白川郷は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている、岐阜県の庄川流域にある合掌造り集落です。その特徴は、なんと言っても、合掌造りの建物が、観光のための単なる置物ではなく、現代生活においても地元民の実生活の場として使われているところに価値があります。

しかしながら、冬にはすきま風が吹き、茅葺きの屋根の葺き替えには多くの労力を必要とします。そのため、メインの荻町集落で、現存しているものは、約60棟。合掌造り家屋について「売らない、貸さない、壊さない」の三原則を掲げ、保存活動を行っていますが、実際にはなかなか難しいようです。そのため、トヨタ財団が白川郷のほど近い山麓の100haを超える敷地を求め、トヨタ白川郷自然学校を設立・運営し、合掌造り家屋の一棟を移設・保存・管理しています。
46

茅葺きの屋根の厚さは30cm近くにも及び、葺き替えには、大変な労力とコストがかかりそうです。

05

部屋の中央部が、囲炉裏の定位置です。この囲炉裏は、料理にも使いますが、熾火のキープ、夜間の暖房等として多目的だったそうです。しかしながら、木造+茅葺きという、非常に失火しやすい環境で、365日囲炉裏に火が入っている状態は、かなり火事に対してリスキーなはず。消防設備と言っても、スプリンクラーなどあるはずもなく、消化器による手作業の消火しかない。よくぞ、いままで保存できていると思います。

49

2階は、養蚕業のために使われていました。カイコは、この部屋で、寒いときには囲炉裏の熱で、暑いときには、前後の戸を開けて新鮮な空気を入れることで、温度調節をされながら育ったそうです。

43

実際のところ、囲炉裏を焚いてもらうと、2階は煙でもうもう。人間が燻されそうで、昔の先人は我慢強かったんです。

53

1階の居間での反省会。夏場ではありましたが、虫は入ってくるし、締め切ってもすきま風がはいってくる住環境。大自然とともに暮らす、そして楽しむ覚悟がないと、現代人にはなかなかしんどい生活です。

BlogPaint