かつての修身教科書を忠実に再現し、感動を呼んだ『国民の修身 低学年用』。その続編、我が国の国柄を学ぶ、4-6年生の高学年用の教科書のエッセンスです。読後の印象をひとことで表すと、戦前の教育はこんなにも輝いていたのか!ということ。

<国民の修身 低学年用は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/42874649.html 
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渡辺登、吉田松陰、高田善右衛門ら先人の生き様のほか、ジェンナーやコロンブスという海外の偉人の生き様を紹介しています。お話は一話2-3ページで、現代語解説付きです。

「尋常小学修身書 児童用 巻4」(文部省著作・大正9年発行・4年生用)
「尋常小学修身書 児童用 巻5」(文部省著作・昭和3年発行・5年生用)
「尋常小学修身書 児童用 巻6」(文部省著作・昭和2年発行・6年生用)
 を再編集して、まとめたこの本は、当時の文体・挿絵とともに、現代語訳と簡単な注釈がつけられています。この挿絵が秀逸で、当時の教科書の雰囲気がとても感じられます。

<我が國>我が国・皇大神宮・忠君愛国・国旗・祝日大祭日・靖国神社・憲法・挙国一致・国運の発展・国交・よい日本人
<公民の務>礼儀・良心・公民の務・公益・博愛・人の名誉を重んぜよ・国民の務・男子の務と女子の務・法令を重んぜよ
<祖先と家>孝行・祖先と家・兄弟・主婦の努・慈善・孝行
<勤勉・勤労>勉学・勇気・勤労・工夫・勤勉・師弟・朋友・教育
<自立自営>自立自営・克己・志を堅くせよ・忍耐・倹約・産業を興せ・沈勇・自信
 
戦前の修身教科書というと、短絡的に軍国主義教育ととらえる向きがあります。これについて著者の渡部昇一氏は「戦前の日本は暗黒の時代だったのか」という章をしたためています。曰く、太平洋戦争中も英語の科目はあったし、生活は自由だったとのこと。真に軍国主義的で禁欲的な生活を抑制されたのは終戦前の1年間くらいしかなく、日本古来の価値観を明治期にまとめた「修身」の考え方が、一律に軍国主義で括られることに、大きな違和感があるという実体験を書かれています。
 
特に「国旗」「よい日本人」「志を堅くせよ」の章では、外国と丁寧に接し、それぞれの国旗を敬い、仲良くすべきということが、高らかに謳われています。これ、当時の日本(今の日本もそうですが)は決して全く好戦的な国ではなく、むしろ平和的で相手をおもんぱかる奥ゆかしく、至誠をやろうとしている。これこそ(世界のどことも似ていない)日本人が体現し、また目指すところでしょう。この修身の教科書と比べると、今の道徳の教科書が、非常に表面的で薄っぺらいものに感じてしまいます。