市内から医師を育てる資力について

黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁

<動画は、コチラ>
https://youtu.be/AgahiROoUX8

これまでの議会においても、たびたび市内の医師不足について議論されてきました。医療は地域のインフラです。そのため市内医師増加を目指して、さまざまな施策が行われてきました。一方、これまでの施策はどのように医師を外部から市内に呼び込むかという視点が主眼と感じております。もちろん市外からの招へいもありですが、ここでは市内から医師を育てるという視点で質問してまいります。その理由は、医師が勤務先として医療機関を選ぶ際に、地元へUターンするケースが多いということです。これは初期研修・後期研修・専門医取得・開業いずれのタイミングにもいえることです。また医局制度のもと、期間限定で医療機関をローテーションする場合においても、最終的な地元定着率が高いといわれています。これは両親や友人等のつながりが、出身地にあるからだということは想像に難くありません。このように市内から医師を育てることが、医師数増加を目指すには大事ということは論を待たないことですし、そのためには、当たり前といえば当たり前ですが、いわき市内高校生が日本の医科大学に進学する必要があります。しかし、それは容易なことではありません。現実的には、医大進学のためには、第1に資力、いわゆるオカネ、第2に学力、いわゆる手持ちの偏差値、第3に志、いわゆるモチベーションが、すべてそろっていることが必要なのです。現状これが足りていないから、支援が必要でしょうということでそれぞれ、伺ってまいります。

(1) 資力ついて
福島県立磐城高校の医学部進学実績について
医大進学のためには、資力と医大合格者数には、密接に関連しておりますので、まず進学実績や医大の入学定員数について伺って参ります。さて、市内から医大合格者を輩出している学校は複数ありますが、代表的な学校として福島県立磐城高等学校があります。磐城高校の直近5年間の医学部現役合格者数を伺います。

(保健福祉部長)
磐城高校の医学部現役合格者数につきましては、磐城高校の学校要覧によりますと、
平成26年度が国立大学1人、公立大学5人の計6人
平成27年度が公立大学3人
平成28年度が公立大学3人、私立大学3人の計6人
平成29年度が公立大学6人、私立大学1人の計7人
平成30年度が公立大学4人、私立大学1人の計5人となっております。
(5年間の合計27人 内訳:国立大学1人、公立大学21人、私立大学5人)

磐城高校からの医大合格者は、毎年3人から7人の間で推移していることを答弁いただきました。年平均5人というところでしょうか。答弁いただいた数は、ひとりの学生が国公立と私立の複数大学合格者もダブルカウントとして含まれており、医学部への実進学数はさらに少なくなります。絶対数としてとても少ないという印象を持ちますが、これについては後ほど取り上げたいと思います。
磐高と全国の医学部合格者比較-1

全国の医学部の入学定員について
次に、全国にあまたある医科大学・医学部の入学者の定員の合計を伺います。

(保健福祉部長)
平成31年度における全国の医学部入学定員につきましては、文部科学省のホームページに掲載されております「大学別医学部入学定員一覧」によりますと、
国立大学が5,767人、私立大学が3,653人、計9,420人となっております。

ここで配布の資料をご覧ください。上のグラフがご答弁いただいた磐城高校の国公立対私立の医大合格者の割合を示したものです。それに対して、下のグラフが同じく答弁いただいた国公立対私立の医大の入学定員の割合を示したものです。どうでしょうか。明らかに差があります。ざっくり言って磐城高校の国公立対私立の割合は8:2、実は、国公立と私立のダブル合格で国公立に進学した場合も私立にカウントして、これですから、磐城高校の医大進学実態は、事実上ほとんどが国公立といえます。それに対して医大の入学定員は6:4となっています。これはなぜでしょうか。この割合が大きく違うのはなぜでしょうか。磐城高校生は、これだけ多くの私立大学の定員があるにもかかわらず、なぜ国公立ばかり目指すのでしょうか。

その大きな要因が、医学部の高額な学費にあります。医学部卒業には6年間を要するということもあり、私立医大では大学ごとに差はありますが、学費だけで平均で3000万円以上かかるのです。もちろん生活費や、高額な医学書は別にかかります。

私の知人のご子息で、医師への志を持った磐城高校生がいました。一般のサラリーマン家庭ということもあり、高額な学費を考えると、当然に国公立志望とし、実際に現役のときに国公立のみ受験し、手持ちの学力が偏差値60にちょっと足りないこともあって、残念ながら全落ちでした。翌年も全落ちでした。幸いなことに2浪の後、山形大学医学部になんとか滑り込むことができ、現在、医師への道を目指してがんばっています。この例は、最終的に医師への道が開けたので良いほうかもしれませんが、彼の貴重な2年間という時間、および予備校のオカネは本当に必要だったのでしょうか。またこのグラフにカウントされない学生、すなわち、高額な私立医学部の学費を回避して、他学部への受験に切り替え、医師への道をあきらめた学生も潜在的にこの差にあらわれていると思います。それが、このグラフの磐城高校の国公立対私立の割合と医大の入学定員の割合の違いの大きな要因のひとつだと思うのです。
では、私立大学の学費がかからなかったらどうでしょう。国公立並みの負担ですむのなら、この潜在的に医師を志望する学生を救い上げることができるのではないでしょうか。これによりいわきから医大に進む学生数の絶対数を上げることができるのではないでしょうか。

