良善忌は、いわき平の良善寺で行われる安藤家初代安藤信重の法要祭です。法要とともに献茶が行われ、別室で安藤家御家流香道と茶道が、参列者に披露される貴重な機会です。なお、今年は安藤信重氏の398年忌だそうです。2年後には大きな節目を迎えますね。

<昨年の良善忌法会茶会は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50308510.html 
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御家流茶道十六世宗家・安藤家御家流香道十一世家元が、安藤綾信氏。号を「鶴翁院」というそうです。旧磐城平藩主傳来のものだったそうですが、香道は昭和45年にお留流(江戸時代に一つの藩でのみ伝承され、同じ藩内でも他流の者に稽古を見せることを、藩より禁じられた流派)を解かれ、一般の人も入門することができるようになったそうです。

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安藤家御家流香道では、月に1回程度のお稽古をして活動しているそうです。江戸時代は、お茶・香道・生け花はたしなみとしてセットだったそうですが、現代では事実上、分かれてしまっているようです。当日は、和服姿の門下生が集い、香道初体験の私は、その楽しみ方を教わりました。

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香道は、東南アジアでのみ産出される天然香木の香りを鑑賞する芸道です。香道においては香の匂いを嗅ぐことを「聞く」といい、鑑賞するのが「聞香(もんこう)」、香りを聞き分ける遊びが組香(くみこう)と呼ばれます。今回は、5種類の匂いをかぎ分ける組香に挑戦です。

香木には、白檀・沈香・伽羅等、数種類がありますが、いずれも1g数万円するという貴重なものです。なので、香道には本当に小さな切片(2mm四方?)を使い、炭の上に雲母を引き、その上に香木を置いて、香りを発生させます。この役割を行うのが、香元とよばれる、いわゆる先生です。

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最初に答えがわかっている4種類の香木を聞き、覚える(無粋なのでメモ禁止)。その後、ダミーの高木(客花の字のうかんむりから「ウ」と呼ばれる)を1種類入れた5種類のうちランダムの2種類をブラインドテストし、名前をあてるというゲームです。

これを香道で表現すると、「一.二.三.四を試として聞く。残りの四包にウ一包を交ぜ、計五包から二包取り出し本香として炷き出す」となります。意味解読は、なぞなぞに近い。

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今回の組香は、「逍遙香」と呼ばれる、春興(はるのきょうず)、春麗(はるのうらら)、春宵(はるのよい)、春嵐(はるのあらし)でした。

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この匂い当てゲームは、毎回書記があてがわれ、毛筆で、参加者名・考えた香木名(2種類)、その結果が記載されます。「花くもり」ははずれ、「一」はひとつ正解。二問全正解だと「逍遥」となり、名誉なことです。

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香木を提供いただいた出香が、鶴翁院、すなわち安藤家御家流香道十一世家元の安藤綾信様です。

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良善寺の柳内住職が本堂で読経し、安藤家祖先らの御霊を供養しました。安藤家16代・御家流16代の安藤綾信氏、そして家元後継の安藤綾冠さんが初代・良善公に茶を献じたあと、安藤家関係者は、本堂裏手にある、安藤家墓前に墓参りをしました。

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