著者の内藤忍氏は、かなり異色の経歴をお持ちの方です。東京大学・MIT経営大学院卒後に、資産運用会社勤務を経て、マネックス証券の創業に参加。後に関連会社の社長を歴任し、現在は、ご自分の会社である株式会社資産デザイン研究所を運営されています。著書も資産運用モノを多数刊行されています。一方、副業としてワインバーのオーナーでもあるらしい。

さて、本の内容は資産運用に関することなのですが、一貫しているのはポートフォリオを組みましょうということ。一般にはポートフォリオというと、リスク分散のためにペーパーアセット内だけの、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の組み合わせをいいますが、著者は、これに国内不動産・外国不動産を組み入れましょうという提案をしています。なぜなら、金融資産同士より、金融資産と実物資産(不動産)のほうが一般的に相関係数は低くなり、投資対象を広げることで分散効果が高まるから。

2019-03-01 08.16.09

また大きく頷けるのが、不動産投資の旨味を「超過利潤」という言葉で表していること。すなわち金融資産は(市場は効率的なため)市場のゆがみが少なく、銘柄選択や投資タイミングを考えることによる超過リターンは、基本的に期待できません。対照的に不動産は(市場が非効率的なため)市場のゆがみがあり、投資家は情報収集と目利きにより、このゆがみを捉えることで「超過リターン」を狙うことができる、という極めて明快な説明をされています。

紹介する海外国は、米国本土・ハワイ・英国・ベトナム・カンボジア・フィリピン。著者自身は不動産投資経験(海外を含む)はあるものの、常時取引をやっているプロフェッショナルではありません。したがって記事の内容は、パートナーである不動産会社からの情報提供によるところが大きいようです。また、グローバル不動産投資というタイトルの割には、説明が薄いような気がします。しかし、ほんとうに海外の不動産に投資する方は、もっと専門の書籍やネット情報を駆使して情報を取りに行くでしょうから、紹介本という意味ではこれくらいの紹介の分量がかえってよいのかも。