ロータリークラブは、会員120万人を超える全世界組織の国際的な社会奉仕連合団体です。その日本における実質的な創始者が、米山梅吉氏。静岡県駿東郡長泉町にある米山梅吉記念館は、彼の屋敷跡に平成10年に建てられています。

そもそも米山梅吉さんは、江戸末期生まれで、明治初期にアメリカ留学。英語が話せる金融マンとして、三井銀行で驚異的なスピード出世された方です。三井銀行常務取締役だったとき、たまたま、政府特派財政経済委員に任命され、米国へ調査活動に行きます。その行程の中で、テキサス州ダラスに赴任中だった三井物産のロータリアン福島喜三次に出会って、仲良くなる(ダラス会談・ダラスでの邂逅)。そして帰国後の1920年に、福島と協力して日本初のロータリークラブである「東京ロータリークラブ」を設立し、初代会長に就任。ロータリークラブがシカゴで発祥したのが1905年ですから、15年遅れて日本にロータリーが持ち込まれたことになります。ちなみに創立当時のメンバーは、28名で、日本を代表する会社の社長・重役たちで、英語ができることが前提で選出されたそうです。

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ロータリークラブについては、知っているようで知らないことばかりです。いわき地区ロータリークラブのインターシティミーティングで、いろいろ教えてもらいました。始まりは1905年にシカゴで、ポール・ハリス(法律家)が、シルベスター・シール(洋服店)ら計4人で始めたのがきっかけ。当時のシカゴは荒んでいて商売に情けは不要という時代だったので、逆にメンバー導師では親睦と友情を通じて信頼し合い、ビジネス協力していこうというもの。

そのビジネスマッチングの会合を、メンバーの事務所持ち回りで行ったため、「ロータリー」と名付けられたとのこと。そして統計係という役職を置き、ビジネスマッチングの結果を逐一記録し、会合で報告していたそうです。ロータリークラブのはじまりが、まず仕事の話し・取引をしよう、事業の繁栄・物質的相互扶助が目的というのは、ちょっと意外。今ではビジネスの対極ともいえる「奉仕活動」がメインですから。

<いわき地区ロータリークラブ IMは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/53066847.html
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米山梅吉さん自筆の自画像。一旦名を遂げた男子はすべからく後進に道を譲り、以後は社会の奉仕事業に貢献すべしという信条、「新隠居論」をまさに実践。日本のロータリークラブの創立だけでなく、社会、文化諸事業を三井報恩会の代表、青山学院初等部の建設・校長就任、郷里長泉村への寄附、ハンセン病療養所訪問等、さまざまな社会奉仕活動をされました。

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著書「提督彼理(ペルリ)」。あの、黒船来航のペリー提督のことです。題字は、当時お世話になっていた勝海舟の筆だそうです。

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書にも秀でていたようで、たくさんの掛け軸が展示されていました。

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たくさんの米山氏の遺品や、功績を示すモノが展示されていて、丁寧な説明もあり、わかりやすかったです。ここで以下、いろいろ学べました。

いまでこそロータリークラブソングとして定着している「奉仕の理想」と「われらの生業」ですが、(あたりまえですが)完全に日本オリジナルのもので、1935年に、ロータリーの日本化という流れの中で作られたものなんです。本来、国際ロータリーが決定する「ロータリーの綱領」は一言一句の変更は許されないのですが、日本語でロータリー精神や内容を補足するものという位置づけです。

太平洋戦争前には、ロータリーはアメリカに本部があるという理由から、例会が官憲の監視下に置かれました。考えてみれば、官憲から見れば、英語で会話されることもあるロータリーの例会を、危険視するのも当然でしょう。怪しい活動をしていない、また国家への忠誠心を示すためにも、クラブ旗の隣に国旗をかかげ、月初めに国歌を歌うという、現在の例会スタイルも、当時のロータリー活動を続ける上で必須だったため、編み出されたものです。

しかしついに、1940年には、日本のロータリークラブは、国際ロータリー離脱となってしまいます。一方、ロータリー活動は、「七曜倶楽部連合会」という名前で、各地で週一回の例会を続けました。そして戦後の1949年に、再度、国際ロータリーから認められ、ロータリーとして活動再開となりました。

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米山梅吉さんばかりが注目されていますが、福島喜三次氏こそが、日本人初のロータリアン(ダラスロータリークラブ会員)。

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全国各地のロータリークラブが、米山梅吉記念館詣でをしており、毎日のように来館者があるのだそうです。ロータリーの神髄に触れることができるので、納得。

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この記念館の運営をされているのが「公益社団法人 米山梅吉記念館」です。ロータリーの大きな柱の一つである、留学生への奨学金支給事業をやっている「財団法人ロータリー米山記念奨学会」とは、組織もお財布も、全く別物。米山記念奨学会は巨大な年度予算が動いていますが、こちらの公益社団法人 米山梅吉記念館は、極めて細々とした予算規模で、常駐スタッフは1名だけで、運営の多くを地元ロータリークラブに頼っているところが大きいそうです。協力できるところは、ぜひ貢献していきたい。

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今の記念館は平成10年竣工ですが、かつてはもっと手狭な記念館(昭和44年竣工)だったそうです。全国のロータリアンの熱心かつ多額の寄付により、現在の土地の取得、いまの記念館の建設にこぎ着けたそうです。なお、当時の旧記念館の建物(法隆寺似の六角形の建物)と、当時の長屋門は、移設され、今でも当時の雰囲気を感じることができます。

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