いわき市医療センター医師修学資金貸与事業について
現在、いわき市がやっている医学部生への金銭的な支援としては、いわき市医療センター医師修学資金貸与事業があります。これは、医学部生を対象に、学校名を問わず月額23万5千円の奨学金を貸し出す制度です。これは、学費に充てようと、生活費に充てようと、飲食に使おうと全く自由、使途自由の資金です。医大に入学してから卒業まで、まるまる6年間借りると、総額1600万円を超える金額です。
しかも、この総額1600万円は、卒業後医師となり、現在のいわき市医療センターに一定期間勤務すれば、なんと全額!返済免除されるという、誠にありがたい制度ですので、昨今の経済不況・賃金水準の停滞等を考えると、医大に進学する方には、ぜひ利用して欲しいと思います。

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(ア) 貸付者実績数
そこで制度が始まって以来、過去10年間の新規貸付者数の推移を伺います。

(医療センター事務局長)
過去10年間における医師修学資金の新規貸付者数について、年度別に申し上げますと、
平成21年度が3人、平成22年度が4人、平成23年度が3人、
平成24年度が3人、平成25年度が1人、平成26年度が2人、
平成27年度が4人、平成28年度が6人、平成29年度が5人、
平成30年度が10人となっております。

着実に利用者数が増えていて喜ばしいことです。ドクターの卵である彼らがいつか、いわきに戻ってきて、地域医療の任に就いてくれることを願っております。
(イ) 返還が生じた場合の利息
一方、何らかの事情で、いわき市医療センターに勤務しない、できない状況になった場合は、貸付元本に加えて、利息と合わせて一括返還が要求されることとなっています。その利率を伺います。

(医療センター事務局長)
当該事業は、当センターに勤務する医師の確保を目的としていることから、医師免許取得後、12年以内に貸与年数と同じ期間、勤務していただくことなどにより、修学資金の返還を全額免除するこことしており、この変換免除要件に該当しない場合には、年10%の割合で計算した利息を貸与金額に加算し、返還していただくこととなっております。

(ウ) 利率の見直し
いわき市医療センターに勤務しなかった場合や卒業後2年以内に医師になれなかった場合、どんなペナルティがあるか確認しておきたいと思います。まず、その時点で受けた奨学金全額を一括して返済しなければならないこと。さらに当初貸付日からの追加利息の納入を求められます。その利率なんと年間10%なんです。定期金利が0.01%もない今の時代で、これはなんとも高利貸しではないでしょうか。仮に卒業時に医師となることをなんらかの理由で断念した場合、元本に加えて、貸付のタイミングで多少の差異はありますが、5百万円を超える利息の一括支払いが求められます。現在の金利水準や、学生への支援という観点から、貸付利率の見直しをしてほしいとおもうのですが、市の所見を伺います。

(医療センター事務局長)
医師免許取得後、定められた期間内に当センターへ勤務せず、修学資金を返還する場合の利息については、利息制限法に定められた利息の制限や先行事例である福島県をはじめとした他の自治体における同様の制度等の利率を参考に設定したものであります。
これまでに、当該制度を活用し、医師免許を取得した22名のうち、19名の方が、既に当センターへ勤務している実績を踏まえますと、一定の利息を付することが、当センターへの勤務につながっていると考えられるため、当面、現行の利率を維持して参りたいと考えております。

学費ゼロ奨学金について
地方自治体によっては、地元から医師を養成していくために、私立医大の学費全額を学生に出してあげるという、学費ゼロ奨学金制度を持っているところが複数あります。こういった基金・ファンドを、市だけでなく、市内企業らの賛同もいただきながら創設することはできないでしょうか。市のご所見を伺います。

(保健福祉部長)
私立大学医学部への進学にかかる学費等は本人及び保護者にとって、大きな負担であると認識しておりますが、日本学生支援機構や各大学、県の奨学金などの利用により一定程度負担が軽減されるものと考えております。
加えて、本市におきましては、市内病院が医学生に対し修学に必要な資金を貸与した場合に、この費用の2分の1を、病院に対し補助する「病院医師修学資金貸与事業費補助金」を創設したことにより、市内病院における修学資金貸与制度の設立が促進され、将来本市での勤務を希望する医学部生が奨学金を利用する機会が拡大されたものと考えております。
本市独自の新たな奨学金の設立につきましては、ニーズや効果などを十分に見極める必要があることから、今後の研究課題として参りたいと考えております。

金利ゼロ奨学金について
学費ゼロ奨学金については、金額も大きくなり財政的な課題はあります。では金利だけでも、市で負担する金利ゼロの奨学金はいかがでしょうか。例えば茨城県では、より多くの県内高校生の医学部進学を支援するため、金融機関と提携して「実質金利ゼロ」の教育ローンを創設しています。市単独で、また地域金融機関と協力して、医学部進学生へ金利ゼロ奨学金を創設することはできないでしょうか。市のご所見を伺います。

(保健福祉部長)
先ほど御答弁申し上げました通り、既存の奨学金の利用により一定程度負担が軽減されるものと考えており、金利ゼロの奨学金につきましては、市内病院が実施している修学資金貸与事業と比較すると、将来における医師確保の面で効果が小さくなることが懸念されます。
つきましては、他の奨学金と比較しながらニーズや効果などを十分に見極める必要があることから、今後の研究課題として参りたいと考えております。

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注)記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確にはいわき市議会公式記録をご確認下さるようお願いいたします。