2. 本市の医療の充実について
(1) 本市のこれまでの医師確保の取組みについて
いうまでもなく医療は地域のインフラであり、市民の健康・安心のためには必須のものであります。また、医は仁術なりのとおり、市内の医療従事者の充実は喫緊の課題の一つであり、これまでも、平成28年2月、平成27年12月、平成27年6月、平成26年9月、平成25年11月の定例会で一般質問させて頂いておるところです。まず、市内医師数についてであります。
<過去の定例会の医療問題は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47001886.html
http://www.mikito.biz/archives/46253677.html
http://www.mikito.biz/archives/44459905.html
http://www.mikito.biz/archives/43053570.html
http://www.mikito.biz/archives/40105817.html
http://www.mikito.biz/archives/34605520.html
<過去の定例会の医療問題は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/47001886.html
http://www.mikito.biz/archives/46253677.html
http://www.mikito.biz/archives/44459905.html
http://www.mikito.biz/archives/43053570.html
http://www.mikito.biz/archives/40105817.html
http://www.mikito.biz/archives/34605520.html
平成26年度医師・歯科医師・薬剤師調査の結果によると、医療施設に従事する医師数は、10万人あたり全国平均で233.6人、福島県平均で182.人であり、いわき市では172人であります。すなわち、市内医師数は全国平均よりも61.6人少なく、絶対数でいうと、約200人も不足している状況にあります。ある医師にいわせると「勤務医ひとりで、二人分働いている」状況だそうです。
医療人材不足を遠因として、まちなかの診療所の閉鎖や特定の診療科の診療制限が目に付きます。公益社団法人日本産科婦人科学会医療改革委員会が運営するサイトによれば、市内でお産ができる施設は全市で6カ所しかないといわれており、出産の予約一杯で受入を制限している施設もあります。また平地区のまちなかには皮膚科がありません。
ア これまでの取組みについて
このような現状を踏まえ、これまで市ではさまざまな医師招聘に向けた取組みをして参りましたが、本市のこれまでの取組みを伺います。
(保健福祉部長)
これまでの取り組みといたしましては、現役の医師の確保策として、福島県立医科大学への寄付講座の設置による医師の招聘や、主に本市出身の医師等に対し、市内病院に関する各種情報や医療に関する情報を提供する「いわき医療ふるさと便」の発送、医学雑誌への医師募集広告の掲載などを実施して参りました。
また、数年後を見据えた医師の確保策として、医学生が市内の病院で見学や実習を行う「いわき地域医療セミナー」や医学部を受験した生徒を対象として進学に役立つ情報を提供する「いわき市医療ガイダンス」の開催などに取り組んできたところであります。
イ これまでの取組みによる成果について
ご答弁いただいたようなさまざまな施策を実施してきてはいるものの、結果として10年前と比べて市内の勤務医師数は減少を続けております。これまでの過去の施策の効果を真摯に受け止め、これまでの取組みによる成果をどのように捉えているか、伺います。
(保健福祉部長)
これまでの取り組みの成果につきましては、寄附講座の設置により、福島県立医科大学より、総合磐城共立病院に対し産婦人科医3名、整形外科医3名が派遣され、診療体制の確保が図られたところであります。
また、「いわき地域医療セミナー」につきましては、平成27年度は10名、平成28年度は52名の医学生が参加したところであり、これにより、本市の医療機関を将来の勤務先の選択肢のひとつとしてもらえるようPRしたところであります。
さらに、本年3月に初めて開催した「いわき市医療ガイダンス」については、医学部を受験した生徒5名とその保護者6名が参加し、参加した生徒のうち3名が、総合磐城共立病院の修学資金を利用するに至ったほか、本年7月には、3月のガイダンス参加者を通して、本市出身の福島県立医科大学の医学生6名と情報交換会を開催するなど、医学生との新たな繋がりを持つことができたところであり、今後も効果のある施策を積極的に展開して参りたいと考えております。
ご答弁いただいたように、さまざまな施策を実施してきてはいるものの、結果として10年前と比べて市内の勤務医師数は減少を続けております。これに対する魔法のような処方、すなわちひとつの施策で劇的に状況が改善するような手法はないと思います。すなわち効果のある複数の手法を組み合わせていくしかありません。ぜひ効果のある複数の施策を積極的に行っていただくことを要望します。
(2) 新たな取組みについて
ア いわき市病院医師修学資金貸与事業費補助金について
(ア) 本事業の内容について
これまでいわき市立総合磐城共立病院の制度として、医学生に対して月額23万5,000円の奨学金がありました。平成27年2月定例会において、医学生に対するさらなる奨学金の拡充を要望して参りました。この度、新設するいわき市病院医師修学資金貸与事業費補助金の概要を伺います。
(保健福祉部長)
市病院医師修学資金貸与事業費補助金につきましては、市内の病院が医学生に対し、修学に必要な資金を貸与した場合に、貸与した費用の一部を補助するものであります。
