オガールプロジェクトは、平成24年に完成した官民複合施設オガールプラザが最初の建物でしたが、その成功で次々に建物が建設されていきます。平成26年には、民間複合施設オガールベースが完成。

<オガールプロジェクトの概要は、コチラ>
この、JR紫波中央駅前の町有地10.7haは、使い道の見当たらない土地でした。当時は雪捨て場にしかならないとして、頭を悩ませていたそうです。それが、岡崎正信氏を起点とした、パブリックマインドを持った民間が、プロフェッショナルな能力を持つ者とチームを作り、町から依頼を受けて、民間主導で「補助金に頼らずに」、まちづくりをやってのけてしまった。成功したものとして、簡単にまとめましたが、その経緯は著しく激しいものでした。

平成19年 公民連携の推進に関する学校法人東洋大学と紫波町との協定書締結、紫波町PPP可能性調査報告書
平成21年 紫波町公民連携基本計画策定、紫波中央駅前都市整備事業(オガールプロジェクト)開始、オガール紫波株式会社設立
平成22年 オガール・デザインガイドライン策定、岩手県フットボールセンター開場
平成24年 官民複合施設オガールプラザ オープン、紫波町図書館開館(オガールプラザ内)
平成25年 オガールタウン日詰二十一区 宅地分譲開始
平成26年 民間複合施設オガールベース オープン
平成27年 紫波町役場新庁舎 開庁
平成28年 民間複合施設オガールセンター オープン

<オガールベースは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/50914101.html
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オガールのスゴイところのひとつが、秀逸なサインやデザイン。すべてのサインやデザインが良く考えられ、当初計画から用いられています。プロフェッショナルなクリエイターが、地元に入り、全力で考えた、オガール・デザインガイドラインが、建設の前にできたのが大きいのではないか。

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紫波町は、これまで図書館がない町でした。農業主体の町で、読書や学習にあまり力を入れてこなかったのでしょう。しかし図書館はそれだけの機能ではありません。町民が集い、休む施設でもあります。実際、図書館が稼働すると、レファレンス・サービス(調べ物・相談)を利用する方も多い。

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図書館の開館に当たり、館長に抜擢された方は実は、東京在住。平日は紫波町で働き、週末に帰郷するという生活だそうです。「知りたい」「学びたい」「遊びたい」を支援する図書館の開館、その後の運営はとてもやりがいのある仕事だそうで、生き生きと仕事されておられました。

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農業主体の紫波町ですので、農業関連の書籍の蓄積に努めているそうです。「現代農業」のバックナンバーが揃っているだけでもスゴイのに、記事を検索できるシステムまで備えているのは、なかなかないのではないか。

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開架の図書コーナーの一角には、読書・学習スペースが設けられています。こういう場所さえあれば、学生は自然と机に向かうんですね。いわきでも、駅前のラトブの中央図書館、1町目の生涯学習プラザの学習コーナーには、自然と高校生が集まって勉強しているではないですか。図書館の効用は、大きい。

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飲み物持ち込み可、多少の声出しはOKだそうです。TSUTAYAが運営している武雄市図書館のコンセプトが非常に良いということで、地域ごとにアレンジされながら、全国に伝播しているようです。

<武雄市図書館 TSUTAYAは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/35932399.html
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こちらの建物もローコストの木造2階建て。材料を汎用的なものとし、できるだけ地元産木材を使っているそうです。天井高があるので、開放感があります。

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柔らかい感じの照明。よく見ると天井が張ってないので配管が丸見えですね。これもコストダウンのひとつです。

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目に見えやすい動線上のブックカートが置かれていました。いわきの中央図書館にもありますが、日陰者扱いであることが多い。高齢者等が複数の本を持って移動するときに優しいブックカート。

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図書館に寄せるそれぞれの町民の思いを書いたメッセージが掲示されていました。そもそもオガールプロジェクトは、たくさんあるまちの課題を解決するには、どのような開発が良いのか?という視点で進められています。だからこそ、まず何が課題なのかを洗い出すことが必要。そしてそのために何をすべきか、何をすべきでないのか、徹底的に議論することで、施設に対する思いや愛着が出てくる。この愛着の現れが、これらメッセージ群です。

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中二階から見た図書館全景。決して広くはありませんが、開放感あふれる場所です。

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オガールプラザの二階には、講堂があります。ミーティングや研修、コンサートなど用途に応じたスタジオの他、音楽練習等に使えます。実はこれまで町には、100人程度が収容できるホールが存在しませんでした。この講堂は、階段状の椅子を引っ張り出すことで、簡易的コンサートホールにすることができます。

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子育て応援センターしわっせが入居。学童保育的な使われ方をしているようです。

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紫波町情報交流館が入居。町民の自主的活動・交流を支援しています。町民が集える場所です。

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パブリックスペースでは、人待ちや勉強、お茶、休憩等さまざまな使い方があります。

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オガールプラザ前の広場では、バーベキューのピットがいくつも設置されています。町有地ではあるものの、運営会社が管理運営しており、有料でBBQピットの貸出をしています。週末には、必ず数組の団体が、肉を焼いているくらい人気の施設だそうです。確かに、清潔でキレイだし、芝生等の緑も近い、さらには産地マルシェがオガールプラザ内に入居しているため、そこで肉・野菜・飲み物等を購入できるので、手ぶらで来て、食材の過不足を心配なくBBQできるので、便利だし、やってみたくなる。

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週末に家族や友人で、わいわいとBBQやるのは、ワクワクしますね。ここを実際に視察するまで、週末に町役場付近が人手で賑わうイメージがつかめませんでしたが、納得・腹落ちしました。

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株式会社オガールプラザ代表取締役として中核施設を経営している、岡崎正信氏。1972年岩手県生まれのバイタリティあふれる方でした。地域振興整備公団(現都市再生機構)勤務後、家業の建設会社を接ぐために帰郷。そこで紫波町が町有地の活用でどうにもならなくなっているところを、見る。それまでの経験や、新たな学び、東京のプロフェッショナル集団との協働を経て、民間主導のまちづくりに本腰を入れることになりました。現在は株式会社オガールプラザ代表取締役として中核施設を経営しています。

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夕食は、オガールプラザ内の「4832」でいただきました。紫波=しわ=4・8で、「4×8=32」の語源のようです。具だくさんの紫波サラダをはじめとする地元食材の地産地消を地で行くお店でした。

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紫波のオリジナルワインもあるんですね。醸造は市外の製造業者に委託しているようですが、地元産を誇れるのは嬉しい。味はまあ、それなりに・・・

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産直の紫波マルシェは、あくまで「オール紫波」にこだわっているそうです。紫波の農畜産物や加工品を中心とした「旬と完熟、採れたて」がウリ。基本的には、生産者も消費者も紫波の人。ここで野菜・鮮魚・精肉・惣菜・弁当・寿司・果物・米・花・加工品・惣菜・パン・乾燥野菜・ジュース・漬物などが揃うので、普段使いの買い物にしているようです。

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夜間のライトアップまで考えられている、オガールの各施設。「消費を目的としない人」を集めようとしているそうです。普遍的な集客装置とは、消費を目的としないパブリックな場のこと。ここには、図書館と役場庁舎、さらには手県フットボールセンターがあります。

まちづくりというのは、究極的にはエリアの不動産の価値を上げること。消費を目的としない人が集まり、いわゆる人気がでればマーケットが大きくなり、結果として不動産の価値も上がってきます。これが、民間主導のまちづくり。官主導ではこの発想、行動はありえない。

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