最貧困女子 平成日本の最底辺の女たち。なんと、刺激的なタイトルとサブタイトルなんでしょう。今の日本では、働く単身女性の3分の1が年収114万円未満だそうです。これには専業主婦のレジ打ちや学生のファストフードでの短時間の時給バイトが含まれるので、即、女性=低所得というにはいささか乱暴ですが、それにしても1/3という割合には驚かされます。本書は、そのうちの社会の最底辺にいる10・20代女性を「最貧困女子」をターゲットに、数年にわたって取材した結果です。

まず、「貧乏」と「貧困」は別物ということ。貧乏とは単なる低所得のこと。低所得でも、家族や地域との関係が良好であれば、助け合いワイワイとやっていれば、必ずしも不幸せではない。関東の地方都市で月額10万円ちょっとの給与にもかかわらず、なんとか楽しくやっている例もありました(プア充女子というらしい)。一方で、「貧困」とは。低所得で、かつ家族・地域・友人などの人間性を失い、精神的に困窮している状態、だそうです。

そういった最貧困女子のいきつくところが、セックスワーク。理由は多数ありますが、彼女らにとって、このセックスワークが、「肌触り」が良いため。語弊はあるが、事実上の私的なセーフティネットとなっています。セックスワークは、以下を提供してくれる。
「宿泊場所」:補導ら追跡に怯えずにゆっくり眠ることができる。
「現金と仕事」:宿泊や食事を確保できる。
「携帯電話」:いまや何をするにも携帯電話は必須。住民票がなくても他人名義のをレンタル
「隣りにいる誰か」:少なくとも社会との関係性が根絶されない
日本の公的制度は、この層に必ずしも優しくない、というかかえってキツイ面があるとのこと。この今日の日本にこんな現実があることをまざまざと見せつけられました。

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関東の地方都市では、年収の低くて、ちょっとカワイイ若くで、会話のできる素人女子の「週一デリヘル」というのが、あるそうです。昼の仕事の年収をカバーするために、都会に週に1回出て、デリヘルをしてくるのだそう。仮に昼の年収200万にさらに夜の年収100-200万円を加えれば、地方都市の仲間の中では、かなり自由にオカネが使え、楽しく暮らせるとのこと。デリヘル経営者にしても、たくさんの素人チックな女の子を多数在籍させておくことが、お店の誘客につながるので、ある意味WIN-WIN。倫理観がなくなっている世の中を憂えるのは簡単だけれど、これが現実なのか。

さらに問題なのは、本当の「最貧困女子」は、このちょっとカワイイ若い女子の「週一デリヘル」のセックスワーク参入により、働き口からも締め出され、その下層に追いやられていること。会話が上手でない、可愛くない、太った女子は、セックスワークもできず、もはや人生の出口がない。なんということか・・・

「貧困」の最大の課題と思ったのが、3つの無縁、すなわち家族・地域・制度と無縁になってしまうと、もはや戻れないし、世代に渡って、続く傾向があるということです。しばしば「世代間にわたる貧困の根絶」が議論になりますが、どうも「貧乏」を指していることが多いような気がします。確かに、生活保護世帯でも、公営住宅に住み、その団地の中でコミュニティを持ち、肩寄せ合って仲良く暮らしている層もあり、それは「貧困」ではない。確かに大学進学率は相対的に低いけれど、それが貧困の全てではない。

<生活保護の進学率は20%は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47025302.html

本編では、学童にも行かなくなり、非行になっていた少女の体験談が話されています。そしてどんな学童だったら続いて通えたのか、というホンネが印象的でした。「小学校が終わるじゃん?そうしたら放課後に友達と遊んで
それで夕方か夜になって腹が減ったら学童に行って食事して、ゲームしたりテレビ見たりして、その後にでも親が迎えに着てくれれば良かったと思う。親が虐待するとき、夜遅くとかでも行ったら入れてくれて、泊めてくれるんだったら最高だったと思う。実際、家から追い出されて、学童行ったのね。閉まってるでしょ。開いていたらって、いまでも思う」。少なくとも、彼女にとって、今のシステムでは救えなかったということ。