なお、補助に際しては、医学生が将来において、貸与機関と同じ期間を貸与を受けた病院に勤務した場合は、修学資金の返還を免除することなどを条件としております。
(イ) 本事業の目的について
本事業の目的について伺います。
(保健福祉部長)
本事業は、医師の確保が大変厳しい状況下において、各病院が医師を確保しやすくなる環境を整備し、市と病院が一体となって、本市における病院勤務医の確保に向けて努めていくことを目的としております。
また、修学資金の貸与は医師確保の有効な手法の一つである一方、病院にとってはその費用が経営の上で大きな負担となりますことから、市が補助を行うことにより、病院の診療体制の充実にもつながるものと考えております。
(ウ) 本事業の補助額について
できますれば、「医師確保」ではなく、「医師招聘」と呼んで頂けますでしょうか。では、本事業の補助額について伺います。
(保健福祉部長)
補助額につきましては、修学資金制度を実施する病院が医学生に対し貸与した額の2分の1とし、医学生一人につき年額141万円を上限としております。
(エ) 本事業の目指すべきところについて
本事業の目指すべきところについて伺います。
(市長)
本市における医療提供体制を充実していくためには、医療従事者、とりわけ医師の招聘が重要であると考えております。
これまでも、各病院におきまして、医師招聘に対する様々な努力を重ねてきたところでありますが、市といたしましては、各病院と共に医療提供体制の向上を図るため、今般、医学生に修学資金を貸与する病院に対し当該費用の一部を補助することとし、今定例会に補正予算を計上したところであります。
これにより、当面は「新・いわき市総合計画ふるさと・いわき21プラン実施計画」において、平成32年度の目標としている、人口10万人あたりの医師数を県平均レベルの183.8人とすることを目指すとともに、他の様々な地域医療充実のための施策と併せて、市民の皆さまが安心して暮らすことのできる地域医療体制の構築に努めて参りたいと考えております。
時間はかかりますが、中長期的に医学生を奨励することで、市内の勤務医の増加に資することになります。市内勤務医が市内で開業することもあり、市全体の医師数増加のためにも、ぜひこの制度を上手に運用下さるよう要望いたします。
(3) 本市の看護師の現状について
ア 本市の看護師数の推移について
日本医師会が公表している地域医療情報システムによれば、いわき市の看護師数は10万人あたり705人であり、全国平均の840人を大きく下回っております。市内医療機関に勤務する看護師数の推移について伺います。
(保健福祉部長)
本市の看護師数につきましては、県が偶数年度の12月末日を基準日として実施しております「看護職員就業届出状況」の調査によりますと、平成22年度が、看護師2,332人、准看護士1,775人、平成24年度が、看護師2,419人、准看護士1,672人、平成26年度が、看護師2,514人、准看護士1,667人となっております。
イ 看護師及び准看護士養成施設への支援について
(ア) 一般社団法人いわき市医師会附属いわき准看護学校への支援について
これから数年間かけて団塊の世代が、後期高齢者となっていきます。そして後期高齢者から寿命までの時期が最も医療需要が高く、医療スタッフへの期待がますます高まってくることは、間違いありません。これは特に都市部で顕著であり、いわき市から他の地区へ、例えば大都市圏へ流出すれば、看護師不足が予想されます。こうした中、看護師を自らの地域で育てていくという取り組みを支援していくことは、とても意義があることと思います。
そこで、いわき市医師会が運営する准看護学校が中央台に新設移転となりましたが、そちらに対する市の支援を伺います。
(保健福祉部長)
一般社団法人いわき市医師会附属いわき准看護学校につきましては、東日本大震災により、建物が被災し、改修が困難と判断され、移転新築することとされたところであります。
このため、市といたしましては、移転新築に係る施設整備事業費のうち、県が補助対象経費と定めた8億1,304万円から県補助額を差し引いた2分の1である2億326万円について、平成27年度及び平成28年度の2カ年度に分けて補助を行うこととしております。
(イ) 学校法人いわき明星大学看護学部への支援について
いわき明星大学看護学部への支援について平成27年2月定例会で一般質問・要望させていただきましたが、その際のご答弁は、「現時点において大学から具体的な要請等が出されていないことから、支援の内容を明言することは困難でありますが、今後、大学からの要請や要望などが示された場合には、市として可能な支援策について検討してまいりたい」とのことでした。その後、文部科学省から看護学部新設の認可が正式に下り、来年春にいわき明星大学に看護学部が定員80名で新設されることが確定しました。これらを踏まえて、いわき明星大学看護学部の新設にあたって、市が行った支援について伺います。
(保健福祉部長)
学校法人いわき明星大学看護学部の新設にあたりましては、本年3月の看護学部の認可申請に際し、文部科学大臣に対し要望書を提出して欲しいとの依頼があり、本市といたしましては、看護人材不足の現状を鑑み、同大学の看護学部開設につき特段の配慮をお願いする旨の要望書を、同月に提出したところであります。
10月には、文部科学省より看護学部の設置が認可されたところでありますが、これにより、本市の地域医療の担い手の育成ばかりでなく、地域全体の看護師の技能及び市民福祉の向上にも大きく寄与することが期待されるところであります。
いわき明星大学看護学部新設は、地域で自ら医療人材を育てることであります。看護学部の運用については、3年次から看護実習が予定されており、実習受け入れ施設が必要となります。いわき市が持つ総合磐城共立病院もそのひとつであり、そういった意味でもご協力いただくことを願いまして、次の質問に移ります。
注)上記記載内容は、当方のメモをもとに作成したものです。正式な議事録は、いわき市議会HPの議事録検索システムから入手下さい。