著者は、2013年にアメリカ政府が無差別監視をしている実態等を暴露した「スノーデン・リーク」で有名な、エドワード スノーデン氏。元CIA、NSA及びDIAの情報局員で、インターネットの電子通信や電話盗聴活動に従事していました。個人の通信や、家宅捜索や物品の捜索・差押えは法律で禁じられ許されないのに、プライバシーの権利を国民が奪われているということ。大きな権限を持つ中で、国のインテリジェンス活動に疑念を持ち、国民に政府活動の事実を知らせるために、上記のリークをすることにしたそうです。現在、このリークに関してアメリカで刑事訴追中なので、ロシアモスクワに政治亡命中とのこと。

内容は、アメリカをはじめ日本でも行われている、「超監視社会の脅威」です。2001.9.11のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロ防止の名の下に、アメリカ政府は、大規模な監視体制を開始。技術発展と相まって、低コストで膨大なデータをインターネットを通じて集めています。対象はテロリストだけではなく、一般市民すべてです。通話記録データから携帯の移動位置情報まで、自動的に一般人の行動が収集されていること。これらの諜報活動の事実を、2013年に動かざる証拠をもってマスコミに持ち込んだのが、スノーデン氏。

さらに、氏は日本警察機構での、イスラムへの上記のような無制限な諜報活動の事実も明らかにしています。いわく「権力が際限のない監視を行い、それが秘密にされるとき、権力の濫用と腐敗が始まる」。これを止めるには、健全なマスコミと市民の声しかないとのこと。一市民として、単に政府に要望するだけでなく、選挙等を通じて政府内部に「公」の心を持つ人間を送り込まなくてはならないと思います。また健全でないマスコミ会社を、視聴しない購読しないという形で積極的に応援しないことも大事。一方、地道な探査報道をしているマスコミ会社を、購読するという形で積極的に応援していきたい。

著作の内容は、2016年にスノーデン氏をゲストに迎えた東京大学本郷キャンパスでの、公益社団法人自由人権協会での講演会の内容をもとに、文字起しを行い、加筆修正したものだそうです。実際には、氏はインターネット中継で出演だったそうですが、その生の声の迫力は文字になってからでも感じられました。2017年に発刊された書籍ですが、2020年の今、読み返しても背筋に汗が流れる感覚です。

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