著者は、博報堂からジャーナリストに転身した矢部宏治氏。これまでも「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」等の複数の本を書かれている方です。物証が薄い、いわゆる陰謀論と呼ばれているカテゴリーなのですが、著者の仮説に立つと、戦後から今までの流れと整合するので、そういう考えもあると理解しておくのは大事だと思います。

著者でリンクフリーと紹介されていたリンク先には、章ごとの4コマ漫画が開示されていて、ブラックジョークになってます。
http://book-sp.kodansha.co.jp/topics/japan-taboo
2019-05-15 09.00.32

著者は、まず横田空域が東京都の西側上空全域に設定されていて、米軍の許可なしに日本の飛行機は飛べないという事実から、日本が事実上、米軍に支配されていることを主張されています。その起源は、太平洋戦争後の占領及びフランシスコ講和条約・朝鮮戦争の時だといいます。すなわち、日本を独立させたくない米軍(米国ではない)のかわりに、サンフランシスコ講和条約で形式上の独立は認めるが、事実上の軍事占領の状態は変えないというもの。そのために、米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた軍事上の密約があるという仮説。とんでも陰謀論かと思いますが、物証に薄いものの、これまでの歴史の流れを鑑みると説得力があるものです。

すなわち、「旧安保条約+行政協定+日米合同委員会」という仕組みで、軍事的には日本をほぼ、占領下と同等の状態にしておくというもの。その後岸信介首相のときに、安保改定が行われ、形式的にはかなり独立国として改善されたものの、「新安保条約+地位協定+日米合同委員会」という仕組みに変わっただけで、軍事面での法的な従属関係が継続し、国連軍への協力義務という体裁で、米軍への従属が確定したというのです。

この日米合同委員会というのは、1960年締結の日米地位協定をどう運用するかを協議する実務者会議。いまでも月に2回、都内のニュー山王ホテルという米軍施設内等で秘密会議形式で開催されているそうです。メンバーのメインは米軍軍人と、日本の行政局のトップ。軍人が他国の行政と定期会合しているというのは、確かに異常かもしれません(しかも日本の防衛省は含まれていない)。

著者は、日本の裁判権・基地権・指揮権が、いずれも米軍に支配されている!と主張されていますが、物証に欠けるものの、歴史と整合している部分もあると感じます。これは日本の総理大臣ひとりが、いますぐに解決できるレベルの問題ではないかもしれません。

第1章 日本の空は、すべて米軍に支配されている
第2章 日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある
第3章 日本に国境はない
第4章 国のトップは「米軍+官僚」である
第5章 国家は密約と裏マニュアルで運営する
第6章 政府は憲法にしばられない
第7章 重要な文書は、最初すべて英語で作成する
第8章 自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う
第9章 アメリカは「国」ではなく、「国連」である