伊勢神宮の内宮そばにある、修養団の伊勢研修センターで、精神修養してきました。公益財団法人 修養団は、112年の歴史を持つ、日本人としての精神修養の場を提供する機関です。名前はちょっと妖しい宗教やカルトっぽいですが、団の創立100周年記念式典で、今上天皇・皇后の行幸啓があるほど、社会的信用力がある団体なのです。
「みがく講習会」という精神修養の3泊4日という泊り込み合宿研修を年間を通じてやっています。そのおプログラムの特筆すべきは、「水行(みずぎょう)」。すなわち、五十鈴川での「みそぎ研修」です。また企業研修という形で会社へ講師が出講し、新入社員研修をはじめとした研修を受託しています。
<お伊勢参り 内宮は、コチラ>
180畳の講堂に集合した受講生を迎えたのは、直径2メートルの和太鼓「日本號」です。音量とともに響きがすごい。講堂を取り巻く障子戸がビリビリと振るえるほどです(本当)。まずはアイスブレイクとしての「童心行」からスタートして、礼法作法の修養をしていきます。
参加者は、基本的に相部屋での泊り込み合宿。一部屋に2段ベッドが4つで、8人部屋です。布団のたたみ方も決められていて、シーツや茶器の片付けも指示がありました。修学旅行以来の、キビシイ規律かも。
食事は大広間で参加者で一緒にいただきます。食事をいただく前に「天地一切の恵みとこれを作られた方々の苦労に感謝します。いただきます。」食後には「恵みの食事を終え、生命に新しい力をいただきました。ごちそうさまでした。」
そしてクライマックスは、夜の水行(すいぎょう)です。なんで12月の寒空の下、ふんどし一丁で、酷寒の五十鈴川に入って禊ぎ(みそぎ)をするのか。確かに外気は寒かったし、水温はもっと冷たかったです。そこに肩まで浸かって、「流汗鍛錬」と唱え、御製までそらんじるのですから、しんどかったのは事実。
五十鈴川に肩まで浸かった状態で、明治天皇御製の「五十鈴川 清き流れの すえ汲みて 心を洗へ 秋津島人」を2回唱え、しばし水に浸かったまま瞑想。もう一度、そらんじて終了です。水行のポイントは、川に入る前の準備体操を兼ねた気合いを入れることと、深い呼吸法です。
水行の最中は、思考力がほぼゼロに。毛細血管が収縮して血圧が急上昇していきますが、一定のところで、水と体が一体となったような感覚になります。これが自然を感じ、一体化するということ、自分の体も自然の一部なのだと認識するようになるということでしょうか。
一般的には、罪や穢れを落とし自らを清らかにすることを目的とした、神道における水浴行為といわれています。それは定義であって、真の目的は、何かに対して最初からできないという思い込みや、心のリミッターを外すことに、水行の意味があると感じました。ある意味、バンジージャンプを成人になるタイミングでやらせることに近いかもしれません。水行やバンジージャンプを、やり越えることで、人生の中で、できそうにないこと、やりたくないことに出会っても、なんとかなるさ、やってみようぜと挑戦することがたやすくなるはずです。
水行の後は、深夜に行われる、伊勢神宮の月次祭(つきなみさい)を見せていただきました。伊勢神宮の年間諸祭祀のうち、特に重視されているものが三節祭と呼ばれ、神嘗祭と 6月,12月の月次祭がそれにあたります。祭りといっても、華やかなものではなく、神事です。月次祭は写真撮影禁止ですが、事前に申し込めば、(遠くからですが)一般市民の見学可能です。50人以上の神職が、白装束で、儀式を執り行っていました。ほとんどの儀式が無言で所作を行いますが、一部は雅楽を使ったものもありました。
まずは神楽殿、そして御贄調舎、内宮の正宮、最後に荒祭宮で、お祭り=祭事=神事が執り行われ、神職の行列に続いて移動して、儀式を見学(とても遠いですが)させていただきました。正直、どんな行為をしているかどうか詳細にはわかりません。しかし、丁寧にかつ厳かに、組織的に行われていることは理解できます。
それにしても伊勢神宮開闢以来、脈々とこの儀式が毎年、毎月、いや小さい祭りを入れたら毎日、神職が神に祈りを捧げつづけていることに驚きを通り越して、圧倒されます。彼らの祈りは、個人的なものではなく、平たく言えば、ひたすら日本という国家安寧のために祈り続けているのです。科学的・金銭的な立場からは、祈りという行為自体は、化学反応も金融取引も発生せず、意味がないかもしれません。しかし我々の先人たちは、それに意味があると信じて、ずっと祈りを続けてきました。利己のために祈るのではなく、ひたすら利他のために祈る。こんな国は、世界中広しといえども、この日本しかないのではないか。私はこの神事を見て、あらためて日本の利他を良しとする国民性の崇高性に、感激してしまいました。
