中田横穴は、平沼ノ内にある横穴式の集合墳墓の遺跡です。彩色壁画が有名で、国の史跡に指定されていますが、東日本大震災による被災のため、震災後は非公開でした。2017年7月15日の豊間・薄磯まちびらきを記念し、豊間薄磯ツアーの一環として公開されたので見て参りました。

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「中田横穴」は県道小名浜四倉線の工事中に発見されたそうです。横穴内部の奥壁には、赤と白の顔料により三角文様が描かれており、わが国の装飾横穴を代表するものの一つとされています。 

装飾は後室の三周壁に赤色と白色の三角連続文を基本形として三段に分けて描かれています。赤の顔料だけでなく、白色の顔料も使われていて、赤だけ見ると、逆正三角形、正三角形のパターンに見えますが、白に着目すると、ノコギリ上の波紋が雷を表しているようにも見えます。床面の全体に赤色彩色を施しているのは、全国的にも珍しいそうです。

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元々は高貴な方がこの部屋に埋葬されていましたが、後世の盗掘?により、遺骨や副葬品のほとんどは、横穴発見時にすでになかったそうです。しかし一部とはいえ、副葬品が出土していて、玉類・直刀・挂甲片・金環・金銅製雲珠・銅釧・馬鈴・金銅製大馬鈴・鈴杏葉・紡錘車・珠文鏡・銅製容器蓋・須恵器などがあるそうです。6世紀後半のものとのことですが、その当時、どんな有力な部族がこのいわきにいて、活動し、埋葬されたのか、興味が尽きない。

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震災後、安全点検及び横穴内の環境状態(温度・湿度)の観察のため、一般公開を中止していましたが、安定したそうなので、これから一般公開が再開になるようです。まだ磐城の国がなかった時代のものですが、先人たちの活動に思いをはせるのに、良い場所です。

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