2018年11月に福島第一原発のそば、さくらモールの隣に、東京電力廃炉資料館がオープンしました。これは、もともと東京電力が福島第二原子力発電所のPR施設として富岡町に開設されていた「エネルギー館」の建物および既存の展示機材を、改修・用途転換したものです。運営主体は、京電⼒ホールディングス株式会社 福島復興本社。入場料は無料で、どなたでも予約不要で訪問・見学することができます。
この旧エネルギー館。パステルカラー?で彩られた建物は3棟から構成されています。その由来は、原子力研究に関係性が深いキュリー夫人、エジソン、アインシュタインという3人の物理学者の生家を模倣したとのこと。どの部分が、誰の生家が考えるのも一興ですね。
開館の目的は、事故の記憶と記録を残し、二度とこのような事故を起こさないための反省と教訓を伝承するとともに、廃炉の全容と最新の状況をわかりやすく説明するとのこと。冒頭にも、まずお詫びの文言がなされ、関係各位に慎重に気を回しているのが感じられます。ミニシアターでの福島第一の原子炉建屋内の作業状況の号機ごと映像を見ました。
説明の中でも東京電力内に「安全は確立されたもの、というおごりと過信があった」、「コミュニケーションについても、これまでしっかりと向き合う対話の姿勢が不足していた」等、のコメントがありました。
展示内容としては、東京電力ホームページに情報開示されている内容をかみ砕いたものとなっています。事故発生当時は、情報開示が少ないという意見が多く寄せられていましたが、いまはどちらかというと情報開示が詳細すぎて全体の流れがわからないというコメントもあるそうです。そういう意味でも、(最新の情報でないとしても)廃炉に向けての大まかな流れを理解できる展示施設の存在は、ありがたいのではないでしょうか。少しでも多くの方々に、福島第一原子力発電所の廃炉の現状を知ってもらうことは有益です。
なお、将来は福島県が双葉町に別のアーカイブ拠点施設を作ると報道されています。これと展示の重複がなされないよう、政治的な深謀遠慮が必要です。それでなくてもすでに仙台でも(すでに完成)いわき(2020年竣工?)でも震災アーカイブ施設があります。無駄な投資、税金の無駄遣いとならないよう、細心の注意を払う必要があります。
<せんだい3.11メモリアル交流館は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/48908530.html
実は、この建物を訪問したのは2回目。1回目は、小学校のときの遠足だったと記憶しています。そのときは、まさに双葉町の主要道に掲げられた標語「原子力明るい未来のエネルギー」が設置された時代でした。当時、訪れたときに原子炉を運転する運転制御盤の模型に触れて、エネルギーが生み出される瞬間に立ち会ったようで、(石油資源がないにもかかわらず)日本の技術力で解決していこうとする先人対に思いが誇らしく、気持ちが高揚したことを思い出しました。
ぜひ一度訪れて、当時のエネルギー館の設置趣旨、そして現在は廃炉資料館となった経緯、背景、根っこ等を考えながら、見学することを強くオススメします。