内宮を正式参拝させていただきました。一般の参拝は、神宮の正殿を四重の垣根に囲まれた外からお参りします。その一番外側の門にかけられているのが、布製で御幌(みとばり)で、その前で参拝します。今回は、特別に御幌の中、御垣内(みかきうち)参拝をさせていただきました。御垣内には、10cmくらいの丸い黒い石が敷き詰められていて、その上に正座して、「2礼、2拍手、1礼」。
神宮に限りませんが、神社で個人的なお願いをするのはタブーだそうです。なぜなら神社は、これまでに感謝し、その感謝の気持ちを置いてくるべき場所で、その気が良い場所を、次の参拝者が感じ取ることができる場所だからです。お願いをしてもらってくるだけではダメで、逆に置いてくるくらいの心持ちで、神社に参拝すべきなのです。特にこの正宮の前では、国の安泰とか世界平和とか、公の願い事をするものだそうです。
修養団の講師が、たくさんの小話をしてくださるのですが、それぞれ、神妙であり、歴史に造作が深く、またウィットが富んでいる。いろいろ心に刺さった小話があるのですが、特に私に刺さったのは、幸せについて。
人は幸せになりたいし、成功したい。
では、幸せになる、人生に成功するキモは何か。
確かに、人としての能力、すなわち学力やコミュニケーション能力は、人生に成功するために有用かも知れない。
しかし、一番のキモは、運が良いかどうかだ(松下幸之助もそう言っている)。
天の神様に愛される人になれれば、運が良くなる。
では、天の神様に愛されるキモは何か。
それは、徳を積むことであり、いいかえれば美しい心を持つこと。
徳 と・くは、十・九、九の先に十がある。
苦の先に、充があるということ。
苦労を買ってでもしようという発想です。
これは利己でなく、利他を優先しようという、日本人の行動にもつながる。
さあ、美しい心を持つべく、今すぐ行動しよう!
1000回を越える実績の講習会の基本日程は、3泊4日。講習日程は、ほぼルーチンです。延べ2万人を越える人がこの内容で、修練してきたかと思うと万感の思いがあります。
古い旗がありました。かつては、ここは神都道場と呼ばれていたようです。スローガンは「愛と汗」。今も「流汗鍛錬」と「同胞相愛」が、大広間の額に掲げられています。
開校式・閉校式に用いられる大太鼓「日本號」。直径1m近くある大太鼓で、こんな大きなものを見るのは始めて。
「総親和総努力」も修養団のスローガンのひとつ。愛なき人生は暗黒なり 汗なき社会は堕落なり、すなわち、総親和、総努力、総幸福の明るい世界の実現を目指すということ。
なんと、「みがく講習会」は、平成30年末をもって、1190回実施したとのこと。さらにこれから毎月実施予定で、いったいどこまで続くんだろう?日本国がある限り、続くと確信しました。
「みがく講習会」という精神修養の3泊4日という泊り込み合宿研修を年間を通じてやっています。そのおプログラムの特筆すべきは、「水行(みずぎょう)」。すなわち、五十鈴川での「みそぎ研修」です。また企業研修という形で会社へ講師が出講し、新入社員研修をはじめとした研修を受託しています。
<お伊勢参り 内宮は、コチラ>
180畳の講堂に集合した受講生を迎えたのは、直径2メートルの和太鼓「日本號」です。音量とともに響きがすごい。講堂を取り巻く障子戸がビリビリと振るえるほどです(本当)。まずはアイスブレイクとしての「童心行」からスタートして、礼法作法の修養をしていきます。
参加者は、基本的に相部屋での泊り込み合宿。一部屋に2段ベッドが4つで、8人部屋です。布団のたたみ方も決められていて、シーツや茶器の片付けも指示がありました。修学旅行以来の、キビシイ規律かも。
食事は大広間で参加者で一緒にいただきます。食事をいただく前に「天地一切の恵みとこれを作られた方々の苦労に感謝します。いただきます。」食後には「恵みの食事を終え、生命に新しい力をいただきました。ごちそうさまでした。」
そしてクライマックスは、夜の水行(すいぎょう)です。なんで12月の寒空の下、ふんどし一丁で、酷寒の五十鈴川に入って禊ぎ(みそぎ)をするのか。確かに外気は寒かったし、水温はもっと冷たかったです。そこに肩まで浸かって、「流汗鍛錬」と唱え、御製までそらんじるのですから、しんどかったのは事実。
五十鈴川に肩まで浸かった状態で、明治天皇御製の「五十鈴川 清き流れの すえ汲みて 心を洗へ 秋津島人」を2回唱え、しばし水に浸かったまま瞑想。もう一度、そらんじて終了です。水行のポイントは、川に入る前の準備体操を兼ねた気合いを入れることと、深い呼吸法です。
水行の最中は、思考力がほぼゼロに。毛細血管が収縮して血圧が急上昇していきますが、一定のところで、水と体が一体となったような感覚になります。これが自然を感じ、一体化するということ、自分の体も自然の一部なのだと認識するようになるということでしょうか。
