっともっと狭き門だった。学力的・体力的に優れていたにもかかわらず、他の優秀な部下を認め、耳が痛いような進言を取り入り入れるトップを据えてこなかった。過酷な国際政治のかけひきの舞台に伍していけるリーダーを、国民自ら選んでいく目と覚悟が要るでしょう。

そして日本をやり直すには、ゼロベースで愛国グローバル人材を育成していくこと。国益を考え、健全な愛国心をもつ国民。そして外国人から見ても、尊敬できる日本人であること。これは、北野幸伯氏が書かれた、新日本人道でも同様の主張です。

<新日本人道 北野幸伯著は、コチラ>
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2020-04-27 10.59.12-1