フェイスブックは、GAFAのひとつであり、全世界のSNSインフラといっても良い存在だと思います。そのFBは、2019年末に個人情報流出事件を起こしています。2億6700万人以上のフェイスブックユーザーの名前や電話番号を含んだデータベースがオンライン上に公開されていたというもの。
実は、それ以前からフェイスブックの個人情報が、市場で販売・流通していました。個人が知らないうちに、個人の行動・好み・性格等が、第三者に販売され、収益化されていたことが明らかになりました。どういう収益化かというと、例えば選挙行動の誘導です。投票者の性格を分析し、特定に候補者に有利になるような政治広告を出すことによって、当選確率を上げるというもの。そのコンサルティングと実行をしていたのが、イギリスの選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ社(現在は、閉鎖済み)です。著者は、そのCA社で、創立初期の段階から関わり、顧客開拓等の生生しい場面を経験してきた女史です。
有名な事象は、CA社が5000万人以上の個人情報を利用し、2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプを支援し、実際に当選に導いたことです。CA社がやっていたことは、「行動マイクロマーケティング」というもの。流れとしては、CAは、自分のデータだけでなく全ての友達のデータをアプリ開発者にアクセスさせる「友達API」アプリ(無料の性格判断アプリ等)によって、収集したFBのユーザーのデータを収集。そして、個人ユーザーに関する数千ものデータポイントから算出されるデータを、行動心理学と社会心理学で分析。その人が、どの程度に「開放的」「誠実」「外向的」「協調的」「神経質」なのかを特定。これらの性格タイプをモデル化することで、ひとりひとりをグループ分け。あとは、マイクロデータターゲティングです。共通する性格と共通する問題意識をもつ個人に的を絞って、望みどおりの結果を得られるまで微調整と改良を加えたメッセージを何度も送る。選挙の場合には、人々に呼びかけて、献金し、候補者と選挙戦の争点について学び、実際に投票所へ出かけ、自陣の候補者へ投票することを求める。