著者は、日本在住30年、元ゴールドマン・サックスのパートナーです。日本に精通し、愛している外国人目線だからこそ書けた、タブー度外視の書です。諸外国の文献と統計データから、論理的かつデータで裏付けられた仮説と提案は、どれも納得のものでした。
議論の出発点は、「人口減少×高齢化」「20年来のGDPの停滞」という現実です。この現実及び将来予測に対して、打ち勝つ7つの生存戦略です。結論からいうと、何を置いてもまずは、経済規模の維持、ひらたくいえば人口減少下でGDPをどう維持するかです。なぜなら、経済や福祉の問題のほとんどは、オカネで解決できることが多いのは事実だからです。
議論の出発点は、「人口減少×高齢化」「20年来のGDPの停滞」という現実です。この現実及び将来予測に対して、打ち勝つ7つの生存戦略です。結論からいうと、何を置いてもまずは、経済規模の維持、ひらたくいえば人口減少下でGDPをどう維持するかです。なぜなら、経済や福祉の問題のほとんどは、オカネで解決できることが多いのは事実だからです。
1. 人口減少を直視せよ
2. 資本主義をアップデートせよ
3. 海外市場を目指せ
4. 企業規模を拡大せよ
5. 最低賃金を引き上げよ
5. 最低賃金を引き上げよ
6. 生産性を高めよ
7. 人材育成トレーニングを「強制」せよ
ではGDP維持のためにどうすればよいのか?
総GDP = 一人当たり付加価値 × 日本の人口、ですから人口が減る以上、一人当たり付加価値を上げなければならないことは、自明です。一人当たり付加価値を上げるには、創造性の高いアウトプットを出すか、生産性を上げることしかありません。生産性の向上は、単にスローガンでなく必達目標なのです。
幸いにして、日本のホワイトカラーの生産性は、世界基準からかなり低いので、改善の余地が大きいです。障害となるのは、「変えたくない」「変わりたくない」という、日本人特有の意識でしょうか。
生産性向上のためには、データや論文では、企業規模の拡大が望ましいという結果が出ています。企業M&Aは傷みが伴うといわれていますが、痛いのは社長のポストがひとつ減ってしまう社長・オーナーだけ。社員は継続雇用されるし、企業規模が大きくなることで、待遇面での改善も期待できる。また研究開発投資・人材開発の余力や、海外へ輸出できる組織を持てる可能性があります。
著者の主張の最大の点は、生産性を強制的に上げるための、最低賃金の引き上げを提案していること。これにより、以下のメリットが発生します。
・もっとも生産性の低い企業が、メインのターゲットとなる
生産性の低い会社のメインは、給与が高い大企業でなく、給与水準が低い企業群である。これらの企業の合併を促せる
・効果は上に波及する
最低賃金が上がれば、すぐ上の層の企業の賃金水準も玉突きで上がって行かざるをえません。
・消費への影響が大きい
最低賃金で働くそうは、もっとも消費性向が高い。したがってこの層への賃金上昇は、より消費に向かいやすく、経済に好影響
・雇用が増える
これまで最低賃金に魅力を感じなかった主婦層も、上がる事で労働市場へ参加する動機付けになる
・生産性向上を強制できる
人材コストが高くなると、まず利益が圧迫されます。しかし製品に価格転嫁するのは容易でなく、ここで経営者は利益を取り戻すために知恵を絞り、生産性を高める強制力となるのです
この最適賃金の引き上げで、成功したのがイギリス、失敗したのが韓国だそうです。前者は、20年近くかけて毎年最低賃金水準を数パーセントずつあげていき、経営者がそれに対応していった。後者は一気に16%も最低賃金を上げたため、韓国に対する企業投資が減少し経済に悪影響を与えてしまいました。
日本の最低賃金は東京で985円、福島県は772円/時間です。これは国民一人当たりGDPの35%程度だそうです。ちなみに欧州は約50%。三割以上も安く経営者に使われているのが、日本の労働者の実態といえます。この結果、何が起きたか?今までの日本経済は、勤勉な労働者を安く使うことで、会社経営に余裕をもたらし、経営者は真剣に経営に取り組んでこなかった。会社は役員や従業員に任せ、社長としての高い給料をもらって、お客様回りやソーシャルワークをやっていれば良かった。しかしそれでは会社の生産性はあがっていかない。
いわゆる人手不足に対応するための、外国人労働者の導入(≒移民政策)は、この最低賃金引き上げに逆行する政策。なぜなら安易や人手不足を原因とする安い外国人労働者の導入は、日本人の賃金上昇を妨げる可能性が高い。日本人の賃金上昇が実現しなければ、将来の社会保障費は政府が負担できなくなってしまうのです。それよりも経営者は、技術革新の知識とそれを使うためのメタスキル(応用可能な知識・技術)を学ぶべき。具体的には、自社の課題に応用可能な問題解決法やビジネスモデル分析等です。KKD(勘・経験・度胸)経営から脱却し、自社の立ち位置を科学的に把握し、会社の中身を機敏に変化させ、現実にしっかりと稼がなくてはならない。
提言
①生産性向上にコミットした高生産性・高所得水準を目指す
②上記目的のため、企業の規模拡大を奨励し、企業統合を促す
③最低賃金の継続的な引き上げを行う
ではGDP維持のためにどうすればよいのか?
