広域農道とは、広域営農団地農道整備事業による農業用道路です。田んぼのあぜ道ではございません。写真のとおり、立派な規格道路です。農道は農林水産省の指導の下、農村地域の農道網を有機的かつ合理的に整備し、農業の生産性の向上及び農産物流通の合理化を図るとともに農村地域の生活環境の改善に資する目的で、特別に整備されます。

ここは四倉町玉山地区から小川町福岡までの計画延長10km、2車線、全幅8.0mの道路です。見た目には、立派な「道路」ですが、道路法・建築基準法上の道路ではありません。総工費約90億円です。単純計算で、計画道路1mあたり90万円かかる計算になります。
 
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実はこの道路計画は平成3年度から着手し、現在進捗率83%、完了予定は平成32年度を予定しています。なんと30年をかけて整備予定で、なんとも長期的な事業です。しかし、その目的は単なる農業の利便性だけでなく、地区・集落間の移動、当初はいわき市内の外郭環状道路としての役割も期待されていたようです。もし四倉から田人まで開通すれば、単に農産物を運ぶだけにとどまらず、地域間交通の動脈として、事業効果は非常に大きいでしょう。一方、その実現までにさらに何十年を要するのか見当もつきません。道路行政は、遠大です。

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農道であっても、場所によってはトンネルを作ることもあります。こちらは茨城県にある広域農道のための十国(じゅっこく)トンネルです。

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この十国トンネルは開通はしたものの、未舗装・未供用の状態でした。最近のトンネル掘削は新オーストリアトンネル工法(New Austrian Tunneling Method, NATM(通称:ナトム))で作るのが、コスト的に有利なんだそうです。掘削した部分を素早く吹き付けコンクリートで固め、ロックボルト(岩盤とコンクリートとを固定する特殊なボルト)を岩盤奥深くにまで打ち込むことで、地山自体の保持力を利用してトンネルを保持する理論および実際の工法です。目に見える部分のコンクリ部分は、実はトンネルを支える構造体でなく、単なるお化粧です。

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農道であっても、場所によっては橋梁も作ります。こちらは茨城県の広域農道の北沢橋梁です。プレストレスト・コンクリート橋で、PC鋼材を使って、通常の鉄筋コンクリートに比べて荷重に強く、国内の新設コンクリート橋のほとんどがこのタイプだそうです。

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