いわき素読の会(代表:山名隆史氏)による、第11回 いわき素読教室が、2018.12.3(土)に、開催されました。後援はいわき市教育委員会で、いまのところ2ヶ月に一回の開催をしています。これまでは、平一町目のティーワンビル内のいわき市生涯学習プラザ和室や中央台公民館、大國魂神社等で開催してきました。

スタートは、立腰して、日本書紀の即位建都の詔の素読からです。正座して腰骨を立てます。そして素読するときは教材を下から支え、軽く前に出して声を出すことで、自然と発声がしやすくなります。

<前回の様子は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/52613698.html 
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素読とは、言葉を、意味の理解を伴うことなく、その字面を追って、あるいはお手本となる発話者の発音の通りに声を出して読むことです、一般的なイメージとしは、いわゆる「音読」です。ちょっと異なるのは、意味を伝えないこと、意味を伝えるとしてもそれは素読をした後に行い、「もっと知りたい」と感じる程度にとどめることです。

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代表の山名さんからは、代表挨拶とともに「五省(ごせい)」江田島海軍兵学校の素読がありました。山名さんは、これを日々の行動を自省する五つの訓戒としてトイレに貼り、毎日見ているそうです。
一、至誠に悖る勿かりしか
一、言行に恥づる勿かりしか
一、気力に缺くる勿かりしか
一、努力に憾み勿かりしか
一、不精に亘る勿かりしか
 
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次の講師の永澤さんからは、「十二月のいろいろな呼び名」「十二月の俳句と和歌」を素読。12月が師走と呼ばれていることは広く知られていますが、そのほかにもたくさんの日本語があるんですね。

松尾芭蕉の「びいと啼く尻声悲し夜の鹿」を素読しました。びい、という語感がおもしろい。最初は意味がわからなくとも、素読しているうちに、そのリズムと語感でなんとなく体に入ってきます。ちなみに、びい、は鹿の鳴き声。そして尻声とは、声の終わりの部分やあとを引くような声をいうそうです。

長谷川さんからは、菊結びという組紐体験をやっていただきました。一本の紐が、たった1.2分の手作業で、あら不思議、菊の形になっていきます。日本らしい、美的感覚と繊細さの文化が形となったものだと実感しました。

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最初は、そんな難しい作業なんてとても無理!と感じていた子どもたちも、実際手を動かしてみると、意外に簡単にキレイな形に紐ができると、かなりやる気を出していました。

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冬至に飾るといわれる「運盛(うんもり)」の飾り付け実物の展示し、素読しました。日本には古来から冬至に「ん」のつくものを食べると「運」が呼び込めると伝えられています。「ん」がつくものといえば、だいこんにんじんれんこんきんかんぎんなんみかん(うどんも、うんどんといってこれに含まれるらしい)。

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暗唱発表では、ほとんどのこども達が、これまで素読であつかってきた材料を中心に、積極的に発表してくれました。なかには鴨長明の方丈記のように、数分にわたっての長文を暗唱してきた子もいて、みんなびっくりしていましたよ。

年末・年始は、日本らしい飾り物、縁起物がまちにあふれますね。精一杯、日本に生まれ、育ち、暮らしていることに感謝し、楽しみ、次世代にバトンをつないでいきたいですね。

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