一般的には、罪や穢れを落とし自らを清らかにすることを目的とした、神道における水浴行為といわれています。それは定義であって、真の目的は、何かに対して最初からできないという思い込みや、心のリミッターを外すことに、水行の意味があると感じました。ある意味、バンジージャンプを成人になるタイミングでやらせることに近いかもしれません。水行やバンジージャンプを、やり越えることで、人生の中で、できそうにないこと、やりたくないことに出会っても、なんとかなるさ、やってみようぜと挑戦することがたやすくなるはずです。
水行の後は、深夜に行われる、伊勢神宮の月次祭(つきなみさい)を見せていただきました。伊勢神宮の年間諸祭祀のうち、特に重視されているものが三節祭と呼ばれ、神嘗祭と 6月,12月の月次祭がそれにあたります。祭りといっても、華やかなものではなく、神事です。月次祭は写真撮影禁止ですが、事前に申し込めば、(遠くからですが)一般市民の見学可能です。50人以上の神職が、白装束で、儀式を執り行っていました。ほとんどの儀式が無言で所作を行いますが、一部は雅楽を使ったものもありました。
まずは神楽殿、そして御贄調舎、内宮の正宮、最後に荒祭宮で、お祭り=祭事=神事が執り行われ、神職の行列に続いて移動して、儀式を見学(とても遠いですが)させていただきました。正直、どんな行為をしているかどうか詳細にはわかりません。しかし、丁寧にかつ厳かに、組織的に行われていることは理解できます。
それにしても伊勢神宮開闢以来、脈々とこの儀式が毎年、毎月、いや小さい祭りを入れたら毎日、神職が神に祈りを捧げつづけていることに驚きを通り越して、圧倒されます。彼らの祈りは、個人的なものではなく、平たく言えば、ひたすら日本という国家安寧のために祈り続けているのです。科学的・金銭的な立場からは、祈りという行為自体は、化学反応も金融取引も発生せず、意味がないかもしれません。しかし我々の先人たちは、それに意味があると信じて、ずっと祈りを続けてきました。利己のために祈るのではなく、ひたすら利他のために祈る。こんな国は、世界中広しといえども、この日本しかないのではないか。私はこの神事を見て、あらためて日本の利他を良しとする国民性の崇高性に、感激してしまいました。
内宮を正式参拝させていただきました。一般の参拝は、神宮の正殿を四重の垣根に囲まれた外からお参りします。その一番外側の門にかけられているのが、布製で御幌(みとばり)で、その前で参拝します。今回は、特別に御幌の中、御垣内(みかきうち)参拝をさせていただきました。御垣内には、10cmくらいの丸い黒い石が敷き詰められていて、その上に正座して、「2礼、2拍手、1礼」。
神宮に限りませんが、神社で個人的なお願いをするのはタブーだそうです。なぜなら神社は、これまでに感謝し、その感謝の気持ちを置いてくるべき場所で、その気が良い場所を、次の参拝者が感じ取ることができる場所だからです。お願いをしてもらってくるだけではダメで、逆に置いてくるくらいの心持ちで、神社に参拝すべきなのです。特にこの正宮の前では、国の安泰とか世界平和とか、公の願い事をするものだそうです。
修養団の講師が、たくさんの小話をしてくださるのですが、それぞれ、神妙であり、歴史に造作が深く、またウィットが富んでいる。いろいろ心に刺さった小話があるのですが、特に私に刺さったのは、幸せについて。
人は幸せになりたいし、成功したい。
では、幸せになる、人生に成功するキモは何か。
確かに、人としての能力、すなわち学力やコミュニケーション能力は、人生に成功するために有用かも知れない。
しかし、一番のキモは、運が良いかどうかだ(松下幸之助もそう言っている)。
天の神様に愛される人になれれば、運が良くなる。
では、天の神様に愛されるキモは何か。
それは、徳を積むことであり、いいかえれば美しい心を持つこと。
徳 と・くは、十・九、九の先に十がある。
苦の先に、充があるということ。
苦労を買ってでもしようという発想です。
これは利己でなく、利他を優先しようという、日本人の行動にもつながる。
さあ、美しい心を持つべく、今すぐ行動しよう!
1000回を越える実績の講習会の基本日程は、3泊4日。講習日程は、ほぼルーチンです。延べ2万人を越える人がこの内容で、修練してきたかと思うと万感の思いがあります。
古い旗がありました。かつては、ここは神都道場と呼ばれていたようです。スローガンは「愛と汗」。今も「流汗鍛錬」と「同胞相愛」が、大広間の額に掲げられています。
開校式・閉校式に用いられる大太鼓「日本號」。直径1m近くある大太鼓で、こんな大きなものを見るのは始めて。
「総親和総努力」も修養団のスローガンのひとつ。愛なき人生は暗黒なり 汗なき社会は堕落なり、すなわち、総親和、総努力、総幸福の明るい世界の実現を目指すということ。
なんと、「みがく講習会」は、平成30年末をもって、1190回実施したとのこと。さらにこれから毎月実施予定で、いったいどこまで続くんだろう?日本国がある限り、続くと確信しました。