著者の平山真也氏は、海外育ちで、アメリカの戦略コンサルタント会社を皮切りに、リクルートの営業職、米アパレルDickiesの中国法人の副社長、同日本法人の社長として新規法人立ち上げを経験されてきた方です。業界の経営をしていく中で、著者は「当たり前の徹底」が圧倒的な成果を生むことを、体感したそうです。

・アート&サイエンスのバランスが成功の鍵
アパレルは感性(アート)と計数(サイエンス)のビジネスといわれるが、それぞれ専門性を持つスタッフが、お互いをリスペクトし、理解しようとする企業文化が作れるかどうか。

・事業のすべてを有機的に結合し、シンプルな戦略を
戦略は、誰もが理解し、明快でシンプルなものでなければならない。そしてそれが商品企画・製造・物流・価格設定・店舗設計・ディスプレイ・接客・広告・人事・財務・情報システムなど、すべてにかみあっていなければならない。

・「らしさ」を考え抜き、それに根差して戦略を立てる
自らのブランドのらしさを、深く考え直す。それは歴史からひもとき、その企業の核を中心に、適した成長や変革の道筋が見えてくる。

・未来がわからないからこそ、「思い」が大切
ブランディングは、約束の積み重ね。守るべきところと変化していくこと。丁寧に対話し、現場へ説明していくことで、最終的に消費者に伝わっていく。

・ビジョンに「数字」をつければ、実現への道が見えてくる
理念だけでは、観念的・抽象的。実行性あるビジョンとするには、①実現を思い描けること、②従業員がわくわくできること、③数字に落とし込めること。

・人への投資がいちばん大事
高い給与を支払うのは、人に投資しているため。企業のビジョンから戦略が生まれ、戦略から組織像が生まれる。組織像から、求められる各人材像が生まれる。その人材にとって推奨される行動特性(コンピテンシー)を具体的に示し、こまめにフィードバックを重ねることで、個々人の成長を支援していく。これが会社の業績向上につながる。

・遊びも大事、楽しさも大事。ただし、それを業績につなげること。
会社が社員にとって居心地が良く楽しい場所であることで、生産性の向上につなげる。組織のビジョン・戦略の実現につなげるためのもの。楽しく働けるから成果が上がり、業績が良いから働くのが楽しいというサイクルにしなければならない。Work Hard & Play Hard.

・すべては時間の使い方次第。時間軸を合わせ、余裕を作る
時間を無駄にせず、徹底的に行う。1日に24時間しかない。パフォーマンスを上げるには、時間の使い方を考えて、時間あたりの価値を高めるしかない。そのために各部門・各機能の時間軸を合わせ、足並みをそろえる。だらだらやらない。その場で決めることはすぐ決める。ツールを活用する。無意味な作業はしない。無駄な会議はしない。価値の生まれる場所を意識する。

2020-04-05 16.47.30-1

既存の日本のアパレル経営の闇は、セールの乱発、企画の丸投げ、商品の画一化、若者を低賃金で使い捨てにする経営等は、「誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著」等で、明らかになっています。では、現実の経営者として、どう行動すべきか?その答えは、人・現場・ブランドにこだわること、そして、従業員を幸せにするという、極めて当たり前のこと。当たり前のことを極限まで追求する、との帯に書いてあるが、上記のような行動様式・経営哲学そのものでした。

<誰がアパレルを殺すのか、はコチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54456164.html