石垣島では、2018年2月から「GO SHARE」という電動スクーターのシェアリングサービス・レンタル実証実験中。使用されているスクーターは、台湾のGogoro製。電気によるモーター駆動のため排気ガスの排出がなく、エコなバイクです。このゴゴロGogoro という会社には、シンガポールの国営投資会社テマセク・ホールディングス、アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領の投資会社Generation Investment Management、住友商事、パナソニック等の会社が出資しているそうです。電動バイクを開発・販売するだけでなく、電池交換施設の設置・運営も一体的にやっています。そのシステムを石垣島でオペレーションしているのは、e-SHARE石垣(住友商事の100パーセント子会社)。

ちなみにレンタル料は、1時間1000円(パワフルなバージョンもあって、こちらは2000円)。ヘルメットも無料で貸し出し。運転には原付免許もしくは普通自動車免許が必要です(50ccもしくは125cc原付の扱い)。

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この電動スクーターは、交換式のバッテリーを搭載。充電が少なくなったら、街に設置されたバッテリー交換式の充電ステーション「GoStation」に立ち寄り、運転者がセルフで充電済のバッテリーと交換するというもの(セルフ式ガソリンスタンドに相当)。

このスクーターは、スマートスクーターと呼ぶらしく、デザインとエコが評価され、2018年10月にはグッドデザイン金賞を受賞しているそうです。かっこいいですね。

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2本のリチウムイオン電池を動力源として、走ります。スクーターには回生ブレーキが装備され、ブレーキ時に発生した電力をバッテリーに電力を戻します(ハイブリッド車と同じ)。実際に2時間ほどレンタルしてみましたが、エンジン音はなく動き出しは、かなり静か。歩行者の気づきのために、人口モーター音をあえて発生させていますが、それも走り出せば風切り音のほうが大きいので、あまり気にならない。走り出しは、通常の50ccの原付バイクよりも、パワフルです。最高スピードは65kmに設定されているようでした。スピード・バッテリー残量・状態等は、デジタル表示され、またワイヤレスキーで電源オンオフするので、ちょっと未来的。

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バッテリーはパナソニック製リチウムイオン電池で、重量は約9kg。かなりずっしりとしていますが、大きな持ちやすい取っ手がついているので、メットインの中にバッテリー収納スペースがありますが、ラフに扱っても出し入れはしやすいです。

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交換式バッテリー用充電ステーションGoStationは、市役所前や観光地である川平湾等、石垣市島内5か所に設置。無人でセルフで交換なので、24時間いつでも無料で!バッテリー交換できます。ちなみに市役所横のステーションでは、太陽光発電も併設していて、再生可能エネルギーだけで走行できるという、持続可能なまちづくり・エコアイランドが実現。

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バッテリー残量が減ってきたなと思ったら、GoStationに立ち寄って、バッテリーボックスに使用済みバッテリーを返却すれば、その場で充電済みバッテリーを借りられるバッテリーレンタル方式です。返却されたバッテリーは、自動で充電され、充電済みの新しいバッテリーが、すぐに渡されるため、充電時間なしです。これは、便利。石垣港から川平湾まで実際に走ってみましたが、フル充電で5目盛りのところ、1目盛りだけ消費しただけだったので、島内を走り回るのには、1日1回のバッテリー交換で十分だと思います。

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バッテリーがなくなった容器をステーションの空きスペースに差し込むと、自動で新しい充電済みのバッテリーが、にゅーっと出てきます。それをメットインの中にある、バッテリーボックスに挿入すれば、100%充電OK。ひとつのステーションの中にバッテリーが24個ありました。今後大量のスクーターが走り出すようになれば、充電中のバッテリーばかりになり、充電済みのバッテリーが不足するかもしれないですが、今のところ足りているようです。足りなくなれば、これを増やせば良い。

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ガソリンを使わず排気ガスを出さないエコ、かつ、所有しないシェアという取組みは、エポックメイキングだと思います。すべでの車両の走行データや充電・消費状況は、ビッグデータとして逐次蓄積され、今後の改善に使っていくそうです。このシステムは石垣島で評価され、全国、いや全世界に広まっていくかもしれません。

問題は、既存のルールでしょう。日本の道路交通法では、現在は、定格出力0.6kw以下が原付一種、同1.0kw以下が原付二種という扱いになっています。これが縛りになって、パワフルな電動バイク・スクーターが普及しない大きな要因になっています。既存のガソリン50ccエンジンのほうが、パワフルで航続距離が大きければ、そちらを選択するのが経済的に合理的な判断だからです。だから日本のヤマハ・ホンダをはじめとするバイクメーカーが、新規開発に本格参入していない。一方、ルールに弾力的な台湾・中国では、どんどん電動バイク・スクーターの新規モデルは開発・販売され、実績を積み上げることで、さらなる技術力が向上している。台湾ではすでに5万台?が販売されているそうです。

この構図は、かつての「失敗の本質」を想起させます。失敗の本質のひとつとしてあげられているイノベーションの欠如。すなわち日本人は自分でゲームのルールで創作することができず、既存のルールへ習熟すること目指すこと。例えば、太平洋戦争時に航空機の戦法がベテランパイロットの1対1対決から、複数対複数機に変化。既存の必勝法は常に変化しているが、既存の戦法にこだわって失敗した。また電探の価値を理解せず、成功の芽のあったレーダーの技術開発を断念させてしまったことを想起します。日本人は既存のルールで戦ったり、研究するのが得意で、職人的な作り込みが得意です。だからこそ、零戦のような傑作機を創り出したことは誇るべきですが、当時の目的は、総力戦でなく早期講和を目指し、道義国家として国際社会に復帰することだったはず。俯瞰的な視点から最終目標への道筋を作るべきでした。

そんな過去の歴史を踏まえれば、ガソリンエンジンからEVへの技術革新という時代の中で、俯瞰的に見て、既存のルール・ゲームを柔軟に変えていかねばならないはずです。石垣市・住友商事さんの活動を後押ししていきたいです。

<失敗の本質は、コチラ>
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