茨城県牛久市が、直営でとりくんでいる、放課後学習支援を視察しました。牛久市の放課後の学び場事業「うしく放課後カッパ塾」は、既存の学童クラブの枠組みから一歩踏み出して、放課後の児童の居場所を、全家庭向けに提供しています。

茨城県牛久市では、市内全小学校で、保育に欠けるかどうかを問わず4年生~6年生の全児童を対象に平日の放課後に開設しています。基礎学力の向上や、学習習慣の定着を図るための児童の自主学習を支援しています。活動時間は、火~金曜日のうち週2日16:00~17:30で、学習指導員が、児童生徒が勉強したい教材・学習プリント等を使用し、学習内容・方法等の指導助言をするというものです。

<平成27年9月議会の一般質問で取り上げました>
http://www.mikito.biz/archives/45362006.html
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こどもたちは宿題や自分たちで用意した課題に向かって学びあったり、一人で取り組んだり、自分たちのペースで学習していました。今回視察したのは、「ひたち野うしく小」というマンモス校でした。週2日開催されていますが、参加する割合は全児童数に対して、約15%程度だそうです。この学校でも対象生徒が500人くらいで、カッパ塾に参加している人数は、2教室70数名でした。小4の参加率は高く、高学年になるにしたがって、自分でできることが増え、また部活や、通塾等のさまざまな理由により、カッパ塾を卒業していくのだそうです。

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放課後カッパ塾の目的は、学習習慣を身につけさせることと、基礎学力の補完・向上です。先生が全員に何かひとつのことを教えるのでなく、児童自らが力をつけたい教科・教材を選び、自習する。それを学習支援員がサポートするというスタイル。思っていたより、自習はさわさわとした小声が聞こえます。これはお互いに教え合ったりしているし、積極的な質問を推奨しているためです。学習支援員のバックグラウンドは、元教師だけでなく、サラリーマンや研究者、大学生等、さまざまですが、共通なことは、地元在住者ということです。また、一年経験した方は、翌年も学習支援員を希望する方がほとんどとのこと。報酬は2.5時間で3000円と決して高いものではありませんが、地域の子どもたちを育てるという生きがい、そして複数年を経験すると、地域との密着度がやりがいを育むようです。

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この小学校では土曜日も土曜カッパ塾をやっていて、英語教室や牛久郷土かるたを使っての郷土の歴史教室を開催しているそうです。学校警備の課題や、管理責任等のハードルがあることは想像に難くありません。しかし、それを突破してでもこどもの学力向上に取り組もうという意欲を感じました。

聞けば、教育委員会内に「放課後対策課」という、放課後児童クラブと、牛久カッパ塾を担当する独立部署を作り、専任でこどもの放課後の過ごし方を考える部署が設置されているそうです。そして、特筆すべきが、放課後児童クラブと、牛久カッパ塾をそれぞれ、牛久市が直営で運営していることです。直営でやることにより、その成果と責任が、すべて市が負うことになります。このインセンティブは大きいし、学校施設を利用するにも、教育委員会内で、すべてが完結するため、行動がはやくなります。

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参加者からは、「友達と一緒に取り組むことで楽しさや達成感が味わえる」「自分のやりたい学習ができ、宿題や自主学習がはかどる」「わからない問題を教えてもらえるので、解くことができてよかった」等の声が寄せられています。また保護者からは、週2日子どもの世話から解放される時間が作れたことで、心に余裕を持ってこどもに接することができるようになったとの声が寄せられております。そうしたことから放課後カッパ塾は、参加希望者が1毎年増加しているそうです。こうした取組みの結果として、牛久市では近隣の市町村からの移住が増加し、14才以下の定住人口は平成17年から右肩上がりとなっています。国が進めている地方創生に基づき、いわき市でも総合戦略を策定しましたが、そのキモは人口ピラミッドの低年齢層を広げることであります。そのために小中学校の児童・生徒を持つ保護者を呼び込むことが必要です。

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注)上記写真は、牛久市教育委員会様の許可を得て撮影しております。