これが書かれたのは、12年前の2007年。当時の情報だけで、将来の世界情勢を予測した本です。驚いたことに、予測の多くは的中しています(まだアメリカは滅んでいませんが)。例えば、中国が取るべき戦略として、①ドル基軸体制の崩壊、②石油・天然ガスの確保、③経済軍事力を強化し続けるの3点を、執筆当時の2007年に予測されています。実際にその後10年で起こったことは、中国人民元のIMF通貨入りによるドルの相対的位置の低下、東シナ海のガス油田の開発、年二桁成長で増加し続ける軍事費と、まったく予測通りになっています。これは、マスコミの報道を鵜呑みにせず、歴史の出来事と現在の情勢をしっかりと比較し、当事者がどんな意図で、行動したか、行動するかを、自分の頭で考えれば、こうなるであろうという確信。まさに「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」を地でいっています。

著者は、モスクワ国際関係大学卒で20年以上もモスクワに住んでいる方です。2001年からずっとメールマガジンでロシア情報を発信しつづけていて、その膨大な情報をベースに執筆活動されています。

現在、アメリカと中国との間で、貿易関税での戦いが継続中ですが、アメリカ・中国双方の立場を考えれば、必然ということが、腹落ちしました。

2019-06-08 11.22.10

以下のことは、歴史上、証明されている
・世界の覇権の源泉は、「軍事力」と「経済力」。国家の徳や品格はあったほうがよいが、覇権には影響ない
・外交上の国益とは、「経済成長」と「自国の安全保障」
・国の栄枯盛衰は、長いスパンでのライフサイクルで自明である

<アメリカの立場>
・アメリカの力の源泉は、「ドル基軸体制」と「圧倒的な軍事力」
・ドル基軸体制に挑戦する国があれば、なんとしても阻止する(例:イラク)
・有限の資源である石油の、これまでの最大の消費国はアメリカで、これからもそれは続く
・アメリカは石油資源が埋蔵されている中東への支配をやめないし、実力行使も辞さない

恐ろしいことに、「大いにありうる日中戦争」として、尖閣諸島を発端とする中国の日本侵略にも言及されています。現実の国際社会では、戦争の形態である情報戦・経済戦・実戦が、世界各地で進行中です。日本も他国から情報戦(情報収集活動や政治の利他行為等)・経済戦(レアメタル規制等)を仕掛けられています。がでは日本はどう外交すべきでしょうか。著者は、いろいろ提案していますが、基本は、エネルギー確保を複数ルートで行うこと、米国とより連携すること、同時に中国・ロシアを含む他国とも連携・牽制していくことです。