2. 国民健康保険の都道府県単位化について

黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁
<動画はコチラ>https://youtu.be/VzTwrZYE4F4
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大きな質問の2つ目は、国民健康保険の都道府県単位化についてであります。
国民健康保険事業は、国民皆保険制度の中核として、地域住民の医療の確保と、健康の保持・増進に、重要な役割を果たしております。これまでは市町村が、加入者の納める保険税を中心に、国や県の補助を得ながら、医療機関への支払いをすることで市の国保特別会計事業勘定の帳尻を、毎年合わせてきました。しかしながら一般企業が加入している社会保険とは異なり、市町村が運営する国民健康保険は、高齢者や低所得者、無職者などを多く抱えていることや、小規模な保険者が多数存在すること、使われているひとりあたり医療費が市町村単位で異なること、保険税率自体も市町村ごとに大きな格差があることなど、様々な課題を抱えています。このような中、国保制度の安定化を図る抜本的な改革が急務とされ、国は、平成27年5月に、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」を公布しました。これにより平成30年度、すなわち来年度から都道府県と市町村が、共同で国民健康保険の運営を担い、都道府県が、財政運営の責任主体となります。
その目的は、県が安定的な財政運営に中心的な役割を担うことで、制度の安定化を図ることとしたものであり、これがいわゆる「国民健康保険の都道府県単位化」であります。
そこで、本県における、県統一化の方向性について伺うとともに、本市に与える影響について、確認して参りたいと思います。

(1) 県統一化の主な内容について
まず1点目は、県統一化の主な内容についてであります。
県の役割はどのようになるのかについて
はじめに、都道府県単位化により、県と市町村が、共同で国民健康保険の運営を担うこととされておりますが、県の役割はどのようになるのかについて、伺います。

(市民協働部長)
平成30年度以降の県の主な役割としましては、財政運営の責任主体となりますことから、県が、県内すべての保険給付費等を負担することになり、これにより、県は市町村ごとの国保事業費納付金を決定し、当該納付金を納付するために必要な市町村ごとの標準保険料率を算定し、示すこととなります。
また、県内統一的な国保の運営方針を策定し、事務の効率化、標準化、広域化を推進し、さらには、特定健診などの保健事業に対し、必要な助言や指導を行うこととなります。

市町村の役割はどのようになるのかについて
では次に市町村の役割はどのようになるのかについて、伺います。

(市民協働部長)
市町村の主な役割としましては、地域住民と身近な関係にありますことから、これまでと同様に、保険給付に関する各種届出や、減免申請などの窓口業務、被保険者証の発行などの資格管理を引き続き行うほか、被保険者の特性に応じた、きめ細かい健康づくりなどの保険事業を実施することとなります。
また、県が決定した国保事業費納付金を県に納付することとなりますが、当該納付金を納付するために必要な国民健康保険税については、保険税率が県内統一化されるまでの当面の間、県が示す標準保険料率を参考に、市町村が個々の事情に応じた国民健康保険税率を決定し、賦課・徴収することとなります。

国保事業費納付金について
では次に、市町村が県に対して納付することとなる国保事業費納付金について伺います。

(市民協働部長)
平成30年度以降、県内市町村の保険給付等に要する費用は、県が、その全額を負担いたしますが、その財源につきましては、国庫支出金、県の一般会計からの繰入金、市町村からの国保事業費納付金などで賄うこととなります。
議員お質しの納付金の額については、県が決定し、市町村から徴収することとされておりますが、その納付金の額の算定に当たりましては、市町村ごとの医療費水準を勘案して、県が決定するものであります。
なお、医療費水準が高い市町村ほど、納付金額が高くなると想定されており、市町村の医療環境などに応じた仕組みとされる見通しでございます。

標準保険料率について
では次に、国保事業費納付金を納付するために必要となる国民健康保険税収入に係る、標準保険料率について、伺います。

(市民協働部長)
標準保険料率とは、市町村が県に納付することとなる国保事業費納付金について、当該納付金を納付するに足りる標準的な国民健康保険税率として県が示すものであり、市町村独自の税率を検討する際に参考となるものでございます。
また、標準保険料率が導入された目的としましては、これまでの各市町村の国民健康保険税は、市町村によって、年齢構成や医療費水準に差があること、保険税の算定方式が異なること、赤字補てんのための法定外繰入を行っている市町村があるなど、様々な要因により差異が生じているため、他の市町村の保険税水準との差を一概に比較することが困難な状況にありますことから、県が標準的な算定方式により、市町村ごとの標準保険料率を示し、公表することで、住民負担の「見える化」を図るとともに、将来的な保険税率負担の平準化を進めることを目的に導入されたものであります。

都道府県単位化によって、県が国保の財政運営の責任主体となり、また、市町村は地域住民と身近な関係にある中、県の手足となって引き続き国保事業の運営にあたるという、それぞれの役割が見えてきました。
また標準保険料率は、県全体一律に福島県が算定するため、これまでのいわき市の保険税率と異なる可能性があるということがわかりました。
では、次に県内統一的な事務の効率化や標準化をどのように進めていくのかについて、確認して参りたいと思います。

(2) 県統一化の進捗状況について
2点目は、県統一化の進捗状況についてであります。
本県の統一化の進め方について
はじめに本県の統一化の進め方について、伺います。

