いわき市地域医療を守り育てる基本条例について

黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁
<動画はコチラ>https://youtu.be/N1jT0yhiI-Q
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いわき市議会清政会の吉田実貴人であります。あの東日本大震災から6年あまりが経過しました。復興集中期間が終わり、復興創生期に入りました。震災関連予算が減少していく中で、このふるさといわきがどうやって持続可能な成長ができるかが問われています。次世代が活躍できる社会の実現を目指して、以下、通告順にしたがって一般質問を行います。

1. いわき市地域医療を守り育てる基本条例について

いうまでもなく医療は地域に必須の機能であり、医療は、電気ガス水道、道路公園と並ぶまちのインフラです。市民の健康・安心のためには必須のものであります。これがなければ高齢者はもちろん、出産を控える若い世帯が住み続けることはできません。また、医は仁術なりのとおり、市内の医療従事者の充実は喫緊の課題の一つであり、これまでも、初当選以来、議会で地域医療関連で6回一般質問させて頂いております。今回7回目の質問となりますが、丁寧な答弁をよろしくお願いいたします。
さて、震災前から、既存医師のいわき市外への流出が続く一方、外部医師がいわき市に定着していないという事象が発生していました。それが震災後、医師の絶対数の不足として一気に表面化したと私は考えています。ざっぱくにいえば、医師不足の根本の原因は、医師個人にとってまちの総合的な魅力が相対的に足りていないと受け止められているということです。勤務先として、勤務するまちとして、いわき市が「選ばれていない」という事実があったわけです。
これを変えていくには、働く・暮らす・育てるそれぞれの観点で若い医師から、いわきが選ばれるようならねばなりません。いわきの医師数の減少を、原発事故の風評被害や、医局制度の変更等のせいだと主張される向きもあります。しかしそれを何度もお経のように唱えても、何ら改善は見込めません。それは所与の条件であり、風評被害や新研修医制度のせいに強弁することは、さらなる市外医師の忌避を招くことしかないからです。
若い医師を呼び込むには、いわき全体の文化、モラル、住民の行動様式を含めた総合的な魅力を増やす必要があります。相馬市・南相馬市では、アクセスやまちの規模、エンタメの少なさ、原発からの距離等で、医師招聘に絶対的な不利にもかかわらず、震災後に医師数が増加しています。なぜ、いわきが相馬市・南相馬市と比較して、選ばれていないのか。相馬市・南相馬市では、外部から来た医師と市民の間の敷居が低く、セミナーや非公式の勉強会等、頻繁に交流が行われています。赴任してきた医師も、オープンに外部から来た人を受入れるマインドをはじめとするまちの魅力に心地よさを感じ、それを次の赴任者に伝えることで、さらに外部の医師の吸引力を増しています。住民が医師に対してプロフェッショナルとして尊敬し、また医師も住民に対して敷居を低くし地域に溶け込む姿勢を取ったこと、そして危機感を持ってなりふりかまわず取り組んだことが、市外の若い医師を呼び込む要因であったと私は分析しています。

(1) 地域医療の現状について
では、質問の1点目、いわき市の地域医療の現状を、対策を含めて伺います。

(市長)
本市の地域医療の現状といたしましては、平成16年度の新臨床研修医制度の施行以降、東日本大震災の影響などもあり、医師をはじめとする医療従事者の不足が続いております。もちろん議員お質しのこともあり、救急医療の中心的な役割を担っている病院の勤務医が不足するとともに、高齢化が進んでいる状況にあります。
特に、救急医療につきましては、「時間外の適正受診」を呼びかけた平成20年度に、救急搬送が、一端減少したものの、震災後は、再び増加し、その後は、高水準で推移しているところであり、また、搬送者の約4割が軽症と診断されている状況にあります。
本市の地域医療が、このような厳しい状況にあることを踏まえ、現役医師の確保・招へい策として、寄附講座の開設による医師の招へいや、本市出身の医師等に対する「いわき医療ふるさと便」の発送、医学雑誌への医師募集広告の掲載などを実施して参りました。
また、数年後を見据えた医師の確保・招へい策としては、医学生等を対象とした「いわき地域医療セミナー」や「いわき市医療ガイダンス」を開催してきたほか、平成28年12月には、「市病院医師修学資金貸与事業費補助金」の制度を創設したところであり、本市の地域医療の課題解決に向けて、様々な施策を積極的に展開しているところであります。

(2) 制定の目的について
住民が医師に対してプロフェッショナルとして尊敬し、また医師も住民に対して敷居を低くし地域に溶け込む姿勢を明らかにするためのいわき市条例を制定すべきと考えます。そこで2点目、今回、条例制定を目指している、いわき市地域医療を守り育てる条例の目的について、伺います。

(保健福祉部長)
本条例の目的としましては、地域医療が市民の健康及び生命を守るかけがえのないものであり、市民が安心して暮らすために欠かすことができないものでありますことから、救急医療をはじめとした本市の地域医療が置かれている厳しい状況について、市や医療機関だけでなく、市民の皆様も含めた市全体で認識し、それぞれの立場で課題解決に取り組みため、市、市民及び医療機関が果たすべき役割を明らかにし、相互に連携・協力して、地域医療を守り育てるための様々な活動を行うことにより、将来にわたり、市民が安心して良質な医療を受けることができる体制を確保することであります。

