最近の大企業やスポーツ界の不祥事が散見されるようのなりました。これらの多くは、いいオトナ、著者のいう「オッサン」に起因していることが多い。また日本の産業の長期停滞、失われた10年も、著者によれば「オッサン」によるところが大きいという。確かにこの10年間の株価上昇率は、米国・欧州の先進国が年率10%近いというのに対し、日本は年率3%にも満たないといわれています。
大事なのは、著者がいう「劣化したオッサン」とは単に年代と性別という人口動態的な要素で規定される人々の一群ではなく、ある種の行動様式・思考様式を持った特定の人物像を指しています。すなわち、以下の4点の特徴を合わせ持つ特定の層なのです。

○古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
○過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
○階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る
○よそ者や異質なものに不寛容で、排他的

ははあ、これがなんとなく世間でいう「オッサン」に近いのではないかと感じますね。いうなれば、(個別の性格が良いとか悪いとかは別にして)古い慣習に縛られ、挑戦すること恐れ、周りの意見を聞き入れない人たちです。では、これからの若者はどのような意識で、劣化したオッサンに対応していくか。

1. 組織のトップは世代交代を経るごとに劣化する
二流の人間は一流の人間を見抜けるが、三流の人間は一流を見抜けない。さらに二流の人間は一流にコンプレックスを抱えていてこれを疎んじる。よって一度でも二流の人財がトップに就けば、以降、その組織のトップに一流の人財がつくことはなく、人財のクオリティは世代交代のたびに三流の平均値へ収斂していく。

2. オッサンを尊重すべきだという幻想を捨てる
現代社会は、環境変化が早く、過去の知識や経験の陳腐化が著しい。単に社会を長く経験していることの価値は、以前よりだいぶ小さくなっている。逆に陳腐化し不良資産化した知識や経験を持ち出すようになると、むしろ老害である。その人の意見や行動が、自分の価値基準に照らして「真・善・美」であるかどうかを判断し、合わなければ恭順しない。

3. オピニオンとエグジットを活用してオッサンに圧力をかける
オピニオンは、自分がおかしい、間違っていると思ったときにはそれを声に出して意見すること。エグジットは、オピニオンによって状況が改善しない場合は、その場から退出すること。オピニオンとエグジットをしなければ、消極的にオッサンを支持することにつながり、ひいては自分も劣化したオッサンになってしまう。

4. 美意識と知的戦闘力を高めて、モビリティを獲得する
どこでも生きられる、誰とでも働けるという自信(これがモビリティ)、が上記のオピニオンとエグジットを可能にし、オッサンを牽制できる。そのためには、①良質な仕事体験と②社外での活動が必要。要は若いうちに、一定のストレスがかかった状態で、難易度の高いタスクに挑戦し、スキルをあげていく。そして社畜ならないよう、会社の外に開かれたネットワークをもつことです。

2018-10-23 08.59.42

なるほど、ではすでにオッサンになっている層はどうすればよいか。ライフシフト人生100年時代においては、マルチステージの人生が提案されています。具体的には、
・エクスプローラー(世界を旅しながら、自分探ししつつ、生きていくスキルを持つ)
・ポートフォリオワーカー(異なる種類の職を同時に持つ)
・インディペントプロデューサー(組織に雇われず、独立して生産活動)。

その実現のためには、以下の3つの無形資産を自分の中に積み上げていくことが必須。
・変身資産(多様性のある人的ネットワーク)
・活力資産(肉体的・精神的健康、バランスのとれた家族との生活)
・生産性資産(スキル・知識・仲間からの評判)

いまオッサンになっている層にとっては、今後は「働く」と「学ぶ」がパラレルに動く人生モデルが、主流となるでしょう。学ぶことや好奇心を持つことが人生の若さにつながり、人生に輝きにつながる。

<ライフシフト 100年時代の人生戦略は、コチラ>
著者は、日本が再度輝くためにシンプルな処方箋を結論づけています。それは、「私たちひとりひとりが、謙虚な気持ちで新しいモノゴトを積極的に学び続ける」ということ。今日から、実践していきたい。