映画「知事抹殺の真実」を見ました。収賄額ゼロ円!という誠に不可解な、福島県知事の汚職事件です。当事者の佐藤栄佐久知事が自ら知事役を主演し、スクリーンに登場。著書「知事抹殺」とともに、福島県民必見です。

<佐藤栄佐久前福島県知事の有罪確定が確定は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/19023993.html
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佐藤栄佐久氏は、参議院議員を1期、福島県知事5期18年務められた政治家です。知事時代は、シルバーグレイの髪をポマード?でなでつけたスタイルは、職業とは無関係にダンディだったと思います。、2006年9月汚職事件の追及を受け、5期目の任期途中での辞職されました。その後、逮捕・勾留・取り調べ・裁判を経て、2012年10月に最高裁判所で、懲役2年・執行猶予4年の刑が確定しました。公職を離れて10年の年月で、知事も年齢を重ねていました。

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それにしても、収賄額ゼロ円で、有罪が確定とは、誠に不可解。その背景には、福島第一・第二原子力発電所の運営に関して、東京電力によるトラブル隠しが発覚したため、建設・運転の了承を撤回したこと。その結果として2003年には福島と柏崎刈羽の原子炉合計17基が運転停止する事態にまでなったこと。国のずさんな原子力政策を徹底批判し、プルサーマルの受け入れを断固として拒んだこと。それらが、原発推進派の虎の尾を踏んでしまったとの、うがった見方もあります。

どんな背景があったにせよ、司法当局が(いわゆる国策捜査といわれるような)独立性を疑わせるような捜査・立件があってはなりません。しかしこの映画を見る限りにおいては、検察のシナリオにそって、証拠調べが行われたのではないかという見方・疑惑はぬぐいきれませんでした。

当時の福島県の土木部長が証人として証言しましたが、裁判の証拠調べの中で、土木部長個人の銀行口座に大金が振り込まれていた事実が発覚。土木部長は数年かけて、ATMを用いて自らの口座に100万や200万円単位の入金を何度も繰り返し、計2000万円を越える金額を貯金したという不審な行動をとっています。このお金の出所を法廷で栄佐久側の弁護団から追求されると、即答できず、やがて「親の資産(10年以上前に死亡)がタンス預金されてたので、暇をみてちょこちょこ積んでいた」と苦しい弁解をしたそうです。そしてこの土木部長が、「知事が、建設予定だった木戸ダムの工事を前田建設に発注するよう促した」と、建設工事発注に関する知事の関与(いわゆる天の声)を証言。どう見ても不自然です。検察は、土木部長に栄佐久氏が首謀者となるよう証言を要求し、その代わりにワイロを着服していた土木部長を放免する取引をしたのではないかという疑念は払拭できませんでした(実際、土木部長は立件されなかった)。なんとも、不可解な事案です。

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