(3) 検討の経過について
3点目、条例制定検討の経過について、伺います。

(保健福祉部長)
本条例の制定の検討経過については、平成28年12月に、医療関係者で構成される「市地域医療協議会」において、また、本年3月、医療保健、福祉関係者で構成される「市保健医療審議会」において、市からそれぞれの委員の皆様へ、条例案を提示し、ご意見をいただいたところであります。
会議における主な意見としましては、「医療従事者と患者との間の信頼関係の重要性について、条例に盛り込むべき」との意見や、「病状に応じた救急車の適正利用について、条例に盛り込むべき」など、様々な意見が出されましたが、委員の方々からは、本条例に関し、概ね賛同をいただいたところであります。
さらに、本年3月29日から4月12日までの期間でパブリックコメントを実施したところですが、資料請求の問合せが1件あったのみで、市民の皆様から寄せられた意見は、特にございませんでした。

今回の市民意見募集、いわゆるパブリックコメントにおいては、問い合わせが1件のみであったと伺っております。まだまだ市民の条例に対する興味や認知が高くないと考えられますので、複数の媒体を用いた広報に努めていただきますよう要望します。

(4) 基本的内容について
4点目、基本的内容について、伺います。

(保健福祉部長)
本条例の基本的内容としましては、地域医療が市民の健康や生命を守るかけがえのないものであり、将来にわたり持続的に確保されなければならないこと、市、市民及び医療機関が一体となり、相互の連携と協力の下に守り育てなければならないことを基本理念として、将来にわたり、市民が安心して良質な医療を受ける体制を確保するため、市、市民及び医療機関の役割を明らかにするものであります。
まず、市の役割としましては、救急医療体制の維持及び強化、医師の確保、保健や福祉との連携などの基本的施策を策定し、実施することとしております。
次に、市民の皆様の役割としましては、かかりつけ医を持つこと、受診に当たっては、医師などの医療の担い手に信頼と感謝の気持ちを持ち、その指導と助言を尊重すること、夜間又は休日の安易な受診をしないことなどに努めていただくこことしております。
次に、医療機関の役割としましては、患者の病状に応じた機能分担と連携により地域医療を充実させること、感謝の立場を尊重し、患者との信頼関係を築くこと、保健や福祉との連携を図り、在宅医療に取り組むことなどに努めることとしております。

今回の条例制定で注目すべきは、市・医療機関・市民それぞれが果たすべき役割を明確に明文化したことにあります。特に市民の責務として条例第5条第3項 受診等に当たっては、医師等の医療の担い手に信頼と感謝の気持ちを持ち、その指導、助言等を尊重し、健康を回復すること、第4項 救急車について、病状に応じて適正に利用すること、第5項 夜間又は休日における安易な受診をしないこと等を、定めたことは、われわれも一市民としてそれぞれ認識し、行動しなくてはなりません。なお、このような条例は、東北で初の制定であると聞いております。

(5) 施策の実行について
この条例は、いわゆる理念条例であり、罰則規定がありません。現段階では実行計画も明確にはされておらず、条例を作ったが、ほったらかしになるおそれもあります。ぜひしっかりとした予算を確保した上で、実効性のある施策を進めていただきたい。そこで5点目、どのようにこの条例の効果を出していくのか、施策の実行について伺います。

(市長)
本条例の効果を出していくためには、本条例を拠り所として、市、市民及び医療機関など、地域医療に関わるすべての関係者が、本市の地域医療の現状等を認識し、地域全体の課題として捉え、それぞれの立場で課題解決に取り組むことが、何よりも重要であると考えております。
そのため、市といたしましては、これまでも実施してきております「寄附講座の開設による医師招へい」、医学生等を対象とした「いわき地域医療セミナー」や「いわき市医療ガイダンス」の開催、「市病院医師修学資金貸与事業費補助金」などの取り組みに加え、新たな施策といたしまして、「市民の民間病院における医師の確保に繋がる寄附講座の仕組み」の導入に向けた検討など、これまで以上に、地域医療施策の充実に取り組むとともに、市民の皆様に対し、本市医療の厳しい現状や、医療機関の役割と連携の仕組み、適正な医療機関の選択方法などに関する情報を、講演会や広報等、様々な機会を通じて提供することにより、本条例に浸透を図り、実効性を確保して参りたいと考えております。

本気で施策を実行するためには、予算の確保が何よりであります。財政部長、ぜひよろしくお願いします。財政部長、答弁は結構です。

<過去の定例会の医療問題の一般質問は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49011007.html
http://www.mikito.biz/archives/47001886.html
http://www.mikito.biz/archives/46253677.html
http://www.mikito.biz/archives/44459905.html
http://www.mikito.biz/archives/43053570.html
http://www.mikito.biz/archives/40105817.html
http://www.mikito.biz/archives/34605520.html
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注)上記記載内容は、当方のメモをもとに作成したものです。正式な議事録は、いわき市議会HPの議事録検索システムから入手下さい。