厚生労働省保険局が、平成30年4月19日に「医療保険制度をめぐる状況」というタイトルで、健康保険制度に関する資料を開示しています。各種データから帰納的に政策提言をしているのですが、ひとつひとつみていくと、非常に興味深いのことがわかったので、紹介します。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204021.pdf
 
<加入者数>
医療保険組合には、共済組合(主に公務員)、組合健保(主に大企業)、協会けんぽ(主に中小企業)、市町村国保(自営業者と退職者)、後期高齢者医療制度(主に75才以上)の5種類があり、それぞれ、加入者数が、877万人、2914万人、3716万人、3182万人、1624万人です(合計で1.2億人になり、ほぼ日本の人口に一致)。これを円グラフにすると、どんな家庭が日本に多いかの割合が、ざっくりとわかってしまう。

日本全体のうち、公務員が約1割弱、大企業が2割強、中小企業が3割強、自営業等が3割。サラリーマン家庭が約7割を占めているというのは、感覚と合いますね(後期高齢者を除く)。違う見方をすれば、安定した公務員・大企業が3割で、残り7割が中小零細・自営業者・退職者らという見方もできます。
保険者比較_加入者数

<平均所得>
加入者一人あたりの平均所得も、組合属性ごとに特徴があります。一番高いのは共済組合(≒公務員)、次が組合健保(≒大企業サラリーマン)。やはり低いのは市町村国保(≒自営業&退職者)。かたや年間240万円に対し、100万円にも満たず、健康保険のプールとなる原資に不安が残ります。それもあって、いわき市では7人に一人が、国民健康保険税を支払っていないという事実があります。

<いわきの国保税収納率 全国最下位は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49580139.html
保険者比較_平均所得

<医療費>
上記にもかかわらず、一番医療費がかかっているのは、市町村国保です。共済組合や組合健保の2倍以上!その原因は明らかで、①退職者は高齢のため病気にかかるリスクが比較的高いこと、②自営業者はサラリーマンに比べて毎年の健康診断等に行く割合が少ないため、結果、医療費がかかっていることです。
保険者比較_医療費

<公費負担額>
その結果、どうなるかというと、市町村国保単体では採算がとれなくなるのです。すなわち市町村国保加入者が納める保険料<国保のお財布から支払われる医療費支出です。その差額は、国の税金で穴埋めすることになります。協会けんぽでも、少額ですが公費が投入されています。本来、公平の原則からいえば、共済組合員や組合健保員からすれば、ズルイ!不満!だということになるのでしょうが、収入が低い高齢者等に今まで以上に保険料負担させるわけにもいかず、オカネがないものはしょうがない。それにしても、4.3兆円を超える国費が、国保の穴埋めに投入されているというのは、(国の税収が60兆円程度ということを考慮すると)やはりやりすぎではないでしょうか。国民皆保険制度の果たす役割は大きいですが、持続可能性の観点から、いますぐにでも制度設計を見直す時期にきています。
保険者比較_公費負担額