(市民協働部長)
国民健康保険事業運営の県単位化については、平成30年度から実施されることとなりますが、保険税率や事務の県内統一化については、県内59市町村の国民健康保険事業の運営が、現在、市町村によって様々な状況にありますことから、県が中心となり、市町村と協議の上、段階的に進めるこことされているものであります。
県は、県と市町村の協議の場としまして、福島県市町村国保広域化等連携会議、いわゆる連携会議を設置し、また、実務的な検討を行う下部組織として、ワーキンググループと作業部会を設置し、昨年度より、県統一化についての協議・検討を行ってきているところであります。
なお、平成28年度の協議の実績といたしましては、連携会議は1回、ワーキンググループは8回、作業部会は6回、開催されております。

本県の統一化の協議内容について
では次に、本県の統一化の協議内容について、伺います。

(市民協働部長)
統一化の協議内容につきましては、国民健康保険税の賦課の在り方、国民健康保険税や一部負担金の減免基準、被保険者証のカード化や更新の時期、乳幼児医療や子ども医療などの医療機関等における窓口無料化の取扱い、健康づくりや疾病予防等の保健事業の取り組み方など、国民健康保険事業に係る全て協議の対象となっております。

本県の統一化の進捗状況について
では次に、本県の統一化の進捗状況について、伺います。

(市民協働部長)
現時点において、県内59市町村で統一化の意思統一が図られているのは、出産育児一時金と葬祭費の支給額の2つだけとなっております。
その他の事務につきましては、統一化に向けた協議を重ねておりますが、各市町村の国民健康保険を取り巻く環境が様々な状況にあり、それぞれの事情に応じた事業運営が行われていることから、意見の集約が図られていない状況にあります。
また、協議を進めていくにあたり、統一化までの具体的な期限や進捗のスケジュールを県が示していないことから、連携会議やワーキンググループでの協議において、県に対し、速やかに対応するよう強く要請しているところであります。
なお、平成30年度から実施される県単位化において、最低限決定しておかなければならない国保事業費納付金や標準保険料率の算定方法につきましては、本年末頃に示される予定であります。

平成30年度が始まるまで、もう1年を切っている現時点において、一部しか決まっていない状況に、驚きを禁じ得ません。税率の変更や、現時点でのいわき市が提供しているサービス内容から低下するおそれもあります。福島県庁には、もっと危機感を持って頑張ってもらうとともに、いわき市においては、福島県に対し今まで以上に強く意見を言っていただくことを切に願います。

(3) 県統一化による本市の影響について
3点目は、県統一化による本市への影響についてであります。

国民健康保険税率への影響について
はじめに、国保事業費納付金が導入されることや、市町村ごとに標準保険料率が示されるなど、県統一化による国民健康保険税率への影響について伺います。

(市民協働部長)
市町村の国民健康保険税率については、税率が県内統一化されるまでの当面の間、県が市町村の医療費水準を勘案して決定する国保事業費納付金の額に応じて、市町村が独自に設定するものでありますことから、その納付金の額によって影響があるものと考えております。
しかしながら、県は、現時点において、国保事業費納付金の算定方法を具体的に示していないことから、本市の国保事業費納付金の額を推計することは困難な状況にあるため、本市の国民健康保険税率への影響については不透明な状況でございます。
なお、本市の医療費水準につきましては、平成27年度以前の3年間の医療費水準が全国平均や、県平均を上回っている状況となっておりますことから、本市の国民健康保険税率については、少なくとも、現行税率と同程度の水準が求められるのではないかと想定しているところであります。

事務が統一化されることによる影響について
次に、県内統一的な事務については、段階的に実施されるようですが、そこで、事務が統一されることによる影響について伺います。

(市民協働部長)
事務の統一化につきましても、現時点では、一部の事務を除き決定していない状況にありますことから、被保険者への影響は、不透明な状況にあります。
このため、引き続き事務の統一化について協議を継続することとなりますが、本市が先進的に実施している被保険者と高齢化受給者証の一体化や、被保険者証のカード化、さらには、窓口での被保険者証の即日発行など、市民の利便性に配慮した事務が引き続き堅持されるよう、県や他市町村と協議して参りたいと考えております。

これまでの答弁から、平成30年度の都道府県単位化は、段階的に実施されるようでありますが、本県においては、その進捗状況が非常に遅れているといわざるを得ない状況にあります。
この遅れにより、県統一化による各市町村への影響が不透明な状況にあるため、当該影響を緩和するための施策が措置できない状況も事実であります。
また県統一化により事務の効率化が、その目的のひとつとしてうたわれていますが、答弁を聞く限り、いわき市の作業負担が、大きく軽減されるようには感じられません。
いずれにせよ、都道府県単位化の本来の目的である国保運営の県内統一化までの間、安定的な事業運営を継続することが何よりも重要であると考えますことから、福島県と市町村の協議の場において、事務の統一化を計画的に実施するとともに、いわき市においても、統一化の進捗状況などを被保険者に対して公表していくなど、「改革内容の見える化」を行うことも必要であると考えます。
都道府県単位化まで、すでに1年を切っておりますことから、本市が主張すべきことは強く主張し、本市の被保険者に与える影響が最小限となるよう努めていただくことを要望し、次の質問に移ります。

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注)上記記載内容は、当方のメモをもとに作成したものです。正式な議事録は、いわき市議会HPの議事録検索システムから入手下さい。