月刊「致知」2016年12月号に掲載された、川島隆太先生と齋藤孝先生の対談「素読のすすめ」の書籍化。東北大学教授の川島隆太先生は脳科学者の立場から読書離れとスマホ中毒の悪影響に警鐘を鳴らし、素読の必要性を訴えてきました。齋藤孝先生も同様に「声に出して読みたい日本語」等の著書で、素読の意義を伝えています。対談から見えてきたのは素読で人を育てた先人の優れた知恵と、それとは対照的なスマホやSNSの驚くべき弊害でした。

まずは、自分たちで素読をやってみよう。そんなきっかけで、いわきで子どもたちのための素読教室を開催してみました。

<いわき素読教室 初開催は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/49519019.html
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特に驚いたのは、川島隆太先生が、仙台市で調査している「仙台市標準学力検査および仙台市生活・学習状況調査」をもとに7年間、毎年2万人以上の子どもたちを調べた結果です。まず、スマホやSNSを使えば使うほど学力は下がったという結果。そして特筆すべきは「スマホや携帯を長時間使用すると、いくら勉強していても成績が下がる」という衝撃の事実です。下記のグラフは、2時間以上勉強しても2時間以上スマホをやってしまえば、勉強時間が30分未満の生徒よりも学力が伸びないということを示しています。LINEなどの通信アプリやスマートフォンを1時間使用すると2~4点,点数が下がるという実証データもあります。

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出典:仙台市 学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト
http://bit.ly/2o5lpZk

これはどういうことか?川島教授の仮説は、SNSをやっていると脳に抑制が掛かることになり、勉強の効果が打ち消されてしまうということ。要は、SNSにより脳が眠った状態になるらしい。

その逆に川島教授のオススメは「素読」です。素読は脳の機能を高め、特にその実践のコツの一つはできるだけ速く読むトレーニングです。速く読むことで頭の回転速度が上がります。例えば、早口言葉のようなものを毎日やっていると、脳がつくり替えられるそうです。

一方の、齋藤孝先生は、中高生の読書離れとスマホ中毒により、「このまま脳の器のできない日本人が増え続けていくと、大変な国家的損失になりかねません」と警鐘を鳴らしています。私は、われわれ大人が自ら、素読の実践や読書の習慣化を行い、子どもたちにその背中を見せなければならない、と思います。