総GDP = 一人当たり付加価値 × 日本の人口、ですから人口が減る以上、一人当たり付加価値を上げなければならないことは、自明です。一人当たり付加価値を上げるには、創造性の高いアウトプットを出すか、生産性を上げることしかありません。生産性の向上は、単にスローガンでなく必達目標なのです。
幸いにして、日本のホワイトカラーの生産性は、世界基準からかなり低いので、改善の余地が大きいです。障害となるのは、「変えたくない」「変わりたくない」という、日本人特有の意識でしょうか。
生産性向上のためには、データや論文では、企業規模の拡大が望ましいという結果が出ています。企業M&Aは傷みが伴うといわれていますが、痛いのは社長のポストがひとつ減ってしまう社長・オーナーだけ。社員は継続雇用されるし、企業規模が大きくなることで、待遇面での改善も期待できる。また研究開発投資・人材開発の余力や、海外へ輸出できる組織を持てる可能性があります。
著者の主張の最大の点は、生産性を強制的に上げるための、最低賃金の引き上げを提案していること。これにより、以下のメリットが発生します。
・もっとも生産性の低い企業が、メインのターゲットとなる
生産性の低い会社のメインは、給与が高い大企業でなく、給与水準が低い企業群である。これらの企業の合併を促せる
・効果は上に波及する
最低賃金が上がれば、すぐ上の層の企業の賃金水準も玉突きで上がって行かざるをえません。
・消費への影響が大きい
最低賃金で働くそうは、もっとも消費性向が高い。したがってこの層への賃金上昇は、より消費に向かいやすく、経済に好影響
・雇用が増える
これまで最低賃金に魅力を感じなかった主婦層も、上がる事で労働市場へ参加する動機付けになる
・生産性向上を強制できる
人材コストが高くなると、まず利益が圧迫されます。しかし製品に価格転嫁するのは容易でなく、ここで経営者は利益を取り戻すために知恵を絞り、生産性を高める強制力となるのです
この最適賃金の引き上げで、成功したのがイギリス、失敗したのが韓国だそうです。前者は、20年近くかけて毎年最低賃金水準を数パーセントずつあげていき、経営者がそれに対応していった。後者は一気に16%も最低賃金を上げたため、韓国に対する企業投資が減少し経済に悪影響を与えてしまいました。
日本の最低賃金は東京で985円、福島県は772円/時間です。これは国民一人当たりGDPの35%程度だそうです。ちなみに欧州は約50%。三割以上も安く経営者に使われているのが、日本の労働者の実態といえます。この結果、何が起きたか?今までの日本経済は、勤勉な労働者を安く使うことで、会社経営に余裕をもたらし、経営者は真剣に経営に取り組んでこなかった。会社は役員や従業員に任せ、社長としての高い給料をもらって、お客様回りやソーシャルワークをやっていれば良かった。しかしそれでは会社の生産性はあがっていかない。
いわゆる人手不足に対応するための、外国人労働者の導入(≒移民政策)は、この最低賃金引き上げに逆行する政策。なぜなら安易や人手不足を原因とする安い外国人労働者の導入は、日本人の賃金上昇を妨げる可能性が高い。日本人の賃金上昇が実現しなければ、将来の社会保障費は政府が負担できなくなってしまうのです。それよりも経営者は、技術革新の知識とそれを使うためのメタスキル(応用可能な知識・技術)を学ぶべき。具体的には、自社の課題に応用可能な問題解決法やビジネスモデル分析等です。KKD(勘・経験・度胸)経営から脱却し、自社の立ち位置を科学的に把握し、会社の中身を機敏に変化させ、現実にしっかりと稼がなくてはならない。
提言
①生産性向上にコミットした高生産性・高所得水準を目指す
②上記目的のため、企業の規模拡大を奨励し、企業統合を促す
③最低賃金の継続的な引き上げを行う