さはこの湯は、いわき湯本駅から徒歩圏にある日帰り入浴施設。温泉を使っていますが、法律上は公衆浴場の取扱いなので、入浴料は大人230円と割安です。江戸末期の建物様式を再現した純和風の建物と、さはこの門、火の見櫓は、非常に特徴的です。いわき市が直接建設したもので、建設費が相当かかっている。現在も、市が保有し、一般財団法人いわき市公園緑地観光公社に、管理運営を委託しています。公園緑地観光公社は、いわき市内の各種公園(マリンタワーや21世紀の森公園、勿来の関 吹風殿等)等を管理している、市が出資している第三セクターです。

<勿来の関 吹風殿は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/28468117.html
2019-05-23 11.05.15

湯本温泉の源泉が掛け流しで使用されています。湯本病院前にあるポンプ場(常磐湯本町台山20-3)で、地盤面下23mにある温泉水位から、汲み上げています。汲上げ水量は、毎分5.5㎥、そのうち、毎分3.5㎥を、スパリゾートハワイアンズが使っています。残りの毎分2.0㎥を、いわき市常磐湯本財産区が使います。この財産区の分から、湯本のまちなかの旅館(さはこの湯を含む)、個人住宅等に給湯しています。

2019-05-23 11.05.24

鉄骨造地下1階、地上4階建で、上の階には、宴会場・温泉施設展示コーナー?があったのですが、現在は設備の老朽化にともない、閉鎖されています(一部、休憩所は利用可能)。雨漏り箇所があったり、エアコン等が効かないらしく、とても残念。要は、経営状態が良くないらしく、運営経費を稼ぐのに精一杯で、設備投資に回すお金がないということ。宴会場は、本来温泉に付随して「稼げる」施設のはずですが、関連設備が閉鎖状態では経営的にジリ貧になることは自明です。

いわき市は、公園緑地観光公社に運営を委託していますが、契約方式は、利用料金制。すなわち、料金単価は市が決め、一定の管理料金をお支払いするけれど、顧客からの実際のオカネの入りと出のお財布は、公園緑地観光公社のものです。この方式だと、受託者(ここでは公園緑地観光公社)の経営インセンティブが強く働くので、一般的には良い経営が期待できるのですが、、、さはこの湯のように、どうやっても赤字必至のケースだと、運営側は新規投資ができないだけに、ひたすら経費節減に努めるしか手がなく、さらに施設の魅力を低下させていくという、悪いスパイラルに陥りがちです。

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うたせ湯のある岩風呂「宝の湯」と、八角形の形をした木の香り漂う檜風呂「幸福の湯」があり、男女で日替わり。そのほかに、身障者用風呂「長寿の湯」があります。浴場自体はあまり大きなものではなく、10人も入ればほぼ満員。

源泉掛け流しの天然硫黄泉は、湯本温泉郷共通の温泉組み上げ施設の管理団体である常磐湯本温泉株式会社(いわき市といわき市常磐湯本財産区および常磐興産株式会社)から、従量制(59円/㎥)でお湯を購入しています。ちなみに、一般の方でも湯本温泉のお湯を、(町内にある)温泉スタンドで200リットル120円で購入することもできます。

<いわき湯本 温泉スタンド わが家で温泉は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/48011988.html
2019-05-23 11.18.45

さはこの湯オリジナルの、温泉の素が販売されていました。もっとも、これはリアルなさはこの湯を煮詰めて製造されたモノではなく、さはこの湯の温泉成分とほぼ類似の人工成分を混合して、製造した別物だそうです(しかも、家庭風呂使用を考慮して、硫黄分は入っていない)。まあ、雰囲気だけでも温泉気分になれるかも。

2019-05-24 07.55.54

建物の躯体は、鉄骨造ではあるものの、門や意匠は、木造です。年季が入っていて良い味を出しています。平成7年の建設当時は、愛媛の道後温泉等の有名な建物の意匠を参考に、作ったそうです。歴史的な価値は低いにしても、凝った意匠は、もっと評価されてもいいはず、しかし、築後23年経過し、これまで大規模修繕がされていないので、経年劣化で相当、傷んでいます。

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これまでは、大きな設備改修をしてきませんでしたが、温泉設備の老朽化の進度は、通常のお水よりも早いといわれています。ここ数年の内に、大規模な改修工事が必要となることは必須。

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平成31年3月には、一般財団法人 地方自治研究機構というところが「温泉資源を活用した観光振興及び地域活性化に関する調査研究」として、いわきの湯本温泉の現状の課題と解決策を提示しています。これによると、慢性的な営業赤字は避けられないし、配管等の更新には多額の費用が見込まれています。さて、この先、どういう方針でいくのかが問われています。

どのような機能を更新し、どんな機能を新たに盛り込むか、どんな運営をしていくかの、マスタープランを持つ必要があります(現在は、事実上、ない)。なんといっても、知見と経験、中長期的な視座、そして経営に情熱を持つ、経営者でなければ、経営はうまくいかないでしょう。

<温泉資源を活用した観光振興及び地域活性化に関する調査研究、はコチラ>
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