市内から医師を育てる学力について

黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁

<動画は、コチラ>
https://youtu.be/yX_viOIVSOs

医学部進学予備校のプロメディカスによれば、医学部へ合格するための予想偏差値は、軒並み70近くであり、最低ラインでも学力偏差値60を超えています。学力偏差値60とは、平均値から標準偏差の位置を示すもので、上位から見ると15.87%にあたります。要は、大学受験する学生のうち、成績上位15%に入らなければ、いかに意欲があろうとも、医学部には合格しない、入学できない、医師にはなれないという厳然とした現実があります。

市内高校生の医学部合格者数について
いわき市内には、医大生を輩出している学校がいくつかありますが、市全体トータルとして、いわき市内の高校生が、毎年何人、医学部に入学し、医師となっているのでしょうか。先ほどの磐城高校を含め、市内高校生全体の医学部合格者数を伺います。

(保健福祉部長)
過去5年間の医学部合格者数につきましては、
平成26年度が15人
平成27年度が20人
平成28年度が15人
平成29年度が21人
平成30年度が15人となっております。

これまで収集されてこなかったデータについて、今回集計し、ご答弁いただいたことに感謝します。毎年15人から21人の合格者を出しているということですね。平均が17名程度でしょうか。ただし、こちらも国公立大学と私立大学の複数合格者が、ダブルカウントされていることの留意が必要です。ざっくりいって、いわき市内から、毎年10人台前半の医学部進学者を輩出しているということです。

難関医大の合格数について
医学部進学予備校のプロメディカスによれば、難関医大として挙げられているのが、国公立大学では東京大学理科3類・京都大学医学部・大阪大学医学部です。私立大学では、慶応大学医学部・東京慈恵会医科大学医学部・日本医科大学医学部です。いわき市内からこれら6校への直近5年間の合格実績を伺います。

(保健福祉部長)
議員が提示された東京大学をはじめとした6校の過去5年間の合格者数につきましては、平成30年度に日本医科大学の合格者が1人となっております。

いわき市から、難関医大には、ほとんど進学していないということがわかりました。

福島県立医大以外の国公立医学部への合格数について
国公立大学への合格者は、福島県立医大が大半ですが、それ以外、福島県立医大以外の国公立医学部への合格数を伺います。

(保健福祉部長)
過去5年間における福島県立医大以外の国公立医学部への合格者数につきましては、
平成27年度が1人
平成29年度が1人
平成30年度が3人となっております。

全国には40を超える国公立の医大があるにもかかわらず、県立医大以外にほとんど進学できていないというのは、ちょっと驚きです。ここで、直近の高校別全国国立大学医学部医学科合格数を調べた、東北大学医学部の村山安寿氏の調査を紹介します。この調査によれば、福島県は国公立大医学部合格者数において全国44位で、福島県より下位なのは栃木県、埼玉県、岩手県だけです。この3県には医学部を擁する国公立大学が存在しません。つまり福島県は国公立大医学部を擁する都道府県の中で医大合格率が、最下位なんです。

過去の医大合格者数に対する市の所見について
医大合格者の絶対数が少ないと思いますが、合格者数について、市の所見を伺います。

(保健福祉部長)
医師を目指す方々が勉学に励まれ、それぞれが希望する大学に合格したものであり、今後も、医師を目指す方が一人でも多く合格されることを期待しております。

いわき市の医師の平均年齢は、55.5才で、中核市43市の中でも最も高齢化が進んでいます。高齢医師のリタイヤに伴い、これから現役医師が減っていきますが、その新陳代謝として市から生み出される医師が、毎年10名前半というのは、感覚的に少ないのではないでしょうか。

大学の地方自治体地域枠について
大学によっては、地方自治体と協定を結んで、地域枠を設けているところがあります。これは簡単にいうと、卒業後その自治体で勤務する等の一定の条件の下、その地方自治体の学生を確実に、何人という形で入学させるというものです。例えば、東京都では東京都地域枠として、順天堂大学に10人、杏林大学10人、慈恵会医科大学に5人の枠を持っています。基礎自治体でも例があります。神奈川県の相模原市では、北里大学と連携し、相模原市だけの地域枠を設けています。先方の大学の事情もあるので、しっかりとした話し合いは必要とは思いますが、こういった医大内のいわき市だけの地域枠を持つことについての、市の所見を伺います。

(保健福祉部長)
特定の大学医学部に対し、いわき市独自の地域枠を設けることにつきましては、大学が市町村のための地域枠を設けている事例が、確認できた範囲では、北里大学における相模原市枠の1例のみであること、地域枠は本来、医療計画に関する権限と責任を持つ都道府県が設けるべきもので、仮に本市が行う場合は、福島県医療計画との整合を図る必要があること、地域枠設置による費用負担のあり方や大学卒業後の受け入れ体制の整備など、実現に向けた課題は大きいと考えております。

ぜひ福島県と連携をとって、検討していただければと思います。

医学進学コースについて
お手元資料をご覧ください。茨城県では「医師不足緊急対策行動宣言」を公表し、今年から県立高校に医学コースを新設しました。これは県立高校と中高一貫の中等教育学校の5校内に、医学コースを設けるというものです。各学校では高校2年次から医学部への進学希望者で学級1クラス編成し、課外授業として、外部の予備校等と連携し、追加負担なしで面接や小論文対策などの進学指導をし、また習熟度別指導等をし、より高いレベルの学力を育成するそうです。また高校1年次から3年間、実際の医療現場での体験実習や医療従事者による講演などの機会も提供し、病院や大学と連携し、職業理解を深めてもらうそうです。茨城県の人口10万人あたりの医師数は2016年末時点、180人で全国ワースト2位です。ちなみにいわき市は約170人なのでさらに低い水準ではあります。その茨城県の医師不足の危機意識は強く、この施策で、深刻な医師不足の緩和につなげていきたいとのことです。茨城県知事コメントによると、予算を使って医大進学者を特別扱いしてでも医師増加に取り組みたいとのこと。5校計で100人の医学部進学者の輩出を目指すとのことです。これは県レベルの取り組みですが、いわき市でもやれることはたくさんあると思います。まずはこのような取り組みを福島県に働きかけていただきたいと思います。そしていわき市においても早期の段階で学習意欲を高め、医大に進学できる子を増やしていくべきですが、ご所見を伺います。
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(教育長)
医大進学が可能となる学力の向上を図ることは、児童生徒が自分の夢に向かって、将来の進路を実現するために大変重要であると考えております。
各学校におきましては、確かな学力の育成に向け、児童生徒に知識・技能の確実な定着を図るとともに、それらを活用して課題を解決していく学習活動を重視した授業の展開に努めているところです。
市教育委員会におきましては、児童生徒の学力向上を図るためには、学校訪問での指導主事による直接指導を通して、授業の改善に向けたきめ細かな指導・支援を行うとともに、市総合教育センターでの、教科指導にかかわる専門研修の内容の充実を図ること等により、教員の指導力の向上に取り組んでいるところであります。
併せて、「いわき生徒会長サミット」「いわき志塾」「いわき・わくわく『しごと塾』」等の事業において、様々な分野で活躍する方々に出会う機会を通して、児童生徒の進路選択の幅が広がるよう、キャリア教育の充実に努めているところであります。

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注)記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確にはいわき市議会公式記録をご確認下さるようお願いいたします。