著者は、ファッション流通コンサルタントというニッチなお仕事の方です。まずアパレルの現状と日米比較しながら、SPA、ファストファッション、オムニチャネル等の事象を説明、そして既存のアパレルプレイヤーを脅かす、メルカリ、アマゾン、ZOZOなどの登場。なぜ、それらが成功したのかを分析。最後に、10年後のファッション消費の未来を大胆に予想しています。

その予想が、とてもインパクトが強かった。そしてそのイメージを冒頭の「Her Story 10年後のファッション消費の未来」という短編小説で、具体的に見せてくれたのが衝撃。
・自分のスマホの中に、自分の持っている服・アクセサリ等すべての情報が入ったクローゼット管理アプリで一元管理
・アプリは、ウェブ上にある膨大な画像データをもとにAIが流行を分析し、持っている服でシーンに応じた違ったコーディネートを毎日提案
・第2候補、第3候補も提示し、
・複数の角度から撮影された画像データは、自分撮影だけでなく、クリーニングサービスの一貫として提供される
・毎シーズンごとに、今持っているアイテムと相性の良い新作の提案が、アプリに送られてくる
・良さそうな提案を選び、リアルタイムの店舗在庫をチェックし、試着を予約
・予約されたフィッティングルームで試着
・店舗スタッフから、リアルな提案
・値札のバーコードを読み込み、商品情報や口コミ評価をチェック
・登録クレジット情報から、スマート決済
・購入した商品は、クローゼットアプリに自動で追加され、コーディネイトされる
・しばらく着ていない服リストは、アプリからオークションサイトもしくはリユースサイトへ数タップで出品可能
・衣替えの時期には、クリーニングとトランクルーム預託をオンライン予約
・結論:上記のようにクローゼットなどのプライバシーを、ファッションストアやサイトと共有できるほどの信頼関係が築けるかどうがが、未来のファッション流通企業の生き残りのカギ=アパレル・サバイバル

ファッション=百貨店で購入するハイファッションだけだった時代はすでに過ぎていて、今日ではファストファッションを中心として安くて、オシャレ、しかし質の悪くないアイテムが日本全国どこでも手に入ります。それを支えるのが、SPAであり、IT技術です。そのファストファストブームでさえも、さらなる進化しつつあります。その例のひとつが、買わずに借りる「サブスクビジネス」や、売ることを前提に買うもの選ぶ「メルカリ」です。ファッションの主体がメーカー主導から、消費者個人の意思や行動に変わりつつあります。星の数ほどある無限なコーデネート画像データからAIが最適な選択をし、個人ごとの好みにパーソナライゼーションされた提案をしてくるといった、著者の大胆な予測が、実現するときは、すぐそこまで来いる確信しました。

2020-03-24 09.14.51-1