いわき市スタジアムを中心としたまちづくり事業可能性調査報告書が、2019.6.4に公表されました。現在、東北社会人サッカーリーグ1部のサッカーチーム、いわきFCが破竹の躍進をしています。私もいわきFC創立以来から、ファンクラブに加入して応援しています。早ければ、数年以内にJリーグ入りとするといわれており、そのホームグラウンドとしてのスタジアムを新規に建設してはどうかというもの。建設には100億円以上のオカネもかかりますし、その後の運用費用(毎年の赤字)も見込まれます。いわき市としては、そもそも事業として成り立つのかどうかの可能性調査を、昨年から外部委託。この3月末にそのレポートが提出され、このたび結果が公表されました。40ページに及ぶ報告書ですが、スポーツファンのみならず、ちょっとでも税金投入の可否を考えるいわき市民には、ぜひ、ご一読いただきたい。

<いわき市スタジアムを中心としたまちづくり事業可能性調査報告書 原文は、コチラ >
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1559519365764/simple/stadiumfs2019.pdf
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Jリーグ入りのためには、勝ち抜き戦を突破しなければならないのはもちろんですが、一定規模のホームスタジアムを持っていることが、昇格・承認条件なのです。それはJ3で5000人以上収容できること、J1では15000人以上収容できることとされています。いわき市には、21世紀の森公園にいわきグリーンフィールド(収容人員5,600人)がありますが、現在の施設内容では、基準不適合です。昨年開催された、いわきFC vs FC今治のようなチャリティーマッチは可能ですが、Jリーグの本戦は開催できないので、どんなに強くて実績があっても、Jリーグ加入が認められないのです。

<いわきグリーンフィールドは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/52361042.html

ただ、Jリーグ昇格には、熾烈なチーム間競争に勝ち抜かなくてはなりません。J2だけで22クラブ、J3も15クラブあります。その中で上位の数チームだけがJ1昇格できるという過酷な競争です。巷では、J1以外(少数のJ2も含む)のチームは、応援する入場客数が少ないため、所属スタジアムは大幅な運営赤字といわれています。持続的なチーム・スタジアム運営には、オカネは避けて通れない課題なんです。

2年前に、J3のギラヴァンツ北九州のホームスタジアムである、ミクニワールドスタジアム北九州を視察してきました。とてもキレイなスタジアムでしたが、やはり観客動員数と運営コストで、大きな課題があるようでした。

<ミクニワールドスタジアム北九州は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49901978.html

国内のサッカースタジアムの運営でうまくいっているところは数少ない。その成功例のひとつが、J1のガンバ大阪のホームグラウンドである、パナソニック スタジアム 吹田です。私が考える成功要因は、以下の数点。
・関西経済団体をあげて、建設費の多額を寄付
・毎年の運営費用を、パナソニックが広告やネーミングライツ等、いろいろな手法で資金援助
・モノレール駅という公共交通機関が徒歩圏にある
・関西という大消費地を背後に持っているので、試合の観客動員が容易

<パナソニック スタジアム 吹田は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/51885941.html

なぜ海外のサッカースタジアムはうまくいっていて、日本の多くのサッカースタジアムの運営がうまくいかないのか考えてみました。まず第一点は、Jリーグが、天然芝にこだわっていること。現在のJリーグ加盟条件が、天然芝のホームグラウンドを持っていることなんです。天然芝は確かにゲームにとってはよいけれど、他の用途に使えません。芝育成のための日光も必要なので屋根を掛けられません。スタジアムの汎用的な使い方としては、コンサートや大規模展示会等があるのですが、天然芝だと(悪天候での開催キャンセルリスクを考えると)事実上、使用できない。さらに芝を休ませ、養生が必要なので、一般のアマチュアの練習試合さえも開催できない。

そうすると、スタジアムという名前はついているものの、事実上、Jリーグ専用サッカーコートにならざるをえません。Jリーグのホーム試合は、年間30-40日程度。開催日はともかく、年間300日以上も、稼働しない日があるわけです。これでは年間1億円?ともいわれる運営費用を回収できるはずもないし、持続可能なスタジアム運営ができるはずもありません。さらには、普段からひとけのない墓標のような施設が、大切な場所を占有していること自体がもったいない。

海外に目を向けると、プロサッカーリーグ(イタリア、フランス、オランダ、ベルギー、スイス、ロシアなどのトップディヴィジョン)でも、人工芝のグラウンドも正式試合に認められているようです。持続的なチーム・スタジアム運営のためには、Jリーグは、頭を柔らかくして既存ルールを変更し、人口芝でのJリーグ試合を認めていくしかないと思います。

いわきでスタジアムの議論を進めるには、以下が必要と考えます。
・レポートに書かれている課題の情報共有
→建設費・運用コスト・アクセス等、避けては通れない課題を、関係者(税金投入ならば一般市民も)で、知っておき、現実的な議論をしておかなければならない。
・ホームゲームに応援来るファンが激増
→現在、ホームゲームに応援にきているファンは、多く見積もっても数百人。これでは1万人ともいわれる収容人数のスタジアムの議論にならない。まずは、実際にゲームを見に来るファン数の実績を積み上げないと議論の俎上にのぼらない。
・いわき市民の機運の高まり
→サッカーファンのみならず、いわきのスポーツチームを応援してまちをもりあげるという機運が必要。参考となるのは、広島のMAZDA Zoom-Zoom スタジアム。野球ファンのみならず、近隣の住民がこぞって応援するムードが、地域スポーツには必須。これは欧州のサッカーも同じ。
・いわきFCの活躍状況を注視
→現在、東北社会人サッカーリーグ1部ですが、実績を積み上げていくことでファンを増やしていって欲しい。また、サッカーのみならず、地元のスポーツ教室や、ファンとの交流会・運動会等を通じて、地元ファンを増やしていってほしいと思います。
・Jリーグの人工芝容認
→上記のように天然芝だけでは、持続的なスタジアム運営が困難なので、早期にルール変更。

<いわきFC ファンクラブクラブカンファレンス&大運動会は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/51253638.html